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経営企画のキャリアパスとは?社内外で目指せるキャリアと求められるスキルを解説

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経営企画のキャリアパスとは?社内外で目指せるキャリアと求められるスキルを解説

経営企画は、企業ビジョンを念頭においたうえで数年後に自社がどのような状態になっているかを定め、目標達成のために課題や打ち手を考案する仕事です。日常的に経営陣とやりとりして、組織や体制の見直しを図ったり企業価値を見出したりするなど、多様な情報を扱う専門職といえます。

どんな企業でも不可欠な存在ですが、経営企画は段階を踏まなければ就くことができない職業です。

この記事では、経営企画へのキャリアパスについて、具体的な事例を用いながら解説します。スキルを活かしてキャリアアップしたい方や、転職を考えている方は、参考にしてください。

経営企画のおもな仕事内容5つ

経営企画は、企業の中長期的な運営計画の策定や新規事業の創出に携わるほか、経営コストの削減やビジネスモデルの検討など、さまざまな業務に関わっています。ここでは、経営企画のおもな仕事内容を5つ挙げて解説します。

経営戦略の立案

経営企画のなかで最も代表的な仕事内容は、中長期的な経営戦略の立案です。経営陣と連携して企業のビジョンや目標を明確化し、市場分析や競合他社の動向を調査したうえで、独自性の強い成長戦略を考案します。

このとき、自社および他社に関するデータは数値化され、具体的な目標指数を定めて経営計画を練っていきます。

新規事業の提案

経営企画の仕事には、新規事業の提案業務もあります。企業経営を5~10年程度のスパンで見たときに、新規事業の必要性を判断した場合、経営陣へ実行可能な事業を提案します。

このとき、事業参入するジャンルの市場価値や先行企業の動向を調査し、成果予測まで助言するのも業務のひとつです。

予算編成と分配

経営企画は、企業の目標を達成するための必要予算を立案します。収益予測やコスト評価・リスク分析などをおこない、予算の優先順位と資源配分まで決定します。この予算編成によって企業の方向性を示し、成果を最大化するためのルートを描くのも重要業務のひとつです。

また、企業の資金調達に関連した業務として、合併・買収(M&A)も経営企画が担います。近年M&Aは、売り手企業と買い手企業のどちらにも効果的な経営戦略として注目されており、経営企画が大きく関わっています。

経営管理と実行支援

経営企画が重要プロジェクトを計画した際、経営陣に対して必要な情報やデータを提供し、意思決定のサポートをおこないます。このときに経営企画が提供する情報は、市場動向や顧客ニーズ・業界のトレンドなどさまざまです。

戦略の実現に向けてプロジェクトの進捗状況を確認し、途中で問題が発生した場合は軌道修正まで図ります。

コーポレートガバナンスやIRへの対応

経営企画の仕事には、企業の課題や改善点を洗い出し、社会的信用を維持する「コーポレートガバナンス」も含まれます。これは企業の持続的な成長と業績向上を目的とした、体制強化に寄与するものです。

企業にとって、不正や不祥事は未然に防ぐべき問題となります。そのため、経営企画はプロセスの見直しや新たな取り組みを提案し、社内コンプライアンスの遵守や健全性の高い経営を管理しているのです。

なお企業によっては、自社の財務状況を株主・投資家へ報告するIR業務も経営企画が担っているケースがあります。

経営企画の年収相場

経営企画の年収について、年代や役職ごと、ほかの職種との違いを確認しましょう。

経営企画の年収は500万~600万円

経営企画の年収はおおよそ500万~600万円が相場です。当然個人差があり、年齢や役職の有無、企業規模などによっても異なります。もっとも、一般的な会社員は400万~450万円が平均的な水準なので、経営企画の年収はこれよりも高い水準にあります。

※参考:転職会議|経営企画の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)
※参考:求人ボックス給料ナビ|経営企画の仕事の年収・時給・給料

年代・役職ごとの年収相場

20代経営企画職の年収は400万~500万円が目安です。担当者クラスは400万円台、リーダー候補になると500万円を超えるケースがでてきます。

30代は年収500万~700万円が目安です。30代後半でマネージャーなどの管理職やエキスパートになると年収が800万円を超えることもあります。

40代は年収700万~800万円が目安です。マネージャークラスで800万円以上、部長クラスになると年収は1,000万円を超えることも珍しくありません。

経営企画に就くために必要な経験

経営企画にはさまざまな業務があり、専門性に特化したスキルが求められます。では、どのような経験を積んでいれば、経営企画へのキャリアパスが開けるのでしょうか。

ここでは、経営企画に求められる経験を4つ挙げて解説します。

新規事業開発の経験

予算策定や経営計画の立案など、新規事業開発にまつわる経験は経営企画を目指すうえで非常に重要です。新規事業開発の経験者は各計画業務に加え、市場のトレンドや顧客ニーズの理解に長けており、ビジネスモデルの構築を戦略的な視点でおこなえます。

