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雇用保険の手続きとは?制度の仕組みや各種届出の方法をおさらい!

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雇用保険の手続きとは?制度の仕組みや各種届出の方法をおさらい!

会社員で下記に該当する方以外は「雇用保険」に加入することになります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満の方
  • 同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない方

参考:事業主の行う雇用保険の手続き |厚生労働省

雇用保険の加入手続きを進めるために、事業主は保険料の支払いや書類提出など、さまざまな業務を行う必要があります。

しかし、雇用保険の手続き内容は複雑なので、手続き担当者の中でも正確に手続きが出来ているのか不安に思っている方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、雇用保険の仕組みをおさらいしたうえで、保険加入者の状況に応じた諸手続きについて解説します。

そもそも「雇用保険」とは?

まずは、雇用保険の仕組みや適用範囲、加入要件などを説明します。

雇用保険の概要

雇用保険とは「労働者が失業したときに給付金を支給する制度」です。

労働者の生活や雇用の安定、就職促進を図るために設置されました。就労中に一定額の雇用保険料を支払うことで、退職時や再就職時などに給付金を受けとれます。

参考:雇用保険制度 |厚生労働省

雇用保険の加入要件

雇用保険は、加入要件によって以下4パターンに区分されます。

  • 一般被保険者
  • ⾼年齢被保険者
  • 短期雇用被保険者
  • 日雇労働被保険者

一般被保険者

一般被保険者は、以下2つの要件を満たす人が該当します。

(1)31日以上継続して雇用されることが見込まれる

具体的には、以下のようなパターンが考えられます。

  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が31日以上である場合
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合
  • 当初は31日以上雇用される予定ではなかったが、後から31日以上の雇用が見込まれることになった場合(その時点から雇用保険が適用される)

※参考: 第4章 被保険者について  | 厚生労働省

(2)1週間の所定労働時間が20時間以上である

所定労働時間とは、雇用契約書に記載されている就労時間のことです。休憩時間を除き、週20時間以上働いていることが条件になります。

※参考: 第4章 被保険者について  | 厚生労働省

⾼年齢被保険者

高年齢被保険者とは、65歳以上の一般被保険者のことです。加入要件は一般被保険者と同じで、65歳へと年齢が切り替わるタイミングで自動的に高年齢被保険者となります。

※参考: 第4章 被保険者について  | 厚生労働省

短期雇用特例被保険者

短期雇用特例被保険者として一般的なのは「季節労働者」です。季節労働者とは、特定の季節や気象条件下でのみ雇用される短期労働者のことです。

具体例としては、スキー場や海水浴場のスタッフ除雪作業スタッフなどが挙げられます。

なかでも、以下2つの要件を満たす場合は短期雇用特例被保険者に該当し、失業時は一般保険者の基本手当と同額を「特例一時金」として受け取ることが可能です。

  • 1年のうち4ヵ月以上の雇用契約がある
  • 所定労働時間が週30時間以上であれば「短期雇用特例被保険者」に区分される

※参考: 第4章 被保険者について  | 厚生労働省

日雇労働被保険者

日雇労働者とは、1日単位あるいは30日以内という期間で雇用される人を指します。

以下3点のうちいずれかを満たす場合は、日雇労働被保険者に該当します。

  • 適用区域内に居住し、雇用保険適用事業に従事する人
  • 適用区域外に居住しているが、区域内にある雇用保険適用事業に従事する人
  • 上記以外で、ハローワークの認可を受けた人

