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法律事務所勤務の弁護士から企業内弁護士に転職すると、年収は下がると言われています。本当にそうなのでしょうか?
企業内弁護士でも、スペシャリストポジションや管理職や役員候補などの雇用条件次第では、法律事務所に勤務する場合よりも高い収入を得られる可能性があります。
そこで今回は、企業内弁護士の年収データや、企業内弁護士として高い年収を得るためのコツなどについて分かりやすく解説します。今後のキャリア選択肢の中に企業内弁護士を想定している方は、ぜひ最後までご一読ください。
なお、本記事で紹介するデータは「企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2023年3月実施)」(日本組織内弁護士協会HP)に基づきます。
企業内弁護士の年収は750万~1,000万円がもっとも多いです。次いで年収1,000万~1,250万円が多く、年収750万~1,250万円が企業内弁護士の約45%を占めるので、1,000万円の上下250万円以内が相場のようです。
弁護士の平均年収は1,000万~1,500万円程度が相場と言われているため、若干年収帯が下がるようです。ただし、年収1,500万円以上稼いでいる企業内弁護士の割合は25.5%と全体の4分の1を占めます。必ずしも弁護士の平均年収より企業内弁護士の方が低くなるわけではありません。
年収1,000万円台の企業内弁護士は43.6%、年収2,000万円台は9.8%、年収3,000万円以上は5.9%です。弁護士の転職を専門に扱うNO-LIMITによると、年収1,000万円以上の企業内弁護士はマネージャー以上の管理職や責任者、海外の法律や知財のスペシャリストが多いそうです。
年収 | 割合 |
---|---|
500万円未満 | 2.9% |
500万~750万円未満 | 13.2% |
750万~1,000万円未満 | 24.5% |
1,000万~1,250万円未満 | 20.6% |
1,250万~1,500万円未満 | 13.2% |
1,500万~2,000万円未満 | 9.8% |
2,000万~3,000万円未満 | 9.8% |
3,000万~5,000万円未満 | 4.4% |
5,000万円以上 | 1.5% |
参考:企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2023年3月実施)|日本組織内弁護士協会
法律事務所の勤務弁護士から企業内弁護士の転職した場合は、転職したタイミングで年収が下がるケースが多々見られます。とはいえ、経験不足(企業内弁護士の経験がない)を理由に年収が下がるのは一般的な転職でもよくあることです。
企業内弁護士で高収入を得るコツは、後ほど解説します。
新卒で企業内弁護士になる場合、大手法律事務所に入所した場合よりも初任給や年収の上り幅が低いことがあります。それでも、安定した収入を得られて福利厚生などの待遇が良い・残業が少ないという理由で、ファーストキャリアに企業内弁護士を希望する弁護士が増えています。
以下では、経験年数や年齢など条件別の企業内弁護士平均年収を紹介していきます。
企業内弁護士の経験年数別平均年収は、以下のとおりです。
弁護士経験5年未満の若手は、年収500万~750万円が45.7%と約半数を占めます。年収750万~1,000万円が31.4%のため、弁護士経験5年未満の4分の3以上が年収500万~1,000万円以上ということになります。
弁護士経験5年未満で年収1,000万~2,000万円の弁護士も散見されますが、かなり少数と言ってよいでしょう。
弁護士経験5年~10年未満では年収750万~1,000万円がもっとも多く、ワンランク年収帯が上がります。次いで年収500万~750万円、3番手に年収1,000万~1,250万円と続きます。ここから、年収2,000万~3,000万円の企業内弁護士が登場します。
弁護士経験5年以上は、採用条件としてもひとつのハードルとなっています。
弁護士経験が10年以上になると、大多数が年収1,000万円以上を手に入れています。弁護士経験が20年以上あると要職についている企業内弁護士も多く、年収2,000万円以上となります。
