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スペシャリストとゼネラリストの違いと時代の変化。適性があるのは?

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スペシャリストとゼネラリストの違いと時代の変化。適性があるのは?

自身のキャリアプランを策定する際、スペシャリストを目指すべきかゼネラリストを目指すべきか考えることがあるかもしれません。どちらも企業にとって欠かせない人材ではあるものの、時代にともないその役割や価値は変化してきています。

この記事ではスペシャリストとゼネラリストをテーマに、両者の意味や違いについて解説します。それぞれを目指すメリットとデメリット、適性判断の考え方なども紹介します。

目次

スペシャリストとゼネラリストの定義と特徴

「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」の言葉の意味や特徴を解説します。

スペシャリストとは

スペシャリストとは、特定の分野や領域において高度な知識や技能を持ち、専門的な業務を行う人のことです。スペシャリストは、その分野に関する問題を解決する能力や、専門的な知見を提供することができます。

スペシャリストになることで、競争力の高い市場で優位に立つことや、高い報酬を得ることが可能です。一方、自分の分野以外ではその知識やスキルを発揮できず、環境の変化に対応する柔軟性が低い場合があります。

ゼネラリストとは

ゼネラリストとは、幅広い分野や領域において基礎的な知識や技能を持ち、多様な業務を行う人のことです。

ゼネラリストは、異なる分野を結びつける能力や、多角的な視点を持っています。また、変化に対応する柔軟性が高く、幅広い人脈を築くことが可能です。

一方、特定の分野で突出した知識や技能がないため、自分の価値をどのように示すのかが難しい部分があります。そのため、場合によっては報酬が低くなります。

スペシャリストとゼネラリストの違い

スペシャリストとゼネラリストの違いについて、「スキルや資質」「出世や転職のしやすさ」「雇用契約」の3つの視点から解説します。

求められるスキルや資質の違い

スペシャリストとゼネラリストでは、それぞれに求められるスキルや資質が異なります。

スペシャリストに求められるスキルや資質

スペシャリストに求められるのは、まずは高度な専門性です。自分の分野に関する専門的な知識や技術は、スペシャリストであることの証となります。専門性を高めるためには、特定分野に関する最新の情報を常に追求し、研究や学習を継続的に行うことが必要です。

スペシャリストには、創造性も求められます。自分の分野において新しい発見やアイデアを生み出し、それを形にする能力です。創造性を発揮するためには、既存の枠組みにとらわれず、柔軟な発想や視点を持つことが欠かせません。

さらに、自分の分野に関する知識や技術を他者に伝えるための説得力も必要なスキルです。説得力を持つためには、自信や情熱を持ち、論理的かつわかりやすく話すことが必要です。

ゼネラリストに求められるスキルや資質

ゼネラリストに求められるのは、幅広い知識や経験、コミュニケーション力や交渉力、柔軟性や適応力などです。特に、さまざまな状況や変化に対応できる柔軟性と、他者と協力して業務を遂行できるコミュニケーション力は、優秀なゼネラリストが必ず備えています。

また、自分が持つスキルや知識を統合して問題を解決する力も必要となります。そのためには広く浅く知識を身につけるだけでなく、それらを関連づけて応用できなければなりません。

出世や転職のしやすさ

スペシャリストとゼネラリストでは、出世や転職のしやすさも異なります。

転職・就職に強いのはスペシャリスト

スペシャリストは、自分の専門分野で高い評価を得られることが多く、求人市場では常に需要があります。そのため、転職や就職に強いです。

しかし、専門性が高すぎて自分の専門分野以外のことに疎い場合は、その分野が時代の変化によって需要が減った際に対応できません。また、自分の専門分野以外でのキャリアを築くのが難しいため、キャリアの幅が狭まることもあります。

社内出世で有利なのはゼネラリスト

ゼネラリストは、さまざまな業務や役割に対応できることが多いため、社内出世で有利です。そのコミュニケーション力を発揮して、人間関係やネットワークを広げられるという点でも社内出世で有利にはたらきます。

しかし、専門性が低すぎると他者との差別化が難しくなり、競争力や市場価値が低くなります。そのため転職では不利にはたらくことがあります。転職する際には、自分の強みや成果を明確にしてアピールすることが大切です。

