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転職を考える経理経験者にとって、どの程度の実務経験やスキルが求められるかは大きな関心事です。
企業が求めるスキルセットや経験値は、企業規模やポジションなどによって大きく異なりますが、共通して求められる要素も存在します。
本記事では、経理経験者が転職市場で高く評価されるために必要なスキルや実務経験について解説します。
経理経験者と言っても、経験年数は人によって異なります。転職市場において、何年の実務経験があれば経験者として評価されるのでしょうか?
一般的に、経理職の転職市場では3年以上の実務経験が求められることが多いです。
3年の経験があれば基本的な経理業務を一通り経験し、実務における基礎的なスキルを身につけていることを示すことができます。
経理は、日次業務だけでなく月次・年次業務も多いので、1~2年程度の経験だとアシスタント的なポジションという印象になり、経験者を求める企業の人材要件から外れやすくなります。
また、5年以上の実務経験を応募条件にしている企業も少なくありません。5年以上の経験があることで、経理業務の深い理解とともに、業務効率化や改善提案ができるレベルに達していることをアピールできます。
経理の管理職ポジションでの転職を目指す場合、必要とされる実務経験年数はさらに長くなります。
管理職としての役割には単なる業務遂行だけでなく、チームのマネジメントや経営層との連携、戦略的な経理管理が含まれるためです。
一般的に管理職ポジションでの採用では、10年以上の実務経験が目安とされることが多いでしょう。
3年や10年といった経験年数は目安に過ぎないため、単に経験年数を満たしているだけでは不十分です。
転職市場では、実務経験の質が重視されます。
どのくらいの規模の企業で、どのような経理業務を担当していたのか、特定のプロジェクトや改善にどのように貢献したのかなどが評価のポイントとなります。
ここからは、具体的な実務スキルや知識に焦点をあて、どの程度のレベルが必要なのかを解説します。
経理人材の転職でポイントとなる「パソコンスキル」「コミュニケーションスキル」「税務知識」「決算経験」について確認しましょう。
経理部門では、パソコンスキルは日常業務を効率的に進めるために不可欠です。とくに、Microsoft Office製品と経理ソフトの操作スキルが必須です。
Microsoft Office製品のスキルレベルとしては、初級以上であれば問題ないことが多いです。Excelでのデータ分析や表計算、Wordでの文書作成、PowerPointでのプレゼン資料作成などができればよいでしょう。
ただし、レベルが高いほどアピールでき、よりよい企業への転職が可能になります。
経理ソフトの操作スキルについては、会社によって使用ソフトは違いますが、操作性が高くすぐに覚えられるものがほとんどです。ソフトの操作に苦手意識があるという状況だけは改善しておきましょう。
経理業務は、数字を扱うだけではなく社内外との連絡や調整が必要な場面も多くあるため、コミュニケーションスキルが必要です。
社内でのコミュニケーションについては、部門間の調整や報告、経理データの共有などがスムーズにできることが求められます。経理知識がない他部門に対して、わかりやすく説明できることも大切です。
社外とのコミュニケーションは、顧客や取引先、顧問税理士や監査法人とのやり取りなどが発生します。ビジネスマナーを理解した受け答えができること、自社の課題や質問事項を的確に伝えられることなどが大切です。
経理職では、税務申告書の作成や納税、税務調査対応などの業務もあるため、一定の税務知識が必要です。とくに、消費税や法人税に関する知識は日常業務に直結するため、基本的な理解が求められます。
ただし、専門性が高い部分については、顧問税理士に相談・依頼するケースが多いため、税理士ほど高度な税務知識は求められないことがほとんどです。税務の法律や手続きに関する基本的な知識があれば問題ないでしょう。
決算業務の経験は、経理職としての大きなアドバンテージです。
経験者の条件として決算業務経験のある人材を求めている企業が多いため、応募できる求人の幅が広がります。
月次・年次決算については、一連の決算業務を自分で完結できる能力が求められます。
