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会計ソフト選びの決定版!業務効率化を実現する最適な1本とは?

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会計ソフト選びの決定版!業務効率化を実現する最適な1本とは?

会計ソフトは、財務データの管理や帳簿の作成といった経理業務の効率化を図るためのツールです。Excelを活用するよりも入力・計算ミスのリスクを減らせるほか、簿記の知識がなくとも使用できるため、導入を検討している企業や個人事業主は少なくないでしょう。

しかし、会計ソフトといってもさまざまな種類があるため、どのソフトを導入すれば良いか迷ってしまうかもしれません。そこで本記事では、会計ソフトの基本情報や選び方のポイントを解説します。また、おすすめの会計ソフトを厳選してまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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会計ソフトの主な機能

近年はさまざまな会計ソフトが開発されていますが、基本的に会計処理や帳簿の作成を効率良く行う機能が備わっています。まずは会計ソフトにどういった機能が搭載されているのか、把握しておきましょう。

伝票入力

伝票入力は企業規模を問わず会計処理に役立つ機能です。Excelなどの表計算ソフトにまとめた領収書や請求書のデータをCSVデータに出力し、会計ソフトにインポートするだけで伝票入力を行えます。同時に、借方や貸方の勘定科目を読み込めるほか、現金出納帳や売掛帳、買掛帳に自動で記帳してくれるのも特徴です。

また近年の会計ソフトのなかには、領収書や請求書をスマホ撮影あるいはスキャンするだけで、AIが自動で読み取ってくれる機能を持つものもあります。会計や経理業務の担当者だけでなく、精算書を作成する従業員の手間も減らしてくれるため、会計ソフトに欠かせない機能と言えるでしょう。

さらに経費精算システムも併用すれば、精算書の作成や会計ソフトへの登録をより手軽に行える場合もあります。ほかにも経理部門でDX化を進められるポイントがあるため、興味のある方は次の記事もチェックしてみてください。

帳簿や帳票などの作成・出力

会計ソフトを使用すれば、入力された伝票の内容をもとに帳簿をはじめとする帳票を作成できます。また、作成したデータを出力することもでき、帳簿であれば仕訳長や総勘定元帳、現金出納帳などのレポートを手軽に出力可能です。

出力された帳票は経営分析や戦略を考える際に活用できるため、経理担当者だけでなく経営層にとっても必要な機能となります。

自動仕訳

会計ソフトの多くは、自動仕訳の機能が搭載されています。領収書や請求書といった取引情報を読み取り、自動的に勘定科目に分類してくれるため、手入力での会計処理よりも大幅な工数の削減が可能です。

また、近年はAIを搭載した会計ソフトも開発されており、過去の仕訳内容を学習して自動仕訳の精度を高めていくものもあります。会計ソフトを使えば使うほど精度が向上するため、担当者は自動仕訳の結果をチェック・登録するだけで、仕訳処理を完了できます。

決算書作成

一定期間の経営状態や財務状況をまとめた決算書は、税務署をはじめ株主や金融機関などへ報告する際に使われるため、企業活動を行ううえで欠かせない書類です。

会計ソフトの多くは決算書作成機能を備えており、入力された取引データをもとに「損益計算書(P/L)」や「貸借対照表(B/S)」、「キャッシュフロー計算書(C/S)」の財務三表を作成できます。なかには税理士に依頼せずに税務申告を行える会計ソフトもあり、決算書作成にかかる時間や金銭的コストを削減することも不可能ではありません。

会計ソフトの導入によって解決できる会計上の課題と利用メリット

会計ソフトは会計処理に関わる業務を効率化できますが、一言で効率化と言っても、導入することのメリットを具体的に把握している人は多くないでしょう。

そこで、ここでは会計ソフトを使うことで得られるメリットを6つ紹介します。会計ソフトを導入してもうまく活用できるか不安な方や、効果的な活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

会計業務の正確性と効率を改善できる

会計ソフトを利用するメリットのなかで、業務効率化を図れるのは大きなポイントです。例えば、手入力で仕訳をしていると入力・転記ミスをはじめ、計算間違いや計上漏れ、二重計上などのリスクがあります。