雇用契約の違い

日本の企業では、スペシャリストとゼネラリストで雇用契約の種類を明確に分けるケースはそれほど多くありません。しかし実際に契約内容を見ると、「ジョブ型雇用」または「メンバーシップ型雇用」を前提とした契約になっているケースが多くあります。

ジョブ型雇用

スペシャリストは、ジョブ型雇用と呼ばれる契約形態になることが多いです。

ジョブ型雇用とは、従業員が特定の職務や役割を担当することを前提とした契約を指します。欧米では一般的な雇用契約です。

ジョブ型雇用では、従業員は自分の職務に責任を持ち、その分野において成果を出すことが求められます。

メンバーシップ型雇用

ゼネラリストは、メンバーシップ型雇用と呼ばれる契約形態になることが多いです。

メンバーシップ型雇用とは、従業員が組織の一員として所属することを前提とした契約を指します。日本で主流の雇用契約です。

特定の職務や役割に限定されないため、異動によって入社時から部署が変わることもおおいにあり得ます。

スペシャリストとゼネラリストの時代的な変化と需要

スペシャリストとゼネラリストは、時代とともにその役割や需要が変わりつつあります。

スペシャリストとゼネラリストの役割と価値が変化

日本でスペシャリストというと、「その仕事をするために特定の資格を持った人」のみを指すことが多くあります。たとえば医療系専門職や独占業務を持つ士業などが代表的です。

それ以外の人材を採用する場合、日本では「採用した人に業務を割り当てる」という考え方が長らく主流でした。つまりはゼネラリスト(メンバーシップ型雇用)を採用するというのが基本的な考え方だったのです。

しかし近年では社会や経済の変化に対応するために、スペシャリストとゼネラリストの役割と価値が変化してきています。

日本でゼネラリストが多く育成された背景

ゼネラリスト、すなわちメンバーシップ型雇用は世界的に見ると珍しい雇用契約ですが、日本では長きにわたって主流でした。その背景には、高度経済成長期における企業の組織的な発展と、終身雇用や年功序列制度によるキャリアパスの固定化があります。

以前の日本は新卒一括採用が基本で、定年するまで転職しないことは一般的でした。キャリアパスは固定化されており、スキルよりも年齢を重ねた人が高い役職や報酬を得ることができた時代です。

そうした中で、特定の分野や技術に特化するよりも幅広い知識や能力を身につけて、企業内でさまざまな役割をこなすゼネラリストが多く育成されてきました。

コロナ禍や同一労働同一賃金による需要の変化

しかし、コロナ禍や同一労働同一賃金の開始により、日本でもスペシャリストとゼネラリストの需要が変化しています。

コロナ禍では、オンライン化やデジタル化が加速し、新しいビジネスモデルやサービスが生まれています。これに対応するためには、特定の分野や技術に精通し、高い付加価値を提供できるスペシャリストが求められます。

同一労働同一賃金では、正社員と非正社員の間の賃金格差を是正することを目的としています。これにより、正社員だけでなく非正社員も自分の専門性や能力をアピールする必要があります。

企業側は人材の採用や配置において、年齢や職歴ではなく個人の実力やスキル、適性を重視する傾向が強まっています。これらの変化により、日本でもスペシャリストへの需要が高まっています。

スペシャリストとゼネラリストは両方必要

スペシャリストの需要が高まったとはいえ、決してゼネラリストが不要になったということではありません。

ゼネラリストはさまざまな分野や技術を統合したり、異なる部門や組織をつなげたりする役割を果たします。また、ゼネラリストは変化に対応する能力や柔軟性を持ち、新しい分野や技術に挑戦する姿勢があります。

こうした資質はスペシャリストにも必要なものであり、スペシャリストを活かすためにもゼネラリストの存在は欠かせません。つまり現代の社会や経済においては、スペシャリストとゼネラリストの両方が必要であり、個人も企業もそのバランスを見極めることが重要です。

これからの時代に必要なのは「T型人材」やその発展系

これからの時代に必要なのは「T型人材」や、その発展系である「Π(パイ)型人材」「H型人材」だという指摘もあります。

T型人材は、専門分野において優れた知識や経験を持つスペシャリストと、幅広い知識で多角的な視点を持つゼネラリストの2つの要素を併せ持っています。

Π型人材は2つ以上の専門分野を極めた希少性の高い人材で、ダブルメジャーと呼ばれています。H型人材は、自らが特定の分野を極めているだけでなく、別分野の専門家と横のつながりを築ける人材です。

