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ワークフローシステムは、申請や承認、稟議などの業務をデジタル化できるシステムです。
ワークフローシステムを導入すれば、稟議や会議資料の準備などの業務を効率化できるだけでなく、他にも多くのメリットを得られます。
しかし、ワークフローシステムにはさまざまな種類があるため、導入する際は自社の目的や業務内容に適したものを選ばなければなりません。
本記事では、ワークフローシステムの概要や効率化できる部門・業務、選び方のポイントなどを解説します。
ワークフローシステムは、稟議や各種申請などの業務手続きをデジタル化して効率化するシステムです。
一般的には「電子決裁システム」や「稟議システム」と呼ばれ、導入することで申請から承認までの時間を短縮し、ペーパーレス化を実現できます。
企業ごとにワークフローシステムを導入する目的は異なりますが、主なものとして業務の効率化、内部統制の強化、ペーパーレス化、ハンコの廃止などが挙げられます。
ワークフローシステムで効率化できる部門・業務は、次の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
紙で管理している場合、内容によっては稟議を起案してから承認・決裁までの期間が最短で1週間、遅い場合は最大1か月以上かかることも少なくありません。
そこでワークフローシステムを導入すれば、デジタル化によってシステム上で書類の管理・確認が可能となる他、承認プロセスの可視化によって、承認が滞留している担当者がひと目で分かります。
また、内容チェックの自動化により、記入漏れなどによって生じる差し戻しの手間も省けるため、担当者の負担を軽減しながら、稟議の承認・決裁業務の効率化が可能です。
会議資料を作成する場合、各部署の資料の取りまとめや確認などは、電子メールなどを介して行う場合が多いです。
また、資料が完成したら必要部数を印刷して、配布しなければならない企業も少なくありません。
ワークフローシステムを活用することで、資料の取りまとめや修正などの対応をシステム上ですべて行えるため、進捗管理がスムーズになります。
完成した資料はシステム内で共有する形で配布するため、資料を印刷する手間もなくなることから、会議資料の準備にかかる負担を大幅に軽減できます。
営業部などで生じる見積りの審査業務も、ワークフローシステムで効率化できる業務の1つです。
見積書の作成をメールやチャットで複数部署とやりとりしている場合、内容が煩雑となって状況把握に時間がかかります。そのため、指摘部分の反映漏れといった、人為的なミスが発生しやすいです。
ワークフローシステムを導入すれば、ステータスの可視化や対応履歴の一元管理が可能となるため、ミスの防止や状況確認の手間を省くことができます。
総務部が担当する社内掲示板の業務も、効率化が可能です。
全社向けもしくは複数部署にまたがる依頼事項の場合、社内掲示板に投稿する前に部内での指摘や確認といったやりとりが繰り返し発生しかねません。
ワークフローシステムを導入すれば、内容の確認依頼および承認作業をシステム上で実施できる他、承認後は投稿を自動公開するように設定することが可能です。
また、公開日や掲示期間などを入力フォーム化し、必須事項化しておけば記入漏れを確認する手間も省けます。
人事部では、社員の目標管理が業務として含まれていることが少なくありません。
ワークフローシステムを導入すれば、目標管理の進捗を可視化できる他、確認の依頼やフィードバック完了通知などの自動化が可能です。
これにより、目標管理業務の効率化につながるでしょう。
ワークフローシステムの種類は、次の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
エクセルフォーム型は、エクセルで作成した申請書を利用できるタイプのワークフローシステムです。
エクセルで作成した申請書をそのままシステムで利用・管理できるため、システム導入後も業務プロセスを大きく変えることなく運用できます。
そのため、エクセルで申請書のフォーマットを作成している企業と相性がよいタイプです。
グループウェア一体型は、タスク管理や社内コミュニケーションといった複数の機能が実装されているタイプのワークフローシステムです。
1つのシステムでグループウェアも同時に導入できるため、総合的に業務効率を図りたい企業に適しています。
ただし、ワークフローシステムとしての機能は豊富ではないため、複雑な承認フローなどの設定が必要な場合は注意が必要です。
バックオフィス業務一体型は、経費精算や勤怠管理といったバックオフィス業務と連携して運用するタイプのワークフローシステムです。
経理業務との連携で仕訳が自動的に実施されるなど、各バックオフィス業務と連携させることで、バックオフィス業務の効率化を図れます。
そのため、ワークフローだけでなく、バックオフィス業務全体を効率化させたいという場合におすすめです。
ワークフローシステムの選び方は、次の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
企業規模が大きくなるほど、承認フローが煩雑になりやすく、コンプライアンスの観点からセキュリティ要件が厳しくなることが多いです。
そのため、大企業が中小企業向けのシステム、反対に中小企業が大企業向けのシステムを導入してしまうと要件が合わないリスクが高まります。
ワークフローシステムを導入する際は、企業規模に合ったものを選ぶことが重要です。