その点、会計ソフトは自動入力や入力補助の機能を備えているため、正確な仕訳をスムーズに行うことが可能です。さらに、入力したデータから帳票を手軽に作成・出力できるため、会計業務は大幅に改善されるでしょう。

このほか、スキャン機能で請求書や領収書などを読み取ったり、AIによる自動入力機能を活用したりすれば、担当者はチェックや訂正のみで済むため、業務負担を軽減できるのもメリットです。

会計に不慣れな人も活用しやすい

従来の会計業務は、紙の帳簿や表計算ソフトを使って売掛・買掛や入出金などの動きを伝票に起こし、仕訳帳や総勘定元帳に転記する必要がありました。しかし、企業によっては経理担当者がいなかったり、会計の知識がない従業員が会計業務を行っていたりする場合もあり、帳簿の数字と実際の残高が合わなくなることも珍しくありません。

そこで会計ソフトを導入すれば、個人事業主や会計初心者などの会計業務に不慣れな方も手軽に処理を行えます。記帳や仕訳を自動化できたり、確定申告書や決算書の作成を行えたりと、簿記の知識がなくとも会計業務を行えるのは嬉しいポイントです。

税理士や会計事務所などと連携しやすくなる

クラウド型の会計ソフトは、入力したデータを会計事務所や税理士と共有する機能を持つソフトがほとんどです。まだ会計ソフトを導入していない場合は、決算のたびに書類を郵送したり、Excelで作成した帳簿データをメールで送ったりと、双方向のやり取りが必要になります。そして、修正やチェックが必要な場合は事務所とのやり取りがさらに増えるため、多くの時間を割くことになるでしょう。

その点、クラウド型の会計ソフトを導入すれば、税理士や会計事務所にリアルタイムで会計データを共有できます。決算の準備をはじめ、税理士に依頼する仕訳作業のチェックや経営アドバイスなども円滑に進められるでしょう。

会計作業をリモートで行える

会計ソフトの多くはオンラインでの作業に対応しており、テレワークをはじめとする多様な働き方を実現できます。また、スマホアプリで会計作業を行えるソフトもあり、日々の取引を手軽に入力できるのも魅力です。

会計ソフトは基本的にパソコンを使って会計作業を進めるため、取引情報を紙の帳簿にまとめる必要がなくなります。用紙代やインク代などのコストが抑えられるほか、保管スペースの確保やファイリングにかかる人件費なども削減可能です。

データ紛失のリスクが小さい

手書きや印刷で作成した帳簿は、紙で管理されているがゆえに紛失するリスクがありました。また、Excelをはじめとする表計算ソフトで会計作業を行っている場合も、作成途中のデータが消えたり、誤って削除してしまったりする可能性があります。

その点、会計ソフトで帳簿を作成した場合は、帳簿や会計データなどを紛失する心配はありません。また、会計ソフトなら入力したデータがシステム上にバックアップされるため、途中まで進めた会計業務を別のタイミングでも再開させられます。このように、紛失のリスクなく会計データを記録できるのは、会計ソフトならではのメリットです。

改ざんの不正行為を防げる

手書きやExcelでの会計処理は、どうしても書き換えやデータの改ざんが行われる危険性があります。しかし、会計ソフトは伝票から帳簿への転記が自動で行われるほか、入力履歴やアクセスログも確認できるため、不正行為を働くのは容易ではありません。

不正会計の防止は社外からの信頼性を高めるためにも必要なので、会計ソフトの導入は単なる業務効率化以外にも、さまざまなメリットをもたらしてくれます。

会計ソフトを導入する際の注意点

会計ソフトの利用は企業にさまざまなメリットをもたらしますが、場合によっては業務効率が悪化したり、機密情報が流出したりする恐れもあります。

ここで紹介する注意点を把握し、事前にできるだけ対策をしておきましょう。。

導入や運用にはコストがかかる

当然ですが、会計ソフトを導入する場合、イニシャルコストやランニングコストなどが発生します。例えば、インストール型の会計ソフトであれば、イニシャルコストとしてソフトの購入費用が必要です。また、クラウド型の会計ソフトはイニシャルコストがかからない一方で、月額での使用料や従量課金によるランニングコストが発生します。

