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アルムナイ制度とは?注目されている背景や導入事例について解説

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アルムナイ制度とは?注目されている背景や導入事例について解説

少子高齢化による、人材不足や新型コロナウイルスをきっかけとした働き方の多様化、終身雇用崩壊による雇用の流動化により、優秀な人材を確保するのが難しくなっています。

そこで、アルムナイ制度と呼ばれる採用手法が注目されています。

本記事では、アルムナイ制度の概要や注目されている背景、導入事例などを解説いたします。

アルムナイ制度とは?

アルムナイ制度とは、1度退職した人材を再雇用する採用手法です。

出戻り制度」や「カムバック制度」とも呼ばれ、自社の社風・理念をすでに理解している人材を雇用することで、即戦力人材の獲得やミスマッチの防止につなげられます。

アルムナイ制度を利用して復帰する場合、業務委託契約でのフリーランスとしての参入や副業として働いたりなど、企業の規程次第ではさまざまな働き方があります。

そのため、雇用形態は必ずしもフルタイム勤務の正社員での採用というわけではありません

アルムナイ制度が注目されている背景

アルムナイ制度が注目されている背景は、次の3つです。

  • 少子高齢化による人材不足
  • 働き方改革の拡大
  • 雇用の流動化

少子高齢化による人材不足

アルムナイ制度が注目されている理由の1つが、少子高齢化による人材不足です。

内閣府が公表している「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は1995年の8,716万人をピークに減少し続けているのが現状です。

このまま少子高齢化が進めば、生産年齢人口は減少し続け、令和14年には6,971万人、令和52年には4,535万人なるといわれています。

そこで注目されているのが、元従業員にアプローチして人材を確保する方法のアルムナイ制度です。

人手不足で外部から優秀な人材確保が難しい中、効率的に人材を確保できる制度とし期待されています。

働き方改革の拡大

働き方改革により、テレワークやフレックスタイム制など、自分に合った働き方ができるようになりました。

副業の推進やフリーランス人口の増加により、1つの働き方に縛られない働き方が広がったり、フルタイム勤務を希望しない方も増えたりしています。

以前働いていた従業員の中には、自由な働き方を求めて退職したという方もいるはずです。ところが、従業員の退職後にテレワークやフレックスタイムの導入が始まったという企業もあるでしょう。

アルムナイ制度を使えば、働き方が理由で退職した方に向けて柔軟な働き方ができる旨を伝え、再度活躍してもらうということも可能です。

雇用の流動化

雇用が流動化して転職が当たり前の時代になった一方、転職前の企業に再就職する方も近年、増加傾向にあります。

そこでも注目されているのが、アルムナイ制度です。

アルムナイ制度を導入すれば、一度転職しても戻ってきやすい環境を整備できます。

また、退職者は社風・企業文化を理解している即戦力です。

そのため、アルムナイ制度によって戻ってきやすい環境を整備できれば、退職者の復帰を促せるため、即戦力人材の確保にもつなげられます。

アルムナイ制度の導入事例

アルムナイ制度の導入事例は、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、代表的な3社の導入事例を紹介していきます。

ヤフー株式会社

日本を代表するインターネット会社であるヤフー株式会社は、退職者同士または企業と退職者のネットワークを活性化し、交流の活発化やコラボレーションの創出を目指すことを目的にアルムナイ組織を立ち上げました。

ヤフー株式会社の退職者は、さまざまなところに行って活躍されている方が多いといわれています。

アルムナイ組織を通じて、活躍されている方の話を聞けたり、キャリアの相談もしやすくなったりするなどの効果も現れているそうです。

参考:ヤフーの卒業生のつながりをつくる「モトヤフ」| ヤフー株式会社

株式会社ニトリホールディングス

日本の大手家具・インテリア小売企業である株式会社ニトリホールディングスは、アルムナイが重要な人的資本であるとの考えから、アルムナイのネットワークを立ち上げました。

アルムナイネットワークを既存従業員と退職者が持続的な友好関係を確立できる交流の場としてだけでなく、キャリア採用情報を発信して優秀な人材を確保する場としても活用しています。

