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離職率とは、企業における従業員の定着率を測定する指標のひとつです。
離職率は低い方が望ましいと考えられています。離職率が低く定着率が高いことを示すことができれば、企業評価が向上します。それにより、さらなる離職率の低下を期待できるでしょう。
逆に離職率が高ければ、従業員の入れ替わりが激しく定着率が低いことになります。企業のイメージダウンにつながり、結果的に経営全体に悪影響が生じかねません。
本記事では、離職率の計算方法と平均値を紹介します。自社の離職率が平均値と大きく乖離している場合には、原因究明と対策が必要です。
離職率が高い原因や、離職率を下げて定着率を高める方法まで解説するので、離職率が下がらず悩んでいる経営者や人事労務担当の方は、ぜひ参考にしてください。
離職率とは、一定期間において企業に雇用されている従業員がどれだけ離職したのかを示す指標のことです。退職率とも言います。
離職率の計算式は以下の通りです。
離職率=ある時点から一定期間の離職者数÷ある時点における従業員数×100
離職者数をカウントする期間は統一されておらず、計算する企業や担当者によって異なります。直近1年間と定めたり、もっと先の過去までさかのぼった離職者数で計算することもできます。
離職率データは、組織運営の問題点を抽出するきっかけとして役立ちます。経営状況や外的変化が起きたタイミングで適当な期間の離職率を計算し、組織改善のために活用しましょう。
なお社内の離職人数と入職人数の差分を算出することでも、定着率を分析することができます。離職人数が入職人数を上回っている企業は、組織が縮小傾向にあると言えます。
組織拡大や経営推進を目指すうえで、社内の離職率の低下や入職人数の増加を目指すことは非常に重要です。
自社の離職率の良し悪しを判断するためには、離職率の平均値を把握する必要があります。
厚生労働省の調査結果によると、離職率は平均で8.7%でした。入職率の平均が9.7%と離職率より1%上回っており、離職者より入職者のほうが多い結果となっております。
社内の離職率が8.7%より高い企業は、企業イメージを下げてしまう可能性があります。
区分 | 離職率(%) | 入職率(%) | 入職超過率(%) |
---|---|---|---|
令和5年上半期 | 8.7 | 9.7 | 1.0 |
令和4年上半期 | 8.7 | 9.3 | 0.7 |
参考:入職と離職の推移|令和5年上半期雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
昨年対比では、離職率に大きな変化はありません。入職率はわずかに上昇しています。
令和5年現在では離職者数より入職者数の方が多く、常用労働者数は増加傾向にあります。
男性の離職率は7.8%、女性の離職率は9.7%と、女性の方が1.9%高い結果でした。
男女共に離職率を入職率が上回っており、離職率と同じく入職率も女性の方が高い結果となっています。
区分 | 離職率(%) | 入職率(%) | 入職超過率(%) |
---|---|---|---|
男 | 7.8 | 8.5 | 0.7 |
女 | 9.7 | 11.0 | 1.3 |
参考:入職と離職の推移|令和5年上半期雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
男性に比べて女性の離職率・入職率が高いのは、結婚・妊娠・出産などのライフステージの変化に合わせた入退社が発生することが一要因として考えられます。
仕事を続けることが難しく離職が発生してしまう一方で、復職を支援する制度や働き方の選択肢が増えたことにより入職率も高いことが予想されます。
入職超過率が高いため、定職に就かない女性よりも就職・復職する女性が増えていることが分かります。
産業別の離職率は、以下のとおりです。
区分 | 離職率(%) | 入職率(%) | 入職超過率(%) |
---|---|---|---|
鉱業,採石業,砂利採取業 | 5.2 | 5.4 | 0.2 |
建設業 | 5.1 | 5.8 | 0.7 |
製造業 | 5.1 | 5.8 | 0.7 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 6.3 | 6.0 | -0.3 |
情報通信業 | 6.9 | 7.3 | 0.4 |
運輸業,郵便業 | 5.2 | 6.0 | 0.8 |
卸売業,小売業 | 8.0 | 8.2 | 0.2 |
金融業,保険業 | 5.6 | 5.9 | 0.3 |