導入・運用コストは会計ソフトによって異なります。とくに多機能な会計ソフトは高額になりがちですが、いくら多機能であっても不要な機能が多いのであれば、そのコストは無駄になってしまうといえるでしょう。そのため、会計ソフトを導入する際は自社に必要な機能を洗い出し、導入・運用にかかるコストを確認しておきましょう。

操作に慣れるまで時間がかかる

会計ソフトといっても数多くの製品があり、操作方法がすべて同じというわけではありません。また、会計ソフト自体を初めて扱う場合は、どのような機能が備わっているのかを理解したり、操作に慣れたりするまでにも時間がかかるでしょう。

もちろん、個人事業主をはじめ会計業務に慣れていない人でも直観的に操作できる会計ソフトも多くあります。また、ベンダーからのサポートを受けたり、顧問税理士に尋ねて使い方を教えてもらえたりできるケースもあるでしょう。

今までの会計の処理方法に慣れている場合は「どこを操作すればいいの?」と思うかもしれませんが、会計ソフトの使用に慣れれば入力データの正確性や業務効率が向上します。そのため、操作の習得までに時間がかかることを前提に、会計ソフト導入の準備を進めるのが大切です。

企業特有の要件に合わせられない場合がある

会計ソフトの多くは誰でも操作方法を覚えやすくしている分、使い方がある程度パッケージ化されています。そのため、自社の会計業務や業態に合わせて勘定科目を作成しようと思っても、うまくカスタマイズできない可能性もあります。

どこまでカスタマイズできるのかは、会計ソフトによって異なります。自社特有の業務フローや要件などを持つ企業は、カスタマイズすることでより効率的に会計業務を行える場合もあるため、ソフト選びの際は十分に確認しておきましょう。

データの移行に時間がかかる

企業の状況やこれから導入する会計ソフトの種類によっては、データの移行作業が煩雑になる可能性があるため注意が必要です。新たに会計ソフトを導入する場合は、ソフト内にデータをインポートするための作業が必要になります。また、会計ソフトを乗り換える場合であっても会計データの移行(マイグレーション)が必要となります。しかし、他社製品に乗り換えたり、ソフト同士に互換性がなかったりすると、会計データがスムーズに移行できないこともあることは覚えておきましょう。

会計ソフトによっては、データ移行のサポートを受けられたり、代行してくれたりするサービスが提供されていることもあります。ただ、会計ソフトのデータ移行は複雑な作業となることもあるため、導入前からどのような作業が発生するのかを把握しておくのが無難でしょう。

セキュリティ上のリスクがある

会計ソフトは会計処理の業務効率化を図れる点が大きなメリットですが、財務状況や取引の入出金データなどが集約されるため、サイバー攻撃により財務データが狙われる恐れがあります。もしセキュリティに脆弱性がある場合は、機密データの流出や不正アクセスといった被害に遭う可能性があるため、十分な注意が必要です。

もちろん、近年の会計ソフトはセキュリティ対策が強化されており、セキュリティ被害に遭うリスクはかなり低いといえます。しかし、安価な会計ソフトや開発から何年も経っているインストール型の会計ソフトは、セキュリティ対策が十分でない可能性も考えられます。

また、会計ソフト自体のセキュリティ対策がしっかりしていても、会計ソフトが導入されたパソコンに誰でもアクセスできる状態だったり、ユーザーの権限設定が適切でなかったりしても、情報漏えいにつながる可能性があります。

そのため、会計ソフトを導入する場合は、ソフトのセキュリティレベルを確認するだけでなく、従業員をはじめとする利用者のセキュリティ意識向上にも努めることが大切です。

会計ソフト選び方のポイント

会計ソフトにはさまざまな機能が搭載されていますが、自社に合ったソフトを選ぶためには何を基準に比較検討すれば良いのでしょうか。ここでは、企業規模や業界に適しているかどうかをはじめ、搭載されている機能や法改正への対応など、会計ソフトを選ぶ際のポイントを5つ紹介します。

なお、会計ソフトによっては社内で使用しているパソコンに対応していない場合もあるので、社内パソコンが会計ソフトに対応しているかを確認したり、パソコンのバージョンを最新版にアップデートしたりと、事前の準備も大切です。