企業で弁護士を10年20年と継続するケースはまだ少なく、データも少数です。企業内弁護士のニーズが増えている昨今、より優秀な弁護士を採用するために年収水準が上がる可能性があります。
市場動向をよく知り、自分自身のニーズが高い業界や職種を選択することが、企業内弁護士の年収アップにつながります。
企業内弁護士の年齢別平均年収は、以下のとおりです。
20代の企業内弁護士は、年収500万~1,000万円がベースです。弁護士としても社会人としても経験が浅いため、企業内弁護士の平均年収より低いのは予想できる範囲です。四大法律事務所や準大手に勤務する弁護士には劣りますが、20代弁護士としては一般的な年収です。
企業内弁護士の30代前半は年収500万円~750万円が約半数を占め、20代から大きくジャンプアップはしませんが、20代企業内弁護士にはいない年収1,000万円以上が約2割を占めます。
30代後半になると年収750万~1,000万円が41.0%でもっとも多いですが、年収2,000万以上が6%存在し、年収5,000万円以上の企業内弁護士もいます。30代企業内弁護士が、年収アップの可能性が高まる世代と予想されます。
法律事務所で5年以上勤務して経験・知識を蓄えた弁護士が転職したり、企業での勤続年数が3年以上ある弁護士が増えるタイミングが30代であることが理由として挙げられます。事務所経験5年・事業会社の法務経験3年は、よくある採用基準です。
40代の企業内弁護士は、年収1,000万~1,250万円がもっとも多くなります。50代のデータはありませんが、弁護士経験20年以上は年収2,000万円以上であることから、50代企業内弁護士も同程度と想定されます。
もっとも多い年収帯が年齢に比例して少しずつ上昇していることから、基本的に企業内弁護士は年を重ねるごとに年収が上がるものと考えられます。
日本組織内弁護士協会の調査では、メーカー・金融・ITの3業種が調査対象です。企業内弁護士の採用数が多いのがメーカー・金融・ITと予想されます。
企業内弁護士の業種別平均年収は、以下のとおりです。
業種別で年収水準が高いのは、金融の企業内弁護士でした。年収1,000万~1,250万円がもっとも多く、年収1,000万円以上が8割近くを占めます。メーカー・ITでは年収1,000万円未満が半数を占めるため、その差がよくわかります。
ある程度高収入が約束されるものの、その分経験や専門知識が求められるため、金融は経験者向けの業界です。
メーカー・ITは年収750万~1,000万円がもっとも多く、次いで年収1,000万~1,250万円、3番目が500万~750万円です。
メーカーは企業体力がある大手企業が多く、企業内弁護士の採用文化があるため、若手弁護士や司法修習生の就職先として人気です。そのため、低めの年収帯から広く分布していると想定されます。
IT業界はベンチャー・スタートアップ企業が多いため、はじめから高収入を得ることは難しい業界です。その一方で成長目覚ましい業界でもあり、IPOや事業拡大を機に年収アップする可能性が十分にあります。裁量が大きい立場で、好待遇となるケースもあります。
業界の特性や動向を理解して就職・転職活動をおこなうと、理想の年収を得られる可能性が高まるでしょう。
企業内弁護士のポジション別平均年収は、以下のとおりです。
企業内弁護士のメンバーレイヤーは年収500万~1,000万円が7割以上です。経験年数・年齢別の年収データから、弁護士経験10年以下の、20~30代が中心と予想されます。
メンバーで年収1,000万~3,000万円を得ている企業内弁護士もいます。役職なし・マネジメント業務がなくてもそれ以上の価値を出す、法務スペシャリストがこれに当てはまると予想されます。
企業内弁護士が管理職になると年収1,000万円台、役員・責任者になると年収1,000万~3,000万円が大多数という結果でした。
企業内弁護士は一般社員にはできない専門業務を担うため、マネジメントをおこないながら実務を担うプレイングマネージャーであることがほとんどです。そのため、他職種の管理職より年収が高い傾向にあります。
昇進ルートが決まっている状態で入社することもあります。弁護士である時点で期待値が高くなりがちですが、役職を望まない場合ははっきりと意思を伝える必要があります。
また、役職つきとはいえ業種や企業規模によりポジションがもつ役割や責任の範囲が異なるため、必ず高収入が得られるとは限りません。
