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法務の仕事内容とは?変化の激しい時代に求められている法務部の役割を解説

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法務の仕事内容とは?変化の激しい時代に求められている法務部の役割を解説

グローバル化や取引形態の多様化、事業の高速化など、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。またコンプライアンスやガバナンスに対する社会の要請は日に日に高まるばかりです。

こうした中、法務部はその役割と価値が見直され、企業内における重要性が増しています。そのため法務部の仕事内容に興味を持っている方は少なくないでしょう。

本記事では法務部の仕事にスポットをあて、役割や仕事内容、やりがい、業務上の大変なところなどについて解説します。

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企業の法務部はどんな部署なのか

法務部がどんな部署なのかを知るために、法務部のミッションや課題について解説します。

法務部のミッション

企業の経営活動における法的なリスクを管理し、法令遵守を推進することが法務部のミッションです。

社内外の関係者と連携して、契約の締結や紛争などさまざまな法的課題に対応します。また、事業戦略や新規事業の立案においても、経営陣や各部門に対して法的な助言や支援を行います。

法務部は企業のビジネスを支えるパートナーとして、専門的な知識とスキルを発揮し、企業の成長と発展に貢献する部署です。

予防法務と戦略法務

法務部が担う業務は大きく「予防法務」と「戦略法務」があります。

予防法務は、法的トラブルを未然に防いだり影響を最小化したりするための業務のことです。たとえば契約書の確認や社内規定の整備は、予防法務の代表的な業務です。取引先との契約書の確認では、自社にとって不利な条項や問題点を見つけて修正することにより、法的トラブルを防止します。社内規定の整備では、労働基準法や個人情報保護法などの各種法令に適した内容にすることで、自社のリスクマネジメントにつながります。

戦略法務は、企業の経営戦略に貢献するための業務のことです。たとえば新規事業の法務チェックや知的財産の活用などが戦略法務の代表的な業務です。新規事業の法務チェックでは事業内容に関連する法律を調査し、自社で実現可能かどうかを判断します。知的財産の活用では、特許権や商標権などのさまざまな権利を取得するなどして、市場における競争優位性を高めるために尽力します。

法務部における課題

ビジネスのグローバル化やデジタル化の進展により、企業の法的リスクは多様化・複雑化しています。たとえば海外進出やM&Aに関する規制、個人情報や知的財産の保護、コンプライアンスやガバナンスに対する社会的要請などさまざまな法的リスクに対応しなければなりません。

法務部はこれまで以上に専門性を高めるとともに、事業部門との連携やコミュニケーションを強化する必要性に迫られています。

また、法務部は単に法的リスクへの対応だけでなく事業の成長やイノベーションを推進することも求められています。自社の事業戦略に対応するためには、法務部はビジネスセンスや創造性を発揮する必要があります。経営層や外部パートナーとの協働や信頼関係を構築する必要もあるでしょう。

企業のビジネスを理解し、ビジネスと法務をバランスよく考慮することは、法務部の課題です。

法務の具体的な仕事内容

法務部の仕事内容は企業によって異なりますが、主なものは以下のとおりです。

契約書の作成、レビュー

法務の代表的な仕事が契約書の作成やレビューです。

契約書の作成においては自社の利益を守るために、契約の目的や期間、責任や義務などを適切に記載する必要があります。契約書のレビューでは、相手方から提出された契約書に対して、不利な条項や問題点がないかをチェックし、必要に応じて修正や交渉を行います。

法的リスクの評価

自社の事業や取引においてどのような法的リスクが存在し、それらが発生した場合にどの程度の影響があるかを分析・評価します。

自社が法律に違反したり、契約や訴訟などで不利な立場になったりすることで生じる損失や負担を回避し、自社の利益や社会的信用を守ることが目的です。分析した結果をもとに、予防策の提案や適切な対策を講じることも欠かせません。

社内規定の策定・改定

従業員の勤務条件や行動規範などを定めた社内規定の策定・改定も法務の仕事のひとつです。社内規定の内容を法律や契約に適合させたり、適用範囲や必要な手続きを明確にしたりします。

社内規定の改定を行う場合にはその影響を評価し、社内への周知や教育を行うことも業務に含まれます。社内規定は法律や契約にもとづいて作成されるため、従業員が違反した場合には減給や解雇などの責任を負う可能性があります。