不動産業,物品賃貸業 | 9.7 | 9.5 | -0.2 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 7.7 | 7.5 | -0.2 |
宿泊業,飲食サービス業 | 14.8 | 18.4 | 3.6 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 15.0 | 20.6 | 5.6 |
教育,学習支援業 | 11.0 | 11.3 | 0.3 |
医療,福祉 | 8.7 | 10.0 | 2.3 |
複合サービス事業 | 5.2 | 4.1 | -1.1 |
その他サービス業 | 11.7 | 11.6 | -0.1 |
参考:産業別の入職と離職の状況|令和5年上半期雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
産業別に離職率をみると、生活関連サービス業,娯楽業の15.0%が最も高く、次いで宿泊業,飲食サービス業ーの14.8%となっています。
一方で両者は入職率も最上位となっており、人材の流動が激しい業界であることが分かります。入職超過率が平均よりかなり高いため、労働人口は増加傾向にあります。
以下の産業は、離職率が入職率を上回っています。人材の流出が大きいため、離職率の低下施策が経営状況に大きな影響を与える業界です。
産業によっても、離職率の平均値は大きく変化します。
自社の離職率について分析する際は、全体平均だけでなく業界平均も参考にして判断することが大切です。
新卒社員の1年以内の離職率を、学歴別・事業所規模別(大卒のみ)・産業別(大卒のみ)に分けて紹介します。
新卒社員を採用するために、求人サイトの掲載料やブランディング費用、イベント参加費などの経費がかかっています。さらに新人教育のためのコストや工数がかかります。
新卒が1年以内に辞めてしまうと、採用および教育にかけたお金と時間が無駄になってしまうため、新卒の1年以内の離職率は限りなく0に近づけたいものです。
学歴 | 離職率(%) |
---|---|
中学 | 31.9 |
高校 | 17.8 |
短大等 | 19.2 |
大学 | 12.0 |
学歴別の離職率は、新規中卒就職者の31.9%が最も高く、新規大卒就職者の12.0%が最も低い結果となりました。
新規中卒就職者の入社後のケアに慎重になるべきであることが分かります。
事業所規模 | 離職率(%) |
---|---|
5人未満 | 30.2 |
5~29人 | 24.0 |
30~99人 | 16.0 |
100~499人 | 11.8 |
500~999人 | 10.2 |
1,000人以上 | 8.1 |
事業所規模が小さいほど、離職率が高い傾向にあります。5人未満の事業所では離職率が30.2%と、ほぼ3人に1人が辞めている結果となりました。
事業所の所属人数が多いほど働く環境が整備されており、新卒の離職者が少ない傾向にあると予想されます。
人数が少ない事業所では、新卒の教育にかける時間やお金が十分ではない可能性があります。社内体制が十分に整ったうえで新卒採用をおこなうべきでしょう。
産業分類 | 離職率(%) |
---|---|
鉱業,採石業,砂利採取業 | 4.4 |
建設業 | 11.3 |
製造業 | 6.1 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 5.4 |
情報通信業 | 7.8 |
運輸業,郵便業 | 12.2 |
卸売業 | 9.8 |
小売業 | 15.5 |
金融業,保険業 | 6.7 |
不動産業,物品賃貸業 | 15.1 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 11.6 |
宿泊業,飲食サービス業 | 22.9 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 26.0 |
教育,学習支援業 | 18.4 |
医療,福祉 | 13.7 |
複合サービス事業 | 10.1 |
サービス業(他に分類されないもの) | 15.6 |
その他 | 24.3 |
生活関連サービス業,娯楽業と宿泊業,飲食サービス業の離職率は、新卒に限らず全体的に高い傾向にあります。
産業別の離職率は、社会人経験年数では大きく変化しないようです。
参考:
新規中卒就職者の事業所規模別離職状況|厚生労働省
新規高卒就職者の事業所規模別離職状況|厚生労働省
新規短大等卒就職者の事業所規模別離職状況|厚生労働省
新規大卒就職者の事業所規模別離職状況|厚生労働省
新規大卒就職者の産業分類別(大分類※1)就職後3年以内※2の離職率の推移|厚生労働省