法人向けか個人事業主向けか

会計ソフトは、法人向けと個人事業主向けの大きく2つに分けられます。法人向けは小規模事業者から上場企業まで、企業規模に合わせた会計ソフトやプランが提供されていることが一般的です。個人事業主向けは、個人事業主や小規模事業者が必要とする最低限の機能にとどまっている会計ソフトが多く、コストを安価に抑えやすいのが特徴です。

個人事業主が会計ソフトを導入する場合は、決算書に必要な貸借対照表や損益計算書に関する機能があれば十分なケースも多いでしょう。一方、法人の場合は株主資本等変動計算書の作成をはじめ、消費税申告機能や仕訳承認機能なども必要となるため、企業規模に合った会計ソフトを選ぶことが大切です。

インストール型かクラウド型か

会計ソフトの種類は、インストール型とクラウド型に大別されます。種類によって導入コストやセキュリティの高さなどが異なるため、どちらが自社に適しているのか確認しておくことが大切です。

なお、会計ソフトはインストール型やクラウド型のほかに、オンプレミス型もあります。オンプレミス型は自社サーバーを活用するため、情報漏えいといったセキュリティリスクが低く、カスタマイズ性の高さが魅力です。ただ、カスタマイズには専門的な知識が必要となり、サーバー代や導入・管理費などが高額になるため、上場企業のような規模の大きい企業に向いていると言えるでしょう。

インストール型の特徴

会計業務に使用するパソコンに会計ソフトをインストールし、帳簿をはじめとする会計データをローカル環境に保存するのがインストール型の会計ソフトです。オフラインでも使用できるために通信環境に左右されないスムーズな操作が可能で、ネットワークに接続せずに使用すればサイバー攻撃や不正アクセスのリスクを軽減できます。

インストール型の会計ソフトは買い切りの製品がほとんどです。一度購入すれば月額利用料が発生することはないため、長期的に見ればクラウド型よりも費用を抑えられることもあるでしょう。ただ、相場で1万円〜10万円のソフトを一括購入する必要があり、ソフトによっては定期的なサポート料金や、アップデートに伴う追加費用が発生することもあります。また、データの保存やバックアップが端末に依存してしまうため、緊急時のリスクヘッジも考える必要があります。

クラウド型の特徴

インターネット接続が可能な環境であれば端末や場所を問わず使用できるのが、クラウド型の会計ソフトです。インターネット上で利用できるためインストールが不要で、単純に「クラウド会計」とも呼ばれています。もちろん、端末が会計ソフトに対応している必要はありますが、リモートワークや移動中などでも会計ソフトに接続でき、操作・確認を行えます。ネット経由でクレジットカードや銀行の取引データを自動で取得・仕訳してくれるソフトも多く、経理業務の手間を大幅に削減してくれるのも魅力です。

クラウド型会計ソフトは、法令や税制の改正に応じてベンダーがシステムのアップデートを行うため、契約者であるユーザーがアップデート作業を行う必要はありません。インストール型の場合はアップデートに伴い追加の費用が発生することもありますが、クラウド型であれば基本的に費用が発生しないのも嬉しいポイントです。

ただし、ランニングコストとして月額あるいは年額での利用料が発生します。会計ソフトによっては、初期費用という名目で導入時の手数料が発生するサービスもあります。なお、ソフトごと・プランごとに利用できるアカウント数や機能、サポート範囲などが異なるため、事前に社内での要件をまとめておくのがおすすめです。

また、インターネット接続が必須であることから、通信が不安定な環境から接続・使用すると、入力に時間がかかったり操作性が低下したりと、経理業務の効率が下がる可能性もあります。心配な場合はトライアルで動作を確認してみてください。

業界に合ったソフトか

会計ソフトを選ぶ際は、業界に合っているかどうかも確認しておきましょう。というのも、業界によっては特殊な会計処理が必要となることもあり、一般的な会計ソフトでは対応できない可能性もあるためです。

例えば、医療法人での会計処理は、医療法人会計基準や病院会計準則などに従う必要があります。また、製造業なら原価計算や物品管理の機能を備えておく必要があり、日々の入出金件数が多い人材業界の場合は、リアルタイムでのレポート作成や金融機関との連携機能などが必要となるでしょう。