したがって、社内規定の策定・改定は、自社のリスク管理やコンプライアンスの確保に欠かない業務です。

法的トラブル対応

社内外の法的トラブルに対応することも法務の仕事です。企業が直面する法的トラブルには、たとえば消費者トラブルや知的財産権の侵害、労働問題などさまざまにあります。

法務部は法律の知識や交渉力を駆使し、関係部署と協力しながら、適切な対策を立案・実行していきます。場合によっては、弁護士などの外部専門家と連携して対応にあたることもあります。

コンプライアンス研修・教育の実施

従業員や役員のコンプライアンス違反が発覚すると、企業の信用や評判を損なうだけでなく、罰金や刑事責任などの法的リスクを招くおそれがあります。そのため法務部は、従業員や役員に対してコンプライアンスに関する知識や意識を高めるための研修や教育を定期的に行います。

たとえば自社に関連性の高い法令や知的財産権の取り扱いに関する注意事項、セクハラやパワハラなどの防止策、取引先との付き合い方や情報管理に関するマナーなどの研修・教育があります。

社内相談

従業員や役員が業務上で抱える法的な問題や疑問に対して、アドバイスや解決策を提供します。寄せられる相談としては、パワハラやセクハラに関する問題や、事業部からの契約書の内容や紛争対応の相談など多岐にわたります。

社内相談では、相談者の理解度やニーズに応じてわかりやすく説明することが重要です。また法務部として真摯に対応することで従業員や役員との信頼関係を構築できます。

知的財産の管理・保護

発明やアイデアなどの知的財産は企業の競争力やブランド力を高める重要な資産ですが、同時に盗用や侵害のリスクがつきまといます。そのため法務部では知的財産の登録やライセンスの手続き、契約などを通じて管理・保護します。

知的財産に関する紛争や訴訟が発生した場合は適切に対応することも重要な仕事です。知的財産の管理・保護は日本だけでなく海外の法律や規制にも精通する必要があり、法務の仕事内容の中でも特に専門性が高い分野といえます。

企業の法務部で働くメリット、やりがい

法務部で働くことで享受できるメリットや、自身が感じるやりがいについて解説します。

法律に関する専門性を活かせる

法務部で働くメリットのひとつは専門性を活かせることです。さまざまな法的課題に対応して解決に導くには法律の知識や経験が不可欠です。法務部で働くことで、自身の専門性を発揮するとともに、自社の利益や信頼を守ることでやりがいも感じられます。

また法務部では常に最新の法律情報や市場動向を知り、知識をアップデートする必要があります。これにより自分の専門性を維持・向上させることができます。

法的な観点から自社の成長に貢献できる

企業の法的リスクが多様化・複雑化する中で、法務部が法的な観点からサポートすることで自社の安定的な経営や競争力の向上に直接的に影響します。

自社の事業戦略やビジョンに沿った法的サポートを提供することで、自社の成長に貢献できるのは大きなやりがいです。

経営陣と近い立場で影響力の大きい仕事ができる

法務部が自社の戦略や方針に沿った法的アドバイスを提供することで、経営判断に影響を与えることがあります。たとえば新規事業や海外進出などの重要なプロジェクトにおいては、法務部が契約内容やリスク管理を担当し、経営陣に助言や提案を行います。

経営に対する影響力の大きい仕事ができることは、大きなやりがいです。また経営陣からの評価や信頼も高まるため、自身のキャリアアップの点からもメリットがあります。

チームと協力して業務に取り組める

法務部が担う業務は複雑で多岐にわたるため、チームで協力して取り組みます。他部署や外部の弁護士とも連携してプロジェクトを進めることも多くあります。そのため法務部で働くことで、自身のコミュニケーションスキルやチームワークを高めることができます。

これは、自身のスキルを高めるとともに、仕事に対するやりがいや満足感も高めるメリットです。

企業の法務部で働くデメリット、大変なところ

さまざまなメリットややりがいがある一方で、デメリットや大変な部分もあります。

法的な観点と自社の意向とのバランスをとることが難しい

法務部で働くと、法的な観点と自社の意向とのバランスをとることが求められます。

法的な観点からは、自社の行動や契約内容に問題がないか、リスクを最小限に抑えられるかなどの厳格な判断が必要です。一方、経営陣からは事業の発展や利益の最大化、競争力の強化など積極的な成果を要求されます。

