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英文契約書レビューの基本|和文との違いと確認したい9つの条項

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英文契約書レビューの基本|和文との違いと確認したい9つの条項

海外の取引先から英文の契約書が届いたものの、英語の言い回しに慣れておらず、どこを確かめればよいか迷っていませんか。

本記事では、和文の契約書と違う点、レビューの進め方、確認したい主な条項を、英語に慣れていない担当者にも分かるように紹介します。

英文契約に対応したツールを知りたい方は、契約書レビューツールの比較も参考にしてください。

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目次

英文契約書のレビューが和文契約と違う3つの点

英文契約書のレビューは、和文の契約書と同じ感覚で読むと、確認すべき点を見落としがちです。まずは、和文の契約書と違う3つの点を押さえておきましょう。

契約書に書かれた内容がすべてという前提

英文契約書には、契約書に書かれた内容が当事者の合意のすべてであることを確認する「完全合意条項(Entire Agreement)」が置かれることがよくあります。

打ち合わせで合意した条件やメールで約束した内容は、契約書に書き込んでおかないと、あとで確かめる手がかりがなくなります。営業担当者が相手方と合意した内容は、漏れなく契約書に入っているかを確認しましょう。

定義条項と英語特有の言い回し

英文契約書では、冒頭に定義条項(Definitions)を置き、契約書の中で使う言葉の意味を決めることがあります。大文字で始まる言葉は、定義条項で意味が決められていることが多いため、本文を読む前に定義を確かめます。

また、「shall」「may」のように、義務なのか、してもよいことなのかを表す決まった言い回しが多く使われます。言い回しの読み方は、後の章で表にまとめています。

準拠法・紛争解決の方法を当事者で決める必要

海外の会社との契約では、契約の解釈に使う国の法律(準拠法)や、紛争をどこで、どんな方法で解決するかを、当事者の間で決めておきます。

準拠法の選び方が自社に与える影響は、取引の内容によって変わるため、判断に迷う場合は弁護士に相談しましょう。

英文契約書レビューの進め方|5つの手順

英文契約書は、以下の5つの手順に沿って読むと、英語の分量が多くても順を追って確認できます。

  • 契約の種類と取引の全体像の確認
  • 定義条項(Definitions)の読み込み
  • 権利と義務の整理(誰が・何を・いつまでに)
  • 準拠法・通知などの一般条項の確認
  • 修正案とコメントの作成

①契約の種類と取引の全体像の確認

最初に、契約書のタイトル、当事者、契約の目的を確かめ、売買・販売代理・ライセンス・秘密保持など、どの種類の契約かをつかみます。前文(Recitals)には、契約を結ぶ背景や目的が書かれていることが多く、全体像をつかむ手がかりになります。

あわせて、取引の金額やスケジュール、自社として譲れない条件を依頼部署から聞き取っておきましょう。

②定義条項(Definitions)の読み込み

次に、定義条項を読み、契約書の中で使われる言葉の意味を確かめます。たとえば「Products」と書かれていても、どの製品が含まれるかは定義条項で決まっています。

定義された言葉の一覧を日本語訳とともにメモしておくと、本文を読むときに何度も定義条項に戻らずに済みます。

③権利と義務の整理(誰が・何を・いつまでに)

本文は、条項ごとに「誰が」「何を」「いつまでに」するのかを書き出しながら読みます。自社が負う義務と、相手方が負う義務を表に分けて整理すると、負担の偏りが見えてきます。

期限や金額、通知の方法など、数字や手続きにかかわる部分は、特に丁寧に確かめましょう。

④準拠法・通知などの一般条項の確認

契約書の後半には、契約全体に共通するルールを定める条項(一般条項)が並びます。英文契約では「ボイラープレート(boilerplate)」とも呼ばれます。

代表的なものは、準拠法、紛争解決、契約上の地位の譲渡、通知の方法、契約書の言語などです。

決まり文句に見えるため読み飛ばしがちですが、一般条項にも取引に影響する内容が含まれます。ひな形のままで問題ないか、1つずつ確かめましょう。

⑤修正案とコメントの作成

直したい箇所は、Wordの変更履歴を使って英文で修正し、修正の理由を英語のコメントで添えます。

条項の確認の進め方や、指摘に優先順位を付ける考え方は、和文の契約書と共通です。

締結の前には、署名欄(By・Name・Title・Date)も確かめます。日付は「月/日/年」と「日/月/年」のどちらで書く決まりかを確認し、ページの差し替えを防ぐために各ページへイニシャルを書き入れる形がとられることもあります。