あくまでも相場として年収を把握しておき、就職・転職の際に参考にしてください。
法律事務所で勤務する弁護士の平均年収・初任給は、以下のとおりです。
勤務先 | 平均年収 | 初任給の年収 |
---|---|---|
大手法律事務所 | 約2,000万円 | 約1,000万円 |
準大手法律事務所 | 約1,500万円 | 約600万円 |
中小法律事務所 | 約900万円 | 約500万円 |
独立開業した個人事務所 | 約1,400万円 | - |
企業内弁護士の年収は750万~1,250万円が大多数なので、大手・準大手法律事務所や独立開業した場合よりも年収が低い傾向にあります。一方で、中小法律事務所より年収が高いケースはあり得ます。
事務所・企業規模や業務内容、ポジションによっても年収は異なりますし、年収が低くてもワークライフバランスが整うなどのメリットもあるので、一概に比較するのは不可能です。
また業務量や成果次第で報酬が得られる勤務弁護士と、給与テーブルのとおりに支払われる企業内弁護士では、年収の上限や安定性が異なります。
年収にこだわってキャリアの方向性を決めるときには、年収以外の条件にも優先度をつけて多面的に比較しながら、転職先を選択しましょう。
参考:企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2022年3月実施)|日本組織内弁護士協会
企業内弁護士に就職・転職する際、できるだけよい条件で入社したいと考える人は多いでしょう。
ここでは、年収が高い企業内弁護士の特徴を4つ解説します。
企業内弁護士として採用される場合、どのポジションで企業に入社するかが年収を左右するポイントになります。
前職でマネジメント経験があれば、法務部門を管理・統括するポジションで採用される可能性が高まります。メンバー・チームや部門・プロジェクトのマネジメントスキルがすべて揃っていれば、かなり市場価値が高いでしょう。
法律事務所でのマネジメント経験も評価されますが、事務所と企業では組織体制やマネジメントの役割・業務内容が大きく異なります。企業でのマネジメント経験があれば、前職と同等かそれ以上のポジションで採用される可能性があります。
規模や業種が大きく変わらない転職の場合、ポジションがより上位になると年収も上がる傾向にあります。
メンバー・チームや部門・プロジェクトいずれかのマネジメント経験があれば、応募書類でも面接でも積極的にアピールしていきましょう。マネジメント人数や案件数、実績につながった経験があれば、具体的に伝えると評価が高まります。
企業内弁護士の年収を左右するポイントとして、即戦力性が挙げられます。
現場に即したスキル・ノウハウを発揮してすぐ業務に取り掛かることができる人材には、未経験者や異なる分野に所属していた人よりも年収が高い傾向にあります。
前職が法律事務所の場合も同様で、応募先の業務内容と自身の得意分野が大きく異なる場合、有能な弁護士であっても戦力外と判断される可能性があります。
年収にこだわらなければ、得意分野と親和性が低い企業でも採用される可能性がありますが、転職直後の年収ダウンは免れられないと考えておきましょう。
企業内弁護士には、経営を推進しつつ法務リスクを取り除く動きが求められるため、法律知識に限らずビジネスセンスと知識が求められます。
近年、弁護士にとってインハウスローヤーは比較的メジャーなキャリア選択肢になっています。その結果、司法修習生や一般民事しか経験のない弁護士が企業内弁護士を志望するケースも多いです。
競争率が高まっているなかで、ほかの求職者と差がつくポイントとなるのがビジネスセンスと知識と言えます。これはすぐに身につくものではなく、ビジネスにかかわる経験が豊富なほど習得できるものです。
すでに事業会社に所属している場合は、経営会議に参加したりほかの事業部と関りをもつなどして、企業をよく知り経営推進の中心に入り込みましょう。
勤務弁護士の場合は顧問業務をうまく活用し、経営企画や事業企画における法務に対応した経験があると、評価される可能性があります。
四大弁護士事務所や準大手企業法務系法律事務所の就労経験がある弁護士であれば、以下の理由から高い年収が提示される可能性が高いです。
企業内弁護士として高い年収を得るためには、前職の実績を武器に転職市場に売り込みましょう。逆に上記に適応したアピールポイントがない場合は、現年収と同等かそれ以下の年収を提示される可能性があります。
