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法務が目指せる3つのキャリアパスを紹介!キャリア形成に必要なスキルや悩んだ際の対処法も紹介

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法務が目指せる3つのキャリアパスを紹介!キャリア形成に必要なスキルや悩んだ際の対処法も紹介

法務は専門性の高さゆえに業務や経験・スキルに偏りが生じやすく、思うようなキャリアを積めないことがあります。自身のキャリア形成を考える方なら早い段階で将来性を検討し、スキルを磨いたり、より理想のキャリアを実現できる仕事へ転職したりする必要があるかもしれません。

本記事では、法務のキャリアパスを考えるために、具体的なキャリアプランや必要とされるスキルを解説します。法務業務に携わるなかで自身のキャリア形成に悩む方や、転職を検討している方は、参考にしてください。

法務・コンプライアンス・知財の求人

法務が目指せる主な3つのキャリアパスとは?

法務の代表的なキャリアパスには、以下の3パターンがあります。

  1. スペシャリスト
  2. マネージャー
  3. ジェネラリスト

将来のキャリアをイメージするためにも、各詳細を確認しておきましょう。

スペシャリスト

法務でスペシャリストを目指す場合、以下3つの分野のいずれかに特化し、通常よりも難易度の高い業務を担うケースが多くなっています。

  • 契約法務
  • 知財法務
  • 組織法務

各分野の業務や求められる人物像をチェックし、どの分野のスペシャリストとしてスキルを磨きたいか判断しましょう。

契約法務

契約法務は、おもに契約書の審査・作成、契約関係から生じる紛争処理を担う業務を指します。企業で日常的に行われる契約行為が合法・違法であるかの判断、またどのような契約書を交わせば利益を最大化できるかまで考慮することが求められます。

契約法務におけるスペシャリストは契約業務における高度な知識を備えているだけではなく、英文契約の処理経験を持っていること、法的要件を満たしながらリスクは最小限に、企業利益を最大限にする行動を高いレベルでこなせる方といえます。

そのためには、クライアントのビジネスに対する理解、契約条件の交渉スキルに加え、時に社内の営業部ともコミュニケーションをとりながら、落とし所を探していく必要もあります。例えば、営業サイドは自身の売上目標を達成するために、条件の緩和をして契約するケースはどの企業でも一般的に行われている行為ですが、法務視点、経営視点として認められない場合もあるでしょう。

契約法務のスペシャリストになるには、経営視点も持ち合わせている必要があるといえます。

知財法務

知財法務は、特許・商標・著作権などの知的財産に関連する申請手続きや管理といった法的業務を担います。おもな仕事内容は、自社商品・サービスの登録申請や、競合他社が出願する発明のチェック、先行調査に基づく勅許戦略の立案などです。自社の知的財産権を侵害する者がいれば、警告によって訴訟を提起することもあります。

知財法務におけるスペシャリストになるには、知的財産に関する高度な法的知識を有することと、発明品に対する理解を深めて知的財産戦略の方針を立案したり、他者からの権利侵害の可能性を検討して対処したりするスキルが求められます

商品の海外展開を検討する際は、進出国での知的財産権の調査や英語や中国語を用いた海外特許への理解も必要でしょう。さらに企業や個人の知的財産を守り、使用許諾や侵害対応のシーンでは交渉や折衝・訴訟に対処できることも大切です。

求人では理系大学や研究開発職の出身者、弁護士資格所有者が条件になっているケースも多く、事業やサービスの専門知識に特化した人材が求められていると考えられます。

組織法務

組織法務は、株式発行や組織再編・子会社設立の手続き・定款変更・株主総会など、企業組織の対内的な法務業務をメインにおこなうのが特徴です。なかでも株主総会や取締役会の適法な運営業務が重要で、適式な招集通知の作成や会議進行・議事録の作成などの事務的業務まで担います。

組織法務のスペシャリストになるには、法令で定められた手続きを確実に実行する能力や、違法にならないよう過去の裁判例まで把握したうえでの意思決定サポートなど、高度な法律的知見が求められます。企業全体を見渡す視点をもち、法令遵守の観点でコーポレートガバナンスの強化にも関わるなど、幅広い能力が必要となるでしょう。

会社法のスペシャリストであり、自社の経営方針・考え方を知り尽くした企業理解のスペシャリストでなければ、業務遂行が難しいかもしれません。

マネージャー

法務のキャリアパスには他職種と同様、マネージャーなどの管理職を目指すルートも存在します。法務に限らず管理部門全体の管理職に就ける可能性もありますし、経営陣に対して発言する機会も増えるなど、より裁量をもって働くことができます

法務のマネージャーになるには、契約法務・知財法務・組織法務のほか法務業務全般に対応できるスキルが必要です。業務をそつなくこなすのはもちろんのこと、教育や指示ができるレベルにある必要があります。