英文契約書でよく使われる表現と読み方

英文契約書には、意味がほぼ決まっている言い回しがよく出てきます。主な表現と、読むときの目安をまとめました。

表現 訳語の目安 読むときのポイント
shall 〜するものとする 当事者の義務を表すことが多い。誰の義務かを主語で確かめる
may 〜することができる してもよいこと(権利や選択肢)を表すことが多い
shall not 〜してはならない 禁止されていることを表す
must/will 〜しなければならない/〜する 義務を表すこともあるが、意味の受け取り方に幅が出やすい。義務を定める箇所は shall で書かれているかを確かめる
including but not limited to 〜を含むがそれに限られない 後に続く例は一部で、ほかのものも含まれうる
notwithstanding 〜にかかわらず ほかの条項より優先させたい内容の前に置かれることが多い
subject to 〜に従うことを条件として 後に続く条件や条項の制約を受けることを示す
provided that ただし〜 前の文に対する条件や例外を加える
to the extent 〜の範囲において 適用される範囲を限る
in witness whereof 以上の証として 契約書の末尾の署名欄の前に置かれる決まり文句
hereinafter referred to as 以下「〜」という 言葉の呼び方を決める表現。以降は決めた呼び方で読む
prior written consent 事前の書面による承諾 何かをする前に、相手方の書面での承諾が要ることを示す
in no event いかなる場合も〜ない 責任を負わない場合などを強く限る表現
unless otherwise agreed 別段の合意がない限り 当事者が別に合意すれば、扱いを変えられることを示す

表の訳語は、意味をつかむための手がかりとして使ってください。同じ言葉でも、文の組み立てによって意味が変わることがあるため、気になる箇所は前後の文とあわせて読みましょう。

英文契約書で確認したい9つの条項

英文契約書でよく見かける9つの条項を取り上げ、条項の役割と、読むときに確かめたい点をまとめました。各条項の「確かめたい点」を、読み進めるときの目安にしてください。

条項の書き方が自社にとって問題ないか判断に迷うときや、相手方の国の法律が関わるときは、英文の契約や国際取引を扱っている弁護士に相談しましょう。

Term and Termination(契約期間と解除)

契約の有効期間と、契約を終了させられる場面を定める条項です。

  • 自動で更新されるか、更新しない場合の通知期限はいつか
  • 途中で契約を終わらせる条件が、相手方にだけ有利になっていないか
  • どんな場合に解除できるか(解除の理由)と、不可抗力のときの扱いが書かれているか

Payment(支払条件)

代金の金額や通貨、いつまでにどう支払うかを定める条項です。海外との取引では、通貨や送金の方法によって、受け取れる金額が変わることがあります。

  • 支払いの通貨と、為替の変動や送金手数料をどちらが負担するか
  • 支払いが遅れたときの扱いが定められているか

Representations and Warranties(表明保証)

契約を結ぶ時点で、ある事実が正しいことを当事者が述べる条項です。和文の契約書ではあまり見かけない条項なので、自社が何を約束することになるのかを丁寧に確かめます。

  • 自社が保証する内容が、実際に守れる範囲になっているか
  • 相手方が保証する内容に、取引で前提にしている事実が入っているか

Indemnification(補償)

一方の当事者が原因で第三者から請求を受けたときなどに、損失をどちらが負担するかを決める条項です。

  • 補償する場面が、自社にだけ広く設定されていないか
  • 補償を求めるときの手続き(通知の期限など)が定められているか

Limitation of Liability(責任の制限)

損害を賠償する範囲や上限を決める条項です。補償(Indemnification)の条項とあわせて読み、両方を合わせると自社の負担がどこまで広がるかを確かめます。

  • 上限の金額が書かれているか、取引額と比べて妥当な水準か
  • 上限の対象から外れる場合(例外)として、何が挙げられているか

Confidentiality(秘密保持)