自分のアピールポイントを熟知しているか否かが、転職後の年収を左右するといっても過言ではありません。アピールできることがなければ、現職から必要な経験を積んで転職の準備をおこないましょう。
弁護士は法律事務所はもちろん、ほか士業やコンサルティングファーム、事業会社など多方面で需要があり、キャリアパスが豊富です。
複数の選択肢がある状況で、企業内弁護士が選ばれる5つの理由を紹介します。
企業内弁護士の就労環境・就労条件は、基本的に一般社員と同様です。近年は残業時間や休日出勤に制限を設けている企業が多いため、ワークライフバランスを確保しやすくなっています。
法律事務所に勤務する弁護士はほとんどが業務委託契約で、労働時間に制限を設けず働いています。長時間残業・休日出勤が当たり前の弁護士も多いでしょう。
これに対して、企業内弁護士は労働基準法や企業内のルールに従って働くことになるため、過度な残業や連勤が発生することはほとんどありません。
むしろ企業側は従業員を安定して確保するために、特別休暇やフレックスタイム制などを設けて働き方の柔軟性確保に積極的です。
また、企業は法律事務所よりも福利厚生が充実している点も魅力として挙げられます。各種保険制度や結婚祝い金、各種手当、レクリエーション制度など、企業内弁護士は各企業が定める福利厚生の恩恵を受けることができます。
企業内弁護士に転職して年収が下がっても働きやすさや福利厚生にメリットを感じる場合は、企業勤務が向いていると言えるでしょう。
企業内弁護士は企業の雇用契約・労働契約に基づいて給与を受け取ります。成果報酬型の法律事務所と違って、年収は安定しています。
企業の給与テーブルに従った報酬制度は、急激に下がることもなければ急激に上がることもありません。昇給頻度が高かったり、個人の成果に応じて賞与がもらえたりする環境なら、年収アップを狙いやすいでしょう。
ただし業績連動型の賞与やストックオプションは、個人で操作しづらい報酬のため注意が必要です。
また、企業内弁護士は一般の従業員と同じように労働法制によって立場が保護されるので、就業規則の懲戒規程に該当するような事象が発生しない限りは職を失うことはありません。
年収や立場を安定させるなら、企業内弁護士がおすすめです。
将来的に起業や企業の役員や経営幹部を目指している弁護士にとって、企業内弁護士は実務経験の幅を増やすキャリアパスとして人気です。
企業内弁護士は、経営に関与しながら法務以外の仕事に触れる機会に恵まれます。これは顧問業に従事する弁護士には経験できない業務で、かつ組織の内情まで深く知ることができる立場です。
そして、法務目線と経営目線のバランスをとらなければならない難しい立場にあります。そのバランス感覚が磨かれると、市場価値が格段にアップします。
将来的なキャリアアップを想定しながら企業内弁護士を目指すと、目先の年収や立場に捉われない有意義な転職が実現するでしょう。
事業やサービスが多様化すると、連動して法務分野も多様化します。
弁護士業務に携わりながら、
と感じ始めて、企業内弁護士を目指す人も少なくありません。
法律事務所で働く場合、クライアントの業種や規模を選ぶことはできません。ある程度選定することはできても、特定の企業を継続して担当できるとは限りません。
特定のサービスや事業に興味がある場合は、その運営会社に転職することが一番の近道でしょう。
分野が限定されるデメリットもありますが、専門性が高まるというメリットもあります。長期的に携わりたいと思える分野なら、「やりたい」という理由だけも十分な転職理由になるでしょう。
企業内弁護士の需要と人気が高まる一方で、就職してから後悔するケースも散見されます。
企業内弁護士に転職・就職して後悔する代表的な理由を、3つ紹介します。
企業内弁護士に転職したことで、前職より年収が下がったり、年収が上がりづらかったりして後悔するケースがあります。
企業内弁護士は一般社員より高い年収を提示されることが多いですが、社内の年収水準から大幅に高い年収が提示されることはありません。一般的に事業会社よりも法律事務所のほうが年収水準が高いため、事業会社への転職で年収アップは実現しづらい状況です。
また事業会社の昇給制度は、昇給幅や年収の上限がある程度決まっているケースが多いです。そのため、急激な年収アップも叶いづらい側面があります。
