契約書を探すたびに書庫やフォルダを行き来したり、レビューの依頼がたまって締結が遅れたりと、契約書まわりの作業に時間を取られていませんか。
本記事では、契約書の手間を締結前と締結後に分けて洗い出し、手間の測り方から始める6つの対策と、取り組む順番を紹介します。
締結後の管理をシステムで効率化したい方は、契約書管理システムのおすすめ比較で製品の違いを確かめられます。
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契約書管理の効率化とは、契約書を作ってから保管し、更新するまでにかかる時間と手間を減らし、少ない人数でも漏れなく回せる状態にすることです。
効率化というと、締結した契約書の保管や検索を思い浮かべがちです。ただ、時間がかかっている場所は、締結前のレビューや承認の待ち時間にあることもあります。
締結前と締結後を分けて手間を洗い出すと、自社でどこから手を付けるべきかが見えてきます。
| 段階 | 主な作業 | 時間がかかりやすいところ |
|---|---|---|
| 締結前 | 依頼の受付・レビュー・社内承認・締結 | 依頼内容の聞き返し、レビュー待ち、承認の滞留 |
| 締結後 | 保管・台帳への登録・検索・期限の確認・更新 | 契約書を探す時間、手入力、期限の確認漏れ |
契約書の作業で手が止まりやすいのは、次の4つの場面です。自社で当てはまるものがないか確かめてみてください。
取引先から条件を確認されたときに、契約書がどこにあるか分からず、書庫やフォルダを順に開いて探すことになります。
担当者に聞いて回る時間も含めると、1通を見つけるまでに思った以上の時間がかかります。
更新や解約の期限を確かめるために、台帳や契約書を定期的に見返す作業が発生します。
件数が増えるほど確認の負担は大きくなり、見落としが起きたときには、不要な契約の費用を払い続けることになりかねません。
事業部からのレビューの依頼が特定の担当者に集中すると、確認の順番待ちが生まれます。
取引を早く始めたい事業部と、丁寧に確かめたい担当者の間で、締結の時期をめぐる調整にも時間を取られます。
保管場所や期限の確認方法が担当者の記憶に頼っていると、異動や退職のたびに引き継ぎに時間がかかります。
後任の担当者が一から契約書を探し直すことになり、管理が止まっているうちに更新の時期が過ぎることもあります。
時間がかかる場面の裏には、共通する原因があります。原因を押さえておくと、対策の優先順位を決めやすくなります。
保管場所やファイル名、台帳への登録のタイミングが決まっていないと、担当者ごとにやり方が変わります。
ルールがないまま件数が増えると、探す手間も確認の手間も、件数に比例して大きくなっていきます。
台帳への入力や期限の確認を、すべて人の手と目で行っていると、件数に応じて作業の時間が増えます。
入力の誤りや確認漏れも起きやすく、間違いを見つけて直す作業がさらに手間を増やします。
紙の契約書は書庫、電子契約は電子契約サービス、PDFは共有フォルダ、というように保管先が分かれていると、探すときに複数の場所を確かめる必要があります。
レビューで何を確かめるかが担当者ごとに違うと、同じ種類の契約でも確認にかかる時間がばらつきます。
基準があいまいなまま進めると、承認の段階で差し戻しが起き、締結までの日数が延びる原因にもなります。
自社の契約書管理のどこに手間の原因があるかを、次の項目で確かめてみてください。チェックが付かない項目が、効率化で手を付けたい候補になります。
締結前
締結後
チェックが付かない項目が締結前に多いならレビューと承認、締結後に多いなら保管と期限の管理から見直すと、効果が出やすくなります。
対策を始める前に、今どこにどれだけ時間がかかっているかを測っておきましょう。測らずに始めると、手間の少ないところに力を入れてしまったり、効果を説明できなかったりします。
次の5つの数字を、1か月ほど記録してみてください。担当者がメモを付けるだけでも、どこに手間が集中しているかが分かります。
| 測る数字 | 測り方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 契約書を探す時間 | 探し始めてから見つかるまでの時間を記録する | 保管場所や台帳の使いやすさ |
| 依頼から締結までの日数 | 依頼を受けた日と締結した日を台帳に書く | 締結前のどこで止まっているか |
| 差し戻しの回数 | 承認の段階で差し戻された件数を数える | 確認の基準がそろっているか |
| 台帳に載っていない契約書の数 | 棚卸しで見つかった未登録の件数を数える | 登録のルールが守られているか |
