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事業活動を継続するうえで、顧問税理士は非常に重要な存在です。
というのも、顧問税理士は、節税対策や補助金制度などのアドバイスだけでなく、税制面の観点から事業活動に対するコンサルティングも期待できるからです。
とはいえ、顧問税理士との信頼関係に亀裂が入ったり、顧問料に不満を抱いたりすると、現在契約中の顧問税理士との契約を見直して、顧問先の変更や企業内税理士の採用を検討せざるを得ない場面にも迫られるでしょう。
そこで本記事では、顧問税理士を変更するタイミングや税理士を変更する際の注意点、企業内税理士を採用するメリット・デメリットなどについて分かりやすく解説します。
現在契約中の顧問税理士の変更を検討している経営者や経理財務担当者は、ぜひ最後まで参考にしてください。
顧問税理士との関係性に問題が生じたり、自社の経営方針の転換によって税理士に対するニーズに変化あると、顧問税理士の変更を検討しなければいけません。
ただし、顧問税理士を変更するタイミングについては慎重な判断が必要です。というのも、顧問税理士の変更タイミングを誤ると、税務処理などの面で支障が生じかねないからです。
まずは、顧問税理士を変更するのに適した4つのタイミングを紹介します。
全ての法人は、確定申告を済ませた後、「決算日(事業年度終了日)の翌日から2ヶ月以内」に法人税申告書を提出しなければいけません。
そして、決算・確定申告・法人税申告書を提出するためには、膨大な書類を整理するなどの作業が必要です。通常、決算の3ヶ月前~法人税申告書を提出するまでの間は、税理士は決算準備のために奔走します。この期間中に顧問税理を変更すると、決算や確定申告にミスが生じたり、法人税申告書の提出が間に合わなかったりしかねません。
言い換えれば、法人税申告書を提出した直後であれば、新しい事業年度がスタートしたばかりなので、税理士を変更しても税務申告などの業務への影響は少ないと考えられます。
たとえば、決算期が3月末なら6月頃、決算期が9月末なら12月頃が、顧問税理士を変更する絶好のタイミングです。
そのため、顧問税理士の変更を検討しているなら、法人税申告書を提出するタイミングで顧問税理士を切り替えられるように準備を進めておくとスムーズでしょう。
税務調査では、確定申告や法定調書の内容に誤りがないか確認されます。
つまり、税務調査が無事に終了した場合や、税務調査で指摘を受けて修正申告などを終えた場合には、その時点における企業の税務処理などについて一切問題がないことが確定するということです。
ですから、税務調査が終了した直後は引き継ぎなどの負担が少ないので、顧問税理士を変更する良いタイミングだと考えられます。
税務調査が入るか否か、どの時期に税務調査が入るかどうかは、税務署の裁量次第です。顧問税理士の変更を検討している状況において、税務署から税務調査について予告されたときには、税務調査終了後に顧問税理士を変更できるように準備を進めると良いでしょう。
企業規模が拡大するとき、事業活動を大幅に転換するとき、経営者が変更するときなど、会社のあり方が現在から大幅に変更するケースでは、顧問税理士の変更を検討するタイミングと考えられます。
そもそも、顧問税理士を選ぶときには、事業内容、企業の規模、税理士事務所のノウハウなどを総合的に考慮して、自社との相性の良い税理士と契約をしているはずです。
ですから、企業規模が拡大すると、現在契約中の顧問税理士には充実した税務サービスを提供できない可能性があります。
企業規模の拡大や事業活動の転換について計画が進み始めた段階で顧問税理士に対応可否を問い合わせたうえで、満足のいく回答を得られないときには、顧問税理士を変更しても問題ないでしょう。
現在顧問契約中の税理士との相性が悪いと感じているのなら、顧問契約満了・顧問契約更新時期のタイミングで顧問契約を切ってしまうのも選択肢のひとつです。
顧問契約が終了する前の中途半端な時期で契約解除の申し入れをすると、税理士との関係が悪化して、書類の返却などの引き継ぎ業務がスムーズに進まないなどのリスクが生じかねません。
顧問契約書に記載されている顧問契約の期間・顧問契約の更新などに関する事項を確認したうえで、穏便な形で顧問契約を終了させましょう。
顧問税理士を変更する際の手続きの流れを紹介します。
変更するタイミングや手続きの流れを誤ると、決算準備業務などへ支障が生じかねないので、順番を守りながら円滑な変更手続きを実践してください。
顧問税理士の変更を検討しているときに最初にするべきことは、今の顧問税理士との間で締結した顧問契約の内容の確認です。
顧問契約書には、契約更新に関する事項や、中途解約に関する事項などが記載されています。
顧問税理士との間の契約内容次第では、契約更新しない旨の申し入れの時期、契約解除のタイミングが指定されているケースも少なくありません。また、所定の期間外で契約解除をすると違約金の支払い義務が生じることもあります。