「常に高い年収を得たい」「上限なく稼ぎたい」という弁護士には向かないキャリアです。
法律事務所で働く場合、クライアントの数だけ業務内容に多様性が生まれます。常に業務内容が変化し、飽きることはないでしょう。
これに対して企業内弁護士は企業の事業内容やサービスに即した範囲の法務のみ扱うため、どうしても業務に単調さを感じてしまいます。
企業内弁護士として働く以上は、日々の業務に楽しみを見出す努力をしたり、法務以外の業務にもチャレンジすることが大切です。
スタートアップの新規事業に参画すると、常に新しい法務局面に出会います。変化や目新しさを求めて、ベンチャー企業の法務に転職する弁護士も多くいます。
業務内容の単調さに不安がある場合は、企業規模や事業内容に着目すると飽きなく業務にあたることができるでしょう。
企業内弁護士しか経験したことがない人や、企業内弁護士として働いていた期間が長い人は法律事務所へのキャリアチェンジが難しくなります。
弁護士としての専門的な業務経験が希薄だと評価されてしまい、即戦力採用の対象から外れてしまうからです。弁護士数が増加傾向にあるため、わざわざ未経験を採用しなくても十分に人材を確保できるという背景もあります。
また弁護士歴は長いが弁護士業務の経験は薄い人材は、扱いづらいと判断されてしまう可能性が高いでしょう。
企業内弁護士を目指す場合は企業勤務を継続する覚悟を持つか、向き不向きの判断を早めにおこなうようにしましょう。就職・転職直後の対応を予想しておくことをおすすめします。
企業内弁護士に転職する方法を2つご紹介します。
企業内弁護士への転職方法は、知人の紹介がもっとも一般的です。
現在法律事務所に勤務している方であれば、クライアント企業や同僚、ロースクールや司法修習時代の同期などのコネクションを使って、転職活動をおこないます。
とくに顧問業務をとおして弁護士の利用価値を示すことで、企業からスカウトされることがあります。すでに関係値ができているため、条件交渉や内情把握がしやすいというメリットがあります。
一方で、辞退や早期退職がしづらいというデメリットもあります。企業研究を怠った結果、業務内容や風土が合わずに離職するケースもよくあります。
どれだけ親しい人からの紹介でも自分自身で調査をおこない、希望条件や経歴に見合った転職先かどうかをよく吟味しましょう。
弁護士特化の転職エージェント、とくに企業内弁護士の転職支援実績があるエージェントに登録すると、十分なサポートが受けられます。
転職エージェントは非公開求人を多数保有しており、ほかにはない求人に出会える可能性があります。また専門アドバイザーがサポートしてくれるので、余計な時間・労力を割くことなく自分のニーズに適し転職先を紹介してもらえるでしょう。
近年、弁護士業界でも特化型の転職エージェントが存在します。弁護士専門・士業専門・企業法務専門など、特化している分野はさまざまです。
企業内弁護士への転職だけを希望するのか、事務所への転職も検討するのか、など要件によって適当なエージェントは変化します。各転職エージェントの特徴をつかみ、自分に合ったエージェントを選択しましょう。
さいごに、企業内弁護士の転職に強いおすすめ転職エージェントを5社紹介します。
なお転職エージェントごとに扱っている求人やサービス範囲が異なるため、転職活動をスタートする段階では複数エージェントを併用し、相性次第で利用サービスを絞っていくことをおすすめします。
NO-LIMITは、弁護士・法務人材専門の転職エージェントです。企業内弁護士の転職支援実績が豊富です。
規模・業種さまざまな求人を保有していますが、なかでも日系大手やベンチャー企業のマネージャー以上のポジションが多めです。
海外案件に強い弁護士、法務立ち上げ経験がある弁護士、理系のバックグラウンドがある知財担当など、特殊な非公開案件も多数保有しています。
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企業内弁護士の転職支援実績が豊富なエージェントに登録すると、求人紹介から選考対策まで、適切なサービスが受けられます。転職活動を効率化し、成功率を高めるためにも、登録を検討してみてください。
弁護士・法務人材を専門にした、キャリアアドバイザー。法律事務所の経営、集客支援を経験したのち、事務所のほか事業会社の法務構築、企業内弁護士・法務人材の採用支援を開始。