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近年、スタートアップ企業を中心にCFOのニーズが高まっています。
転職市場では求人を見かける機会も増えたので、新たなキャリアとしてCFOを目指す方もいることでしょう。
しかし、CFOは幹部ポジションなので、一般的な職種と違って具体的にどうすればなれるのか、どんなスキルや知識を身につける必要があるのかなど不明瞭な部分が多いです。
そこで本記事では、CFOになるために必要なキャリアやスキル・能力・資格と、なるための具体的な方法について解説します。
CFOとは、Chief Financial Officerの略で、企業の財務を統括する最高責任者のことです。
以下では、役割と主な仕事内容、年収の目安について解説します。
CFOの役割は、経営幹部のひとりとして、企業のビジョンや目標に沿った財務方針を決めることです。
具体的には、売上や利益、キャッシュフローなどの財務指標を設定し、それらを達成するための施策を考えます。
また、株主や投資家などのステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、財務情報の透明性を確保することも重要な役割のひとつです。
CFOの仕事内容は、財務部門を統括し、財務戦略の策定・予算管理・資金調達・財務分析・リスク管理などをおこなうことです。
CFOの年収は、企業規模や企業の成長フェーズなどによって異なります。
外資系・日系グローバル企業への転職に強みをもつ人材紹介会社「ロバート・ウォルターズ・ジャパン」による「給与調査 2020日本」のデータによるとると、CFOの年収は東京の大企業で2,500万~6,000万円、中小企業で1,500万~2,500万円でした。
※参考:ロバート・ウォルターズ・ジャパン|給与調査2020日本p.35
ベンチャー企業で働くCFOの求人情報を確認すると、700万~1,500万円の範囲の求人が多い傾向です。
CFOになるには、どのような経験を積むとよいのでしょうか。
一般的なキャリアパスについて解説します。
管理部門で培ったスキルは、CFOとして財務戦略や資金調達、リスク管理などを担う際に役立ちます。
CFOには、会計基準や財務報告に関する基本的な知識やスキルが必要であり、管理部門で働くことで、これらの基本的なスキルを身につけることになります。
経理・財務では、会社の財務状況や業績を正確に把握し、報告や分析を行う能力が身につくでしょう。
一方、経営企画では、会社の戦略やビジョンを立案し、実行に移す力が身につきます。
また、CFOは財務だけでなく組織全体をマネジメントすることも求められるので、上記以外に人事や法務、広報など、管理部門全体の経験を積むとアピールできるスキルが増えるでしょう。
事業部門出身で、CFOになるというパターンもあります。
事業部門で働くことで、CFOになるための実践的なスキルを身につけることが可能です。
具体的には、市場や顧客のニーズを理解、商品やサービスを開発・販売する能力が身に付きます。
また、予算や目標を設定し、達成するための計画や施策を考える能力も培えます。
これらのスキルは、CFOとして会社の収益や成長を加速させるのに役立つでしょう。
監査法人の公認会計士をCFOとして採用する企業は、少なくありません。
公認会計士は、資格試験や監査業務を通じて会計基準や内部統制などに関する知識やスキルを身につけているので、その専門性が高く評価されます。
とくに、コンプライアンスやガバナンスを強化したいと考える企業からの評価ポイントになるでしょう。
また、公認会計士の業務の中でさまざまな業界や企業の実態に触れ、幅広い視野や洞察力が養われているという点も、CFOとしての活躍に期待される部分です。
コンサルティングファームを経て、CFOに就任するケースもあります。
コンサルティングファームでは、クライアントの課題や目標を把握し、最適な解決策や提案をおこなうスキルが磨かれます。
また、論理的思考やプレゼンテーション能力も求められます。
これらのスキルや能力は、CFOとして会社の変革やイノベーションを推進する際に役立つはずです。
金融機関や投資ファンド出身者は金融知識の専門性が高いことから、CFOに転身するケースがあります。