まずは自社の業界に特化した会計ソフトを探し、必要であればカスタマイズのできる機能が備わっているかを確認しましょう。

必要な機能が備わっているか

会計ソフトごとに搭載されている機能はさまざまで、企業によって必要な機能も異なります。取引データの取り込みをはじめ、損益計算や帳簿作成の自動化といった基本的な機能だけでなく、自社の経理業務にどんな機能が必要なのかを確認しておきましょう。

以下で紹介する5つの機能は、いずれも業界問わず多くの企業で役立つものばかりです。会計ソフトによっては搭載されていない場合もあるため、ソフト選びの際にはよく確認しておくことをおすすめします。

自動入力機能(OCR機能)

会計ソフトのなかには、画像データのテキスト部分を認識し、文字データとして変換する「OCR機能」を備えたものもあります。これは領収書などの自動入力に用いられており、スキャナーやスマホ撮影によるデータを取り込むだけで、入力の手間を省いてくれるのが魅力です。

また、OCRによる自動読み込みではなく、会計ソフトのオペレーターが入力作業を代行するケースもあります。いずれの場合も経理担当者の業務を大幅に削減してくれるため、会計ソフトを選ぶ際はチェックしておくと良いでしょう。

金融機関との連携機能

会計ソフトのなかには、銀行やクレジットカードなどとデータの連携ができるものもあります。アプリケーション同士を連携させる「API連携」を活用すれば、取引明細の取得や仕訳作業などを自動化することが可能です。同期非対応の場合は手動で登録することもできますが、会計業務の効率化を図ることは難しいでしょう。

金融機関とのデータ連携が可能な会計ソフトであれば、わざわざ銀行で記帳したり入出金明細を一つずつ入力したりする手間を省けます。また、データの取得から入力まで自動化されることで入力ミスといったリスクも低減できるため、会計ソフトを選ぶ際は銀行やクレジットカードなどと連携できるものがおすすめです。

権限管理機能

会計ソフトには権限管理機能が搭載されているものが多く、データ入力をする人や入力データの承認を行う人などを設定できます。それぞれ担当者の権限を決められてるため、権限を持たない人が勝手に操作したり、入力後のデータを勝手に承認したりすることを防げます。

また、会計ソフトの操作画面には入力データの進捗も表示されます。例えば、入力あるいはインポートされた仕訳が「未承認仕訳」として登録されるように、申請の進捗がひと目でわかるため管理業務の負担を軽減することも可能です。

こうした権限管理機能は企業のガバナンス強化にもつながりますが、仕訳が承認されることではじめて帳簿に反映されるため、未承認の仕訳があると正確な数字が反映されないケースもあります。会計ソフトを導入してから混乱しないよう、搭載された機能については特徴をよく把握しておくことも大切です。

データ共有機能

データ共有機能のある会計ソフトを導入すれば、会計事務所や税理士などとのやり取りを円滑に進められます。特に決算が近づくと、税理士と綿密な打ち合わせが必要になることも少なくありませんが、会計ソフト上で互いに確認できるようになれば、直接会わなくともオンライン会議や電話などで済ませられます。

このほか、会計ソフトのデータを共有できると、会計事務所に依頼する記帳代行や決算書の作成なども手軽に行えるため、企業の会計業務だけでなく契約している事務所との連携にも役立つでしょう。

ただし、事務所が対応していない会計ソフトを導入してしまうと、コミュニケーションがうまく進まない可能性もあります。データ共有機能の活用を検討している場合は、事前に確認しておくのが無難です。

バックアップ機能

会計ソフトを選ぶ際は、バックアップ機能が搭載されているものがおすすめです。従来の紙やExcelなどでは、書き起こした帳簿を紛失したり作成データが紛失・故障したりするケースもありました。しかし、バックアップ機能が搭載された会計ソフトであれば、データ消失や災害といった不測の事態にも、被害を最小限に抑えられます。

なお、バックアップを取る場合は、「ローカル」「外部記録媒体」「クラウド」の3つがおすすめです。インストール型の場合は手動でデータを移行する必要がありますが、クラウド型であればログインするだけでクラウドに保存されるものがほとんどです。バックアップがなければ保存したデータが破損・消失するリスクがありますが、手間を省きたい場合はクラウド型の利用を検討してみましょう。