法的な観点と自社の意向はときに相反することもあり、バランスをとることは簡単ではありません。

勉強や最新情報の収集が欠かせない

法務部ではさまざまな法律問題に対応するとともに法改正にも追従する必要があるため、最新情報を把握しなければなりません。そのためには、常に自身の法律知識をアップデートし、最新の判例や法改正に対応できるように勉強することが不可欠です。

日々の業務に追われる中で専門性の高い法律の勉強を続ける必要があり、負担に感じることがあるでしょう。

他部署との調整や折衝で苦労することがある

他部署との調整や折衝は法務部が担う重要な業務のひとつですが、同時に大変な面も多いです。法務部は自社のリスクを管理し、法令遵守を徹底する役割を担いますが、それは必ずしも他部署の目標や要望と一致するとは限りません。

たとえば事業部は少しでも早く契約を締結したいと考え、法務部は契約内容に問題がないか慎重にチェックしたいと考えることがあります。

緊急性の高い案件対応では残業が発生する

法務部は大企業にあることが多いため、ワークライフバランスは比較的とりやすい環境です。しかし緊急性の高い案件対応では残業が発生し、プライベートな時間や休息がとれない日が続くこともあります。

たとえば契約書の作成やレビュー、訴訟や紛争の対応などは期限が厳しく、時間に追われやすい業務です。残業が多くなると健康面での不安が生じるだけでなく、ストレスを抱えるなど精神面への影響も増えてしまいます。

企業の法務部で活躍するために磨きたいスキル

法務部での活躍や転職を望む場合は、以下のようなスキルを磨くことが有効です。

法律やビジネスに関する知識

自社が直面するさまざまな問題や課題に対して適切な法的判断や対応を行うためには、法律に関する知識が欠かせません。また、ビジネスに関する知識があることで他部署のニーズや要望を理解し、適切なアドバイスやサポートを提供できます。

最新の知識を常にアップデートするとともに、幅広く、深く身につけることが必要です。

情報収集・調査スキル

法令や判例などの文書を読み解いたり、適切なリスク管理やコンプライアンス対策を行ったりするためには、正確かつ迅速に情報を収集・調査するスキルが不可欠です。インターネットや書籍のほかに法律セミナーや研修に参加するなど、幅広い情報源をもとに情報を収集する習慣をつけましょう。

また収集した情報を整理して重要度や優先度をつけることで、必要な情報に素早くアクセスできるようすることも大切です。大量の情報が溢れる時代なので、収集した情報を客観的に検証し、信頼性や有効性を判断することも欠かせません。

文書作成力

契約書や社内規程、意見書などの法的文書を効果的に作成するためには文書作成力が必要です。文書作成力が高いと、文書の内容や表現に不備や曖昧さがなく、法的トラブルを防ぐことができます。自社の立場や要求を明確に伝えることができ、相手との合意形成をスムーズに進めることも可能です。

文書作成力は一朝一夕に身につくものではないため、日々の業務や勉強を通じて、積極的に文書作成の機会を増やしましょう。上司や専門家などからフィードバックやアドバイスを受けることも有益です。

コミュニケーション・交渉スキル

法務部は社内外のさまざまな人と連携して業務にあたることが多いため、コミュニケーションスキルが不可欠です。相手の話をよく聞き、適切な言葉遣いや表現を使ってコミュニケーションをとることが求められます。相手が必ずしも法律に精通しているわけではないため専門用語を使わないなどの工夫も必要です。

また法的な問題や紛争を円滑に解決するためには交渉スキルが必要です。相手の立場やニーズを理解するとともに、自分の意見や要求を効果的に伝え、双方にとって最善の解決策を見つけるスキルです。

これらのスキルを高めるには実践するのが効果的なので、日々の業務を通じて、あるいはロールプレイやトレーニングを通じて磨きましょう。

まとめ

法務部の仕事内容は契約書の作成・レビューやコンプライアンス研修の実施など幅広くあります。これらの業務を行うことで、法的リスクを予防するとともに、自社の成長を後押しします。

難易度が高い仕事ですが、その分やりがいや満足感を得られます。

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