金融機関や投資ファンドでは、金融市場や経済環境を分析し、資金の調達や運用をおこなう能力や財務モデリング・評価などのスキルが必要です。
このようなスキルは、CFOとして会社の資本政策や投資判断をおこなう際に活用できます。
CFOになるために、スキルや能力を磨いておきたいと考える方も多いことでしょう。
CFOには多様なスキルや能力が求められますが、とくに以下のスキルや能力は不可欠です。
CFOは、自社の財務状況や業績を正確に把握し、報告する責任があります。
そのためには、会計基準や税務法規、財務諸表の作成や監査など、会計・財務に関する知識が不可欠です。
グローバル時代においては、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US-GAAP)に関する知識が求められる機会も多いでしょう。
また、M&Aや事業再編などの機会を見極めて実行するための知識や能力も必要です。
社内外のステークホルダーとの対話を円滑におこなうために、コミュニケーションスキルは必須です。
自分の考えや意見を明確に伝えるのはもちろん、相手の立場やニーズを理解し、説得力や信頼性をもって対話できるスキルが求められます。
また、外国語能力もグローバルなビジネス環境で活躍するためには欠かせません。
CFOは財務部門だけでなく、経理部門や人事部門など、さまざまな部門の管理・指導を行う役割も担います。
そのためには、メンバーを率いて目標達成に向けて動かす、リーダーシップとマネジメントスキルが必要です。
また、組織のパフォーマンスを高めるためには、人材育成やチームビルディングなどのスキル・能力も重要です。
自社の業界や市場に関する深い知識も必要です。
そのためには業界の動向や競合他社の戦略、顧客のニーズなどを常に把握し、分析する必要があります。
また、業界の変化に対応するためには、デジタルやAIなどの最新技術やトレンドにも敏感であることが大切です。
CFOは、自社のビジネス戦略への深い理解と経営者視点をもつことが求められます。
そのためには、自社の強みや弱み、市場環境などを正しく把握し、ほかの経営幹部と一体となってビジネス戦略を策定・実行することが必要です。
また、経営者視点ということは、単に財務的な観点だけでなく社会的な責任や倫理観も含めて判断することが求められます。
CFOには財務部門の責任者というだけでなく、強い推進力をもとに組織全体を変革に導くリーダーとしての役割が求められます。
そのためには、変化に対する柔軟性や創造性、問題解決能力などが必要です。
また、組織の変革にはリスク管理やコンプライアンスなどの安全性や信頼性も重要になるでしょう。
CFOは、これらのバランスをとりながら、組織の成長と発展に貢献できる人材であることが求められます。
CFOへの就任を目指して、資格の取得を検討することもあるかもしれません。
こちらでは、資格の必要性や保有者が多い資格の種類を解説します。
CFOに必要なスキルや知識を得る方法にも触れます。
CFOは資格がないとできない仕事ではないため、資格は必須ではありません。
何らかの資格を保有しているCFOは多いですが、CFOになるために資格を取得したというケースは多くありません。
基本的にはもともと実務で必要だったり、その資格の分野に興味があったりして取得しており、その先にCFOというキャリアがあったというパターンが多いです。
CFOが保有していることが多いのは、公認会計士やMBA、証券アナリストなどの資格です。
とくに公認会計士とMBAは保有しているケースが多く、CFOの求人でも資格保有者を歓迎することがあります。
証券アナリストは、証券会社出身のCFOが保有しているケースが多いです。
ほかに、FASS検定や一般社団法人日本CFO協会が認定するCFO資格認定などを受験しているケースもあります。
経理・財務畑出身の方では、実務での必要性から日商簿記検定をもっていたというケースも少なくありません。
CFOに必要な知識やスキルは幅広く、一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、キャリアの実現に向けて今からできることは多数あります。
たとえば、財務・会計などの基礎的な知識を身につけるのであれば、書籍やオンラインでの情報収集、セミナーへの参加などが考えられます。
