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法務の契約管理体制を整えるには?必要な仕組みと活用できるサービス9選

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法務の契約管理体制を整えるには?必要な仕組みと活用できるサービス9選

法務担当者が増員されないまま、契約書の量だけが増え続けていませんか。

更新期限を見落とし、取引先からの督促で初めて気づいた、という経験がある方も少なくないはずです。

本記事では、契約管理体制の基本的な考え方から、体制を構築するための具体的なステップ、運用を支えるサービスまでを順に取り上げます。

目次

契約管理体制とは何か

契約管理体制とは、企業が締結するすべての契約書について、作成・審査・締結・保管・更新・終了までの一連のプロセスを、組織として一貫して管理するための仕組みのことです。

担当者個人の記憶やExcelの台帳に依存した管理ではなく、誰が担当しても同じ品質でプロセスが回るよう、ルール・役割・ツールを整備することを指します。

電子帳簿保存法の改正やコーポレートガバナンスへの要請の高まりにより、契約書の適切な管理は企業が担うべき責任として位置づけられつつあります。契約管理体制の整備は、リスク管理の観点だけでなく、経営の信頼性を高めるためにも欠かせない取り組みです。

契約管理体制を整備すべき理由

更新漏れによる損失と信頼毀損

自動更新条項がある契約を解約し忘れると、不要なコストが継続して発生します。一方、解約通知期限を過ぎてから解約を申し入れた場合、違約金が発生するケースもあります。

数十件・数百件の契約書を人手で管理していると、期限の見落としが生じやすくなります。

属人化のリスク

担当者だけが契約書の在り処や内容を把握している状態では、異動・退職が発生した瞬間にナレッジが失われます。「契約書の保管先はどこか」「この条項は誰が合意したのか」を後から追えなくなることで、法的紛争時に会社が不利な立場に置かれます。

審査品質のばらつきが生む契約リスク

レビューの深さが担当者のスキルと経験に左右されていると、見落とされたリスク条項が後になって問題となります。「前回も似た案件で同じ条項を使っていた」という経験則だけに頼った審査は、組織的なリスク管理とは言えません。

法令対応の遅れ

電子帳簿保存法、改正民法、取適法(2026年1月に下請法から名称変更)など、バックオフィスに影響する法改正は継続して発生しています。体制が整っていないと、法改正への対応が個人の気づきに委ねられてしまい、対応漏れが生じるリスクがあります。

契約管理体制を構築する5つのステップ

ステップ1:現状の契約書と管理状況の棚卸し

まず、社内に存在する契約書の総数・種類・保管場所・担当者をリストアップします。「どこに何があるかわからない」という状態を解消することが出発点です。

共有フォルダ・担当者のPC・紙の原本・電子契約サービスなど、保管場所が散在しているケースがほとんどです。棚卸しの際には、契約種別(秘密保持契約・業務委託契約・売買契約・ライセンス契約など)ごとに分類し、更新期限や解約通知期限も合わせて記録しておくと、次のステップが進めやすくなります。

ステップ2:管理ルールと役割の明文化

契約書を誰が受け取り、誰がレビューし、誰が締結権限を持ち、締結後はどこに保管するのかを明文化します。役割が曖昧なまま運用を始めると、プロセスが属人化した状態から抜け出せません。

規程や業務フロー図として文書化し、関係する部門と合意を取ることが欠かせません。現場部門が「法務に相談すると時間がかかる」と感じて独断で契約を進めてしまうケースも多いため、標準的なターンアラウンドタイム(例:3営業日以内)を設定しておくことも有効です。

ステップ3:契約書台帳の整備

すべての契約書の情報を一元的に記録する台帳を用意します。管理すべき基本項目は、契約名称・契約相手先・契約金額・契約期間(開始日・終了日)・自動更新有無・解約通知期限・担当者・保管場所・契約書ファイルのリンクです。

Excelで始めることは可能ですが、件数が増えると検索性や更新通知の管理が難しくなります。初期段階でも、後でツールに移行しやすい形式を意識して設計しておくことをおすすめします。

ステップ4:審査・承認ワークフローの設計

契約書の審査フローを標準化します。契約金額・リスクの高さ・相手方の属性に応じて、審査の深さや承認ルートを変える「リスクティアリング」の考え方が有効です。

少額の標準的なひな形を使う場合はステップを省略し、高額・非定型・新規取引先の場合は法務担当者と上長承認を必須とする、といった設計が一般的です。レビュー依頼の受付から結果の共有まで、メールや口頭ではなくシステム上で完結できる体制が理想です。

