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労務担当者の採用で確認しておきたいスキルやミスマッチを回避する対処法を解説!

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労務担当者の採用で確認しておきたいスキルやミスマッチを回避する対処法を解説!

働き方や仕事に対する価値観の多様化が進む中で、企業は労務管理体制を整える重要性が増しており、そのために大きな役割を担うのが労務担当者です。労務担当者というと給与計算や社会保険手続きをする人というイメージがあるかもしれません。

しかし、近年はそうした定型業務にとどまらず、企業全体の労働環境や労務戦略を改善できる戦略的思考をもった労務人材が求められています。そのような人材を獲得することで、自社の労務管理体制を強化し、従業員が働きやすい環境を整えることができるでしょう。

本記事では、企業がどういった労務人材を採用すればよいのかを知るために、労務担当者を採用する重要性や必要なスキルセット、評価したい資格などを解説します。あわせて、採用プロセスの流れや採用方法ごとの特徴も紹介します。

労務採用市場の現状と動向

まずは、労務人材の採用市場の現状について見ていきましょう。

労務人材の需要が増している

近年、労務人材の需要が増加傾向にあります。その背景には、働き方改革や法改正による労働環境の変化、多様な働き方の浸透などが挙げられます。

働き方改革の一環として労働時間の適正化や多様な働き方の推進が求められる中、労務管理の重要性が一層高まっています。これにともない、企業は労働関連法規の遵守や従業員の労働条件管理を徹底するために、専門的な知識と経験をもつ労務人材の確保に努めています。

中小企業を中心に人材が不足している

労務人材の需要が増す一方で、労務人材の不足が深刻化しています。労務管理は専門知識と経験が求められるため、即戦力となる経験者の人材の供給が追いついていません。

とくに、中小企業ではその傾向が顕著です。

大企業と比較して中小企業は給与や福利厚生、キャリアパスの面で労務人材を引き付ける力が弱く、優秀な人材を確保するのが難しいことが理由です。また、少子高齢化による労働力人口の減少も、労務人材の供給不足に拍車をかけています。

このような状況から、労務人材を求める企業には、自社の魅力を高める努力が求められています。たとえば柔軟な働き方の提供や職場環境の改善、スキルアップ支援など、求職者から見て働きたいと思える環境を整えることが必要です。

労務業務におけるHRテクノロジーの活用が進んでいる

労務管理の効率化と精度向上のために、HRテクノロジーの活用が進んでいます。HRテクノロジー(HRテック)とは、人事・労務領域において業務効率化や高度化を実現するためのツール・システムの総称です。

クラウドベースの労務管理システムやAIを活用したデータ分析ツールが普及しており、これにより従来の手作業に頼る業務が大幅に軽減されています。

したがって、労務担当者の採用では単なる業務遂行者ではなく、企業全体の労働環境や労務戦略を改善するために提案・実行できる戦略的思考をもつ人材が求められるようになっています。また、従来の労務管理の知識に加えて、HRテクノロジーの操作やデータ分析の能力をもつ人材も評価されています。

労務担当者を採用する重要性

労務担当者を採用ではなく自社で育成する方法もありますが、労務業務は労働や社会保険に関する手続きや法律の知識が必要なので、教育して育てるには負担が大きくなります。そのため経験者や法律に詳しい人材を採用するほうが効率的です。

また、専門性の高い労務人材を採用することは、以下の点において重要な意味をもちます。

法令遵守の確保

労務担当者を採用する大きな理由のひとつは、企業の法令遵守を確保することです。

労働関連法規は頻繁に改正されるため、企業は常に最新の法規制に対応することが求められます。専門知識をもつ労務担当者を採用すれば、労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法といったさまざまな法令を遵守するための体制を整えることができます。

法令違反は企業にとって重大なリスクであり、罰則や企業の信頼性・評判を損なう可能性があるため、労務担当者の採用は非常に重要です。

労働環境の改善

働き方改革が進み、働き方に対する社会の価値観も変わったことで、労働時間の管理や労働条件の改善がいっそう求められるようになりました。労務担当者は、従業員の働きやすい環境を整えるために重要な役割を果たします。

たとえば労働時間の適正な管理や有給休暇の適切な運用、ストレスチェックの実施などを通じて従業員の健康と働きやすさをサポートします。こうした活動を通じて従業員のモチベーションや生産性が向上し、企業全体のパフォーマンスが向上することが期待できます。

