海外の取引先との契約が増えてきて、英文の契約書もまとめて管理したいけれど、英語に対応したシステムがどれなのか判断できない、という悩みはありませんか。
本記事では、契約書管理システムの「英語対応」を3つの意味に分けて整理し、それぞれに対応しているサービスと、導入前の確かめ方を紹介します。英文契約を管理するときに押さえておきたい点もまとめました。
英語への対応以外の観点も含めて選びたい方は、契約書管理システムのおすすめ比較も参考にしてください。
| サービス | 月額料金目安 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| 要問い合わせデモあり | 生成AIが主要な項目を抜き出して管理台帳を自動作成契約終了日や更新期限をSlack・Teams・メールで通知 | |
| 要問い合わせ初期費用0円・15日間無料トライアル | LLMとOCRで契約情報を抽出しデータベース化契約終了・自動更新のアラートで更新漏れを防止 | |
| ¥30,000〜 / 月初期費用100,000円・ユーザー数無制限 | AIが管理項目を抽出して台帳を自動作成契約書の本文まで探せる全文検索に対応 |
「英語に対応している」といっても、サービスによって指している中身が違います。主に次の3つに分けて考えると、自社に必要な対応が見えてきます。
| 英語対応の意味 | できること | 必要になる会社 |
|---|---|---|
| ①英文の契約書から項目を読み取れる | 英文の契約書をAIが読み取り、相手方や契約期間などを台帳に入れる | 英文の契約書の件数が多く、台帳への入力を減らしたい会社 |
| ②画面を英語で表示できる | 管理画面やメールの表示を英語に切り替える | 日本語を読まない社員もシステムを使う会社 |
| ③相手方に英語で締結を依頼できる | 署名の依頼や署名の画面を英語で表示する | 海外の取引先と電子契約で契約を結ぶ会社 |
英文の契約書をPDFとして保管し、ファイル名や台帳で探すだけであれば、英語対応をうたっていないシステムでも使える場合があります。手間を減らしたいのが「入力」なのか「画面の操作」なのか「締結」なのかを先に決めておくと、選ぶべきサービスを絞れます。
英語に対応したシステムが必要かどうかは、英文の契約書がどんな場面で発生しているかによって変わります。自社に当てはまる場面を確かめてみましょう。
海外の会社から部品を仕入れる、海外の会社にサービスを提供する、といった取引では、英文の契約書を交わすことがあります。
件数が増えると、英文の契約書から相手方や期間を台帳に書き写す作業が負担になります。①の英文の読み取りに対応したシステムが役立ちます。
郵送に時間がかかる海外の取引先とは、電子契約で締結することがあります。
相手方に届く依頼のメールや署名の画面が日本語のままだと、相手方が操作に迷います。③の英語での締結依頼に対応しているかが大切です。
海外の拠点の社員や、外国籍の社員が契約書を確かめる会社では、管理画面を英語で表示できると、社内での問い合わせが減ります。②の画面の英語表示が必要になります。
海外の子会社が結んだ英文の契約書を本社でまとめて管理する場合は、①と②の両方が役立ちます。子会社の担当者が英語の画面で登録し、本社の担当者が日本語の画面で確かめる、といった使い方ができるかを確かめましょう。
公式サイトで英語への対応を確認できたサービスを、3つの意味ごとに整理すると次のとおりです。○は公式サイトに記載があるもの、-は記載を確認できなかったものです。
-は「対応していない」ではなく、公式サイトで記載を確認できなかったことを示します。導入を考える場合は、各社に問い合わせて確かめましょう。

OLGAは、GVA TECH株式会社の法務管理クラウドです。
法務への相談や依頼を受けるところから、審査、締結後の管理までを一続きで扱えます。結んだ契約書を登録すれば、当事者や契約の期間、更新の条件といった主な項目を生成AIが拾い出して台帳にまとめ、英文の契約書も読み取れます。
和文と英文の契約書を同じ台帳で管理し、更新の期限もまとめて把握したい会社に向いています。

Hubbleは、登録した契約書から、契約の相手方や更新が自動かどうかといった情報をAIが拾い、管理台帳を自動で作るサービスです。英文で書かれた契約書も、台帳づくりの対象として案内されています。
画面の表示は、利用者ごとに英語へ切り替えられます。日本語を読まない社員も同じシステムで契約書を扱う会社に合っています。