制度変更や法改正に伴うアップデート機能

経理業務をおこなううえで避けて通れないのが、法改正による計算方法の変更です。そのため、会計ソフト側もこうした制度変更や法改正に伴う更新機能が備わっているかどうかも確認しておきましょう。

例えば、2019年には元号が「令和」になり、消費税が新税率の10%と軽減税率・経過措置の8%に区分されました。また「電子帳簿保存法」の改正により2024年1月1日から電子取引のデータ保存が義務化され、一定の条件を満たせばスマホ撮影した領収書が原本として認められるようになりました。

なお、制度変更や法改正への対応ついては、クラウド型であれば基本的に自動で更新されます。一方で、インストール型はサポートの範囲内なのか、有料のアップデートを行う必要があるのか、新しいソフトに買い換える必要があるのかを確認しなければなりません。会計ソフトは非常に便利なツールですが、経理業務には最新バージョンにアップデートしておくことも必要なので、導入前によく確認しておきましょう。

【種類別】おすすめ会計ソフト10選

ここからは、数ある会計ソフトのなかでおすすめの10選をご紹介します。クラウド型やインストール型だけでなく、クラウドとインストールの両方に対応している会計ソフトを種類別にまとめました。なかにはトライアルで利用できるものもあるので、使用感や機能を確かめたい人はぜひ試してみてください。

クラウド型の会計ソフト|おすすめ4選

まずは、インターネット上で操作・保存ができるクラウド型の会計ソフトを4つ紹介します。通信環境と端末さえあれば場所を問わず利用できるので、出張の多い方やリモートワークを推進している企業などにおすすめです。

freee会計

freee会計』は、個人事業主からひとり法人や中小企業までバックオフィス業務をサポートしてくれる機能が多数搭載されているクラウド型の会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードの連携が可能なほか、見積書・請求書・発注書の発行、スキャン・撮影した経費の取り込みと精算、入出金の管理といった経理業務を一つのソフトで対応できます。また、取引テンプレートを設定しておけば、手入力で仕訳を行う際もスムーズに登録することが可能です。30日間の無料体験プランもあるので、使用感を確かめたい方は気軽に活用してみてください。

【公式サイト】
クラウド会計ソフト - freee

【料金】
ひとり法人2980円〜/月、スターター5,480円〜/月 ほか

弥生会計 オンライン

弥生会計オンライン』は、全ての機能を1年間無料で利用できます。日付や金額といった簡単なことを入力するだけで経理業務を済ませられるため、簿記の知識は不要です。また、freeeと同様に金融機関の明細データを自動取得でき、取引データはAIが自動仕訳。紙のレシートや領収書はスマホ撮影やスキャンで取り込めるので、経理担当者の工数を大幅に削減してくれるでしょう。このほか、電話やメールでのサポートも受けられるため、操作方法が分からない場合も安心して相談できます。

【公式サイト】
クラウド会計ソフトなら無料で試せる弥生会計オンライン【公式】

【料金】
セルフプラン2,548円〜/月、ベーシックプラン3,447円〜/月

マネーフォワード クラウド会計

1ヶ月の無料体験が可能な『マネーフォワード クラウド会計』。自動仕訳や決算書作成、試算表、資金繰りレポートといった基本機能を備えており、3,000以上のサービスと連携しているためデータを入力する手間を省ける可能性が高いです。また、他のクラウド会計ソフトよりレポート作成機能が充実しています。キャッシュフローレポートや収益レポートなど、経営状況を可視化したい人にはぴったりのソフトと言えるでしょう。

【公式サイト】
無料で試せる経理・会計ソフト - マネーフォワード クラウド会計

【料金】
スモールビジネス2,980円〜/月、ビジネス4,980円〜/月

ジョブカン会計

ジョブカン会計』は、クラウド会計ソフトのなかでも特に操作性に優れているのが特徴です。基本的な操作はキーボードのみで行えるほか、処理速度はインストール型のように速いため、スピーディに経理業務を進められます。また、売上帳や仕入帳に記入した仕訳は、元帳や残高レポートの集計に自動で反映されるため、手軽に会社の財務状況を確認することが可能です。なお、ジョブカンは勤怠管理や経費精算、採用管理などさまざまなソフトを展開しているので、外部のシステムを積極的に活用したい場合はジョブカンシリーズの利用を検討してみてください。

