管理部門の人手不足に、現場担当者として悩んでいませんか。
経理・人事・総務・法務・情シスは企業を支える要であるにもかかわらず、採用難とデジタル化の遅れが重なり、業務過多が慢性化しています。
本記事では、人手不足の背景と原因を整理したうえで、業務効率化・BPO活用・自動化ツール導入という3つの対策軸を解説します。あわせて、管理部門の負担を実際に軽減できるSaaSとBPOサービスを10選紹介します。
2026年1月時点で、正社員の人手不足を感じている企業の割合は52.3%に達しており、1月としては4年連続で50%超えとなっています(帝国データバンク調べ)。管理部門は営業や開発と比べて採用の優先度が下がりやすく、人手不足が表面化しにくいまま業務負荷が積み重なる傾向にあります。
団塊ジュニア世代の退職が本格化し、労働市場の縮小は長期的に続く見通しです。採用難が常態化するなか、人手に頼らない業務運営への転換が急務となっています。
管理部門ではシステム導入が進んでいるものの、ツールを入れただけでは業務負担が十分に減らないケースが目立ちます。背景には、部門ごとに異なるシステムが連携せずデータの二重入力が発生している、担当者ごとに業務手順が異なり属人化している、といった構造的な問題があります。
ツールを導入するだけでは解決しないため、業務フローの見直し・連携設計・属人化の解消がセットで必要です。
電子帳簿保存法への対応、インボイス制度の運用、取適法(旧下請法)への対処など、管理部門に新たに課される法令対応業務は増え続けています。義務的な対応業務が積み重なることで、本来注力すべきコア業務に充てる時間が削られています。
まず手をつけるべきは、現状の業務フローを「見える化」することです。誰が何の業務をどれだけの時間かけているかを把握しないまま対策を打っても、効果は限定的です。
業務可視化ツールを使えば、定型業務のフローをデジタル化し、担当者を問わずに業務を進めやすくなります。属人化の解消と引き継ぎコストの削減につながります。
人手が足りない業務を外部の専門会社に委託するのが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)です。経理代行・給与計算代行・オンラインアシスタントなどのサービスを活用することで、自社に専任担当者がいなくても業務品質を維持できます。
採用・教育のコストがかからない点も、中小企業にとっては大きなメリットです。
請求書受領、経費精算、勤怠管理、労務手続きなどの定型業務は、SaaSを導入することで大きく自動化できます。手作業やExcel管理からの脱却が、担当者の負担を直接減らします。
大切なのは「一つのツールで完結させようとしない」ことです。会計・労務・経費精算などのツールがデータ連携できる環境を整えることで、転記作業や確認の手間を最小化できます。
ツールやBPOを選ぶ前に、社内で属人化している業務・手作業が多い業務・ミスが発生しやすい業務を洗い出すことが先決です。課題が明確でないままツールを選んでも、使いこなせずに終わるケースが多くあります。
SaaSは「自社内の担当者がいるが、手作業を自動化したい」場面に向いています。一方のBPOは「担当者がおらず、業務そのものを委託したい」場面に向いています。組み合わせも有効で、たとえば「日常の経費精算はSaaSで自動化しつつ、月次決算はBPOに依頼する」という使い分けも可能です。
複数のツールを導入する場合、システム間でデータ連携できるかどうかを事前に確認してください。連携が取れないと、転記作業が新たに発生し、導入前より工数が増えてしまうこともあります。
管理部門の業務負担を軽減するために活用できるSaaSとBPOサービスを、部門・用途別に紹介します。

経理・財務・労務・総務まで幅広く対応するバックオフィス専門のアウトソーシングサービスです。管理部門の人員が不足している企業が、専任担当者を新たに採用せずとも、外部の専門チームに業務を委ねながら運営体制を維持できる構造をつくれます。
税理士法人を母体に持ち、経験豊富な正社員が全業務を担当するため、属人化やノウハウ散逸のリスクを抑えながら安定運用が可能です。既存の会計・人事システムをそのまま活用できる柔軟性があり、ツールを入れ替えずに段階的な業務外部化を進めやすい点も強みです。
| サービス名 | BackofficeForce |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額料金 | 200,000円~ |