法務業務全般をカバーできるということは、法務に限らない業界・サービスの専門知識を持ち、経営陣や株主と渡り合えるコミュニケーションスキルもあるということです。経験と知識をもとに、法務全体を管理・統率できる人材が望まれます。

法務でマネージャー職を目指す際は、上場企業や大手法律事務所でハイレベルな企業法務の実務経験を積んだり、スタートアップ企業で法務部門の立ち上げに携わったりして、実力を磨くことが大切です。自ら課題を見つけて能力向上のために行動できる方なら、マネージャー職を目指せるでしょう。

ジェネラリストの道は、要注意

法務職でのジェネラリストとは、法務部としての業務を軸に、総務・人事・経営企画・内部統制など、管理部門全体に跨る業務を担う人を指します。

法務と総務を兼任しているベンチャー企業や中小企業は多く、顧問弁護士がついていて法務としての仕事量がさほど多く無い場合、総務を兼任していることがあります。だんだんと法務以外の割合が多くなり、気がついたら法務1人で多数の業務を兼任している状態(いわゆる1人法務)になることが多々あります。

法務担当の半数以上が経理や労務などとの「兼任法務」

法務担当者に、経理や労務といった法務業務以外の仕事を兼任しているか聞くと、「はい」と回答した人は55.1%と半数を超えました。さらに法務担当者の人数別に見ると、担当者が1人の企業では、複数の業務を兼任している割合が76.1%にも上りました。

「ひとり法務」の7割以上が「兼任法務」であるという実態から、法務業務の人員不足や業務の負荷の高さがうかがえます。

なんでもできることは、一見して市場価値が高い人材に見えますが、軸足がぶれているのでキャリアプランの組み立てに苦労することがよくあります。法務人材としてのキャリアを積むのであれば、あまりおすすめはできないルートといえます。

参考:法務担当者に聞いた!法務担当が抱える課題|BtoBプラットフォーム 契約書

法務の具体的なキャリアプラン

法務でキャリア形成を図るには、どのようなルートを検討するのが良いのでしょうか。以下は、法務で考えられる具体的なキャリアプランの一例です。

  • 特定分野のスペシャリストになる
  • 法務部の管理職・マネージャーを目指す
  • 転職で法務経験・知識の幅を広げる
  • 弁護士を目指す

自身の将来を現実的な視点で考えるためにも、詳細を確認しておきましょう。

特定分野スペシャリストになる

コンプライアンスや知財などの専門性を高めたいと考えるなら、法務の中でも部門が細分化されている上場企業など大手企業へ転職するのがおすすめです。

大手企業の場合、組織の教育体制が整っているため、特定分野における安定した知識を得られる可能性があります。とくにIPO準備中の企業やベンチャー・中小企業から大手企業へ転職できると、環境の違いに驚く方も多いでしょう。

また上場企業であればコンプライアンスなど安定した経営に必要な法務知識が豊富だったり、多くの有名サービスを持つ企業であれば知財における訴訟経験が豊富だったりと、長い歴史と経験に基づくノウハウを吸収できます

法務部の管理職・マネージャーを目指す

法務部で管理職やマネージャーを目指すなら、現在勤めている企業でどれだけ経験を積めるかがカギになります。経歴に見合った法務経験とスキル習得を重ねれば、同一企業で管理職に昇格したり、他企業の法務に転職してマネジメントポジションに就けたりするケースもあるでしょう。

勤続年数ごとにどのような業務を経験すべきか、以下で解説します。

若手法務部員(経験年数5年未満)

法務の若手時代は、簡単な契約書のレビューや雛形に沿った契約書の作成など、基本的な法務業務の習得に尽力するのが大切です。上司からの指示を把握し、主体的に動く姿勢も必要かもしれません。

この期間で相手を納得させるための文章力や、柔軟な交渉を図るコミュニケーションスキルまで身につけられると、できる業務の幅が広がるでしょう。

中堅法務部員(経験年数5~10年)

法務歴が5年を超えると、企業法務に関する高度な専門知識の習得に励むのが大切です。任される業務も社内ルールの策定や法的枠組みの提案など難易度が上がり、高度な法律知識も求められるようになります。

業務が縦割りであれば、ジョブローテーションや部署異動を検討するのも良いかもしれません。法務の管理職を目指すなら、このタイミングで契約・取引法務やコンプライアンス法務、紛争対応などの専門知識や実務経験を積んでおくことが不可欠となるでしょう。

転職で法務経験・知識の幅を広げる

現職でキャリアプランに行き詰まりを感じるなら、転職することでキャリアパスの選択肢を広げるのもひとつの方法です。

たとえば、外資系やグローバル展開する日系企業へ転職すると国際法務に関われる可能性があります。ビジネスで使える語学スキルも身につければ、さらに市場価値を高めることができるでしょう。