労働者本人がハローワークで手続きを行うことで、保険の加入が可能です。

適用区域とは、特別区や公共職業安定所の所在する市町村区域、あるいはそれらに隣接する市町村区域が範囲で、厚生労働大臣が指定します。

なお、同一事業主のもとで2ヵ月続けて18日以上働く場合や、継続して31日以上雇用された場合は、一般被保険者または短期雇用特例被保険者となります。

※参考: 第4章 被保険者について  | 厚生労働省

雇用保険の適用範囲

労働者を雇用する場合は、業種や規模を問わず雇用保険の該当事業所となります。

また、加入条件を満たす労働者は、正社員・アルバイト・パートといった契約形態を問わず被保険者となります。

ただし、以下のように一部例外もあるので覚えておきましょう。

雇用保険の対象外となる人

雇用保険の適用外となる人については、以下の2パターンが考えられます。先ほど説明した加入要件に当てはまらない場合も対象外となります。

(1)公務員

国家・地方公務員は雇用保険の対象外です。理由としては次の2点が挙げられます。

・失業リスクが少ない

2010年4月13日に衆議院へ提出された「公務員の雇用保険に関する質問主意書」のなかで、国家公務員退職手当法の解釈として以下のとおり紹介されています。

『国家公務員については、法律によって身分が保障されており、民間の労働者のような景気変動による失業が予想されにくいこと等もあって、一部の者を除き、雇用保険法の適用対象から除外されている』

※引用:公務員の雇用保険に関する質問主意書 | 衆議院ホームページ

公務員は民間企業の従業員に比べて失業リスクが低く、労働者の生活や雇用の安定などを目的とする「雇用保険」は適用外となります。

・退職手当が支給される

公務員の退職手当は手厚く保障されており、一般的には雇用保険加入者の失業手当よりも高い金額を受け取れます。

公務員の退職手当は、下記の計算式で求めることが可能です。

【退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職別理由別・勤務時間別支給割合)+調整額】

  • 退職日の俸給月額…退職した者の退職時の俸給月額
  • 退職別理由別・勤務時間別支給率…【国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)内閣官房ホームページ】で確認可能です。
  • 調整額…調整額は、職員になった月から退職した月までの貢献度(最大60月分)に対して加算される額です。貢献度は区分で決められており、区分に応じて金額が定められています。在籍期間中に該当していた上位の区分から順に、60月分の調整額がプラスされます。
退職手当の調整額区分表(給与法適用職員の例)
区分 等級 調整額
区分1 指定職(6号俸以上) 95,400円
区分2 指定職(5号俸以下) 78,750円
区分3 10級 70,400円
区分4 9級 65,000円
区分5 8級 59,550円
区分6 7級 54,150円
区分7 6級 43,350円
区分8 5級 32,500円
区分9 4級 27,100円
区分10 3級 21,700円
区分11 その他の職員 0円

例えば、3級の期間が24月、4級の期間が36月、5級の期間が20月だった場合の調整額は、【32,500円(5級)×20月+27,100円(4級)×36月+21,700円(3級)×4月】で求められます。

参考:退職手当の支給-(5) 調整額|人事院ホームページ

一方、失業手当の総額は下記で求められます。

  • ①賃金日額=(ボーナスを除く退職前6ヵ月分の給与合計÷180)
  • ②基本手当日額=賃金日額×50%~80%
  • ➂失業手当の総額=基本手当日額×給付日数

また、基本手当日額には下記の通り上限があります。

対象年齢 上限金額
30歳未満 6,945円
30歳以上45歳未満 7,715円
45歳以上60歳未満 8,490円
60歳以上65歳未満 7,294円

自己都合で退職した場合、多くて150日が最大給付日数なので上限金額が一番高い45歳以上60歳未満の8,490円で計算すると「1,273,500円」が最大給付金になります。

参考:雇用保険の基本手当日額の変更|厚生労働省
ハローワークインターネットサービス - 基本手当の所定給付日数

退職手当が失業手当よりも低い場合は、差額分を受給可能です。

また、雇用保険の適用事業所に勤務している場合は、退職後に求職申し込みを行えば失業給付が受けられます。

(2)労働者が学生の場合

以下に該当しない学生は、雇用保険の適用外となります。

  • 夜間部や定時制の学校に通う学生:通信教育や夜間学部の大学、定時制高校など
  • 卒業見込証明書があり、卒業後は引き続き事業に従事する場合

雇用保険において事業主がすべきこと

事業主が人を雇う際にすべきことは「保険料の納付」と「各種届出」の2つです。ここでは、雇用保険料の負担額や算出方法、届出の内容について紹介します。

雇用保険料の納付

雇用保険の給付金や支援サービスを受けるため、加入する労働者と加入させる事業主のどちらにも、雇用保険料を支払う義務が発生します。

令和5年4月1日~令和6年3月31日までの雇用保険料率は、以下のとおりです。

令和5年度の雇用保険料率
  労働者負担 事業主負担
失業等給付・育児休業給付 失業等給付・育児休業給付 雇用保険二事業 合計
一般の事業 6/1000 6/1000 3.5/1000 9.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 7/1000 7/1000 3.5/1000 10.5/1000
建設の事業 7/1000 7/1000 4.5/1000 11.5/1000