顧問契約満了までの期間、違約金の有無などの事情を総合的に考慮して、顧問税理士を変更するタイミングを決めましょう。
顧問税理士を変更するタイミングが決まったら、スムーズに税務処理の引き継ぎを進めるために、すぐに新しい顧問税理士を探し始めてください。
顧問税理士を選ぶときには、いくつかの税理士をピックアップしたうえで、各税理士事務所の実績・対応業務・顧問料などについてヒアリングを実施するのがおすすめです。
その際には、現在の顧問税理士の業務状況や変更を検討している理由などを併せて申し添えると、先方から丁寧な回答を期待できます。
顧問契約の切り替えのタイミングや顧問料などの諸条件について擦り合わせをしたうえで、現在契約中の顧問税理士との解約手続きと新しい顧問税理士との契約手続きを同時並行で進めましょう。
顧問税理士を変更するタイミングと新しく顧問契約を依頼する税理士が決定したら、現在契約中の顧問税理士に契約解除の旨を伝えましょう。
契約解除の意思表示は必ず書面でおこなってください。電話や口頭で契約解除を申し入れることも可能ですが、書面という形で証拠が残っていなければ、後から税理士との間でトラブルが生じる可能性もゼロではないからです。
また、顧問契約を解除する旨を伝えるときには、できるだけ丁寧な姿勢を意識するのもポイントです。顧問契約解除の際に相手方との関係に亀裂が入ると、業務の引き継ぎに協力してもらえないリスクが生じかねません。
たとえば、現在の顧問税理士の力量に疑問が生じたり、高過ぎる顧問料に不満を抱いていたりしたとしても、契約解除の理由にこれらの事実をそのまま伝えるべきではないでしょう。
相手方が気分を害さないような建前の理由を用意して、スムーズに契約解除手続きが進むように工夫を凝らしてください。
現在契約中の顧問税理士との間で契約解除の件について合意が形成された後は、顧問税理士が保管している自社のデータ・書類を全て返却してもらいましょう。
返却対象の主な書類は、以下のとおりです。
現在の会計年度に関する書類だけではなく、過去の事業年度で使用した書類もすべて返却を求めてください。引継ぎをした新しい顧問税理士の業務には、最低でも過去3期分のデータなどが必要になるからです。
なお、現在契約中の顧問税理士が解約や書類返却に応じてくれないときには、当該税理士が所属している税理士会まで問い合わせをしてください。税理士会の紛議調停制度を活用すれば、顧問契約の解約手続きなどを円滑に進めることができるでしょう。
顧問税理士を変更する際の注意点を3点紹介します。
顧問税理士を変更する際には、事前に丁寧なスケジュールを立ててください。
そもそも、顧問税理士との解約手続き・契約手続きは1日だけで簡単に終わるものではありません。
たとえば、現在の顧問税理士との契約を解除するタイミングを決定するだけでも、決算期・顧問契約の残り期間・新しい税理士との顧問契約をスタートさせたい時期など、諸般の事情を総合的に考慮する必要があります。
また、新しく顧問契約を締結する税理士を決めるためには、複数の税理士事務所を見比べる作業が不可欠です。場合によっては、相当数の税理士と直接面談する時間を作る必要にも迫られるでしょう。
さらに、「現在の税理士との顧問契約の終期」と「新しい税理士との顧問契約の始期」との間に隙間があると、顧問税理士がいない状態が発生します。税務について相談できる専門家が存在しないというのは事業活動にとって不利益でしかないので、契約切り替えのタイミングを慎重に設定しなければいけません。
以上のように、顧問税理士を変更する際には数々のタスクを同時並行的に進めなければいけないので、必ずスケジュールを作成したうえで、予定通りに手続きを進めていきましょう。
顧問税理士を変更するときには、契約が切れる顧問税理士に預けている書類を全て回収するようにしてください。
なぜなら、新しく顧問契約を締結する税理士が税務処理などを実施するには、最低でも過去3期分の諸データが必要になるからです。回収忘れの書類があると、新しく契約を締結する顧問税理士がスムーズに仕事を進めることができません。
なお、契約を解除する旨を伝えた途端、態度を急変させて、書類の返却などに応じてくれないケースが散見されます。
顧問税理士との関係が悪化しないように解除の旨を伝えるなどの配慮をすると同時に、万が一、先方が書類の返却手続きなどに非協力的な姿勢を見せたときには、速やかに税理士会や顧問弁護士などに相談してください。
顧問税理士の変更を検討する際には、「なぜ顧問税理士を変更する必要があるのか、原因は何か」を整理する必要があります。
なぜなら、顧問税理士を変更する理由が明確でなければ、新たに顧問契約を締結するべき適任の税理士を見つけることができないからです。
たとえば、現在の顧問料に不満があるなら、今よりも安い顧問料を提示してくれる税理士事務所へ優先的に問い合わせをするべきでしょう。