Lisse法務AI Coworkは、読み込んだ契約書をAIが解析し、種類や取引先ごとの目印を付けて探しやすくする法務AIです。英文で書かれた契約書や、紙をスキャンしたPDFも解析できます。
ラベルをもとに一覧から探せるため、英文の契約書が増えて探しにくくなっている会社に向いています。

条文ごとに契約書を蓄えて検索できるLegaledgeは、英語で書かれた契約書からも契約の情報を抜き出せることが、公式サイトのよくある質問で示されています。
抜き出しの精度は契約書の状態などによって変わるため、自社の英文の契約書で試しておくと安心です。

電子契約と契約の管理をまとめて扱えるWAN-Signは、株式会社NXワンビシアーカイブズのサービスです。表示は日本語と英語に対応し、管理画面と通知メールのどちらも言語を切り替えられます。
署名を依頼するメールの言語も日本語と英語から選べるため、海外の取引先との契約にも使えます。

契約書の作成、締結、締結後の管理を一つの流れで扱うのが、ContractS CLMです。署名画面をはじめとして英語への切り替えに対応しており、日本の外にいる相手方へ締結を依頼するときも、英語で表示できます。

電子印鑑GMOサインは、日本語と英語を含む8か国語(日本語・英語・中国語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ミャンマー語・ベトナム語)に対応した電子契約サービスです。
英語だけでなく、アジアや中南米の取引先とも電子契約で契約を結ぶ会社に向いています。

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する電子契約のサービスです。料金プランの機能の一覧には、英語と中国語での契約締結が含まれています。
締結した書類は、取引先の名前や契約の期間といった情報とセットで管理できるため、英文の契約も和文と同じ一覧で探せます。