※参考:令和5年度雇用保険料率のご案内 | 厚生労働省

一般の事業に比べて、不安定で失業率が高い・助成金が豊富にある業界では、高い保険料率が設定されています。雇用保険料率は毎年変動するため、厚生労働省のホームページをチェックしましょう。

雇用保険料の対象となる賃金の例

雇用保険料の対象は、給与以外にもいくつか種類があります。詳しくは厚生労働省が公表する「雇用保険料の対象となる賃金」をご参照ください。

  • 基本給与
  • 賞与
  • 通勤手当:定期券や回数券
  • 超過勤務手当や深夜手当、休日手当など
  • 扶養手当や家族手当など
  • 教育手当や技能手当など
  • 単身赴任手当
  • 休業手当:有給休暇日の給与など
  • 前払い退職金:在職中に上乗せ支給したもの

雇用保険料の算出方法

雇用保険料は「毎月の給与総額×雇用保険料率」で算出できます。労働者の場合、給料から天引きされる形で保険料が支払われます。

たとえば、一般の事業で働くAさんの令和5年4月1日から令和6年3月31日の給与総額が20万円だった場合、保険料は以下のとおりです。

  • Aさん(労働者):20万円×6÷1000=1,200円
  • 事業主:20万円×9.5÷1000=1,900円

雇用保険印紙保険料の負担が発生する場合

日雇労働者被保険者を雇用する場合、雇用保険料に加えて「雇用保険印紙保険料」を支払う必要があります。

日雇労働被保険者のいる事業主は、「日雇労働被保険者手帳」を従業員に提示してもらい、賃金を支払うたびに雇用保険印紙を貼り付けます。

そして、ハローワークに届出済みの印影で消印を行うことで雇用保険印紙保険料の納付となります。

雇用保険印紙は、雇用保険印紙購入通帳をハローワークから交付してもらい、その中にある申込書を郵便局に提出することで購入可能です。

雇用保険印紙の種類と印紙保険料は、以下のとおりです。

種類 賃金日額 印紙保険料 負担割合
事業主 労働者
第1級 11,300円以上 176円 88円 88円
第2級 8,200~11,299円 146円 73円 73円
第3級 8,200円未満 96円 48円 48円

毎月末に印紙保険料を集計し、該当月の翌月末までに印紙保険料納付状況報告書をハローワークに提出します。雇用保険印紙を使用していなくても報告書の提出は必要です。

※参考:第14章 日雇労働被保険者の給付について | 厚生労働省

雇用保険法の規定に沿った各種届出

事業主は、以下のような転勤や退職など被保険者の状況が変化する場合や、被保険者が給付制度を利用するとき、書類提出や手続きが求められます。

手続き内容については、次の項でパターン別に説明します。

  • 労働者を雇用したとき
  • 被保険者が離職、死亡等したとき
  • 被保険者が同一法人内で転勤したとき
  • 高年齢雇用継続給付を受けるとき
  • 育児休業・育児休業給付金を取得するとき
  • 介護休業・介護休業給付金を取得するとき

事業主が行う雇用保険の各種手続き

ここからは事業主が行うべき手続きについて、被保険者の状況別に説明します。

申請の流れや必要書類、提出期限などはそれぞれ異なるので、スムーズに手続きできるよう覚えておきましょう。

労働者を雇用したとき

一般被保険者または短期雇用特例被保険者を雇用する際は、加入手続きが必要です。

はじめて雇用する場合は、労災保険への加入手続きもあわせて必要になるため、2回目以降とは申請内容が異なります。なお雇用保険は、労災保険とあわせて「労働保険」と呼ばれます。