経営企画においても適切なマーケット分析は大切で、プロジェクトの意思決定に欠かせません。正しい分析に基づいた予算の打ち出しやプロジェクトの実行支援など、新規ビジネスの展開に関わった経験は、経営企画でも活かせるでしょう。

営業経験

販売計画の立案や実行といった営業経験は、経営企画のさまざまな面で役立ちます。そもそも営業職は、顧客との交渉・折衝のシーンで多くの課題を乗り越え、提案できるスキルをもっています。このような経験により、ビジネス現場で生じる課題や解決策を考える力を習得していると考えてよいでしょう。

経営企画においても、企業のビジネスにおける洞察力と解決策の提案力が重要となり、経営計画の実行に役立ちます。営業経験者はこれらのスキルを活かし、経営企画でも経営陣に対して戦略的なアドバイスをおこなえるでしょう。

マーケティング経験

マーケティング経験者は、商品やサービスの企画・開発において市場のニーズを汲んだ提案をおこない、業界で競争力のある製品・サービスを生み出すスキルをもっています。

このような能力は経営企画の業務でも大切で、市場理解や新規事業開発・ブランド戦略・マーケティング戦術など、多くの面で役立ちます。広告や販促活動、デジタルマーケティングが必要となるシーンでも、ビジネス戦略の実現に向けた効果的な施策を打ち出せるでしょう。

マーケティング経験者は市場に対する理解と顧客視点をもち、企業ビジネスの成長戦略の立案から具体的な実行案まで提示できるため、経営企画で大いに活躍できるでしょう。

経理・財務の実務経験

経理・財務の実務経験があると、経営企画のあらゆるシーンで役立ちます。たとえば財務分析や予算編成・投資計画・資本予算の立案スキルなどは、経営企画で新規事業やプロジェクトの資金繰りを計画する際に活用できるでしょう。

また、企業の資金調達や資本構造の最適化に関するシーンでも、経理・財務の知識が活かせるはずです。経営企画を目指す方は、経理・財務経験を経てからポジション獲得に向けて行動できると、キャリアの道が開けるかもしれません。

経営企画に求められる8つのスキル

経営企画のキャリア形成を図る際は、専門性の高い実務経験以外に、業務で役立つスキルを習得しておくのも大切といえます。以下は、経営企画で求められるスキルの一例です。

  1. 経営の幅広い知識
  2. 会計の知識
  3. 内部統制報告制度(J-SOX)の知識
  4. 株式上場(IPO)の準備経験
  5. 合併買収(M&A)の実行能力
  6. 企業コンサルティングスキル
  7. パソコン操作スキル
  8. 語学力

スキルを磨いて経営企画のキャリアを築くためにも、詳細を確認しておきましょう。

経営の幅広い知識

経営企画では、経営の幅広い知識が求められます。たとえば、経営資源の調達方法や業務オペレーションなどの自社独自の知識はもちろん、経理・法務・契約・労務・人事などのビジネスパーソンとしての知識も挙げられます。リスク管理やマインドセットスキルも重要でしょう。

各スキルを深化させるよりも、どれだけ広範囲の知識を有しているかが重要で、多角的な視点で経営に携われるよう知見を広げることが大切です。

会計の知識

経営企画では損益計算書や決算書を目にする機会も多いため、会計の知識が必要になります。キャッシュフローや原価計算など、自社の経営状況を把握するための管理会計や、業績を投資家らへ開示するための財務会計など、あらゆるシーンで対応できるスキルがあると役立ちます。

また、財務諸表をスムーズに扱うためにも、簿記の知識があるとよいかもしれません。金融業界出身者や公認会計士など、金融・会計・税務関連の経験者のキャリアパスとして、経営企画を目指すのもよいでしょう。

内部統制報告制度(J-SOX)の知識

上場企業などの一部大手企業では、金融商品取引法に基づいた内部統制報告制度(J-SOX)の知識が求められます。

そもそも「J-SOX」とは内部統制の一種で、財務報告に不正や不適切な内容が含まれていないかを確認するものです。企業会計の信頼性確保を目的にしており、適用項目を把握したうえでの監査実施が求められます。