電子契約と契約の管理を1つで扱えるのが、マネーフォワード クラウド契約です。相手方に送る署名の依頼を英語で設定できるほか、AI-OCRで契約の情報を読み取る機能も備えています。
英語に対応したシステムを使う場合も、英文の契約書ならではの扱い方を決めておかないと、和文の契約書と同じ台帳でうまく管理できません。次の5つの点を決めておきましょう。
英文と和文の両方の契約書を作った場合は、どちらを正本とするかが契約書に書かれていることがあります。台帳に「正本の言語」の列を設けておくと、内容を確かめるときにどちらを見ればよいか迷いません。
社内向けに作った訳文は、原文とは別のファイルとして保存し、管理番号でひも付けます。訳文には「参考訳」と分かる名前を付けておくと、原文と取り違えずに済みます。
英文の契約書では、「月/日/年」や「日/月/年」など、国や書き手によって日付の順番が違うことがあります。台帳に入れるときは、月の名前が書かれた本文の日付と照らし合わせて、取り違えがないかを確かめましょう。
海外の取引先は、英語の正式な社名と、社内での呼び名が違うことがあります。台帳には英語の正式な社名を登録し、社内での呼び名を別の列に書いておけば、どちらで検索しても見つかります。
英文の契約書では、米ドルやユーロなど、円以外の通貨で金額が書かれていることがあります。台帳では金額と通貨を別の列に分けて書いておくと、円の契約と取り違えずに済みます。
更新や解約の期限は、契約書の書き方のまま残すだけでなく、台帳では日本の日付の形に直して入れておきます。期限の通知や色付けを、和文の契約書と同じ仕組みで使えるようになります。
英文の契約書を和文の契約書と同じ台帳で管理する場合は、基本の項目に加えて、次のような項目を足しておくと便利です。英語の表記を並べておくと、海外の社員とも同じ台帳を使えます。
| 項目 | 英語での表記の例 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 契約名 | Contract Title | 契約書の表題を書く |
| 相手方 | Counterparty | 英語の正式な社名 |
| 発効日 | Effective Date | 契約の効力が生じる日 |
| 終了日 | Expiration Date | 契約が終わる日(日本の日付の形に直す) |
| 自動更新の有無 | Auto-Renewal | あり・なし |
| 更新しない場合の通知期限 | Notice Deadline | 更新を断る連絡の期限 |
| 準拠法 | Governing Law | 契約書に書かれた国や地域の名前 |
| 契約書の言語 | Language | 英文・和文・英和併記など |
| 正本の言語 | Prevailing Language | どちらの言語の契約書を優先するか |
| 訳文の有無 | Translation | 社内向けの訳文があるか、保存先 |
台帳の「準拠法」と「正本の言語」の欄には、契約書に書かれている国名や言語を、そのまま書き写します。条項の意味の受け取り方に迷う場合は、自社で判断せず、弁護士に相談しましょう。
公式サイトに「英語対応」と書かれていても、自社の使い方に合うかは、実際に試してみないと分かりません。導入の前に、次の手順で確かめましょう。
無料トライアルやデモで、実際に扱っている英文の契約書を数件読み込ませます。相手方の名前、契約期間、自動更新の有無が正しく台帳に入るかを、原文と照らし合わせて確かめます。
画面の英語表示が必要な場合は、実際に英語で使う社員に操作してもらいます。メニューやボタンだけでなく、通知メールや台帳の項目名まで英語になるかを確かめましょう。
トライアルやデモの前に、次の点を問い合わせておくと、確かめる範囲を絞れます。
英語での締結依頼が必要な場合は、テストとして自社の別のアドレスに依頼を送り、相手方に届くメールや署名の画面を確かめます。
英語に対応したシステムを導入するときは、次の順番で進めると、必要な機能を見落とさずに選べます。
まずは、今ある英文の契約書の件数と、秘密保持契約や売買契約といった種類を洗い出します。件数が少なければ、英語対応にこだわらず、今の台帳に言語の列を足すだけで足りる場合もあります。
3つの意味のうち、自社に必要なのはどれかを決めます。読み取りが必要なのか、画面の英語表示が必要なのか、海外の取引先との締結が必要なのかによって、候補が変わります。
必要な英語対応を備えた製品を2〜3つに絞り、トライアルやデモで自社の英文の契約書を試します。複数の製品を同じ契約書で試すと、読み取りの結果を比べやすくなります。
導入を決めたら、英文の契約書の名前の付け方や、訳文の保存先、正本の言語の書き方といった登録のルールを決めてから運用を始めます。
英語に対応したシステムを選ぶときは、次の点にも気をつけておきましょう。
画面は英語にできても、AIによる読み取りは日本語の契約書だけ、といったように、英語で使える範囲は製品によってまちまちです。必要な3つの意味のどれに対応しているかを、問い合わせで確かめましょう。
スキャンした契約書の画質や、契約書の書き方によって、AIが読み取れる精度は変わります。読み取った結果は、人の目で確かめる手順を残しておきましょう。
英文の契約書を訳したり、内容のリスクを確かめたりする機能は、契約書の管理とは別に、レビューのための機能として別に提供されている場合があります。英文の契約書の確認も効率化するなら、契約書レビューツールの比較もあわせて見ておきましょう。
英文の契約書をPDFとして保管し、台帳に手で情報を入れて管理するのであれば、英語対応をうたっていないシステムでも使える場合があります。AIでの読み取りや英語の画面が必要な場合は、対応しているかを確かめましょう。
紙の英文の契約書をスキャンしてPDFにする場合は、署名のページや別紙まで含めて1つのファイルにまとめます。文字がかすれていると読み取りの精度が落ちるため、読みやすい鮮明さで取り込みましょう。
ファイル名には、管理番号と相手方の英語の社名を入れておくと、PDFからも原本からも探しやすくなります。
利用者の追加や見られる範囲の設定ができるシステムであれば、子会社の契約書を本社のシステムに登録して管理する使い方も考えられます。子会社の担当者が英語の画面で操作するなら、表示を英語に切り替えられる製品を選びましょう。
1つの台帳にまとめ、「言語」の列で区別する形がおすすめです。台帳を分けてしまうと、探すたびに2か所を見ることになり、期限の通知の設定も二重になります。
英語での締結依頼に対応したサービスを使えば、海外の取引先にも電子契約で締結を依頼できます。ただし、相手方の会社の決まりなどによって、紙での締結を求められることもあります。
電子契約で結べるかどうかは、契約の交渉の段階で相手方に確かめておきましょう。
契約書管理システムが主に受け持つのは、締結した契約書の保管や台帳づくり、期限の管理です。英文の契約書の中身を確かめたい場合は、レビューの機能を持つツールを使うか、弁護士に相談しましょう。
契約書管理システムの英語対応には、英文の契約書から項目を読み取れること、画面を英語で表示できること、相手方に英語で締結を依頼できることの3つの意味があります。自社に必要なのはどれかを先に決めてから、サービスを選びましょう。
導入の前には、自社の英文の契約書を読み込ませて、台帳に正しく入るかを試しておきましょう。
英語への対応以外の観点も含めて製品を絞り込みたい方は、契約書管理システムの比較を参考にしてください。