労災保険の申請手順

はじめて雇用する場合、以下2ステップで労災保険の加入手続きを行います。

手続きの流れ 入手方法 提出先 提出期限
1.保険関係成立届を提出する 以下の窓口または郵送

・労働基準監督署
・ハローワーク
労働基準監督署 従業員を雇い入れた日の翌日から10日以内
2.概算保険料申告書を申告・納付する 以下の窓口

・労働基準監督署
・ハローワーク
いずれか1箇所

・労働基準監督署
・都道府県労働局
・日本銀行
・日本銀行の代理店
従業員を雇い入れた日の翌日から50日以内

保険関係成立届の提出後に渡される「事業主控」には労働保険番号が書かれており、雇用保険加入手続きに必要となります。

各書類に記入する項目は、以下のとおりです。

(1)保険関係成立届

  • 事業主:本社もしくは主となる事務所の所在地や名称
  • 事業:従業員を雇っている事業所の所在地や名称
  • 事業の概要:具体的な事業内容
  • 事業の種類:労働保険率適用事業細目表を参考に、該当する事業の種類を記入する
  • 加入済の労働保険:はじめて従業員を雇用する場合は記入不要
  • 保険関係成立年月日:実際に雇用した年月日
  • 雇用保険被保険者数:その年度における1ヶ月平均の雇用保険被保険者数
  • 賃金総額の見込額:雇用日からその年の3月末までに、労働者にかかる賃金総額の見込額
  • 事業開始年月日:任意加入の申請をする場合のみ、当該事業の開始年月日を記入

(2)概算保険料申告書

概算保険料申告書とは、労働保険の保険料の見込額を支払う書類です。

まずは従業員雇入れの日からその年度末までで全従業員の賃金額を概算し、労災保険料率を乗じて「労災保険料額」を出します。

労災保険料率は、下記厚生労働省のHPで確認することが可能です。

令和5年度の労災保険率について(平成30年度以降変更ありません)| 厚生労働省

続いて雇用保険対象者の総賃金額を概算し、雇用保険料率を乗じて「雇用保険料額」を算出します。

最後に2つの保険料額を合計し、前払いで納付します。

雇用保険の加入手続き方法

労災保険の手続き完了後、もし従業員が雇用保険被保険者に該当する場合、別途ハローワークで手続きを行います。

具体的には以下の2ステップです。

まずは、雇用保険の適用事業所に関する名称・所在地・設置年月日などを記入する「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。

その後、雇用保険対象者の加入手続き書類である「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

以上2つの手続きが完了すれば、事業主は「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が交付されます。

これらは労働者が加入手続きできているのを確認するための書類なので、被保険者本人に必ず渡しましょう。

手続きの流れ 提出先 提出期限 追記事項
1.雇用保険適用事業所設置届を提出する

・ハローワーク
・オンライン申請

適用事業所設置の翌日から10日以内 以下添付書類を用意する

・保険関係成立届(労働基準監督署の受付印があるもの)
・登記事項証明書
・雇用保険被保険者証
・出勤簿
・賃金台帳
・労働者名簿
2.雇用保険被保険者資格取得届を提出する ・ハローワーク窓口
・郵送
・オンライン申請
雇用保険の加入要件を満たした日の翌月10日まで 今後、雇用保険の対象者を追加で雇う場合、同様の手続きが必要

被保険者が離職、死亡等したとき

勤務時間が減って加入要件から外れる、あるいは亡くなるなどの理由で被保険者ではなくなった場合に「資格喪失手続き」が必要となります。

手続きに必要な書類は、以下のとおりです。

提出書類 添付書類
・雇用保険者被保険者資格喪失届
・雇用保険被保険者離職証明書
・出勤簿
・退職辞令発令書類
・労働者名簿
・賃金台帳
・離職証明書(離職票がいらなければ提出不要)
・離職理由が確認できる書類など

提出書類はハローワークの窓口またはホームページで入手できます。

また提出方法は、窓口・郵送・オンライン申請の3つから選べます。

なお被保険者が退職する場合は、以下4つの書類を労働者本人へ交付しましょう。離職票は、書類提出後にハローワークから受け取れます。

  • 離職票1・2:労働者が失業手当を受ける際に必要
  • 源泉徴収票:払いすぎた所得税の還付申請に必要
  • 退職証明書:失業手当を受ける際や、再就職先への退職証明のために必要
  • 雇用保険被保険者証:退職者が紛失した場合に再交付する