経理担当者を新たに採用せず、外部に経理機能を委ねたい中小企業向けの経理代行サービスです。記帳・仕訳・請求書作成・売掛金管理・経費精算・振込対応・給与計算・月次決算まで、経理の月次業務を一気通貫で任せられます。
税務申告は税理士、社会保険・労働保険の申請は社会保険労務士と連携する体制を取っており、経理周辺の専門領域まで含めて外部化できる構造です。クラウド会計との組み合わせを前提とした設計のため、将来的な内製化への移行もしやすい点が特徴です。
| サービス名 | Wheat Accounting |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額料金 | 30,000円〜 |

秘書・経理・人事・Web運営・営業補助など、管理部門を横断する幅広い業務をオンラインで代行するサービスです。部門ごとに外部委託先を分けるのではなく、1つの窓口で複数領域の業務をまとめて任せられるため、管理部門の人員が限られる企業にとって有効な外部リソースとなります。
機密情報を扱う業務は社外スタッフを介さず社内勤務スタッフが対応する体制を取っており、情報管理面にも配慮があります。短期の契約プランから始められるため、まず一部業務を試してから本格導入を判断しやすい設計です。
| サービス名 | i-STAFF |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額料金 | 81,000円〜 ※年契約 |

領収書をスマートフォンで撮影するだけでAI-OCRがデータ化し、申請・承認・振込データの生成までを一気通貫でカバーするシステムです。経費精算にかかる申請処理・チェック・仕訳作業を担当者が手作業で行う必要がなくなり、経理部門の工数削減につながります。
ペーパーレスで完結できるため、紙の領収書の回収・保管といった付随業務も減らせます。申請者・承認者・経理担当それぞれの負担を同時に軽くできる設計のため、経費処理が属人化しがちな企業にも導入しやすい構造です。
| サービス名 | invox経費精算 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額料金 | 1,980円~+300円×ユーザー数 |

紙でも電子でも受け取った請求書のデータ化・支払処理・計上を自動化するクラウドサービスです。AI-OCRとオペレーターによる二重チェックを組み合わせたデータ化の仕組みにより、経理担当者が担っていた転記・仕訳入力の工数を大きく抑え、人員を増やさずに請求書処理の運用体制を維持しやすくなります。
インボイス制度と電子帳簿保存法の双方に対応しており、法令対応に伴う追加工数も抑えられます。主要な会計システム・ERPとの連携機能も幅広く、既存の経理環境をそのまま活かした導入が可能です。
| サービス名 | invox受取請求書 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額料金 | 980円(+データ料金)~ |

入社手続き・勤怠管理・給与計算・年末調整・Web給与明細の配布まで、人事労務の主要業務をクラウド上でカバーするシステムです。複数のツールを使い分けずに一つの管理画面で業務を完結できるため、人事労務担当者が限られる企業でも運用体制を整えやすくなります。
電子申請にも対応しており、行政手続きの際の書類作成・提出の手間を削減できます。従業員規模に応じて柔軟にプランを選べるため、企業の成長に合わせて段階的な運用拡張が可能です。
| サービス名 | freee人事労務 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額料金 | 400円/人〜 |

入退社手続きの自動化、社員名簿管理、マイナンバー管理、Web給与明細、年末調整、電子申請など、労務部門の主要業務を一つの管理画面でカバーするシステムです。使いやすさを重視した設計を掲げており、初めて労務管理システムを運用する担当者でも導入後の定着を進めやすい構造です。
他社システムとの連携にも対応しており、既存のシステム環境を残したまま組み合わせて使えます。入退社手続きのペーパーレス化を最初の一手として検討している企業に向いています。
| サービス名 | HRBrain労務管理 |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額料金 | 要問い合わせ |