また、大企業やグループ企業での連結決算業務の経験があると、大手企業や上場企業への転職で高評価を受けることが可能です。
ここまで紹介したスキルや経験以外に、企業規模に応じた実務スキルも重要です。企業規模が変われば、求められるスキルセットも異なります。
具体的には、中小規模の企業では幅広い業務をこなすマルチタスク能力が求められます。
日常業務から決算まで、一貫して担当することが多いでしょう。一方、大企業では業務が細分化されていることが多いため、特定業務に特化した専門性の高いスキルが求められます。
経理人材が転職を考える際に、資格の有無がどれだけ重要かという疑問をもつことがあるかもしれません。
転職における最も大きな武器は実務経験であることは確かですが、資格があることで得られるメリットも存在します。
経理の実務経験が豊富な方にとっては、資格は必須ではありません。
長年にわたって経理の実務を通じて高度なスキルや知識を身につけている場合、その経験自体が強力なアピールポイントとなります。
企業は即戦力として働ける人材を求めているため、具体的な業務での実績やプロジェクトの成功事例などを示すことができれば、資格がなくても高い評価を得ることができます。
一方で、資格をもつことは応募先の選択肢を広げるうえで有効です。多くの企業が経理に関する資格の取得有無をひとつの評価基準として見ています。
たとえば、公認会計士や日商簿記1級などの資格があると、専門知識やスキルの証明となり、高度な専門人材を求める企業にとって安心材料となります。
また、日商簿記2級を応募条件にしている求人も多いので、応募できる求人を増やすという点でも取得する価値があります。
経理の経験年数が浅い場合、資格は実務経験の不足を補う重要な要素となります。
実務経験が少ないと企業に対して十分にアピールできないことがありますが、資格をもっていることで専門的な知識やスキルがあることを示すことが可能です。
とくに、20代など経理キャリアの初期段階においては、資格を取得することで基本的な知識やスキルを証明し、ほかの候補者との差別化を図ることができます。
また、経理は継続的な学習が必要な職種なので、資格の取得を通じて学習意欲の高さをアピールすることにもつながります。
経理業務の経験者が転職市場で高く評価されるためには、実務経験のほかに、特定のスキルや経験をもっていることが大きなプラスになります。
国際的にビジネスを展開する企業においては、国際会計の知識が求められることが多くあります。
IFRS(国際財務報告基準)やUS-GAAP(米国会計基準)に関する知識をもっていることで、海外子会社や関連会社の会計処理に対応できるスキルをアピールできます。
グローバル企業や外資系企業での経理ポジションに応募する際に強力な武器となるでしょう。
経理業務においてもITやAIの活用は進んでおり、これらの技術に精通していることは大きなプラスとなります。
たとえば、RPAの活用やデータ分析ツール、AI OCRの使用経験などは評価されやすいです。ITやAIを用いて経理業務の自動化や効率化に貢献できるスキルは、今後ますます重要となるでしょう。
経理業務は単に数値を管理するだけではなく、経営に役立つ分析や提案が求められる場面が多々あります。
財務データを分析し、経営陣に対して具体的な改善提案をおこなえるスキルは高く評価されます。
たとえば、予算編成やコスト削減、利益率向上のための戦略立案などに関わった経験があると、大きなアピールポイントとなります。
経理部門の業務効率を向上させる業務改善や業務フローの整備に関わった経験も、転職市場で大きな評価を受けます。
たとえば、経理プロセスの標準化や効率化、システム導入による業務の自動化などのプロジェクトに携わった経験がある場合、それらを具体的な成果としてアピールすることができます。
IPOを目指す企業においては、IPO準備の対応経験が非常に重宝されます。
IPOに向けた経理業務の整備や上場準備のためのドキュメント作成、監査法人との連携などに関わった経験がある場合、その知識やスキルは即戦力として評価されるでしょう。
グローバル化が進む現代のビジネス環境において、英語力は非常に重要です。とくに、外資系企業や海外取引の多い企業では、英語でのコミュニケーション能力が求められます。