被保険者が同一法人内で転勤したとき

対象者の転勤が決まった場合、転勤先の所轄ハローワークにて「雇用保険被保険者転勤届」を提出しましょう。

書類が受理されることで、新しい雇用保険被保険者証が発行されます。転勤届の提出時に必要な添付書類と、受理後に発行される書類は以下のとおりです。

添付書類 交付書類
・転勤の事実確認ができる書類
(異動辞令書類、出勤簿など)
・賃金台帳
・転勤前事業所に交付されている被保険者資格喪失届・氏名変更届
・雇用保険被保険者資格喪失届
・雇用保険被保険者転勤届受理通知書
・雇用保険被保険者転勤届受理通知書
(被保険者通知用)
・雇用保険被保険者証

被保険者用の通知書と新しい雇用保険被保険者証は、きちんと対象者に交付しましょう。

高年齢雇用継続給付を受けるとき

高年齢雇用継続給付とは、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の方が対象となる手当です。

現在の賃金が60歳時点と比べて75%未満と低くなっている場合、賃金額の最大15%が支給されます。

なお支給率は賃金の低下率によって細かく分かれているので、詳しくは下記の厚生労働省のホームページをご確認ください。

Q&A~高年齢雇用継続給付~ | 厚生労働省

被保険者は、60歳になった月から65歳になる月まで継続して給付金を受け取れます。

なお事業主は原則として2ヵ月ごとに「高年齢雇用継続給付支給申請書」の提出が求められます。

初回の提出時期は、支給対象月の翌日から数えて4ヵ月以内です。2回目以降は、ハローワークから指定された日程にしたがって提出します。

手続きにともなう書類は、以下のとおりです。

提出書類 添付書類
初回のみ:
高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
初回のみ:
・雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
 
2回目以降:
・高年齢雇用継続給付支給申請書
・払渡希望金融機関指定届
初回、2回目以降の共通書類:
・支給申請書と賃金証明書の証明書類
(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など)
・被保険者の年齢確認書類
(運転免許証、住民票の写しなど)

なお、年齢確認書類はマイナンバーの届出が済んでいれば提出不要です。

育児休業・育児休業給付金を取得するとき

育児休業とは、原則1歳未満の子どもをもつ被保険者を対象に、一定の養育期間を付与する制度です。

会社独自の制度である育児休暇とは違い、法律に基づいた制度なので諸手続きが必要になります。

育児休業開始までの流れ

育児休業の開始にともなう手続きの流れは、以下のとおりです。

手続きの流れ 提出書類 提出先 申請期限
1.育児休業の申請を受ける 育児休業:出生時育児休業申出書

産後パパ育休:出生時育児休業申出書
勤務先の人事担当者 育児休業:休業開始予定日の1ヵ月前まで

産後パパ育休:開始予定の2週間前まで
2.通知書を交付する
(任意書式)

育児休業:育児休業取扱通知書

産後パパ育休:出生時育児休業取扱通知書

申請者 申出があった日からおおむね2週間以内
3.社会保険料の免除申請を行う 育児休業等取得者申出書 日本年金機構 以下2つのどちらか

・育児休業の期間中
・育休業の終了日から起算して1ヵ月以内

なお育児休業の開始月に14日以上休業した場合、対象者・事業主ともに社会保険料が免除となるため、該当する場合は忘れず申請しましょう。

育児休業給付金の受給条件と必要書類

育児休業を取得中の人は、以下の要件に当てはまれば育児休業給付金が受けられます。

なお契約社員など雇用期間に定めがある場合、子どもが1歳6ヵ月になる日までに契約期間が満了とならないことが条件です。

  • 育児休業前の2年間で、賃金支払の対象日が11日以上ある(ない場合は賃金支払の対象時間が80時間以上ある)月が12ヵ月以上ある方
  • 育休期間中の就業日数が1ヵ月あたり10日以下、または80時間以下の方

なお、育児休業給付金の申請に必要な書類は以下のとおりです。

提出書類 添付書類

初回:
・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

初回:
・育児休業の開始または終了日を確認できるもの(育児休業申出書、育児休業取扱通知書など)