| 期限の確認にかかる時間 | 月に一度の確認作業にかかった時間を記録する | 期限を知らせる仕組みの有無 |
探す時間が長いなら締結後の保管と台帳、依頼から締結までの日数が長いなら締結前のレビューと承認、というように、数字が大きいところから手を付けます。
対策を入れたあとに同じ数字を測り直すと、どれだけ時間が減ったかを社内に説明できます。ツールを導入する際の稟議の材料にもなります。
締結前の手間は、依頼の受け方とレビューの進め方を整えると減らせます。次の3つの対策から始めましょう。
取引のたびに結ぶ秘密保持契約や業務委託契約は、自社の型を決めておきましょう。自社の型から始められれば、確認する箇所を絞れます。
あわせて、契約の種類ごとに確かめる項目を一覧にしてあれば、担当が交代しても同じ基準でレビューできます。
依頼のときに取引の内容や希望の締結日が抜けていると、受けた側が何度も問い合わせることになります。
依頼の書式と送り先を決めておくと、聞き返しの手間が減ります。
契約書の件数が多い会社では、AIが契約書のリスクを洗い出すレビューツールを使う方法もあります。AIの指摘を手がかりにすれば、担当者は判断が必要な条項に時間を使えます。
最終的に受け入れるかどうかを決めるのは、自社の担当者です。どのツールが自社に合うかは、契約書レビューツールの比較で確かめられます。
締結後の手間は、保管と期限の確認を仕組みにすると減らせます。次の3つの対策を検討しましょう。
契約書ごとに管理番号を付け、台帳で取引先や契約の種類から番号を調べられるようにすると、探す場所を1つに絞れます。
期限の確認を担当者の記憶に任せると、どこかで抜けが生まれます。Excelの条件付き書式で色を付ける、共有の予定表に登録する、システムのアラートを使う、のいずれかで、期限が自然に目に入る状態をつくりましょう。
紙の契約書は、探すにも確かめるにも書庫まで行く必要があります。新しく結ぶ契約は電子契約に切り替える、過去の紙の契約書はスキャンしてPDFでも持つ、といった形で、紙を扱う場面を減らすと手間が減ります。
スキャンを済ませた紙の原本を処分する前に、電子帳簿保存法などの決まりに沿っているかを、経理や顧問税理士に確認しましょう。
紙の契約書を減らす方法として電子契約に切り替える場合は、次の3つの点に気をつけておくと、切り替えの途中で手間が増えるのを防げます。
取引先によっては、社内の決まりなどの理由で、紙での締結を求められることがあります。電子契約に応じてもらえない場合は紙で結ぶ、といった扱いを先に決めておくと、締結のたびに迷わずに済みます。
切り替えの途中では、紙の契約書と電子契約が混ざります。台帳を紙と電子で分けず、1つの台帳に「紙・電子」の列を設けて区別すると、探す場所が増えません。
電子契約で交わした契約書の保存には、電子帳簿保存法が関係する場合があります。電子データの保存先と保存のしかたを、経理や顧問税理士と決めておきましょう。
6つの対策を一度に始めると、現場の負担が増えて続きません。次の順番で、1つずつ進めましょう。
まずは今の手間を測り、数字が大きいところを対象に決めます。締結前と締結後の両方に課題がある場合も、まずはどちらか一方に絞ります。
保管場所、ファイル名、登録のタイミング、確認の基準といったルールを先に決めます。ルールがないままツールを入れても、登録の仕方がばらばらになり、効果が出にくくなります。
ルールで回しきれない部分を、ツールで補います。導入後に最初と同じ数字を測り、どれだけ時間が減ったかを確かめましょう。
減らなかった場合は、ルールが守られているか、ツールの使い方が合っているかを見直します。
効率化の進め方は、契約書の件数や関わる部署の数によって変わります。自社に近いものを目安にしてください。
まずは、保管場所とファイル名のルール、Excelの台帳を整えることから始めます。件数が少ないうちは、ルールと台帳だけでも探す時間と期限の確認漏れを大きく減らせます。
次の一手は、期限の通知を予定表に入れて、担当者以外にも届くようにすることです。レビューは、よく結ぶ契約のひな形をそろえるだけでも負担が軽くなります。
部署ごとに保管の仕方が違うことが、手間の大きな原因になります。最初に、依頼の窓口と、締結した契約書を集める先を1つに決めましょう。
次の一手は、承認ルートを金額や契約の種類で分け、承認待ちの滞留を減らすことです。依頼の受付から管理までを1つで扱えるツールも、検討の候補になります。
台帳への入力や期限の確認を人の手で続けるのが難しくなっている段階です。AIで台帳を作ったり、期限をアラートで知らせたりできる契約書管理システムの導入を検討します。