ステップ5:ツール導入による運用の安定化

手作業・Excelだけでの管理には限界があります。契約管理ツールを導入することで、期限のアラート通知・契約書の全文検索・ワークフローの自動化が可能になり、担当者の負担を大きく減らせます。

ツール選定の際には、電子契約サービスとの連携機能・既存システムとのAPI連携・利用者の操作しやすさを確認しておくことが大切です。

契約管理で押さえておきたい主な管理項目

適切な契約管理体制のためには、以下の項目を整理・記録することが必要です。

  • 契約基本情報:契約書名、契約種別、相手先企業名・担当者名、締結日
  • 期限管理:契約期間(開始日・終了日)、自動更新の有無、解約通知期限(〇ヶ月前)
  • 金額・条件:契約金額、支払い条件、費用負担の取り決め
  • リスク情報:秘密保持義務、損害賠償・免責条項、競業禁止条項、契約解除条件
  • 保管情報:原本の保管場所、電子ファイルのパス、版数管理

主要項目を網羅的に管理できる体制があれば、法的紛争の際にも迅速に事実関係を把握でき、経営層への説明責任を果たしやすくなります。

ツールの運用を継続させるためのコツ

法務部門以外も使えるシンプルな設計

契約管理の仕組みが法務担当者にしか使えない複雑なものだと、現場から「法務に頼むのは面倒」という声が出て、勝手に契約が進められるリスクが高まります。事業部門の担当者が自分で登録・検索・依頼できる操作性を確保することが、仕組みの定着に直結します。

定期的な棚卸しサイクルの組み込み

契約管理台帳は、一度作ったら終わりではありません。半期・年次での棚卸しを業務プロセスとして組み込み、終了した契約の整理・情報の更新・不要データの削除を定期的に行う習慣をつけることが大切です。

アラート通知機能を持つツールを活用すれば、期限管理の負担を大きく下げられます。

ひな形整備による審査負荷の軽減

よく使う契約類型(秘密保持契約・業務委託契約・売買契約)について、自社承認済みのひな形を整備しておくと、相手方から提示された契約書との差分比較に集中でき、審査時間を短縮できます。ひな形の整備と契約管理ツールの組み合わせは、法務部門の生産性を高める有効な手段です。

契約管理体制の強化に役立つサービス9選

契約管理体制の強化に活用できる主要なSaaSサービスを紹介します。各サービスの得意とする領域を確認しながら、自社の課題に合ったものを選んでください。

Hubble|締結後の契約管理から始められるシンプルな契約管理ツール

締結後の契約管理に機能を絞り、はじめて契約管理体制を整備する企業でも短期間で運用を立ち上げられるサービスです。PDF化した契約書をアップロードするだけで、AIが契約情報を自動で抽出し契約台帳を作成します。

保管・検索・期限リマインドなどの基本機能に特化しているため、操作に迷いにくく、法務を兼任している担当者でも扱いやすい設計です。属人化したExcel台帳からの脱却を、最小限の工数で実現したい企業に向いています。

Hubble miniのおすすめポイント

  • PDFアップロードだけで契約情報を抽出する台帳自動作成機能
  • 保管・検索・期限通知に機能を絞ったシンプルな操作性
  • 兼任担当者でも運用しやすい軽量な契約管理の仕組み
サービス名 Hubble mini
初期費用 0円
月額料金 要問い合わせ

Hubble|Wordベースの契約業務をそのままデジタル化する契約管理プラットフォーム

Wordで作成する契約業務の流れをそのまま残しながら、審査・締結・保管・更新までを一元管理できる契約管理プラットフォームです。契約書は編集・保存と同時に自動でバージョンが記録され、差分比較と合わせて1画面で確認できます。

締結後の契約書も電子契約サービスから自動で取り込まれ、コメントやレビュー履歴もプラットフォーム上に蓄積されます。契約業務のコミュニケーションと履歴が同じ場所に集まることで、属人化しがちな法務ナレッジを組織の資産に変えられます。

Hubbleのおすすめポイント

  • Wordの作業スタイルを維持したまま導入できる高い親和性
  • バージョン履歴と差分比較を1画面で確認できる審査環境
  • 締結後の契約書を自動で取り込む一気通貫の管理設計
サービス名 Hubble
初期費用 0円
月額料金 要問い合わせ