【公式サイト】
クラウドならではのスピード感・スムーズさ「ジョブカン会計」

【料金】
スタートアップ2,500円/月、ビジネス5,000円/月 ほか

インストール型の会計ソフト|おすすめ4選

オフラインでも利用できるインストール型は、クラウド型よりも先に誕生したため、経理担当者のなかには使い慣れている人もいるでしょう。複雑な処理を素早く行えるほか、インターネット接続が不要なので外部からの不正アクセスを防げるのが魅力です。

おすすめの4ソフトを見てみましょう。

会計王

会計王』は、インボイス制度(適格請求書発行事業者)や改正電子帳簿保存法に対応しているインストール型の会計ソフトです。動作が軽いために経理業務をスムーズに行うことができ、アプリの『MoneyLink』で金融機関を登録すれば、明細の取り込みから仕分けまで自動で行ってくれます。また、電子取引データのクラウド保存や業務に合わせやカスタマイズも可能なので、多くの企業で使い勝手の良い会計ソフトと言えるでしょう。

【公式サイト】
経理・会計ソフト「会計王」製品概要|ソリマチ株式会社

【料金】
44,000円/台

JDL IBEX出納帳 Major

会計ソフトを導入するほどの余裕がない方におすすめなのが、『JDL IBEX出納帳 Major』です。中小企業の発展を目的に会計ソフトを無料で提供しており、記帳から財務諸表の作成まで基本的な機能を網羅しています。もちろん、無料といっても義務化された電子取引データの保存にも対応しており、税理士や会計事務所とデータ共有する機能も搭載。明細の取り込みや通帳のスキャンデータ変換にも対応しているので、コストを抑えながらきちんとした会計ソフトを探している方にはぴったりの製品です。

【公式サイト】
JDL IBEX出納帳Major - 記帳から決算まで!フルスペック無償版の会計ソフト

【料金】
無料

わくわく財務会計9

わくわく財務会計』は、個人事業主をはじめ小規模法人や中小企業などで導入されている会計ソフトです。銀行口座やクレジットカードの明細読み取り機能のほか、決算書を作成する機能も搭載されており、消費税申告書の作成もできるため納税手続きも行えます。30日の無料体験版もダウンロードできるので、操作方法や使用感を確かめたい方は試してみても良いでしょう。

【公式サイト】
会計ソフト|わくわく財務会計9の概要-株式会社コラボ

【料金】
20,900円〜/台

MJSかんたん!法人会計13

経理初心者でもすぐに活用できるよう、さまざまな入力支援機能を備えた会計ソフトが『MJSかんたん!法人会計13』です。給料賃金や福利厚生費といった基本的な勘定科目はあらかじめ登録されているため、記帳作業も手早く行えます。また、パターン化された取引がある場合は、摘要辞書や伝票辞書に登録しておくことで入力の手間を削減することも可能。インターネットに接続すれば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるのも嬉しいポイントです。

【公式サイト】
かんたん!会計|MJSかんたん!シリーズ

【料金】
27,500円/台

クラウド/インストール対応の会計ソフト|おすすめ2選

最後に紹介するおすすめ会計ソフトは、クラウド型とインストール型の双方に対応しています。導入形式を選べるため、必要な機能が備わっているかどうかを確かめながら導入を検討してみてください。

PCAクラウド会計

PCAの会計ソフトは、クラウド型の『PCAクラウド会計』とインストール型の『PCAサブスク会計』に大別され、それぞれ機能が共通しているためにデータに互換性があるのが特徴です。会計ソフトの機能は、元帳・試算表・決算署の作成や自動仕訳、経営分析なども備えています。また、サポートやセキュリティ体制も整っており、電話やメール、リモートでの相談にも対応。制度改正に対しても迅速に対応しているので、PCAの会計ソフトを活用していて不便を感じることはないでしょう。

【公式サイト】
クラウド会計ソフト『PCAクラウド 会計』 | ソフト情報 | ピー・シー・エー株式会社
サブスク会計ソフト『PCAサブスク 会計』 | PCAサブスク | ピー・シー・エー株式会社

【料金】
13,860円〜/月(クラウド)、4,290円〜(サブスク)

