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企業が社内でエンジニアを採用したいと思ったとき、まずは採用手法を検討するでしょう。採用したいエンジニア像や自社の採用体制に合ったものを選択しないと、採用に失敗する可能性があります。
中途採用をおこなう場合、1人あたり103.3万円の採用コストがかかります(※参考:就職白書2020|就職みらい研究所)。
本記事では、エンジニアの採用方法・求人媒体をご紹介するとともに、エンジニア採用が難しいとされる理由や採用の失敗パターンを解説します。
エンジニア採用の成功ポイントやおすすめ求人媒体を参考にして、エンジニア採用を成功させましょう。
エンジニアの採用方法を知る前にエンジニア採用市場の傾向を知り、採用活動に役立てましょう。
令和5年のエンジニアを含む情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.58となっていました(パートを除く)。
前年同月と比較すると、新規求人倍率は0.02%上昇し、新規求人数は6.2%増加しています。
新規求人倍率とは、新規求職者に対する新規求人数の割合を示した数字で、上記の結果では情報処理・通信技術者ひとりあたり3.58件の求人があることになります。
全職業での新規求人倍率は2.22になっているため、エンジニア職は他の職業と比べて競争率が低く、新規求人に応募できる可能性が高いことがわかります。
いま、エンジニアは転職先を選びやすい状況です。
※参考:一般職業紹介状況|厚生労働省
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、エンジニア業がふくまれる情報通信業正社員の平均月額賃金は約38.5万円でした。
給与は採用する人の年齢や経歴、求める業務内容などによって変動しますが、エンジニアを正社員として採用する場合には、38.5万円の月収が水準になるでしょう。
エンジニアは専門的な知識と技術が必要になるため、一般的な他の職業よりも若干良い条件で募集を出さないと応募がこない可能性があります。
給与を決める際の一番良い方法は、業種や規模が似ている企業の求人を参考にすることです。ただし自社の給与水準と乖離が生まれないように調整が必要です。
以下ではエンジニアを採用する方法と、それぞれのメリット・デメリットを併せてご紹介します。
エンジニアの採用方法として、主に次の7つの方法があります。
以下で、各採用方法の特徴を説明します。
採用活動の代表的な方法は、求人広告の掲載です。
求人広告を掲載する媒体はWEB媒体や紙媒体などがありますが、エンジニアを採用したいなら求人サイトをおすすめします。エンジニアはリモートワーク人口が多い職種のため、オンラインでのアプローチが最適です。
また、掲載する求人サイトにも「総合型」と「特化型」があります。
総合型の方が知名度が高く利用者が多いので、幅広い層にリーチしやすいのです。ただし掲載料が高かったり、候補者を選べないデメリットもあります。
採用したいエンジニア像が明確になっている企業では、登録者数は劣っていてもエンジニアに限定してアプローチしやすい「特化型」サービスの利用をおすすめします。
求人広告の費用は、基本的に掲載期間や掲載場所によって変わってきて、広告経由の応募者数に関わらず固定費がかかります。
求人広告を利用する際は費用対効果を逐一チェックし、予算内で効果を最大化できるように最新の注意をはらいましょう。
人材紹介も、一般的な採用方法です。
近年、「転職エージェント」と呼ばれる人材紹介サービスの利用が、求職者・企業ともに増えています。
エンジニアのような専門性が高い仕事であればあるほど、転職エージェントに登録して、じっくり準備をしながら条件に合った転職先を探す求職者が多いようです。
転職エージェントを利用する一番のメリットは、基本的に成功報酬型で、入社に至らなければいっさい費用がかからないことです。
また転職エージェントの企業担当者が、企業と求職者の間に入って要件のすり合わせや日程調整をおこなってくれるため、マッチング度が高く採用工数が少ないというメリットもあります。
ただし報酬額は、転職者の年収の35%程度が一般的な額のため、一定額の採用コストがかかります。
採用コストがかかってもより優秀なエンジニアを採用したい場合には、転職エージェントの利用を検討しましょう。
ダイレクトリクルーティングとは、企業側が気になる求職者に対して直接オファーを出す採用手法です。代表的なのは、転職サイトに登録している求職者に対してスカウトメールを送る方法です。