英語の読み書きだけでなく、会議や交渉で使える会話力があると大きなアドバンテージとなります。TOEICやTOEFLなどで高いスコアをもっていると、自身の英語力を客観的に証明することができるため、転職活動で有利に働くでしょう。
経理経験者が転職を考える際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
経理は実務経験が評価されるため、経験があれば転職が簡単にできると思われがちです。
しかし、経理職への応募者はほとんどが経理経験のある人たちなので、ほかの応募者と差別化を図る必要があります。
単に「経理の実務経験がある」というだけでは不十分であり、自分の強みや独自の経験を具体的にアピールすることが求められます。
近年は経理業務の自動化が進んでおり、求められるスキルセットが変わってきています。
単純なデータ入力や基本的な経理処理は自動化される傾向にあり、より高度な分析スキルや判断能力、提案力やITリテラシーなどが求められるようになっています。
こうした点を理解し、最新の転職市場における自身の市場価値を把握することが大切です。
企業は、職場環境に適応できる人柄やコミュニケーション能力も重視しています。
とくに経理は、チームでの協働や他部署との連携が求められることが多いので、柔軟性や協調性があり、チームのメンバーとして一緒に働きたい人かどうかがチェックされます。
面接では、自分の人柄をしっかりと伝えることが重要です。具体的なエピソードを交えながら、チームでの協力や困難な状況にどう対処したかを説明するとよいでしょう。自己紹介や志望動機のなかで、自分の価値観や働き方に対する考えを明確にすることも大切です。
転職活動においては、ビジネスマナーが疎かになるケースも見受けられます。
とくに1社での経験年数が長い人材の場合、社内の独自ルールやマナーが染みついてしまい、ビジネスマナーが意外にもなっていないケースがあります。
経理のプロフェッショナルであっても、基本的なビジネスマナーが欠けていると、企業からの評価が下がる可能性が高まります。転職活動ではメールのやり取りや面接時の服装、態度などあらゆる場面でビジネスマナーが見られているので、ベテランほどマナーの振り返りをしておきましょう。
経理経験者が転職を考える際、転職エージェントを活用することで転職成功率を大幅にアップさせることができます。
転職エージェントを利用する大きなメリットのひとつが、非公開求人へのアクセスです。
非公開求人には、よりよい条件や魅力的なポジションが含まれていることが多いため、転職エージェントを通じて応募することで自分では見つけられないチャンスを掴むことができます。
転職エージェントは、応募先企業に対してどのように自分をアピールすべきかを熟知しているため、書類の添削を通じて応募者の魅力を引き出す手助けをしてくれます。
加えて、面接対策のサポートが受けられるのもメリットです。面接官の特徴や過去の面接での質問傾向などについて具体的なアドバイスを受けることで、事前準備を万全にすることができます。
自分自身ではおこないにくい年収交渉は、転職エージェントが応募者に代わっておこなってくれます。
エージェントは市場の相場や企業の給与体系に詳しいため、適切な年収を提示できます。
また、応募者のスキルや経験を適切に評価してもらえるように交渉を進めることで、よりよい条件での転職を実現する手助けをしてくれます。
転職エージェントは、企業の最新情報や内部事情に精通しています。
企業文化や職場環境、組織の雰囲気といった求人票や公式サイトではわからない情報を提供してくれるため、応募先企業の理解を深めることができます。
これにより、自分に合った企業を選びやすくなります。また、企業の採用計画や求める人物像などの情報も共有されるため、応募者は効果的な自己アピールが可能となります。
経理経験者の転職でおすすめの転職エージェントを紹介します。
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経理経験者の転職では、実務経験年数は少なくとも3年、管理職の場合は10年が目安です。
実務スキルとしては、パソコンの基本操作や円滑なコミュニケーションスキルなどが求められます。とくに決算業務経験があると、経験者として高く評価されるでしょう。
なにより一番大切なのは、自身の経理経験について履歴書や職歴書、面接時にうまくアピールすることがポイントです。