また、退職者との情報交換を通じて、付加価値を提供する機会などを創出する場としても期待しているそうです。

参考:【ニトリHD】アルムナイネットワークの構築を開始

デロイト トーマツ グループ

会計監査や財務・リスクアドバイザリーなどを手がけるデロイト トーマツ グループは、退職者のその後の活躍を願い、その支援をしたいという思いでアルムナイ組織を立ち上げました。

アルムナイの役割は、リターン採用・リファーラル採用だけではありません。

アルムナイのネットワークを活用することで、業務連携や委託、人脈形成などを促進し、さまざまなビジネスの創出や発展、可能性を広げられます。

参考:デロイト トーマツ アラムナイ|デロイト トーマツ グループ

アルムナイ制度を導入する4つのメリット

アルムナイ制度の導入メリットは、次の4つです。

  • 採用・教育コストの削減
  • 即戦力人材のミスマッチを防げる
  • 企業ブランディングを向上できる
  • リファラル採用などにつなげられる

採用・教育コストの削減

コストを削減できるのがアルムナイ制度のメリットで、採用コストと教育コストの削減が可能です。

アルムナイ制度では、企業が退職者に直接声掛けをします。

転職サイトや転職エージェントといった求人媒体を利用しないため、採用プロセスを簡略化でき、採用コストの削減が可能です。

また、以前働いていた人材であれば、企業文化や業務プロセスに適応するのが早いため、新規従業員と比べると教育コスト・時間をかけずに採用ができます。

即戦力人材を採用できる

即戦力人材を採用できるのも、アルムナイ制度のメリットです。

過去に働いていた人材は、企業文化・組織風土をすでに理解している他、新規従業員よりも業務内容や企業方針に適応するのが早いです。

そのため、早い段階で活躍してもらえるでしょう。

企業ブランディングにつなげられる

企業ブランディングにつなげられるのも、アルムナイ制度のメリットです。

アルムナイネットワークなどを活用して退職者と良好な関係を築くことができれば、企業イメージの向上にもつなげられます。

また、アルムナイ制度の活用実績があれば、再度働きたいと感じる企業というイメージを定着させられるため、採用ブランディングにもつなげられるでしょう。

リファラル採用などにつなげられる

リファラル採用とは、従業員などから自社に合った人材を紹介してもらう採用手法です。

アルムナイネットワークを活用すれば、退職者に対して求人情報などの自社情報を定期的に発信できる他、交流によって退職者とのつながりを保つことが可能です。

つながりを保っておけば、退職後でも連絡を取りやすくなり、転職希望の知人を紹介してもらえてリファラル採用につなげやすくなります。

また、営業面・ブランディング面でも退職者を起点としたネットワークを構築できるため、多方面でメリットを享受できます。

アルムナイ制度を導入する4つのデメリット

アルムナイ制度の導入デメリットは、次の4つです。

  • 既存従業員の満足度が低下するリスクがある
  • 離職率が高まるリスクがある
  • 情報漏洩リスクがある
  • 今の業務の進め方に順応してもらえない

既存社員から不満がでるリスクがある

アルムナイ制度を導入したことにより、既存社員から不満がでる可能性があります。

例えば、退職者を引き戻すために、既存従業員よりも好待遇で再雇用したとしましょう。その際、退職者をひいきしていると捉えられてしまい、アルムナイ制度にネガティブな気持ちを持たれてしまう可能性があります。

