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総務とは、会社の基盤を支えるためのさまざまな業務を担う部署です。
社内のコミュニケーションや情報管理を円滑にし、ほかの部署や社員の業務をサポートすることです。企業の顔とし て、 社外 との連携や交渉を行うこともあります。
その役割は、これにより、社員のモチベーションやロイヤルティを高め、ひ
いては組織の競争力や業績向上に寄与します。総務は、企業のビジョンや方針に沿って組織の運営や管理を効率的に行う
ことで、企業の成長に貢献します。総務の仕事は実に幅広いため、仕事内容や価値を客観的に説明しづらい面があります。そのため、総務が具体的に何をしている部署なのか、疑問に感じている方は少なくないでしょう。
本記事では総務の仕事内容を紹介するほか、仕事のやりがいや大変なところ、総務に向いている人について解説します。
総務の主な仕事内容は、下記の通りです。
総務の仕事内容は、企業ごとに大きく異なります。一例として、前述の業務内容について具体的に解説します。
総務は会社の運営に必要な備品や施設の管理を行います。備品や施設に関する社内規定やマニュアルの作成なども業務に含まれます。
備品は文房具や消耗品、パソコンやプリンターなどの機器、飲料水やコーヒーなどです。総務が備品の発注や納品、在庫管理などを行うことで社員は快適に仕事をすることができます。
施設はオフィスや会議室、倉庫や駐車場など会社が使用する建物や場所のことです。総務が施設の使用状況や故障状況を確認し、必要に応じて修理や交換などを行うことで、社員は安全に仕事に取り組むことができます。
福利厚生制度の管理・運用は、社員のモチベーションやパフォーマンス、企業のイメージ向上につながる重要な仕事です。そのため総務は福利厚生制度の計画や契約の決定、実施や評価などを行います。
たとえば社員のキャリアアップや資格取得を支援する制度や、子育て中の社員が使える保育所の運営、社員食堂などの福利厚生があります。
これらの管理・運用だけでなく、社員へのアンケートを実施したうえで新制度の導入や既存制度の改善を行うこともあります。
社員の健康は企業の生産性や業績に大きく影響するため、健康管理の推進が欠かせません。総務では社員の健康診断を実施するなどして社員の健康状態を定期的に把握し、必要な場合は医療機関と連携して対応します。
また、社員の健康意識を高めるために、健康教育や運動プログラムなどを実施する場合もあります。ストレスによるメンタルの不調を防ぐためには、職場環境の改善やストレス管理なども重要です。
これらの活動により、社員の健康を保ち、働きやすい職場を作ります。
株主総会の運営や進行も総務業務のひとつです。具体的には株主総会の日程や場所の決定、株主総会に関する資料や議案の作成、印刷や発送の手配などを行います。
株主総会当日の運営・進行も総務の役割です。受付や議決権の確認、司会や議事録の作成など、株主総会をスムーズに進めるためのさまざまな業務を担当します。
株主からの質問や意見に対応することもあります。
社員の交流やコミュニケーションを促進するために、社内イベントの企画や運営を行います。社内イベントとしては、たとえば新入社員歓迎会や忘年会、研修旅行などがあります。
総務はイベントの予算・日程の決定や内容の検討、会場や備品の手配や関係者への連絡、イベント当日の受付や進行などを行います。
社内イベントを実施することで社員の満足度やモチベーションを高めるだけでなく、社内の雰囲気やチームワークの向上に寄与します。
上記は総務業務のごく一部にすぎません。ほかにも企業によって多様な業務が存在しますし、社内のさまざまな部署からの要望を受けて突発的に業務にあたることも多々あります。
戦略総務とは、経営戦略に沿った総務業務のことです。
従来の総務部門は、経営に関与することが少なく、定型業務のみを行うコストセンターとして見られがちでした。
しかし労働力人口が減少傾向にある中で、どの企業も社員のロイヤルティを高めて定着率を向上させることに力を注いでおり、管理業務をつかさどる総務に求められる役割も変化してきました。
そこで登場したのが戦略総務という考え方です。戦略総務では総務部門が経営戦略に積極的に参画し、付加価値の高い業務を提供することを目指します。
たとえばIT・システム化による業務効率の向上や福利厚生の充実などについて、総務が能動的に企画・提案・実行します。総務部が戦略総務を通じて社内環境の最適化や生産性の向上につなげることで、自社の競争力や成長力を高めることができます。