・賃金の額と支払い状況を証明できるもの
(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカードなど)

・育児の事実、出産予定日および出生日を確認できるもの(母子健康手帳、医師の診断書など)
2回目以降:
・育児休業給付支給申請書
・記載内容を確認できるもの(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカードなど)

初回の提出期限は、育児休業開始日から4ヵ月経過する月の月末までです。

2回目以降は、ハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に書かれた期日までに提出しましょう。

介護休業・介護休業給付金を取得するとき

介護休業とは、要介護状態にある家族をもつ労働者に与えられる休業制度です。休業中は給与が発生しない分、被保険者は給付金を申請して生活を安定させられます。

介護休業開始までの流れ

介護休業の開始にともなう手続きの流れは、以下のとおりです。   

手続きの 流れ 提出書類 提出先 申請期限
      1.介護休業の申請を受ける 介護休業申出書 勤務先の人事担当者 休業開始予定日の2週間前まで
2.通知書を交付する
(任意書式)
介護休業取扱通知書 申請者 申出があった日からおおむね1週間以内

育児休業とは異なり、社会保険料は免除されないため手続き不要です。

介護休業給付金の受給条件と必要書類

   介護休業を取得中で、なおかつ「介護休業前の2年間で、賃金支払の対象日が11日以上となる月が12ヵ月以上ある方」は、介護休業給付金が受けられます。

ただし、契約社員など雇用期間に定めがある場合は、介護休業開始日から93日経過するまでに契約期間が満了とならないことも条件です。

育児休業給付金の申請に必要な書類は、以下のとおりです。

提出書類 添付書類
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 記載内容が確認できる書類(賃金台帳、出勤簿など)
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

・介護休業申出書(被保険者が提出したもの)

・被保険者と介護対象者の証明書類(住民票記載事項証明書など)

・休業日数が確認できる書類(出勤簿、タイムカードなど)

・介護休業期間の賃金の額と支払い状況を証明できるもの(賃金台帳など)

介護終了日の翌日から、2ヵ月経過した月の末日までに、管轄のハローワークへ提出しましょう。

※参考:雇用保険制度手続き一覧表|厚生労働省

雇用保険の手続きにおける注意点

最後は、雇用保険の手続きで見落としがちな注意点を3つ紹介します。不備なく手続きを進められるよう、覚えておきましょう。

雇用保険の手続きにはマイナンバー記入が必要

2018年5月からは、以下の提出書類においてマイナンバーが未記入の場合、返送される仕組みとなっています。

ただし、別の手続きですでにハローワークへマイナンバーを届け出ている場合は「マイナンバー届出済」と記載すれば省略可能です。

  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 介護休業給付金支給申請書

また以下の書類についてはマイナンバー記載不要ですが、マイナンバーの届出が完了していない場合は「個人番号登録・変更届」の添付が必要になるので注意しましょう。

  • 雇用保険被保険者転勤届
  • 雇用継続交流採用終了届
  • 高年齢雇用継続給付支給申請(2回目以降)
  • 育児休業給付支給申請(2回目以降)

雇用形態が変わると手続きが必要になる場合がある

パートやアルバイトの場合、勤務日数・時間が途中で変わることがあります。

もし、所定労働時間が週20時間未満になると、一般被保険者の要件を満たさないので「資格喪失手続き」が必要です。

反対に、労働時間が増えて20時間以上に達する場合は加入手続きを行いましょう。

雇用保険に未加入のままだとペナルティが発生する

雇用保険は、加入要件を満たしている場合は必ず加入手続きを行わなければいけません。

手続きせずに事業を進めてしまうと罰則対象となり、事業主は6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため注意が必要です。

ただし、労働局からの勧告を受けたあと速やかに手続きを行えば、ペナルティは適用されません。

まとめ

雇用保険の加入要件と事業主が行うべき手続き関係について解説しました。

従業員が安定した生活を送れるように、保険料負担額の計算・保険加入や変更に関する書類提出など、事業主は正確かつスピーディな対応が求められます。

しかし、被保険者の状況によって手続き内容が変わり複雑なうえ、きちんと手続きができていなければペナルティが発生する可能性があります。思わぬトラブルに発展しないよう、理解を深めましょう。

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