エンジニアの採用に関しては、必要とするスキルや使用言語、経歴などが明確に分類できます。条件が詳細に決まっているため、条件を満たす求職者を探してオファーを送るダイレクトリクルーティングの手法が向いていることも多いです。
ハローワークに、エンジニア求人を出す方法があります。
ハローワーク利用の大きなメリットが、採用コストがほとんどかからないことです。ただしメリットはそれくらいで、それ以上にデメリットが多いため、基本的にはおすすめできません。
ハローワークで求人を探しているエンジニアは、未経験や年齢などの理由でなかなか就職できなくなった人が多くなっています。そのため、会社側が希望する条件に満たないことが多いです。
掲載は無料ですが、掲載に至るまでに工数が多く、掲載開始まで時間がかかります。
短期間で経験豊富なエンジニアを採用したい場合は、向いていないでしょう。
リファラル採用とは、簡単に言うと既存社員からの紹介による採用です。会社内でエンジニア経験がある知人の募集をして、既存の社員からエンジニアを紹介してもらいます。
紹介してくれた社員に対して、「紹介料」として数万円~数十万円を還元する企業が増えています。それでも広告や人材紹介を利用するより、大きく採用コストを抑えられます。
また自社の社員からの紹介なので、会社の風土や良いところ・悪いところをしっかり伝えたうえで紹介してくれます。よってマッチング精度が高く、入社後の離職率が低いところに特徴があります。
ただし、リファラル採用を導入する際は明確なルールを決めておく必要があります。
条件や紹介メリットが曖昧なまま募集しても、社員は紹介してくれません。ルールが緩いと紹介料目当ての応募が増え、入社後のミスマッチや社内の雰囲気悪化につながる可能性があります。
社員がリファラル採用を実施していることを知らずに、形骸化してしまっている会社も多いため、社内で制度の周知をし続けることも大事です。
正社員採用とは異なりますが、エンジニアを派遣社員として雇う企業も多くいます。
人材派遣に登録しているエンジニアは、経験豊富な人材が多く、即戦力としてピンポイントの依頼に適しています。
ほかのエンジニアの補佐や、特定のプロジェクト期間中の短期雇用で活躍してもらう方法もあります。
紹介予定派遣であれば、将来的に自社採用することもできるので、正社員採用を急いでいない場合には、人材派遣での採用から始めてみるのも良いでしょう。
社内でエンジニアを採用するのではなく、アウトソーシング(外注)をする選択肢もあります。
フリーランスで活躍しているエンジニアも多いので、プロジェクトに適当なエンジニアを見つけるのは難しくありません。
数回、数ヶ月の依頼であれば比較的コストは安く済みますが、契約期間が長くなると高騰します。また社内にノウハウが蓄積しないため、エンジニアのニーズが高い企業では不向きな手法です。
ここからは、エンジニア採用が難しい主な理由についてご紹介します。
エンジニアの求人数は求職者の数よりも多く、エンジニアを探しているライバル企業が多くいることがわかります。
エンジニア側は求人を選べる立場にいます。魅力的に映る条件や労働環境、企業理念などをアピールできなければ、応募がこないことも起こりえます。
希望する条件に合ったエンジニアを採用したいのであれば、自社基準で給与や条件などを決めるのではなく、他社を参考にしつつ、他社に負けない自社の強みを最大限にアピールする必要があります。
近年クラウドソーシングを仲介するサービスが増えたこともあり、フリーランスで生計を立てるエンジニアが増えました。
もともとエンジニアには職人気質の人や、コミュニケーションを必要最低限におさえる人が多く、フリーランスの比較的自由な働き方に憧れている方も多くいます。
ただでさえ求人に対して数が少ないエンジニアがフリーランスを選択することで、余計に競争が激しくなることになります。
ただしエンジニアを正規雇用するメリットが特になければ、企業側もクラウドソーシングを積極的に利用しましょう。
エンジニアの職場環境というと、昔は「きつい」「残業が多い」「納期が厳しい」などの悪いイメージが多くありました。しかし働き方改革の効果もあって、各企業がエンジニアの労働環境改善に取り組んでいます。
その結果、エンジニアの求職者が減り採用が難しくなることが予想されます。
転職するとしても、キャリアアップや年収アップを目的としたエンジニアが多く、大手企業や好条件の企業に応募が集まってしまいがちになります。
採用方法は、年々多様化しています。求人媒体も大手のマイナビやリクルートだけでなく、エンジニア業界に特化したものから、好条件のハイクラス求人に特化した媒体まで増えています。