労働トラブルの防止および対応

ハラスメントや解雇問題、給与の未払いといった労働トラブルは企業にとって大きなリスクとなります。専門的な知見や経験がある労務担当者はこうしたトラブルを未然に防ぐための施策を講じるとともに、トラブルが発生した場合には迅速かつ適切に対応できます。

たとえば、従業員とのコミュニケーションを密にし、問題が発生する前に早期に察知して対応します。また、トラブルが発生した場合には法的な知識をもとに適切な対応をおこない、企業と従業員双方にとって最良の解決策を見つけ出すことができます。

労務担当者に必要なスキルセット

労務担当者の採用にあたり、どのようなスキルセットを確認すればよいのかを解説します。

事務処理能力

労務担当者は日々の業務で多くの事務処理をおこないます。給与計算や勤怠管理、労働契約の作成や更新などの業務において、正確かつ迅速に処理することが求められます。そのためには細かいデータの管理ができて書類の作成能力が高いこと、一定レベル以上のパソコンスキルがあることが必要です。

また、正確性を確保するために慎重に確認できること、目の前の仕事にコツコツと取り組めるといった適性も求められます。

HRテクノロジーの活用スキル

現代の労務管理には、さまざまなHRテクノロジーが活用されています。労務担当者にはこれらのツールを効果的に活用するスキルが必要です。

たとえばHRMシステム(人材管理システム)や給与計算ソフト、勤怠管理システムなどを活用し、業務効率を向上させることが期待されます。また、新しいテクノロジーやシステムの導入に柔軟に対応できる能力も重要です。

法律への理解や継続的な学習意欲

労務に関する法律や規制は頻繁に変更されるうえに、企業の規模などによって段階的に施行時期が変わるなど複雑性も高いです。そのため労働基準法や社会保険に関する知識をもち、適切な対応ができる人材が求められます。

また、常に最新の情報を把握するために新しい知識やスキルを習得し続ける姿勢が必要です。

コミュニケーションスキル

労務担当者が扱う給与や社会保険業務では、ルールの仕組みや制度について従業員に説明を求められることが多々あります。その際には、わかりやすく回答し、従業員の信頼を得られるコミュニケーションスキルが必要です。

たとえば、メンタルヘルスの不調で休職する従業員に対して、安心して休職を取得できるよう傷病手当金や自社の休職制度について説明する場面などがあります。

従業員以外にも、経営陣や公的機関などとコミュニケーションを取る必要があります。相手の意見や要望をしっかりと聞き取り、適切な対応ができる能力が求められます。

(業務上の秘密を守れる倫理観

労務担当者の業務では従業員の個人情報を扱うことが多いため、厳格な倫理観が求められます。業務上の秘密を守ることはもちろん、不正行為やコンプライアンス違反を防ぐための意識も重要です。

意識が行動に反映されていることも大切です。たとえば個人情報が記載された書類は上司のデスクに置きっぱなしにしないで必ず手渡しする、作業途中のパソコンをつけたまま離席しないといった、基本的かつ重要な行動をとれる人材が求められます。

労務担当者として評価したい資格

労務担当者は企業の人材管理や労務管理において重要な役割を果たすため、候補者のなかで専門的な知識とスキルを証明する資格をもつ人材は注目するべきです。労務担当者の採用において評価したい資格を解説します。

社会保険労務士

多くの企業において高い評価を得ているのが社会保険労務士資格です。労働および社会保険法令に基づく手続きや労務管理に関する専門知識をもつ国家資格で、合格率は例年6~7%前後と難易度も高い資格なので評価の対象になります。

労働基準法や社会保険法、労働契約法などの幅広い法律知識を有しており、これらは労務実務にも直接役立つため即戦力として期待できます。

メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定は商工会議所が実施する民間検定です。近年、仕事や労働環境に強い不安や悩みを抱えてメンタルヘルスの不調をきたす人が多く、それによる休職や離職は企業にとって大きな損失となります。

メンタルヘルス・マネジメント検定は、従業員のメンタルの不調を防止し、活力のある職場づくりをするために必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得する検定です。