相手方から受け取った情報の扱い方を定める条項です。

  • どの情報が秘密情報として扱われ、どの情報が対象外になるか
  • 秘密を保持する期間と、契約終了後に情報を返すか消すか

Intellectual Property(知的財産権)

取引の中で生まれた成果物や、もともと持っている技術の権利をどう扱うかを決める条項です。

  • 成果物の権利がどちらに帰属するか
  • 自社がもともと持っている技術やノウハウを、相手方が使える範囲

Governing Law and Dispute Resolution(準拠法と紛争解決)

契約の解釈に用いる国の法律と、もめごとを裁判・仲裁のどちらで、どの場所で解決するかを定める条項です。

  • 準拠法としてどの国の法律が指定されているか
  • 紛争解決の方法(裁判か仲裁か)と、行われる場所

Assignment(契約上の地位の譲渡)

契約上の立場や権利を、ほかの会社に譲れるかを決める条項です。相手方の会社が買収されたときなどに、取引の相手が変わるかどうかにかかわります。

  • 相手方が、自社の承諾なしに契約をほかの会社に譲れる内容になっていないか
  • グループ会社への譲渡など、例外として認める場合が定められているか

英文契約書でよく見る見出し・用語の一覧

9つの条項のほかにも、英文契約書には決まった見出しや用語が繰り返し出てきます。見出しの意味が分かると、どこに何が書かれているかの見当を付けやすくなります。

見出し・用語 訳語の目安 どんな内容が書かれるか
Recitals / WHEREAS 前文 契約を結ぶに至った経緯や目的
Definitions 定義 契約書の中で使う言葉の意味
Effective Date 発効日 契約の効力が生じる日
Party / Parties 当事者 契約を結ぶ会社や個人
Affiliate 関連会社 当事者と資本関係などでつながる会社。範囲は定義条項で決められる
Exhibit / Schedule / Appendix 別紙 仕様や料金表など、本文とは別に付ける書類
Force Majeure 不可抗力 災害など、当事者の力が及ばない出来事が起きたときの扱い
Notices 通知 通知を送る方法と宛先
Entire Agreement 完全合意 契約書に書かれた内容が当事者の合意のすべてであること
Severability 分離可能性 一部の条項が無効になった場合に、残りの条項を扱う方法
Waiver 権利放棄 権利を行使しなかった場合の扱い
Amendment 変更 契約の内容を変えるときの手続き
Survival 存続条項 契約が終わったあとも効力が続く条項
Counterparts 副本 契約書を複数通に分けて署名する場合の扱い
Breach 違反 契約で決めたことを守らないこと

同じ見出しでも、書かれている中身は契約書ごとに違います。表の説明で見当を付けたら、本文を読んで確かめましょう。

翻訳ツール・AIを使って確認するときの注意点

英語に慣れていない場合、翻訳ツールやAIで内容をつかむのは効率的な方法です。ただし、使い方を誤ると、かえって見落としにつながります。

訳文ではなく英語の原文が正本

翻訳ツールの訳文は、内容をつかむための手がかりです。相手方と合意するのは英語の原文なので、修正の判断は原文で行いましょう。

契約書に、どの言語の版を正本とするかを決める言語条項があるかも確かめます。和訳の版を別に作る場合でも、どちらが優先されるかを決めておかないと、訳の違いが争いのもとになります。

入力する契約書の機密情報の扱い

翻訳ツールやAIに契約書を入力すると、取引の条件や相手方の情報を外部のサービスに渡すことになります。入力した内容がサービスの学習に使われないか、社内の情報管理のルールで使ってよいサービスかを、事前に確かめましょう。