せっかくお金をかけて募集したとしても、その媒体を条件に合ったエンジニアが利用していなければ応募まで繋がりません。
基礎ができるエンジニアで十分な場合は、広くリーチできる総合型求人サイトや人材紹介サービスが良いでしょう。専門的な技術があるエンジニアを求めるのであれば、エンジニア転職に特化したサービスがおすすめです。
採用条件に合った人材が多く登録する求人媒体を選ぶところから、採用活動は始まっています。どういう意図を持って、どのような手法で採用していくのか、採用計画をしっかり立てていきましょう。
採用活動での失敗といえば応募がこないことが代表的ですが、採用後に悪い事態が発生することもあります。
エンジニア採用での失敗を避けるため、主な失敗パターンを把握しましょう。
何度かお伝えしているように、エンジニア採用は競争率が高く、難易度が高い領域です。
求人を出しても応募がこなかったり、面接や内定に進んでも辞退されてしまうことが多々あります。そうすると、採用にかけた時間もお金も無駄になってしまいます。
成功報酬型の人材紹介でも、採用担当者の時間や人件費が無駄になります。
場合によってはビジネスが停滞してしまったり、他の従業員に負担が出てしまうこともありえます。
エンジニアを採用するにあたって、実際にエンジニアを必要としている現場と採用担当者、エンジニア本人の意思疎通がとれていないケースがあります。
エンジニアといっても、SEからITエンジニア、インフラ系エンジニアなどさまざまですし、現場によって使用する言語も違ってきます。
採用担当者が自社のエンジニアについてよく理解していないと、せっかく採用しても現場から必要とされていないエンジニアになってしまうこともあります。
採用活動を再開することにもなりえます。採用されたエンジニア本人も想定していた仕事ができず、誰も幸せにならない結果になります。
現場とエンジニア本人の食い違いは、スキル面以外でも起こり得ます。たとえば社内での役割や働き方に関することです。
はじめてエンジニアを採用する会社は、エンジニアを何でも屋のように捉えて、インターネットの接続やパソコン設定などちょっとしたことでも相談してしまうようなことがあります。これを不満に思ってしまう可能性は高いでしょう。
またリモートワークであることを条件に入社したにもかかわらず、入社後すぐに会社都合で完全出社に切り替わった場合にも、不満がでるでしょう。
エンジニアを採用するにあたって、エンジニアを受け入れる体制を作っていないといけません。
条件だけで採用を決めたり社内の受け入れ体制が整っていなかったりすると、採用されたエンジニアは不満を抱え、早期退職に繋がることになります。
早期退職になってしまえば、再び採用活動を開始しなくてはなりませんし、それに伴う費用と時間も余計にかかってしまいます。
エンジニア採用の成功例を知らないまま採用活動を続けると、次の採用でも同じようなことが起こってしまうおそれもあります。
エンジニア採用の失敗を少しでも防ぐためにも、次に紹介する成功のポイントを抑えて、採用に取り組んでいってみてください。
エンジニアの採用活動を実行する前に、まずはどのようなエンジニアを求めているのかを現場や経営陣とすり合わせをしましょう。
具体的には、主に次のような内容を決めていきます。
自社内だけで要件を決めてしまうと、転職市場の相場やトレンドを抑えていない「魅力がない求人」になる可能性があります。
他社を参考にしながら、「条件が厳しくなっていないか?」「必要スキルがあやふやになっていないか?」などを確認し、必要に応じて更新しましょう。
会社や採用担当者がエンジニアに対する理解が浅いと、採用が難航したり、入社後の早期退職に繋がったりしてしまいます。
たとえば、いまでは誰も使っていないような古い言語を指定したり、最新技術に対して1年以上の経験年数を要求したりと、エンジニアの実情にそぐわない応募条件では見向きもされないでしょう。
エンジニア採用をする際は、少なくとも社内に1名以上はエンジニア経験者かエンジニア採用の経験者を置くことをおすすめします。
現状そのような人物が社内にいない場合には、エンジニア職に特化した人材紹介を使った採用がおすすめです。エージェントに相談しながら募集内容を決めていけば、エンジニアの考えとの大きなズレは防ぐことができるでしょう。
エンジニアの転職検討者が減っている理由に、エンジニアの労働環境が改善されている背景があるとお伝えしました。
すでに自社エンジニアを抱えている企業では労働環境が改善されている傾向にあるため、これから採用予定の企業もそれにならって環境改善の対応が必要です。