そのため、これまでは単に事務スキルの高い人材という観点から配置されることが多かった総務部にも、より戦略的で能動的な視点をもち自社に付加価値を与えられる優秀な人材が配置されるケースも出てきています。
総務は企業運営に必要な事務業務および管理業務のすべてを担当する部署なので、広義には人事労務や経理、法務なども含まれます。
人事労務は、採用や育成、労務管理など自社の人材に関する仕事内容がメインです。
経理は、経費や売上利益などお金に関する管理業務を担います。
法務は、事業のリーガルリスクを管理したり法律相談にのったりと、企業の法律関係を管理しています。
これらの部署は一部業務の専門性が高いことから、総務部から独立しているケースが一般的です。ただし、企業によってはこれらの部署も包括した総務部が存在する場合があります。
あるいは、総務がこれらの部署に分類されない事務業務を一手に引き受けているケースも珍しくありません。
総務部で働くことで、どんなやりがいを感じられるのでしょうか。
総務は社内の各部署と連携して経営戦略や業務プロセス、組織体制などの構築や改善に関わります。また自社の財務状況や人材状況、法律問題などの重要な情報を管理し、報告や提案を行うこともあります。
これらの業務を通じて、総務は会社の全体像やビジネスの流れを俯瞰的に見ることができます。
会社の全体像やビジネスの流れを把握できることは、やりがいやモチベーションにつながるほか、自分のキャリアプランや将来の可能性を広げることにもなります。
総務の業務を通じてビジネスパーソンとしての幅広いスキルが身につきます。これにより自身の成長性を感じられ、やりがいやモチベーションの向上につながります。
総務では会社の運営に欠かせない多様な業務を担当することができ、さまざまな関係者とコミュニケーションをとることで交渉力や対人力も鍛えられます。また日々変化する法律や社会情勢に対応するために常に最新の知識を学ぶことで、柔軟な思考力や問題解決力も身につきます。
総務は業務を通じて、社員の働きやすさや満足度に大きく貢献できる部署です。
総務では給与や福利厚生、労働条件の整備など、社員の職場環境や生活に関わるさまざまな業務を担当しています。これらの業務は、社員のモチベーションやパフォーマンスに直接影響するものです。定着率や自社のブランドイメージの向上にも貢献するでしょう。
社員の働きやすさや健康・安全を守り、快適な職場環境を提供することは総務業務の大きなやりがいです。
最後に、総務の仕事の大変な部分について解説します。
総務の仕事内容は多岐にわたりますが、直接的に売上や利益につながるものではありません。そのため、総務の仕事の成果は目に見える形で評価されにくいという問題があります。
たとえば営業や販売であれば契約件数や売り上げ額などで定量的に評価できますが、総務ではこれが難しいです。そのため経営陣や他部門からは総務業務がどのように会社に貢献しているのかについて、理解されにくい場合があります。
こうした点から、総務はほかの部署と比べてやりがいやモチベーションを感じづらいと捉える人がいます。
総務の仕事内容は実に幅広く、その多様性がかえって総務の負担になっていることが多々あります。
総務では通常業務のほかに他部署や外部からの依頼や問い合わせにその都度対応しなければなりません。また、ほかの部署は総務の役割を理解せず「何でも屋」だと思って自分たちの業務を押し付けたり、無理な要求をしたりすることがあります。
「何でも屋」になるということは、総務部門の負担が増えるだけでなく、品質や効率も低下するリスクがあります。総務スタッフのモチベーションも低下するでしょう。
「何でも屋」になることを避けるには、総務の役職者が中心となって、総務の役割や責任を明確にするとともに周知することが必要です。ほかの部門と協力して業務を分担したり、外部に委託したりすることも有効です。
総務として活躍するには、以下のようなスキルや知識が必要です。求められるのは、どんな仕事でも必要な汎用性の高いスキルが中心となります。
総務に求められるスキルのひとつが、コミュニケーションスキルや調整力です。
総務は社内外のさまざまな人とやりとりする機会が多いので、コミュニケーションスキルが高いと円滑に業務を進めることができます。他部署との信頼関係の構築にも有効なスキルです。
また総務は社内の部署間や外部の取引先との調整を行うことも多いので、調整力が必要です。調整力が高いとトラブルや紛争を防ぐことができ、利害関係をバランスよく配慮することもできます。
ビジネスマナーは企業の顔である総務にとって必須のスキルです。社内外でのさまざまな人とのやり取りの中で、常に適切な対応が求められるからです。