企業の資金繰り計画にも携わる経営企画では、J-SOXの知識・スキルがあると安心でしょう。

株式上場(IPO)準備の経験

株式上場(IPO)を目指す企業において、経営企画はおもに予算の策定や管理・実績との差異分析など、予算統制に関連した業務をおこないます。

IPOは誰もが経験できることではないため、このような準備経験やスキルがあると、人材価値がアップします。採用されれば、経営企画の即戦力として活躍できるかもしれません。

合併買収(M&A)の実行能力

企業の合併・買収(M&A)は経営陣と限られた人員でおこなわれるため、実行スキルの保有者は非常に希少価値の高い人材となります。

本来、経営企画は全社戦略や事業計画を策定する部署ですが、M&Aに関わる際は合併買収の可否を検討したり、実行の判断をおこなったります。また、市場や競合分析から適切な販路や要員を検討するなど、経営陣の意向を踏まえたうえでM&A戦略の策定を担うケースもあるでしょう。

このようなスキルをあらかじめ保有していると、有能な人材と判断され、経営企画でのキャリアアップを図れるはずです。

企業コンサルティングスキル

経営企画は経営戦略の立案をおこなうため、企業コンサルティングのスキルがあると重宝します。

とくにコンサルティングファーム出身者は、経営視点をもちながらビジネスに関連した分析調査や提案・企業課題の抽出能力に長けているため、経営企画で充実したキャリアを形成できるかもしれません。

パソコン操作スキル

経営企画の業務はパソコンで完結するため、基本的なパソコン操作スキルが必須です。とくにエクセルは、データ分析や予算作成・プロジェクト管理などの多くの業務に活用されるため、スムーズに使いこなせる必要があります。

エクセルなど業務に関わりの深いパソコン操作スキルが高いと、効率的な業務遂行と正確なデータに基づいた意思決定がかなうでしょう。

語学力

経営企画に語学力は必須ではありませんが、グローバルに展開する企業や外資系企業の経営企画を目指すなら、習得しておくべきです。グローバル企業の経営企画では、海外拠点とのコミュニケーションや国際プロジェクトの遂行シーンで語学力が役立つ場面があります。

企業の事業領域やグローバル展開の度合いによって語学力の重要性が変化するため、必要に応じてスキルを磨いておくとキャリアの幅を広げられるでしょう。

経営企画の将来性・転職市場におけるニーズ

経営企画は転職市場でのニーズが高まっており、大手からベンチャー企業を含むさまざまな業界で採用活動がおこなわれています。ここでは、社会で経営企画が求められる理由について解説します。

DX推進企業での需要

社会のデジタル化が進むなか、データ管理やセキュリティ整備など、事業運営にデジタルの導入が欠かせなくなっています。経営企画部門内に「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室」を設ける企業もあるなど、デジタルの知見をもつ人材ニーズが高まっていると考えてよいでしょう。

子会社管理業務の増加

近年におけるM&Aの活発化により、子会社のオペレーションやガバナンス整備のために経営企画のニーズが高まっています。とくにグローバルに展開する企業では、海外子会社に対する経営戦略や予算策定などの必要性が増加しており、経営企画が求められていると考えられます。

SDGs・ESGへの取り組み

2021年6月、東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を改訂し、サステナビリティへの取り組みを重視する規定が盛り込まれたことにより、上場企業は資本効率や労働環境の改善などでのサステナビリティ課題に積極対応が求められています。経営企画職においてもSDGs・ESGの観点が必要になったことから、人材ニーズが高まっていると思われます。

経営企画のキャリアパスを踏むには、専門家に相談を

経営企画は管理部門のなかでも高度なスキルを求められ、企業の経営陣に近いポジションで活躍できる職種です。大手・ベンチャー問わず需要があり、転職によってキャリア形成を図るケースもあります。

経営企画のような専門性が高く需要がある一方で求人数が少ない職種に就くには、転職エージェントの活用がおすすめです。なかでも経営企画に特化したアドバイザーが在籍する転職エージェントを選ぶと、キャリアの相談や求人提案が非常にスムーズです。

例えば、管理部門特化の転職エージェント「BEET-AGENT」であれば、経営企画などバックオフィス部門に精通したアドバイザーから経歴を活かせるキャリアを提案してもらえます。求人紹介・応募以外にも、応募書類の作成や面接対策もサポートしてくれるなど、求職者の心強い味方になってくれるでしょう。

まずは会員登録をして、求人紹介を受けてみましょう。自身のキャリアパスの可能性を感じられるかもしれません。サービス利用にいっさいお金はかかりません。

◆公式サイト:https://beet-agent.com/

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
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