あわせて、レビューの件数が多い場合は、AIのレビューツールで一次チェックを任せる方法もあります。導入の前に手間を測っておくと、導入後の効果を比べられます。
対策を始めても、途中で止まってしまうことがあります。つまずきやすい3つの場面と、事前にできる手当てを押さえておきましょう。
ツールを導入しても、事業部が今までどおりメールで依頼したり、契約書を手元に置いたままにしたりすると、効果が出ません。
導入の前に、誰がどの場面でツールを使うのかを決め、事業部にも説明しておきます。使い方を1枚の手順書にまとめ、最初の数か月は問い合わせを受け付ける期間を設けると、定着しやすくなります。
台帳やシステムを新しくすると、過去の契約書をすべて登録しようとして、登録の作業だけで何か月もかかることがあります。
まずは今も続いている契約と、期限が近い契約から登録し、期間が終わった契約は後回しにします。登録する件数が多いときは、スキャンや入力を外部に任せる方法も検討しましょう。
レビューは法務、保管は総務、というように担当が分かれていると、どちらが効率化を進めるのかが決まらないまま時間が過ぎます。
手間を測った結果を共有し、締結前と締結後のどちらから手を付けるかを、関わる部署で決めておきましょう。
ツールの導入には、費用の承認が必要になることがあります。稟議を通すために、次の3点を意識して効果を示しましょう。
測った数字をもとに、1件あたりの時間と、月に扱う件数を掛け合わせて、減らせる時間を示します。「月に何時間の作業が減るか」の形にすると、費用と比べやすくなります。
更新漏れで不要な費用を払い続けた、原本が見つからずに対応が遅れた、といった社内で起きたことがあれば、具体的に挙げます。時間の削減だけでなく、同じことを繰り返さないための対策として示すと、必要性が伝わりやすくなります。
いきなり全社に広げる案よりも、一部の部署で試した結果を添えた案のほうが、判断しやすくなります。無料のトライアルやデモがあるツールなら、試した感想や測り直した数字を添えましょう。
締結後の管理と、締結前のレビューのそれぞれで、手間を減らせるツールを紹介します。

事業部からの依頼と相談の受付、契約審査、締結後の保管までをひとつの仕組みでつなげる法務管理クラウドです。依頼の状況と契約書が同じ場所にまとまるため、メールやチャットを探し回る時間を減らせます。
締結済みの契約書は生成AIが主な項目を読み取って台帳に整理するので、締結前と締結後の両方の手間をまとめて見直したい企業に向いています。

契約書を作る段階から社内承認、締結した後の管理までを1つにまとめた契約管理の仕組みです。台帳の項目はAIが契約書から読み取って埋め、終了日や自動更新の時期が迫った契約は通知で教えてくれます。
承認の流れも自社の決まりに合わせて設定できるため、承認の滞留が気になる企業にも合います。

紙で交わした契約と電子契約を、まとめて1つの台帳に載せられるサービスです。登録した契約書は、AIが読み取った項目に加えて、本文に書かれた言葉でも探せます。
紙の契約書のスキャンや原本の保管を外部に頼めるため、書庫を探しに行く場面を減らしたい企業に向いています。

契約書の確認作業を手伝う法務AIです。アップロードした契約書の中で注意が要る条項をAIが指し示し、修正の案も添えるため、担当者は確認すべき箇所から読み始められます。
Wordアドインを使えば、修正文やコメントの作成までWordの画面で進められます。無料トライアルが用意されています。
管理のツールをさらに比べたい方は契約書管理システムのおすすめ比較、レビューのツールは契約書レビューツール比較で確かめられます。
まずは今の手間を測り、時間がかかっている場面を特定しましょう。探す時間が長いなら台帳と保管場所、締結までの日数が長いならレビューと承認から見直すと、効果が出やすくなります。
件数が少ないうちは、Excelの台帳と保管のルールで十分に回る場合もあります。ルールを決めても入力や期限の確認が追いつかなくなってきたら、システムを検討するタイミングです。
依頼の受付や契約審査から、締結後の管理までを1つのサービスで扱える製品もあります。締結前と締結後のどちらにも課題がある場合は、両方に対応しているかを確かめて選びましょう。
契約書管理の効率化は、締結前と締結後に分けて手間を測り、数字が大きいところから対策を打つことが近道です。締結前はひな形と確認の基準、依頼の受け方、AIのレビュー、締結後は台帳、期限の通知、紙の削減が主な対策になります。
ルールを決めてからツールを選び、導入後は同じ数字を測り直して効果を確かめましょう。
締結後の管理を仕組みにしたい方は、契約書管理システムの比較で自社に合う製品を絞り込んでみてください。