ビジネスマナーとはたとえば挨拶や敬語の使い方、電話やメールの対応、会議や接待のマナーといったことです。総務が高いレベルのビジネスマナーを身につけることで自社の信頼を高め、価値の向上に貢献できます。
スケジュール管理能力は、時間を効率的に使い、予定を立てて優先順位を決めることができる能力です。
スケジュール管理能力があることで仕事の期限を守ることができます。重要度や優先度に応じてタスクを分類・処理することで業務の効率化にもつながります。
総務は緊急時やトラブル時の対応を担うことも多いですが、余裕をもって仕事を進めておくことで緊急の対応にも柔軟に対応できます。
マルチタスク処理能力は、複数のタスクを同時に処理することができる能力です。
総務の仕事内容は非常に幅広く、細かい業務を同時進行で行うことは日常茶飯事です。電話対応をしながら書類作成をしたり、会議の準備をしながら来客対応をしたりといったこともよくあります。そのためマルチタスク処理能力が欠かせません。
この能力があることで効率的に仕事を進めることができ、作業の正確性やスピードも保てます。
予期せぬ事態や問題に対して迅速かつ適切に対処できる、対応力も必要です。
総務では設備や備品の故障、社員の欠勤や退職、取引先や顧客とのトラブルなど日々さまざまな課題に直面します。これらの課題に対して、総務人材は自分の判断や責任で解決策を探したり、必要に応じて他部署や外部と連携したりしなければなりません。
そのためには、臨機応変に対応できる柔軟な思考と行動力が必要です。
総務は組織の運営や管理に関わる多様な業務を担当するため、チームワークや協調性が欠かせません。社内外のさまざまなステークホルダーと連携し、円滑なコミュニケーションを図る必要があります。
チームワークや協調性をもつことで自社の発展に貢献できるだけでなく、人間関係のトラブルを防ぐことにもつながります。
企業の運営に関わるさまざまな法律や制度の知識を持っている必要があります。たとえば労働や社会保険関連法、税法や会社法などです。これらの法律や制度は企業の給与や福利厚生などの業務に直接影響を与えます。
総務人材はこれらの業務を円滑に進めるために、法律や制度の内容を正確に理解し、適切に適用することができる能力が求められます。法律や制度は時代や社会の変化に応じて改正されることがあるため、常に最新の情報をキャッチアップし、必要な対応を行うことが大切です。
自社の経営や業務に関わるさまざまな法令や規則を遵守し、コンプライアンスに対する高い意識を持つことが求められます。法令遵守やコンプライアンスは、会社の信用や社会的責任を守るだけでなく、トラブルやリスクを未然に防ぐためにも重要です。
自分の担当する業務だけでなく、会社全体の法令遵守やコンプライアンスの状況を把握し、必要に応じて啓発や改善などの対策を講じることも必要です。
総務の仕事内容の特性や必要なスキルをふまえて、総務に向いている人の特徴を解説します。
総務の仕事内容は、会社の主役になるよりも裏方でサポートする仕事が多いでしょう。
表立って評価されたり感謝されることは少ないかもしれませんが、目立たずに淡々と自分の仕事を進めたいタイプの人には適任です。
総務の役割は、ほかの部署や社員が円滑に業務を進められるよう、サポートすることです。社員のため、会社のための業務に徹することができる人でなければ、務まりません。
自分の裁量をもって評価される仕事がしたい、というような人には向かないでしょう。
総務の仕事内容は、多岐にわたります。多種多様な業務を並行して担うことも多いでしょう。雑多なタスクを整理してスケジュール通りに進められる人は、総務に向いています。
人事や経理、法務としての役割を求められたときに、ポジティブに受け止めて仕事ができる人も適任でしょう。
総務は、業務の幅や関わる部署が広い分、視野を広く持たなければなりません。目の前のことに集中しすぎてしまう人には、向いていないかもしれません。
常に「全体」を意識して、気を配れるような人は総務が向いているでしょう。
総務は普段の業務から他部署と関わる機会が多く、ほかの部署の業務を手伝うために派遣されることもあります。社外の人と関わる仕事も多いでしょう。
総務の仕事をそつなくこなすためには、人や環境への順応力が高くなければいけません。適応能力が低い人は、総務としては十分な能力を発揮できないでしょう。
総務は会社の基盤となる多様な業務を担当する部署です。仕事内容は非常に幅広く、企業によっても異なります。
総務への転職を検討中の方は、応募先企業での仕事内容を事前によく確認することが大切です。
また総務の仕事にやりがいを感じられるかどうかは、人によって差がでます。今回ご紹介した、総務の仕事のやりがいや大変なところ、総務に向いている人の特徴についてよく理解したうえで、キャリアを検討しましょう。