※1 産業分類については、平成25年10月に改定が行われた。改定や各産業の詳細については下記総務省ホームページを参照。 https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/H25index.htm
※2 令和3年3月卒については就職後2年以内、令和4年3月卒については就職後1年以内の離職率を記載している。
離職は一定程度発生するものです。
しかし一定期間内に多くの人材が流出するような事態になると、安定的な経営継続が難しくなってしまいます。とくに入社から2年以内の早期退職が発生してしまうと、企業にとって損失が大きいでしょう。
離職率が高くなる原因は、主に以下の5つです。離職した結果に目を向けるのではなく、離職者が置かれていた環境に目を向けて、労働環境の改善に努めましょう。
従業員が業務内容に対してミスマッチ感を抱くと、離職率が高くなる傾向にあります。
業務内容のミスマッチには、以下のようなケースが考えられます。
人員配置や組織体制が乱雑だと、従業員のモチベーションが低下します。
離職率を下げるには、従業員が満足感を得られるような人員配置をおこなったりキャリアパスを用意したりして、適切な業務に専念できる環境をつくることが大切です。
職場での人間関係は、離職理由のひとつです。
どれだけ仕事内容に満足していたとしても、同僚や上司との不和が生じたり、いじめやハラスメントの被害を受けたりすると、その職場で働き続けたいとは思わないはずです。
また顧客や取引先との関係に問題がある場合にも、離職につながりやすくなります。
企業側は、人間関係に関する不平不満を関係者に知られることなく人事や経営層に伝達できる仕組みづくりをする必要があります。
人間関係は常に変化するものであるため、ヒアリングは定期的に実施する必要があります。
人間関係の不和は、従業員が本来の能力を発揮できなくなったり、チームワークが低下して業務効率が落ちる結果につながりかねません。これは企業にとっても大きな損失です。
個人ではなく組織全体の問題として捉え、働きやすい環境になるよう人員整備や注意喚起をおこなっていきましょう。
労働環境の快適さ・充実度合いも、離職率に影響を与える要素として挙げられます。
例えば長時間残業や休日出勤が常態化すると、心身ともにストレスが溜まってしまい離職する結果につながるかもしれません。
また多様化の時代に働き方の選択肢が狭かったり、福利厚生が十分でなかったりすると、働き続けるメリットが感じられずに離職してしまうかもしれません。
優秀かつ多様な人材を確保するために、多くの企業が従業員の労働環境改善に取り組んでいる中で、労働環境に不備がある会社は人材の流出を防げないでしょう。
他社の動向や従業員の声を反映させることが、働きやすい労働環境をつくるポイントです。自社都合ばかりで周りが見えていないと、的外れな施策が進んでしまうでしょう。
給与に対する不満は、離職率に大きな影響を与える要因のひとつです。
例えば労働時間に見合った給与が支払われていなければ、慢性的な不満感が募り、離職の意向が強くなってしまいます。または成果に対して十分なインセンティブや賞与が支給されないと、働くモチベーションが低下してしまいます。
給与は、分かりやすい労働の対価です。働いた分や成果の分だけ報酬が支払われると、企業に対する信頼や忠誠心が高まる傾向にあります。
適切な給与を支払えていれば、従業員の定着率が担保されることでしょう。
不透明な人事評価は、従業員が不信感を抱き離職率を高める結果をもたらします。
例えば、若手がどれだけ高い営業成績を上げても年功序列で昇進できなかったり、上司が贔屓にしている従業員だけが高い評価を受けるような状況だと、従業員の仕事に対するモチベーションが低下してしまいます。
とくにバックオフィスのような成果が見えづらい業務に従事する従業員は、営業やコンサルタントのような花形部署に対して評価を得づらく、不満が溜まりがちです。
これからは古い評価制度や一部の人間関係で決まるような評価体制は撤廃し、実績はもちろん、部署や業務内容に応じた個別の人事評価基準を設けてそれを明示する必要があります。
適切な評価を得られる環境は離職を防ぐだけでなく、従業員に上昇志向が生まれたり、健全な業務環境をつくる結果につながります。
企業にとってもメリットが大きいため、経営方針や人事戦略にあわせて定期的に刷新して周知していくべきでしょう。
離職率が高いと、さまざまなデメリットが生じます。代表的な3つのデメリットを紹介します。
離職率が高くなると、新たな人材を採用するためにコストがかかります。
採用活動には、求人掲載費や人材紹介費用など多額の費用がかかっています。また募集要項の作成や選考対応に、採用担当者の労力が割かれています。
また早期離職の場合は、離職者の労働や成果が採用コストに見合わずに損失が発生します。