これらの人材は、異なる分野や技術の融合によってイノベーションを起こすことができます。

スペシャリストとゼネラリストに向いている仕事

ここでは、スペシャリストとゼネラリストにはどんな仕事が向いているのかについて、具体的な職種名を挙げながら解説します。

スペシャリストに向いている仕事

スペシャリストに向いている仕事は、その分野や領域に関する高度な技術や知識が求められるものや、それらに対する深い理解や分析が必要なものです。

たとえば、医師や研究者、エンジニア、料理人や経理などがスペシャリストに向いている仕事と言えます。

これらの仕事では、自分の専門分野において高いレベルのパフォーマンスを発揮し、信頼や評価を得ることができます。

ゼネラリストに向いている仕事

ゼネラリストに向いている仕事は、その分野や領域に関する広い視野や柔軟性が必要なものや、さまざまな人や組織と連携や調整が求められるものです。

たとえばマネージャーやコンサルタント、マーケティングや営業などがゼネラリストに向いている仕事です。総務や秘書、カスタマーサポートなどのバックオフィスもさまざまな人とコミュニケーションを取りながら円滑かつ効率的に業務を進めることで、組織のサポート役として活躍できるでしょう。

ゼネラリストは、自分の持つ多様な知識や技能を活用して多くの場面で対応し、価値を提供することができます。

スペシャリストとゼネラリストを目指すメリット・デメリット

キャリアの方向性を定めるうえで、スペシャリストとゼネラリストのどちらを目指すべきなのでしょうか。それぞれを目指すメリット・デメリットを整理してみましょう。

スペシャリストを目指すメリット・デメリット

スペシャリストを目指すメリットは、専門性が高いため市場価値が高く、需要が大きい仕事に就けることです。前述した通り就職や転職に向いているほか、独立開業という選択肢もあります。

仕事を通じて自分の得意分野に深く没頭できるため、やりがいや充実感を感じることもできるでしょう。また自分が得意な分野での専門知識や技能を活かして、社会に貢献できることもメリットです。

デメリットとしては、専門分野以外の知識や技能が乏しくなりがちで、柔軟性や応用力が低下する可能性があることです。またその専門分野に関する変化に対応できないと、時代遅れになりやすいこともデメリットでしょう。

極めた専門分野で需要があるうちはよいのですが、需要がなくなった場合に転職で困る可能性があります。専門分野に偏りすぎることで視野が狭くなり、コミュニケーション力や協調性に乏しい人材になる可能性も否定できません。

ゼネラリストを目指すメリット・デメリット

ゼネラリストを目指すメリットは、幅広い知識や技能があるため、多様な仕事に対応できることです。柔軟性や応用力が高いことで、時代の変化にも対応しやすいでしょう。異なる分野や領域の人とコミュニケーションを取ったり協調性を発揮したりすることも可能です。

デメリットとしては、専門性が低いため競争力が低く、需要が小さい仕事に就くことになる可能性がある点です。転職の際には、「何をできる人か」を適切にアピールしないとうまくいかないことが多いでしょう。また仕事においては自分の得意分野がはっきりしないため、やりがいや充実感を感じにくいことがあります。

スペシャリストとゼネラリストの適性

自分がスペシャリストとゼネラリストのどちらに向いているのか、わからない方も多いことでしょう。適性を知るために、それぞれに向いている人の特徴やタイプを解説します。

スペシャリストに向いている人

スペシャリストに向いている人は、以下のような特徴を持っています。

興味や関心が深く、ひとつのことに集中して研究するのが好き

このような特徴がある人は自分の興味の対象に没頭し、独自の成果や貢献をしやすいため、スペシャリストに向いています。たとえば医療や法律、工学など、専門家として高いレベルの知識や技術が求められる分野で活躍できます。

細かいことにもこだわり、正確さや完璧さを求める

このようなタイプの人は仕事でも細部にまで注意を払い、品質や信頼性を高めることができます。たとえば経理や翻訳、校正などの仕事で能力を発揮しやすいでしょう。

自分の分野において最新の情報や動向に敏感で、常に学び続ける

たとえばITや金融、医療などの分野では、日々新しい知識や技術が生まれます。このような分野で競争力を保つためには、常にアップデートされた情報やスキルを身につける必要があるため、学び続ける姿勢がある人は向いています。