また、大きな節税効果を享受できていない点を問題視しているのなら、企業の節税ノウハウが豊富で税務コンサルティングサービスを提供しているような税理士法人に顧問契約を打診するのも選択肢のひとつです。
さらに、税理士の人柄や連絡頻度、コミュニケーション能力に疑問があるなら、経営陣や経理担当者との相性が良さそうな税理士と出会うしかありません。
このように、顧問税理士を変更する理由次第で、どのような税理士との間で顧問契約を締結するべきかの基準が変わるのが実情です。顧問税理士の変更を検討しているのなら、最初に現在の顧問税理士が抱える問題点をピックアップすることから始めましょう。
従来、「企業の事業活動を税務面からサポートするのは顧問税理士」という考え方が主流でした。
どの企業も外部の税理士・公認会計士と顧問契約を締結し、日常的な経理処理、決算・監査業務、税務面からのアドバイザリーなどのサービスを受けてきました。
ところが近年、外部の税理士と顧問契約を締結するスタイル以外に、税理士資格保有者を直接企業に雇用して経理部門・財務部門に登用する動きが強まっています。この形態の税理士は、「企業内税理士(社内税理士/インハウス税理士)」と呼ばれます。
ここからは、税理士の変更を検討している経営者や経理担当者のために、企業内税理士を採用するメリット・デメリットなどについて分かりやすく解説します。
税理士資格保有者を採用し、「企業内税理士」として働いてもらうメリット3点について解説します。
社内に税理士資格を保有する人材がいると、税務業務・経理業務の質が向上することを期待できます。
企業の事業活動は、経理や人事、法務などのバックオフィス部門によって支えられているといっても過言ではありません。
企業内税理士がいれば、領収書の処理・インボイス制度への対応・給与計算などの日次業務だけではなく、決算業務などの業務に至るまで、社内の人員のみによって対応することが可能になります。
また、税理士資格保有者が経理部門・財務部門などの管理職に就けば、経理部員などへの教育訓練も実施してくれるので、バックオフィス部門全体のスキル向上も望めるでしょう。
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿って納税義務者の信頼に応え、租税に関する法令に規程された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする職業です。
この税理士の理念は、独立開業している税理士だけではなく、企業内税理士として働く人物にも適用されます。
そのため、企業内税理士を雇用すれば、当該企業が脱税・粉飾決算などの違法行為をしていないことの証明になると考えられます。
たとえば、企業の信頼度が上がれば、設備投資の必要に迫られたときにも、金融機関から融資を受けやすくなるでしょう。
また、企業ブランドに対するイメージが良くなるので、商品などの売上も向上するはずです。さらに、投資家からの信頼も厚くなれば、株価の上昇・株式の長期保有も期待できます。
顧問税理士と契約をしている場合、社内で税務関係の問題点やトラブルが生じたとき、その都度税理士事務所に問い合わせをして判断を仰がなければいけません。顧問税理士は複数のクライアントを抱えているので、スピーディーに回答をもらえないことも多いでしょう。
これに対して、企業内税理士は雇用されている企業のためだけに税務スキルをフル動員してくれるので、社内で税務面での疑問点が生じたとしても、その場ですぐに解決してくれます。
企業が業績を向上させるには、営業部門などのフロントオフィス部門が売上を増やすだけではなく、経理部門などのバックオフィス部門が作業効率を高めることも重要です。企業内税理士はバックオフィス部門の業務効率化におおいに役立つでしょう。
企業内税理士は会社のバックオフィス部門に大きなメリットをもたらす存在ですが、唯一のデメリットが人件費です。
企業の規模や顧問契約を締結する税理士事務所の報酬体系にもよりますが、一般的な顧問税理士の報酬は1ヶ月1万円~5万円程度とされています(「第6回税理士実態調査報告書」日本税理士会連合会)。
これに対して、企業内税理士を雇用する場合、他の社員と同じような給与水準で毎月賃金が発生するだけではなく、厚生年金保険料や福利厚生などの負担も生じます。企業内税理士に対していくらの給与を支払うかは企業側の判断次第ですが、最低でも企業内税理士ひとり当たり月収数十万円の人件費は避けられません。
もちろん、企業内税理士を採用することで「バックオフィス部門の健全化」という金銭的価値に変換しがたいメリットは生じるものの、人件費の増額に耐えられない経営状況なら、企業内税理士の採用には慎重であるべきでしょう。
さいごに、顧問税理士の変更を検討している経営者の方のために、税理士を採用できるサービスを紹介します。
ハイスタ税理士は、会計士・税理士・経理人材の紹介に特化しており、会計・財務・経理のプロを即戦力採用できる点が魅力です。
ハイスタ税理士を利用するメリットは以下のとおりです。