企業によっては、承認フローが合議や分岐などによって決まるケースがあります。
また、承認方法も通常承認だけでなく、一括承認や代行承認など、複数の方法がある他、独自ルールを設けている企業も少なくありません。
ワークフローシステムの導入にあたっては、機能面をしっかりと確認したうえで、自社の業務内容と親和性の高いものを選ぶ必要があります。
サポート体制が充実していない場合、利用時の不明点やトラブルの解決に時間を要し、業務に大きな支障が出てしまいます。
そのため、ワークフローシステムを選ぶ際は、サポートの対応時間は長いか、連絡手段は豊富か、説明会・セミナーを開催しているかなど、サポート体制が充実しているかどうかも加味しなければなりません。
ワークフローシステムのメリットは、次の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
働き方改革を推進するためには、ペーパーレス化は欠かせません。
ワークフローシステムを導入すれば、ペーパーレス化を実現でき、外部からでも安心安全に情報共有できる体制を構築できます。
これにより、在宅勤務やサテライト勤務といった働き方改革の推進が可能です。
内部統制を強化できるのも、ワークフローシステムを導入するメリットの一つです。
各種ルールに関する知識が不足している場合、決裁ルールが守られなかったり、コンプライアンス違反につながったりするリスクがあります。
ワークフローシステムを導入し、あらかじめ決裁ルートを定義すれば、決済額に応じて決裁ルートが自動的に選択されます。
システムによってルートが自動的に選択されれば、知識の有無にかかわらず、ルールに沿った決裁を確実に実施できるため、内部統制の強化が可能です。
コンプライアンス意識は年々高まっていることから、コンプライアンス強化に向けてワークフローシステムを導入する企業は少なくありません。
紙文書の場合、原本が他の営業所などにある場合は、わざわざ依頼してコピーを送ってもらわないと内容を確認できないため、依頼する側も依頼される側も余計な手間がかかります。
一方、ワークフローシステムを導入すれば、システム上ですべての書類を確認できるため、書類を取り寄せるなどの手間がかかりません。
また、過去の申請文書をコピーして新規文書を作成できるため、文書作成時間の短縮につながり、申請・承認作業の効率化が見込めます。
ワークフローシステムを導入する最大のメリットが「決裁期間の短縮」です。
紙ベースで管理している場合、申請書や添付資料などの確認が必要なため、オフィスにいないと承認・決裁ができません。
一方、ワークフローシステムの場合、パソコンやスマホさえあれば、オフィスにいなくても簡単に申請や承認・決裁ができるため、決裁期間の大幅な短縮が可能です。
ワークフローシステムを活用すれば、過去文書をデータとして蓄積可能です。
その結果、データの利活用を推進できるため、データ分析によって全体の状況を把握したり、経営判断の材料として利用できたりするなどのメリットを享受できます。
また、データの自動集計やグラフ機能が実装されているシステムを導入すれば、データ集計や報告書作成などの時間も短縮が可能です。
ワークフローシステムのデメリットは、次の4つです。
それぞれ詳しく解説します。
ワークフローシステムを導入すると、初期費用や月額費用がかかります。
紙で管理していた際に、運用コストがほとんど発生していなかったことを考えると、費用負担は小さくありません。
しかし、コストを抑えるために安価なシステムを選ぶのはおすすめできません。
安価なシステムには、欲しい機能がない場合や、十分なサポートが得られない場合があるからです。
必要な機能をプラスした結果、さまざまな追加料金が発生し、結果的に高額になる可能性も少なくありません。
そのため、ワークフローシステムを導入する際には、コストだけでなく、機能やサポートの質も考慮して、総合的に判断する必要があります。
紙で管理している場合、社内体制は紙管理に即したものとなっています。
そのため、ワークフローシステムを導入する際は、社内体制もシステム管理に即したものに見直さなければなりません。
また、導入時だけでなく、担当者の異動や退職、組織変更などが起きた場合にも、社内の体制を見直す必要があります。
ワークフローシステムはすべての従業員が操作するため、使いにくいシステムを導入してしまうと、導入するメリットを最大化できません。
また、システム上で申請できるようなった結果、紙で申請書を作成する時よりもタイプミスが多くなり、結果として差し戻し回数が増えて業務効率が悪くなるリスクがあります。
既存システムとの連携ができないシステムを導入してしまうと、データの連携および一元管理ができません。
結果として、システムごとにデータを入力する必要が発生するため、業務の効率化ができないばかりか、入力する手間も増えてミスの頻度も高まります。
このような事態を避けるためには、既存システムと連携してデータを一元管理できるワークフローシステムを選ぶ必要があります。
ワークフローシステムとは、稟議や各種申請などの業務をデジタル化して、効率化するシステムです。
ワークフローシステムを導入すれば、業務効率化はもちろん、働き方改革の推進や内部統制の強化など、さまざまなメリットを得られます。
一方、コストがかかったり、業務効率が悪くなるリスクがあったりするなど、デメリットも少なくありません。
ワークフローシステムの効果を最大化するためには、種類や選ぶ際のポイントを踏まえたうえで、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。