離職の発生は二重でコストがかかり、無駄を発生させてしまうのです。
離職と採用を繰り返すとコストの膨張と事業の停滞につながるため、最終的に経営悪化の一因となってしまう可能性があります。
従業員数が少ない企業の場合、事業部ごとの人数はさらに少数になります。その場合は1人でも離職が発生すると、1人あたりの業務量が急激に増えて業務が回らなくなる可能性があります。
また事業の中心人物が離職した場合、事業推進に必要なスキルが不足して事業が停滞しかねません。従業員ひとりに頼った組織体制は非常に不安定です。
これにより全社的に悪影響が出る可能性も十分にあるため、各人材の離職による影響はあらかじめ把握していなければなりません。
短期離職が続いてしまうと、人材が育たず組織が成長できません。新たに採用しても、サポートができる先輩や教育ができる人材がいない環境では、即戦力になるまで時間がかかるでしょう。
また、社歴が長く自社をよく理解している人やノウハウを持った人が辞めたとき、その人材が抜けた穴を埋めるための採用や人材育成に費用と労力を要します。
お金と時間がないからと言って空いたポストをそのままにすると、組織体制が崩れて事業が回らなくなる可能性があります。
資金や従業員が十分な企業ではあまり心配はいりませんが、ベンチャー企業や中小企業にとっては大打撃となり経営を継続できない事態に陥りかねません。
離職率が上昇すると、企業の社会的評価は減少する傾向にあります。なぜなら、従業員が離れていく企業は経営状況や組織体制に何かしらの難があると判断されるからです。
企業イメージが悪いと、事業に対する投資を得たり、優秀な人材を採用することが難しくなります。場合によっては目先の売上を左右する可能性もあります。
近年では、従業員が働きやすい環境を整備することが企業の社会的使命に掲げられるまでになっています。離職理由によっては社会的な批判を受ける可能性さえあります。
最後に、従業員の離職率を下げて定着率を高める5つのコツについて解説します。
離職率を下げるには、従業員が能力を十分に発揮して仕事に対する満足感を得られる環境を作り出すことが重要です。そのためには、教育カリキュラムや研修計画を立るなどして教育体制を整える必要があります。
教育体制は、従業員のレベルに合わせて段階的に用意する必要があります。
例えば新卒向けには、ビジネスマナーや業務姿勢など基本的なところから教育し、定着状況を把握するために継続的なサポートをおこなうべきです。
中途社員の場合は社会人としてのスキルは備わっているものの、会社独自のルールやノウハウには詳しくありません。早く職場に馴染むために、風土や事業内容の理解を促進する研修も必要です。
スキルアップやリスキリングを望む既存社員には、要望に合わせた臨時の研修を用意したり自主学習制度を整備したりすることで、さらなる成果をもたらしてくれるでしょう。
従業員一人一人が望む教育を提供することで、離職率の低下につながります。
事業が衰退傾向になると、従業員が次々に離れていく恐れがあります。事業基盤を固めるため、社内のノウハウを蓄積できる仕組みが必要です。
例えばどんな業務に対してもマニュアルを作成して定期的に更新することで、教育や引継ぎにおける工数や不備を削減できます。過去の経営状況や事業計画に関する情報を保存しておくことも、のちの経営推進につながります。
ノウハウの蓄積のためにクラウドサービスを利用すると、保管が容易になります。さらに一元管理でアクセスしやすい、検索して必要な情報を見つけやすい、誰でも追加・更新がしやすいといったメリットがあります。
独自のノウハウを持ち経営が順調な企業は、それだけで十分に魅力があります。経営の安定度は、離職率と反比例することでしょう。
従業員を適材適所に配置できているかどうかは、離職を防ぐために重要な要素です。
スキルを活用できないポジションに配置された従業員は、働くモチベーションが下がってしまいます。一方で従業員のやる気だけでポジションを決めると、性質や能力が見合わずにストレスを溜めて離職につながる恐れがあります。
適切な人員配置をおこなうためには、まず従業員の性質や能力を把握できる仕組みを作る必要があります。
さらに業務内容に必要なスキルセットを把握することで、従業員と業務がマッチした人員配置が可能になるでしょう。
そのうえで適当なポジションがない場合には新設したり、業務に必要なスキルが不足している場合には教育や新規採用を検討する必要があります。
従業員が本領を発揮できないまま離職してしまわないために、人員配置は慎重におこないましょう。
離職率を下げて定着率を高めるポイントは、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を作り出すことです。
上司・部下・同僚などの関係性が円滑であれば、人間関係の不和が原因で退職を選択する従業員の数は減るでしょう。