自分の知識やスキルを活かして信頼や評価を得ることにやりがいを感じる

たとえば教育やコンサルティング、芸術などの分野では、自分の知識や技能を他者に伝えたり提供したりします。このような分野で活躍する人は、自分の専門性が認められたり感謝されたりすることで満足感や達成感を得られるでしょう。

ゼネラリストに向いている人

ゼネラリストに向いている人は、以下のような特徴を持っています。

自分の興味や関心が広く、色々なことにチャレンジするのが好き

このような特徴がある人は、たとえば営業やマーケティング、企画などの仕事に向いています。これらの職種ではさまざまな業界や顧客と関わり、新しいことに挑戦し、多彩な経験や知見を得ることにやりがいを感じられます。

大まかなことで満足し、柔軟さや効率さを求める

細かいことにこだわらず、状況に応じて柔軟に対処する人はゼネラリストタイプです。たとえば管理職やプロジェクトマネージャーなどの仕事に適性があります。全体的な流れや目標を把握し、適切な判断や対応をすることができます。

他者と協力や交流をすることにやりがいを感じる

他者を支えたり、協力したりして成果を出すことにやりがいを感じる人はゼネラリストに向いています。たとえばイベントやセミナーなどの企画や運営では、さまざまな人と協力したり交流したりします。このような仕事では、他者の役に立つことや楽しませることで喜びや充実感を得ます。

スペシャリストとゼネラリストを選択するポイント

自分のキャリアの方向性を定めるうで、スペシャリストとゼネラリストのどちらを選ぶべきか迷ったら、以下のステップで考えましょう。

経験の棚卸しや業界分析を通じて現状を把握する

まずは自分が今どのようなスキルや知識を持っているか、スキルや経験の棚卸しをしましょう。また、自分が興味のある業界や職種ではどのような人材が求められているか、客観的に分析することも大切です。

自分の強みや弱み、市場のニーズやトレンドを理解することで、自分に合ったキャリアパスを見つけやすくなります。

自分の志向や目標を明確にする

スペシャリストとゼネラリストの違いは、専門性と多様性のバランスにあります。

自分はどちらに魅力を感じるか、また、自分が将来どのような役割や責任を担いたいか、明確にすることが重要です。

メリットとデメリットを踏まえて選択肢を比較する

前述の通り、スペシャリストとゼネラリストは、それぞれにメリットやデメリットがあります。自分が選ぶことで得られるものや失うものは何か、ほかの選択肢はないか、将来的に変更することはできるかを検討してみましょう。

自分の目指すキャリアパスに合わせて、メリットとデメリットを比較してみることが必要です。

必要な経験や知識を積み上げる

方向性が定まったら、そのキャリアに必要な経験や知識を積み上げていきます。

スペシャリストになるには、ひとつの分野に集中して学び続けることが必要です。資格の取得や研修の参加など、自己投資を惜しまない姿勢が欠かせません。

ゼネラリストになるには、幅広い分野に関心を持ち、積極的にチャレンジすることが必要です。異業種交流や異動希望など、自ら機会を作る姿勢を持ちましょう。

はじめは目の前の仕事に集中することも大切

社会人経験が少ない人材は、スペシャリストを目指すのかゼネラリストを目指すのかを決めるよりも、まずは目の前の仕事に集中して成果を出すことも大切です。

スペシャリストでもゼネラリストでもない状態では、社会人としての基礎的なスキルや知識を身につけることを優先させましょう。仕事に慣れてきたら、自分の興味や適性を探りながら、スペシャリストかゼネラリストかを決めていくことができます。

まとめ

スペシャリストとゼネラリストは求められるスキルや資質、転職や出世のしやすさ、雇用契約などの違いがあります。

どちらも企業にとって必要な人材であるため、自身の適性にあったほうを選びましょう。T型人材やH型人材など希少性の高い人材にも注目です。

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BackOfficeDB編集部
この記事の執筆者
BackOfficeDB編集部
こんにちは。BackOfficeDB編集部です。 私たちは、管理部門に関する情報発信を専門にしています。 業務効率化や、各職種のキャリアプラン、スキルアップなど、管理部門の様々なお悩みにお答えします。