労務管理の観点から職場の環境改善に取り組みたい企業は、取得している人材に注目してみましょう。

労務管理士

労務管理士は一般社団法人日本人材育成協会が実施する民間資格です。労働基準法や労務管理に関する一定の知識や実務経験などがある人が認定されます。取得している人は労務業務をおこなえるだけの基本が備わっていると想定できます。

労務担当者の採用プロセス

ここからは労務担当者の採用プロセスについて、基本的な流れやプロセスごとのポイントを解説します。

労務業務の範囲や役割の明確化

まずは自社が労務担当者に求める業務の範囲や役割を明確にします。具体的には、以下のポイントを確認しましょう。

  • 業務内容:労務担当者が担当する業務を明確にします。給与計算・社会保険手続き・労働法対応・労使関係の管理など具体的な業務内容をリストアップしましょう。
  • スキルセットの定義:労務担当者にもとめるスキルや資格を明確にします。たとえば社会保険労務士資格や、給与計算ソフトの使用経験などが挙げられます。
  • 役割の設定:労務担当者の組織内での役割を定義します。労務チーム内での位置づけや、他部門との連携方法を明確にすることが大切です。

採用計画の立案

次に、具体的な採用計画を立てます。採用人数や採用スケジュール、予算、採用方法などを計画します。現在の業務量だけでなく将来の業務拡大の見込みを考慮して採用計画を立てることが大切です。

採用プロセスのスケジュールを設定する際には、募集開始から内定通知までの期間を具体的に計画しましょう。

採用活動の開始

採用計画にもとづき、実際の採用活動を開始します。労務担当者の採用活動を大きく分けると以下に分類できます。

  • 求人情報や広告の掲載:求人サイトや転職エージェント、自社のウェブサイトなどに求人情報を掲載します。求めるスキルや業務内容、待遇条件などを明確に記載することが大切です。
  • 応募者の受付:応募者からの応募書類を受け付けます。書類選考をおこない、面接に進む候補者を選定します。
  • 面接の実施:書類選考を通過した応募者に対して、面接を実施します。複数回の面接を通じて、スキルや適性を評価するケースが一般的です。

採用者の決定および内定通知

面接結果や適性検査の結果を総合的に評価し、採用者を決定します。採用者には内定通知書を送付するか、電話やメールで連絡するなどして内定を通知しましょう。

内定を受諾してもらったら、内定者が円滑に入社できるよう、必要な手続きを準備します。たとえば、入社に必要な書類の案内や、オリエンテーションのスケジュールの設定などがあります。

労務担当者の採用でミスマッチを回避するには?

労務担当者を採用する際にミスマッチを避けることは、企業にとって重要な課題です。ミスマッチが発生すると、業務の停滞や人材の早期離職につながり、企業にとって大きな損失となる可能性があります。

ここでは、労務担当者の採用でミスマッチを回避するためのポイントを4つ解説します。

業務内容と範囲を明確に伝えること

募集や採用の際には具体的な業務内容と範囲を明確に伝えることが重要です。労務業務とひとくちに言っても、給与計算や労働トラブル対応では労働法規の知識が、社会保険関係の業務では手続きの知識やスキルが求められます。

そのため、担当業務が何であるかを詳細に説明し、応募者がその業務に対してどれだけ適応できるかを見極める必要があります。

また、業務の優先順位や期待される成果についても具体的に伝えることで、応募者が自分のスキルや経験と照らし合わせて判断しやすくなります。

労務関連の実務に関する実績を確認すること

労務業務は専門性が求められるため、自社で育成するのは負担があります。そのため即戦力となる担当者の採用では、労務関連の実務経験をよく確認しましょう。実際の業務での対応力や問題解決力を評価するために、過去の経験を具体的にヒアリングし、その内容を確認することが有効です。

応募者の適性を多角的に評価すること

労務担当者の適性を評価するためにはスキルや経験だけでなく、人間性やコミュニケーション能力、問題解決能力なども含めて多角的に評価する必要があります。具体的には、面接だけでなく適性検査や実務テストなどを活用することで、応募者の実際の業務対応力やチームとの協働能力を確認できます。

自社の文化に合った人材かどうかを確認するために、自社の理念に対する感想や仕事に対する価値観、職場の雰囲気や働き方に関する質問などもするとよいでしょう。

労務担当者としてのキャリアパスを提示すること

労務担当者の採用においては、応募者に明確なキャリアパスを提示することも重要です。入社後にどのようなキャリアを築くことができるのか、どのような成長機会があるのかを具体的に説明することで、応募者のモチベーションを高めることができます。