秘密保持の条項で、第三者への開示が制限されている場合もあります。

最終的な判断は人が行う

翻訳ツールやAIは、訳や指摘の候補を出すところまでが役割です。取引の背景や相手方との関係を踏まえて、修正するか受け入れるかの判断は、自社の担当者が行います。

AIが問題を指摘しなかった条項にも、確認すべき点が残っていることがあります。

英文契約書のレビューに備えて社内で用意しておきたいもの

英文の契約書が届くたびに一から調べていると、確認に時間がかかります。英文契約が年に何度も届く会社は、次のものを社内で用意しておくと、確認の手間を減らせます。

用意するもの 内容 役立つ場面
用語の対訳メモ よく出る英語の表現と、社内で使う訳語の一覧 担当者が替わっても、同じ訳語で読み進められる
英文のひな形 よく結ぶ契約類型の、自社の英文ひな形 届いた契約書と並べて、違う箇所を中心に読める
譲れない条件の一覧 支払条件・責任の上限・準拠法など、自社の方針 修正するか受け入れるかを、毎回同じ基準で判断できる
過去の修正の記録 以前の英文契約で修正した箇所と修正の理由 同じ相手や似た契約で、交渉の進め方を参考にできる

用語の対訳メモは、レビューのたびに少しずつ書き足していくと、社内の共有資産になります。

弁護士に相談したい場面

英文契約書は、社内ですべてを判断しようとせず、場面に応じて弁護士に相談しましょう。次のような場合は、相談を検討する目安になります。

  • 取引の金額が大きい、または取引の期間が長い
  • 相手方の国の法律が準拠法になっている
  • 補償や責任の制限など、負担の大きい条項で合意できていない
  • 社内で初めて結ぶ種類の契約である

相談先を選ぶときは、英文の契約や国際取引を扱っているかを確かめると安心です。

英文契約書のレビューを効率化するツール

英文の契約書は、訳して読むだけでも時間がかかります。ここでは、英文の契約書の確認や管理の手間を減らせる2つのツールを紹介します。

Lisse法務AI Cowork(旧:LeCHECK)|英文の契約書を契約書として読める日本語に訳せるAI翻訳

Lisse法務AI Cowork

契約書のレビューと、締結後の管理を同じサービスで扱える法務AIです。英文契約向けのAI翻訳を備えており、届いた英文の契約書を、契約書の文体のまま日本語で読める形に訳せます。

訳した文章を手がかりに、気になる条項から順に原文を確かめられます。

AIがリスクのある箇所を条項ごとに洗い出して直し方の案を示す機能や、Wordアドインを通じてWord上で修正文やコメントを作る機能もあります。費用をかけずに試せるトライアルがあります。

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OLGA|英文の契約書も、締結後の台帳づくりまでまとめて扱える

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よくある質問

英語が得意でなくても英文契約書のレビューはできますか?

翻訳ツールで全体の内容をつかみ、定義条項と、金額・期限・責任にかかわる条項を原文で丁寧に確かめれば、社内で一次確認を進められます。

判断に迷う条項や、負担の大きい条項は、英文の契約を扱っている弁護士に相談しましょう。

英文契約書のレビューは、どこまで社内で対応できますか?

定型的な秘密保持契約や、過去に結んだことのある種類の契約は、社内で一次確認する方法が考えられます。社内では、取引の条件が契約書に正しく入っているか、自社が守れない義務がないかを中心に確かめます。

初めての種類の契約や、相手方の国の法律が準拠法になっている契約は、弁護士に相談するのが安心です。

英文と和文の両方の契約書がある場合、どちらが優先されますか?

どちらを正本とするかは、契約書の言語条項で決めておきます。決めていないと、英文と和文で意味が違う箇所があったときに、どちらに従うかで争いになるおそれがあります。

和訳の版を作る場合も、言語条項でどちらを優先するかを確かめておきましょう。

まとめ

英文契約書のレビューは、和文の契約書と違う点を押さえたうえで、全体像の確認、定義条項、権利と義務の整理、一般条項、修正案の作成という手順で進めると、英語に慣れていなくても確認を進められます。翻訳ツールやAIは内容をつかむ手がかりにとどめ、判断は原文で行いましょう。

まずは、よく使う表現の読み方と、確認したい9つの条項を手元に置いて、届いた契約書を読んでみてください。英文契約の確認を効率化するツールは、契約書レビューの比較記事で比べられます。

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BackOfficeDB編集部
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