ConPass|50年の文書管理実績を活かしたAI搭載契約管理サービス

文書管理を長年手がけてきた株式会社日本パープルが提供する、紙と電子をまとめて扱える契約管理サービスです。AIによる契約情報の自動抽出機能を備え、アップロードされた契約書から主要項目を抽出して台帳を自動で整備します。

電子契約サービスとのAPI連携にも対応し、締結後の契約書を手入力せずに取り込めます。ユーザー数に応じた追加料金が発生しない料金体系を採用しているため、利用部門を広げても運用コストを抑えやすく、全社的な契約管理体制を築きたい企業に向いています。

ConPassのおすすめポイント

  • AIによる契約情報の自動抽出と台帳整備の自動化機能
  • 主要電子契約サービスとAPI連携できる締結後の取り込み基盤
  • ユーザー数無制限の料金体系による全社展開しやすい運用設計
サービス名 ConPass(コンパス)
初期費用 100,000円
月額料金 30,000円~

OLGA|法務案件の受付から契約管理までを一元化する法務オートメーションプラットフォーム

法務部門への案件依頼から契約書のレビュー・締結・管理までを、同じプラットフォーム上で扱える法務オートメーションサービスです。事業部からの相談はメール・Slack・Teamsなど普段のコミュニケーションツール経由で受け付けられるため、依頼受付の属人化を解消できます。

アップロードした契約書からはAIが主要項目を抽出し、台帳整備・期限通知まで自動化できます。一般条項と自社基準の双方に基づく契約レビュー、表記ゆれや条項番号ズレの自動検出にも対応し、審査品質の平準化と体制構築を同時に支えます。

OLGAのおすすめポイント

  • 案件依頼から契約管理までを一気通貫で扱える法務オートメーション基盤
  • 普段のメール・チャットをそのまま使える受付プロセスの設計
  • AIによる契約情報抽出と台帳自動生成の契約管理モジュール
サービス名 OLGA
初期費用 要問い合わせ
月額料金 要問い合わせ

LeCHECK|弁護士監修AIによる契約書レビュー支援サービス

弁護士監修のAIが契約書を自動で解析し、自社に不利な条項の指摘と修正案の提示を行う契約書レビュー支援サービスです。リスク指摘には根拠と解説が添えられるため、経験の浅い担当者でも判断基準をそろえやすくなります。

あらかじめ自社ひな形を登録しておくと、相手方から受け取った契約書との差分を自動で比較し、類似条項を代替案として提示する機能も備えています。英文契約書のレビューにも対応しており、審査品質のばらつきを組織として抑えたい法務部門に向いています。

LeCHECKのおすすめポイント

  • 弁護士監修AIによる根拠付きのリスク指摘と修正案提示の機能
  • 自社ひな形と相手方契約書を突き合わせる差分比較の仕組み
  • 和文・英文の双方に対応する契約書レビューの自動化基盤
サービス名 LeCHECK
初期費用 要問い合わせ
月額料金 要問い合わせ

BoostDraft|Microsoft Wordで完結する契約書作成・レビュー支援ツール

Microsoft Wordのアドインとして動作し、既存のWord環境をそのまま使いながら契約書の作成とレビューを効率化するツールです。過去の契約書やひな形からの条項検索・挿入、表記ゆれの自動統一、参照条項の番号ズレ検出、条項番号の自動ナンバリングといった機能を備え、反復的な確認作業を自動化します。

ローカル環境で動作する設計のため、クラウド経由で契約書を外部送信することなく利用でき、機密性の高い契約書を扱う法務部門でも導入しやすい仕組みです。

BoostDraftのおすすめポイント

  • Wordアドインとして既存環境に組み込める導入しやすい設計
  • 表記ゆれ・参照条項・条項番号の自動チェック機能
  • ローカル環境での動作による機密性を確保した利用環境
サービス名 BoostDraft
初期費用 要問い合わせ
月額料金 要問い合わせ

LegalBase|AIと弁護士相談を組み合わせたオールインワン・リーガルテックサービス

AIリーガルチェック・弁護士へのチャット相談・契約書ひな形・反社チェック・契約書一元管理を一つのプラットフォームに統合したオールインワン・リーガルテックサービスです。

契約書をアップロードするとAIが条文の抜け漏れやリスクを自動で検出し、判断に迷う論点はそのまま弁護士に相談できます。1,100種類以上の契約書ひな形と社内規程テンプレートが標準で利用でき、法務担当者が限られる企業でも基本的な契約管理体制をすぐに整えられます。