資格は必要ではありませんが、知識を得るための手段として学ぶのもひとつの方法です。
コミュニケーションやプレゼンテーションのスキルを磨くためには、実践的なトレーニングが有効なので、今の仕事で意識するだけでもスキル向上につながります。
上司や同僚などから、アドバイスをもらうのも有効です。
ほかには、週末だけ起業する、副業でベンチャー企業の社員として働くなどして、経験を積むのも方法です。
座学よりも実際に働いてみることで、得られるものは大きいかもしれません。
ここからは、CFOになるための具体的な方法を解説します。
方法ごとのメリットとデメリットもお伝えします。
今の会社で評価を受け、昇進してCFOになる方法です。
この方法のメリットは、自社のビジネスや業界に詳しく、社内のメンバーともすでに信頼関係を築けているため仕事がしやすい点です。
転職するリスクをとらなくてよいので、安定感があるという点も挙げられます。
デメリットは、昇進するチャンスが限られていることや、社内の競争が激しいことです。
社内にとどまることで、自分のスキルや視野を広げる機会が限られやすい点も挙げられます。
新しい会社を立ち上げて、CFOになる方法です。
この方法のメリットは、自分たちのアイデアやビジョンを実現できることです。
また、創業メンバーになるので、事業が成功すれば大きな収入を得られる可能性もあります。
デメリットは、事業に失敗すれば大きな責任を負うことや、資金や人材の確保が難しいことです。
起業にリスクがともなう点は、押さえておく必要があります。
知人や友人などからの紹介で、他社のCFOに就任する方法です。
この方法のメリットは、紹介者の信用があることから書類選考などはないことが多く、面接までの選考がスムーズに進みやすい点です。
また、実際に働いている人から、応募先の情報や雰囲気を現場目線で聞けるのもメリットでしょう。
デメリットは、紹介者を信用するあまり、情報収集や判断が甘くなりやすい点です。
また、そもそも紹介してもらえるネットワークがなければ利用できません。
スカウト型サイトにプロフィールを登録しておき、企業からスカウトされてCFOに転職する方法です。
この方法のメリットは、自分で求人を探す必要がないことや、経歴によっては高い条件を提示される可能性があることです。
デメリットは、市場価値が高くなければスカウトされない場合があることです。
また、スカウトされた企業が本当に自分に合うかどうかはわからないので、企業研究はしっかりおこなう必要があります。
転職エージェントに相談して、CFO求人に応募する方法です。
CFOは経営上重要なポジションなので、求人情報が一般公開されないことが多いですが、転職エージェント経由なら非公開の求人にもアクセスできます。
面接や交渉などのサポートを受けられる点もメリットです。
ただし、転職エージェントの提案に流されないよう、自分の判断基準や軸をもつ必要があります。
最後に、CFO求人を扱っている転職エージェントを紹介します。
ハイスタ会計士は公認会計士やUSCPA、試験合格者に特化した転職エージェントです。
会計士業界に詳しいため、会計士の知識やスキルを活かせる最適なキャリアを提案してもらえます。
公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/
MS Agentは管理部門、士業特化型の転職エージェントです。
特化型として30年以上の実績がある老舗のエージェントなので、管理部門や士業のキャリアに詳しく、CFOやCFO候補の求人も豊富にあります。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
CFOになるには資格は必須ではなく、特定のキャリアが必要というわけでもありません。
しかし、会計・財務の知識から始まりコミュニケーションスキルやリーダーシップ、経営者視点まで多様な能力が求められます。
CFOになる方法としては、昇進や起業、スカウトでの転職が挙げられます。
ほかにも転職エージェントを利用する方法があり、リクルーターにサポートしてもらいながら転職活動が可能です。
また、非公開求人への応募ができるようになります。
CFOとして働ける会社の候補数を増やせて、自分に合った職場を探しやすくなるでしょう。
転職を考えてる方は、転職エージェントの利用を検討してみてください。