たとえば、労務管理のスペシャリストとしてのキャリアがある、マネジメント層へステップアップする機会があるなど、企業内でのキャリアパスを明確に示すことで長期的な定着を促進できます。

労務担当者を採用する方法

労務担当者を採用する際には、さまざまな採用手法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、企業の状況やニーズに応じて最適な方法を選択することが重要です。

以下では、主要な採用手法についてメリットとデメリットを解説します。

求人サイト

求人サイトは、多くの求職者に向けて求人情報を発信できるプラットフォームです。多数の求職者が利用しているため、多様な候補者にアプローチできます。コストが低めであることが多く、簡単に求人情報を掲載できる手軽さもメリットです。

一方、求職者は誰でも応募できることから、応募者の質にばらつきがあります。また多数の求人が掲載されるため他社の求人の中に埋もれやすく、優秀な候補者を獲得する競争が激しくなります。

自社ホームページ

自社のホームページに求人情報を掲載する方法です。自社ホームページの場合、自社の文化や価値観、魅力を直接伝えられるのがメリットです。無料で掲載できるため、コストを抑えられます。

一方、求職者が自らアクセスしないと取得できない情報なので、自社に関心がない求職者には情報が届きにくい面があります。

リファラル採用

採用は自社の従業員からの紹介を通じて候補者を集める方法です。従業員のネットワークを活用し、信頼性の高い人材を獲得します。自社をよく知る従業員からの紹介なので、適性や能力のある人材を獲得しやすいのがメリットです。

また、紹介による採用なので、求人広告費などのコストを抑えられます。

一方、従業員のネットワークに依存するため、候補者の数が限られます。そもそも紹介してもらえる人材が1人もいないということもあるでしょう。また、紹介者である従業員の先入観から、自社に合わない人材を紹介される可能性もあります。

ダイレクトリクルーティング

企業が直接求職者にアプローチする方法です。一般的には、ダイレクトリクルーティングサービスが保有する人材データベースの中から、人事担当者や経営陣が候補者を探して連絡を取ります。

ダイレクトリクルーティングは特定のスキルや経験をもつ候補者に直接アプローチできるため、ピンポイントで欲しい人材を採用できます。ほかの企業が見逃している潜在的な候補者にアプローチできるのもメリットです。

一方、人事担当者などが直接連絡を取る手法なので採用業務の負担が増えます。スカウトメールの作り方や反応があった場合のアクションなど人事担当者にノウハウが必要です。また、応募の意思がない候補者から拒否されることもあるので、採用までに時間がかかります。

人材紹介エージェント

専門の人材紹介エージェントを利用して、労務担当者を採用する方法です。エージェントに自社の要望や想定する人材イメージを伝えると、それに合った候補者を紹介されます。

エージェントは労務担当者の採用に精通しており、適切な候補者を迅速に見つけることができます。エージェントのネットワークとスクリーニングによって、質の高い候補者が紹介されるのもメリットです。

また、採用プロセスの多くをエージェントに任せることで、採用業務の負担を大幅に軽減できます。

一方、エージェントを利用して採用が決まると成功報酬を支払います。ただし費用対効果は高いので、無駄なコストを払いたくない場合にはおすすめです。

その場合、BEET-AGENTのような管理部門に特化した人材紹介会社のほうが、人事の求職者を多く抱えているので最適な人材をみつけやすいです。

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まとめ

労働時間の適正化や多様な働き方、働きやすい労働環境の整備が求められる中、労務管理を担える労務担当者の重要性が増しています。労働や社会保険に関する専門知識やスキルが必要な職種で業務内容とのミスマッチが起こりやすいので、採用支援サービスも活用しながら自社に合った人材の獲得を目指しましょう。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
こんにちは。BackOfficeDB編集部です。 私たちは、管理部門に関する情報発信を専門にしています。 業務効率化や、各職種のキャリアプラン、スキルアップなど、管理部門の様々なお悩みにお答えします。
佐藤 大輝
この記事の監修者
佐藤 大輝

法務部・経理財務をはじめとした管理部門のコンサルタント。不動産営業・管理事務等を経験したのち、バックオフィス専門のアドバイザーとして参画。