ただし新たに採用するエンジニアの条件だけを改善しても、今度は社内の反発にあう可能性があります。組織内と市場の傾向のバランスをみて、条件を設定しましょう。
エンジニアの求職者に対して求人が過剰にある現状では、採用は「早い者勝ち」の状況になりやすいでしょう。
いち早くエンジニアと接点もてた企業が選考に進める可能性が高いですし、内定までのスピード感が早いほど志望度が高まる傾向にあります。対応が早くて誠実な方が、好印象を与えて有利に働くことは容易に想像できるでしょう。
内定までに時間がかかってしまうと、先に内定を出した企業に入社してしまったり、他の好条件の企業に目移りして志望度が下がる可能性があります。
採用体制が十分ではない企業では、他業務と兼任することで採用スピードが落ちてしまいがちです。エンジニア採用を成功させたいときには、一時的にでも採用活動に専念できる環境を作ることも大事です。
もしくはエージェントを活用するなど、コストをかけて効率化する方法もあります。
エンジニア採用に適した場所に求人広告を出したり、エンジニアに特化した人材紹介を受けることで、採用活動を有利に進めることができます。
エンジニア採用におすすめの求人媒体を5つご紹介します。
それぞれ特徴があるので、気になる媒体があればまずは資料請求や問い合わせをしてみましょう。
レバテックキャリアは、ITエンジニアの転職に特化した転職エージェントです。
インフラエンジニアやWebエンジニアなど、職種別に専門のアドバイザーがいます。経歴書だけでは読み取れない、エンジニアの特性やスキルを把握したうえで紹介してくれるので、ミスマッチが少ないでしょう。
求めているエンジニア像の要件整理も手伝ってもらえます。はじめてエンジニア採用に挑戦する企業に、特におすすめのエージェントです。
◆公式サイト:https://levtech.jp/contact/recruit/
Geeklyは、IT・Web・ゲーム業界の転職に特化した転職エージェントです。
Geeklyの特徴として、求職者に対してしっかりヒアリングをおこなうことが挙げられます。近年のエンジニアが求めている条件や働き方についてもよく知っているので、募集条件や採用条件を決めるうえで参考になる話を聞くことができるでしょう。
未経験求人からハイクラス人材まで取り揃えているため、自社の状況に合わせて候補者を選択することができるでしょう。
◆公式サイト:https://www.geekly.co.jp/business/
Greenは、エンジニアをはじめとしたIT業界の求人を多数保有している求人サイトです。
求人情報のほか、企業情報やPR文、インタビューページを作成することができるため、求職者に自社の魅力を存分に伝えることができます。
自社に興味をもった求職者から「気になる」を受け取ることができますし、企業からも「気になる」リアクションでスカウトを送ることができます。ダイレクトリクルーティングを検討している企業におすすめのサービスです。
◆公式サイト:https://get.green-japan.com/
typeは、「中小IT企業」に選ばれる求人サイトです。条件に合う登録者に限定してスカウトメールを送る、ダイレクトリクルーティングの機能ももっています。
エンジニア採用に精通したアドバイザーが、採用活動をサポートしてくれます。有効な求人掲載方法からダイレクトリクルーティングのノウハウまで共有してくれるので、自社の採用力が格段にアップするでしょう。
自社にノウハウが蓄積されて採用の成功率が上がるため、最終的なコストパフォーマンスが良いと評判です。
◆公式サイト:https://info.type.jp/engineer-recruitment/
Findyは、エンジニアと企業をマッチングする転職サービスです。
自社開発のAI技術によって、エンジニアの開発履歴をもとにスキルと適正年収を可視化する優れたサービスを提供しています。
求職者の自認スキルではなくデータをもとにした確かなスキル判定をおこなうため、ミスマッチを減らすことができるでしょう。本当に必要としているエンジニアだけに、オファーを送ることができます。
◆公式サイト:https://findy-code.io/enterprise-service/
エンジニア採用の代表的な方法は、求人広告の掲載か、人材紹介(転職エージェント)です。
エンジニア採用におけるライバルは多く、応募条件や採用条件、内定までのスピード感など採用の全過程で気を配る必要があります。
エンジニア採用を開始する前に求めているエンジニア像を明確にして、条件や採用方法を決定しましょう。