例えば部署内や全社的な食事会を設けることで、親しい人間関係を社内に構築でき、定着率を高めることにつながります。
すでに職場で軋轢が生じてしまった場合には、早期に当事者双方と面談の機会を作ったり、人事が仲介役になって話し合いをおこなう必要があるでしょう。
一方で必要最低限の社内コミュニケーションを求める従業員も一定数存在するため、無理強いはしないことが大切です。風土が合わず、離職に至る人も少なくありません。
社内コミュニケーションは、個人の意見を尊重して適度に推進するように心がけましょう。
離職率を低下させるためには、離職の要因を明確にすることと、離職の予防をおこなうことが必要です。
離職は従業員ありきで発生するもののため、離職理由は従業員それぞれで異なります。
離職を予防するために、職場や業務内容に不満がないかを定期的にヒアリングしましょう。匿名や一部情報を伏せて回答できるようにすることで、リアルな現場を知ることができます。
また離職希望者にヒアリングをおこない、問題を取り除くように動くことも大切です。即時対応ができれば、離職を撤回してもらえる可能性もあります。
本人の声に耳を傾けて迅速に行動に移すことが、離職を防ぐポイントです。
従業員の離職率を下げるには、充実した福利厚生制度を用意するのが重要です。
給与とは別に福利厚生の還元があれば、従業員の満足度が高まり離職率を下げることができるでしょう。
どのような福利厚生制度を導入するかは企業独自の判断次第ですが、代表的な福利厚生として以下のものが上げられます。
なお導入する福利厚生制度は、実際に自社で働く従業員にとって魅力のあるものでなければ意味がありません。
新しい福利厚生制度を導入する際は、事前に従業員に対してアンケートを取って意見を聞くのがおすすめです。
従業員の声が反映されて福利厚生が追加になれば、満足度や信頼度がアップして離職を防ぐことができるでしょう。
近年の働き方改革によって、従業員の多様な働き方を肯定する動きが強くなっています。
個別の従業員が抱える事情を踏まえたうえで働きやすい環境を整備すれば、従業員のワークライフバランスが充実し、離職率の低下を実現しやすくなります。
例えば、企業側としては以下のような制度を設けることによって、従業員の生活スタイルに合わせた就労を可能にするべきでしょう。
これらの制度を導入するには、労働関係法制に配慮したうえで就業規則の改正などの手続きが必要になります。労務に詳しい人物の意見を参考にしましょう。
また制度を導入するだけでなく、全社への周知と制度利用の推進が重要です。制度があっても使いづらい環境では意味がありません。
多様な働き方に対する理解が広がるように研修をおこなったり、管理職やマネージャー職から実際に使ってもらうように促すことで、全従業員が制度を使いやすい環境を作りましょう。
給与制度が古いままの企業も往々にして存在します。適切な給与が支払われない企業は、離職率が高い傾向にあります。
個人の業務内容や働き方に合わせた、フレキシブルな給与制度があることで、従業員の不満を取り除いて離職を防ぐことにつながります。
具体的には、評価制度にあわせた給与テーブルの見直しや適度なバランスのインセンティブ付与などの方法があります。
人事労務の担当者だけで判断するのではなく、現場に近いマネージャー層からの意見も取り入れると、より現場本位の給与制度が完成します。
従業員が働き続けたいと思えるように、働きに見合った報酬を支払いましょう。
年功序列式の昇進制度や感情的な評価では、従業員が働くモチベーションを失ってしまいます。
客観的かつ公平な評価基準を設けることが重要です。例えば、複数社員が評価フローに加わったり、数字に限らず内面的な評価軸を設けたりすることで、バランスがとれるようになります。
そして、評価方法は従業員全員に周知されるべきです。従業員が評価項目やフローを把握することで、自分の働きをどれぐらい理解してもらえているのかを知ることができます。
これにより、人事評価に対する満足度や納得感が向上し、離職を防ぐことができるでしょう。
離職率を計算し、離職率が高い場合にはその要因を追求することで、自社の課題が見えてきます。
要因が分かったら速やかに必要な施策を導入することによって、従業員の満足度を上げることができ、離職率の低下につながります。
従業員単位ではなく企業としてもメリットが大きいため、離職率低下のための施策は積極的に実施していきましょう。
IT企業にて新卒から人事部に配属されて、現在まで5年間働いています。
現役人事ならではの視点で、人事に関する情報を記事にしていきたいと思います。
法務部・経理財務をはじめとした管理部門のコンサルタント。不動産営業・管理事務等を経験したのち、バックオフィス専門のアドバイザーとして参画。