それによって、既存社員の働くモチベーション低下にも影響があるかもしれません。

離職率が高まるリスクがある

離職率が高まるリスクがあることも、アルムナイ制度のデメリットです。

再雇用の機会がある=転職に失敗した際の保険になる」とも考えられます。

転職に失敗した場合は再雇用してもらえばよいと思われてしまうと転職のきっかけをつくってしまい、離職率が高まる可能性が高いです。

離職ハードルを維持するためには、制度のルールを確立し、再雇用の条件を明確化する必要があります。

情報漏洩リスクがある

情報漏洩のリスクも、アルムナイ制度のデメリットの1つです。

アルムナイネットワークを通じて退職者と交流する際は、他の企業・業界の情報を交換できたり、自社商品の意見を客観的にもらえたりできます。

また、既存従業員と退職者が持続的な友好関係を築けるため、アルムナイ制度の利用を促すことも可能です。

ただし、気を許して自社情報を話し過ぎてしまうなど、情報漏洩のリスクにも繋がります。

アルムナイネットワークからの情報漏洩リスクを低減するためには、退職者は会社に属していない社外の人間であるという認識を持って交流しましょう。

今の業務の進め方に順応してもらえない

元従業員=即戦力人材でミスマッチのリスクがない」と安易に考えるのは、おすすめしません。

企業・市場が大きく変化している場合、退職者のスキルが古く、今の業務の進め方に順応してもらえないリスクがあるからです。

そのため、再雇用する際は現在のスキルと企業ニーズがマッチするか、慎重に評価する必要があります。

アルムナイ制度の導入ステップ

アルムナイ制度の導入ステップは、次のとおりです。

  1. 規程を定める
  2. 制度を社内全体に周知する
  3. 対象者と交流できる場をつくる
  4. 社内環境の構築
  5. 採用プロセスの構築

規程を定める

アルムナイ制度を導入する際はまず、どのような条件で再雇用するのか規程を定めなければなりません。

2年以上の勤務」や「チームリーダーを経験した人」といった基準を明確することで、離職ハードルの維持やミスマッチの防止につなげられます。

制度を社内全体に周知する

アルムナイ制度を円滑に運用するためには、従業員の協力が欠かせません。

そのため、規程を定めたタイミングで制度を社内全体に周知し、従業員の理解を得ておく必要があります。

また、再雇用を促すためには、既存従業員だけでなく、制度導入前に退職した方にもアルムナイ制度の周知が必要です。

対象者と交流できる場をつくる

アルムナイ制度を円滑に運用するためには、退職後も退職者と交流する場が必要不可欠です。

定期的に情報発信できる場を設けたり、退職者を対象としたイベントを定期的に開催したりして、アルムナイ制度の土壌を育む体制を構築していきましょう。

社内環境の構築

アルムナイ制度を利用して退職者が復帰しても、最新の業務内容についてこれなければ意味がありません。

そのため、復帰者用の業務マニュアルを作成して業務変化に対応しやすくしたり、キャリア採用と同じ研修を任意で受けられるようにしたりするなど、復帰後すぐに業務に適応できる社内環境を構築する必要があります。

採用プロセスの構築

再雇用の場合、対象者の性格・スキルは一通り理解できている状態です。

つまり、再雇用と中途採用では、採用プロセスが異なるため、アルムナイ制度を導入する際は、再雇用に適した新たな採用プロセスを構築する必要があります。

再雇用の採用プロセスでは、無駄なステップは排除し、携わってもらう業務内容や期待値などを話し合ったり、確認したりすることをメインに進めるとよいです。

効率良い採用活動をするなら人材紹介会社の活用もおすすめ

アルムナイ制度を導入するためには、さまざまな準備をしなければなりません。

また、制度の土壌が育つまでには一定の時間が必要なため、短期間で効果良く人材を確保したいという場合には不向きです。

そのため、時間をかけず効率良く採用活動をしたいのであれば、人材紹介会社の活用もおすすめします。

例えば「BEET-AGENT」は、法務や経理、総務、経営企画といった管理部門の採用に特化した採用支援サービスです。

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アルムナイ制度を導入する理由が、採用活動の効率化や人材のミスマッチを防ぐことであれば、BEET-AGENTのような手厚いサポートがある人材紹介会社を使うことも検討してみましょう。

公式サイト:https://beet-agent.com/

まとめ

人材不足や働き方改革、雇用の流動化によって優秀な人材の確保が難しくなってきています。

そのような背景がある中で注目されているのが、退職した人材を再雇用する採用手法である「アルムナイ制度」です。

この制度を活用すれば、自社の社風・理念をすでに理解している人材を雇用するため、人材とのミスマッチ防止や、即戦力人材の獲得などのメリットを享受できます。

しかし、しっかりと規程を定めていない場合、既存従業員の満足度の低下や、離職率が高まるなどのリスクが高まります。

アルムナイ制度の効果を最大化させるためには、規程をしっかりと定めるとともに、既存従業員と復帰した退職者の双方が働きやすい職場環境を構築しなければなりません。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
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