また、大手企業から思い切ってベンチャーやスタートアップ企業へ転職すると、それまで経験した法務スキルを活かして経営陣に近いポジションに就けるケースもあるでしょう。法務立ち上げやIPO準備に携わり、経験値を積むことができます。

法務は専門性が高いからこそ、所属先によって経験できる内容が異なります。キャリアアップを目的としたポジティブな転職により、さらにキャリアを積み上げてみましょう。

弁護士を目指す

事業会社の法務経験をもとに、弁護士を目指すキャリアプランもあります。現状は弁護士資格がなくても、法務職に就きながら資格取得を目指す人もいます。

企業法務のスキルや経験を活かして法律事務所へ転職したり顧問弁護士へ転身したりできると、新たなキャリア形成の道が開けるでしょう。大幅な年収アップも図れるかもしれません。

法務のキャリアアップに必要な経験とスキル

法務では、以下の経験やスキルがあると評価されやすくなります。キャリアアップや転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

  • 法務業務の経験幅
  • マネジメント能力
  • 英語の実務経験
  • 法務の立ち上げ経験
  • 経営に関する知識

効果的に自分自身をアピールするためにも、自身のスキル・経歴を振り返ってみましょう。

法務業務の経験幅

法務職のキャリアアップには、さまざまな分野の法務業務に幅広く関わってきた経験が重視されます。たとえば、契約書類の作成やレビューなど契約法務の経験しかない場合は、訴訟経験や知財の知識がある人と比較した際に劣る可能性があるでしょう。

法務でキャリアアップや転職を成功させたいなら、リーガルリサーチや訴訟対応・知的財産権の保護・コンプライアンス対応など、多岐にわたる業務経験があると自身の魅力がより際立ちます

マネジメント能力

法務でキャリア形成を図り上位職を目指すなら、チームやプロジェクトを指揮・監督できるマネジメント能力が備わっていると好印象です。法務全般の知識に加え、部門の統率や業務の進捗管理・目標の設定と達成などを経験している人物は、企業・組織にとって即戦力以上の人材となり、市場価値が高まる傾向にあります。

たとえ法務以外の部門に異動や転職をしても、リーダーシップを発揮できれば組織内で重要な役割を任せてもらえる可能性があります。

英語の実務経験

グローバル化が進む現代のビジネスでは、国際的な取引をおこなう企業も増えています。そのようななか、英語を使用して外国のクライアントや法務チームとコミュニケーションをとった経験があれば、キャリアアップの機会に恵まれるかもしれません。

TOEICスコアなど資格を獲得していることも大切ですが、グローバル企業に転職するなら英語を用いた実務経験があると重宝されるでしょう。

法務の立ち上げ経験

ベンチャー企業や中小企業で法務部門の立ち上げに関わった経験があると、法務でキャリアアップする際に有利に働きます。

そもそも法務の立ち上げは、なかなか経験できるものではありません。業務内容は、戦略法務や予防法務・紛争処理法務など多岐にわたるのが特徴です。また、あらゆるケースを想定しながら法務業を行った経験は、レベルの高いリスクマネジメント能力のアピールにつながります。

経営に関する知識

法務職が企業・組織のビジネス戦略に貢献するためには、経営に関する知識が必要です。過去に企業の財務報告や経営戦略、投資・資金調達などに携わり、それらの仕組みを理解したうえで法的視点に基づいた意見を経営陣に伝えられると、高評価につながるでしょう。

このような経験やスキルは法務職における自身の価値を高め、さまざまな意思決定のタイミングで影響を与えられます。キャリアパスに悩む方や、より上位ランクのポジションに就きたい方は、戦略的にアピールするのがおすすめです。

もしスキル不足だと感じるなら、継続的な学習や専門的な資格取得によりスキルと専門性の向上を図れるとよいでしょう。

法務のキャリアパスに悩む方は、転職エージェントへ相談を

ここまで、法務のキャリアパスとキャリア形成に必要なスキルの例を解説しました。

もし、より専門性に磨きをかけたキャリア形成のために転職を検討するのであれば、法務など特定の人材に特化した転職支援サービスの利用がおすすめです。業務内容や働き方、スキルの特異性を理解したうえでキャリアプランの相談にのってくれます。

例えば、法務など管理部門の転職に特化した転職エージェント「BEET-AGENT(ビートエージェント)」であれば、法律相談メディアから派生した人材サービスのため、法務専門のアドバイザーがついて転職支援をしてくれます。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
こんにちは。BackOfficeDB編集部です。 私たちは、管理部門に関する情報発信を専門にしています。 業務効率化や、各職種のキャリアプラン、スキルアップなど、管理部門の様々なお悩みにお答えします。