勘定奉行

小規模事業者から上場企業まで幅広い企業で活躍する会計ソフトが『勘定奉行クラウド勘定奉行11』です。豊富な機能と高い操作性を誇り、70万以上の企業で導入されています。金融機関とのデータ連携やAIによるアシスト機能により、入力ミスを防ぎ経理業務の効率化を図れます。また、自動仕訳やインボイス制度や改正電子帳簿法などの制度にも対応しており、経理業務のDX化にも一役買ってくれるでしょう。

このほか、固定資産管理や法人税・地方税申告、販売・仕入・在庫管理といったサービスと併用することで、経理業務をはじめとする業務全体の生産性向上も期待できます。インストール型からクラウド型への移行も可能なので、どちらにするか迷っている場合も安心して利用できるでしょう。

【公式サイト】
勘定奉行|クラウドで経理DXを実現する会計システム・勘定奉行クラウド|会計ソフトのOBC
経理業務を効率化する会計ソフト勘定奉行i11|財務会計システムのOBC

【料金】
7,750円〜/月(クラウド)、250,000円〜(インストール)

会計ソフトの機能を最大限に活用するためのノウハウ

会計ソフトを活用するためには基本的なITスキルが必要ですが、数多く搭載されている機能を活かすには、どういったポイントを意識すれば良いのでしょうか。ここでは、会計ソフトの機能を最大限に活用するためのノウハウを3つ紹介します。自社に合った会計ソフトを導入した際は、ぜひ実践してみてください。

会計知識を強化する

会計ソフトを活用すれば、取引の日付や金額などを入力するだけで帳票が自動で作成されるため、会計や簿記に関する専門的な知識がなくとも経理業務を行えます。しかし、会計ソフトの機能を最大限に活用するのであれば、会計知識を強化することが大切です。

たしかに会計ソフトは仕訳や読み取った領収書・請求書の入力などが自動化されますが、自動化された内容が必ず合っているとは限りません。会計ソフトを使う場合もデータの確認やミスの修正が必要なほか、会計ソフトの設定などを行うには最低限の会計知識が必要だからです。

簿記をはじめとする会計知識は経営戦略の策定に役立てることもできるため、基本的な知識を身につけながら会計ソフトを通じて実践的な学習をしていきましょう。

会計データをもとにした分析・提案力を養う

自動仕訳や帳票・決算書の作成などは、多くの会計ソフトに搭載されている基本的な機能です。これらの機能を活用することで経理担当者は日々の業務を効率よく進められますが、会計データをもとに経営層へアドバイス・提案できる能力を養うのも重要なポイントといえます。

というのも、会計ソフトには企業の取引情報が集約されており、過去に行ったプロジェクトの費用対効果を把握したりコスト削減の提案を行えたりと、具体的な提案ができるためです。会計ソフトの導入で業務が自動化された分、経理担当者はデータ分析や提案などの生産的な仕事に注力していくことも視野に入れてみてください。

小口現金の動きをなくす

会計ソフトは銀行口座やクレジットカードの明細を取り込むことができますが、小口現金の動きまではデータとして残りません。そのため、従業員の電車代や来客時のお茶代などを小口現金で支払っている場合は、残高の確認や入出金の管理を定期的に行う必要があるでしょう。

この状態では、会計ソフトの機能を最大限に活用できているとはいえないため、できるだけ小口現金の動きをなくしてお金の動きがデータで残る体制を整えることが大切です。例えば、経費の精算は振込で対応したり、接待や備品の購入時はクレジットカードで支払ったりと、データに残る形でお金を動かすことで、会計ソフトの機能を活かせます。

まとめ

以前の経理業務は、手書きやExcel入力で帳簿を作成していました。そして、近年はパソコンにインストールするタイプの会計ソフトだけでなくクラウド上で利用できるものも登場し、利便性や業務効率は遥かに向上しています。

ただ、会計ソフトは数多くの製品があるため、企業ごとに最適なソフトが異なるケースも少なくありません。企業規模や業界に合うかどうか、自動仕訳や金融機関との連携など必要な機能が備わっているかなど、自社での要件を整理することが大切です。

ぜひ本記事の内容を参考にして自社にぴったりな会計ソフトを導入し、業務効率の向上やデータ分析をもとにした経営戦略などに役立ててみてください。

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