LegalBaseのおすすめポイント

  • AIによる契約書リスク検出と弁護士相談を一体化したレビュー環境
  • 契約書ひな形1,100種類以上と社内規程テンプレートの標準装備
  • 契約書一元管理・反社チェックまでを1つにまとめた運用基盤
サービス名 LegalBase
初期費用 0円
月額料金 5,000円~

DX-Sign|初期費用0円で導入できるシンプルな電子契約サービス

株式会社バルテックが提供する、シンプルな操作性と低コストを両立させた電子契約サービスです。公開鍵暗号方式による電子署名とタイムスタンプの自動付与により、「誰が」「いつ」同意したかを記録でき、契約書の本人性と非改ざん性を担保できます。

承認フロー・フォルダ単位やメンバー単位の権限設定・書類のインポート機能を備え、電子契約に必要な基本機能を一つのサービス内で揃えられます。初期費用0円・追加アップグレード不要の設計で、これから電子契約を導入する中小企業や、コストを抑えながら契約業務を効率化したい法務部門に向いています。

DX-Signのおすすめポイント

  • 公開鍵暗号方式による署名とタイムスタンプ自動付与の記録体制
  • 承認フロー・メンバー権限・フォルダ権限を備えた運用管理機能
  • 初期費用0円・アップグレード不要のシンプルな料金設計
サービス名 DX-Sign
初期費用 0円
月額料金 8,800円~+電子署名送信費用など

freeeサイン|freeeのバックオフィスサービスと連携できる電子契約サービス

freee会計・freee人事労務との連携を強みとする電子契約サービスです。契約締結後の請求書作成・仕訳登録・人事労務手続きまでをfreeeのプラットフォーム上で流れるように扱えるため、契約締結からバックオフィス業務までのデータ連携を一本化できます。

当事者型・立会人型の両署名方式に対応し、署名の法的証拠力を用途に合わせて選べます。全プランID数無制限となり、部署や関係者を増やしても利用料金に影響しない設計です。

freeeサインのおすすめポイント

  • freee会計・人事労務と連携できる契約後の業務データ一元化基盤
  • 当事者型・立会人型に対応する用途に合わせた署名方式の選択肢
  • 全プランID数無制限による部署・関係者を広げても変わらない料金設計
サービス名 freeeサイン
初期費用 要問い合わせ
月額料金 5,980円~

契約書管理に関するよくある質問

Q. 小規模な企業でも契約管理体制は必要ですか?

A. 従業員数や企業規模に関わらず、取引先との契約が発生する以上、体制を整えることが求められます。小規模な企業ほど法務専任担当者を置きにくいため、更新漏れや条件の見落としが起きやすくなります。

シンプルなツールからでも始められるので、まずは台帳管理と期限通知の仕組みを整えることをおすすめします。

Q. 電子契約を導入すれば契約管理体制は整いますか?

A. 電子契約は締結プロセスを効率化する仕組みですが、導入するだけで契約管理体制が整うわけではありません。締結後の保管・期限管理・台帳更新・ワークフロー管理は、電子契約とは別の仕組みが必要です。

電子契約サービスと契約管理ツールを連携させることで、締結から管理までを一貫して効率化できます。

Q. 契約管理ツールを選ぶ際に最初に確認すべきポイントはどこですか?

A. まず、自社の課題がどのフェーズにあるかを明確にします。

「契約書の作成・レビューに時間がかかる」のであれば契約書作成・AIレビュー支援系、「締結後の保管と期限管理が追いつかない」のであれば契約管理台帳・CLM系、「紙の契約から脱したい」のであれば電子契約系のサービスが候補になります。

あわせて、電子契約サービスとの連携機能・既存システムとのAPI連携・操作する担当者のITリテラシーも確認しておくと、導入後の運用でつまずきにくくなります。

まとめ|契約管理体制構築は現状棚卸しから始める

契約管理体制の構築は、更新漏れや審査品質のばらつきといった具体的なリスクを解消するための経営上の課題です。現状の棚卸しからルール策定・台帳整備・ワークフロー設計・ツール導入という5つのステップを順に進めることで、属人化した管理から脱却できます。

紹介したサービスはそれぞれ得意とする領域が異なります。自社の課題(審査効率化・保管一元化・電子締結・バックオフィス連携)と照らし合わせながら、2〜3社に絞って資料請求・デモを依頼し、実際の運用イメージを確認するところから始めてみてください。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
こんにちは。BackOfficeDB編集部です。 私たちは、管理部門に関する情報発信を専門にしています。 業務効率化や、各職種のキャリアプラン、スキルアップなど、管理部門の様々なお悩みにお答えします。