給与計算・賞与計算・年末調整・住民税徴収額更新などの定型業務を外部に委託できるBPOサービスです。給与計算専業として長年の運営実績を持ち、業種・規模を問わない柔軟なオペレーション設計により、社内に給与計算担当者を配置せずに月次の給与処理体制を維持できます。
有給休暇管理や通勤手当管理、マイナンバー収集代行などのオプションも用意されているため、給与計算単体ではなく関連する労務事務もまとめて外部化可能です。給与計算担当の退職・異動リスクに備えたい企業にも向いています。
| サービス名 | エコミック 給与計算アウトソーシング |
| 初期費用 | 要問い合わせ |
| 月額料金 | 要問い合わせ |

週次・月次などの定常業務をデジタルフローとして管理し、誰が何の業務を担っているかをチームで共有できる業務可視化ツールです。業務テンプレートを作成・共有する機能を備えており、引き継ぎや新人育成の際に業務知識を蓄積・再利用できます。
管理部門の業務フローを整理したうえで自動化やBPOに進む「最初のステップ」として活用できるため、人手不足への対策を検討し始めた段階の企業にも適しています。
| サービス名 | flowzoo |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額料金 | 2,750円/人~ ※年間契約 |

社内マニュアルや業務手順書を作成・管理・検索できるナレッジ管理ツールです。全文検索に加えて同義語検索・関連度検索を備えており、キーワードや表記が揺れても必要な手順書にたどり着きやすい設計です。AI機能(要約・翻訳・校正・チャットボット)も搭載されており、マニュアル作成と活用の両面で担当者の負担を抑えられます。
業種を問わず幅広い企業で利用されており、担当者交代時のナレッジ継承や、管理部門全体の属人化解消を目的とした継続運用にも適した構造です。
| サービス名 | NotePM |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額料金 | 4,800円~ |
まず、現在の業務をリストアップし、「自動化できる定型業務」「外部委託できる業務」「社内で続けるべき業務」に分類します。一度に全てを変えようとせず、工数が大きく・改善効果が見込みやすい業務から取り組むことをおすすめします。
属人化している業務は、担当者が変わると止まってしまいます。まずフロー・手順書を整備し、「誰がやっても同じ品質で進められる」状態を作ることが、ツール導入やBPO委託の前提条件になります。
候補サービスを2〜3社に絞ったうえで、無料トライアルや無料相談を活用してください。操作感・サポート体制・既存システムとの連携の3点を重点的に確認することで、導入後のギャップを減らせます。
導入後は、工数削減率・ミス発生件数・担当者の残業時間など、定量的な指標で効果を測定します。数値で改善を確認することで、追加導入や横展開の判断もしやすくなります。
深刻です。むしろ、専任担当者を置きにくい中小企業ほど、一人の担当者が複数部門の業務を兼任しているケースが多く、人手不足の影響が直接的に出やすい傾向があります。BPOサービスやSaaSの活用は、大企業だけでなく中小企業でも有効な選択肢です。
信頼できるBPO事業者はセキュリティ対策を明示しています。契約前に、情報管理体制・秘密保持契約(NDA)・アクセス権限の設計について確認してください。
オンラインアシスタント型のサービスの中には、機密情報を扱う業務を社外スタッフに委ねず社内勤務スタッフに限定して対応する体制を取っているものもあり、情報管理面を重視する場合はこうした運用方針も選定基準に加えるとよいでしょう。
よくある原因は「業務フローを変えずにツールを重ねた」ことです。ツールは業務効率を高める手段であり、フロー自体が非効率なままではツールを入れても効果は限定的です。導入前に業務の棚卸しと標準化を進めることが、効果を出すための前提条件になります。
管理部門の人手不足は、採用の難しさや法令対応の増加が絡み合った構造的な問題です。一度に全てを解決しようとせず、まずは業務の棚卸しから着手し、工数が大きく改善効果の見込める業務から順に、外部委託やツール導入で置き換えていく進め方が定着につながります。
紹介したサービスの中から気になるものを2〜3社ピックアップし、まずは無料相談や無料トライアルで操作感・対応範囲を確認してみてください。