自社のみだけで採用活動を展開しても、そもそも求職者が応募してくるとは限りません。仮に求職者がやってきたとしても、企業側が求める人材像とマッチしていなければ時間・労力が無駄になってしまいます。
ハイスタ税理士を活用すれば、転職エージェントが企業側のニーズを汲み取って求人像を明らかにしてくれます。そのうえで、求職者の中から採用要件にマッチした人材を選出してくれるので、効率的に採用ミスマッチのない即戦力の採用に至るでしょう。
公式サイト:https://hi-standard.pro/tax/recruitment/
MS Agentは、管理部門・士業の採用サポートをしてくれる転職支援サービスです。
管理部門・士業特化型の人材紹介会社として30年間の実績を誇るサービスで、独自のノウハウや登録者獲得ルートを武器にして、各企業のニーズに応じた人材を紹介してくれます。人材紹介サービスと求人掲載の両サービスを併用できるので、急ぎの採用活動にも対応してくれるでしょう。
また、各企業に対して担当コンサルタントが求人内容を把握して、求人ニーズに合う登録者へアプローチをし、候補者と企業の間の意思疎通をサポートしてくれるのも魅力のひとつです。面談期日の調整や給与条件などもコンサルタントが仲介してくれるので、採用活動のために会社側が労力を割く必要もありません。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/corporate/
REXアドバイザーズは、公認会計士・税理士が推奨する転職支援サービスです。
会計・税務業界専門のプロのコンサルタントが、公認会計士・税理士・日商簿記有資格者を中心とする求職者にリーチをして、人材をマッチングしてくれます。完全成功報酬型で、応募から成約までの全ステップの徹底サポートを期待できます。
レックスアドバイザーズの最大の魅力は、専門知識・会計業界の動向を知り尽くしているプロのコンサルタントが、クライアント企業の成長フェーズや事業所規模、採用ニーズを把握して、採用ミスマッチのない人材を紹介してくれる点です。
創業期・成長期・成熟期・既存衰退期ごとに企業内会計士に求められる役割は異なり、これを理解しているコンサルタントが適切なスキルをもった人材をピックアップしてくれるでしょう。
公式サイト:https://www.career-adv.jp/request2/
ジャスネットキャリアは、公認会計士や税理士などの有資格者、会計・税務・経理・財務分野での活躍を期待されているビジネスパーソンの採用を支援している人材紹介サービスです。
日本最大級を誇る会計プロフェッションのネットワークと充実したノウハウを活かして、企業が抱える潜在的な課題を解決を期待できます。
ジャストネットキャリアでは、募集背景・業務内容・求人像・社風・過去の採用人材の傾向などを担当エージェントが聞き取ってくれるので、求人要件が明確化されます。そのうえで、スキル・経験だけではなく、人柄や考え方などの多様な視点から、採用ミスマッチリスクの少ない税理士を紹介してくれるでしょう。
公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/corp/
BEET-AGENTは、株式会社アシロが運営する管理部門人材の採用支援に特化した人材紹介サービスです。
管理部門の採用は時間がかかるうえにミスマッチが多いですが、BEETではバックオフィス部門の実務を知るアドバイザーが採用活動をサポートしてくれるので、ミスマッチのない採用を期待できます。
BEETでは、「経理/財務・法務担当・人事/労務・人材採用・人材開発/育成・管理会計・総務・知財担当・経営企画・広報/PR・IR担当・監査役・内部監査・新規事業計画・CXO候補・情シス」のカテゴリーから求人の種類を選別できます。
そのうえで、「担当者クラス、リーダークラス、課長クラス、部長クラス、執行役員/取締役、CXO、社外取締役、社外監査役」というように、求職者を採用する階級でも絞り込みが可能です。
採用予定の人材のイメージをある程度掴めているのなら、BEET-AGENTでスピーディーに企業内税理士の採用を目指すのも効率的でしょう。
公式サイト:https://beet-agent.com/recruiting/
顧問税理士を変更するときにはタイミングに注意しなければいけません。タイミングを誤ると、決算や法人税申告などの諸手続きに支障が生じかねないからです。
そして、顧問税理士の変更を検討しているなら、税務をアウトソーシングすること自体を見直すべきタイミングでもあります。顧問契約を締結する税理士事務所を探しながら、同時に、企業内税理士を採用する選択肢も検討してください。
特に、企業内税理士を採用すれば、社内の経理・財務などのバックオフィス部門全体の質を高めることができます。顧問税理士を変更するタイミングで事業活動全体の効率化も目指すなら、企業内税理士の採用についても検討してください。