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【年代別に解説】経理の転職事情とは?成功のコツや年収相場、求められるスキルを解説

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【年代別に解説】経理の転職事情とは?成功のコツや年収相場、求められるスキルを解説
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経理は業界を問わず必要とされる職種なので、転職市場では一定の需要があります。

加えて、少子高齢化やグローバル化、デジタル化などを背景に企業の人手不足感が強まっており、経理の転職市場は売り手傾向が続いています。

そのため、転職を希望する方は、より多くの選択肢の中からキャリアを検討できるでしょう。

ただし、経理の転職を成功に導くポイントや転職難易度は、求職者の年齢によって大きく変わります

転職活動では年齢に応じたアピールが必要となるため、年代ごとのポイントを押さえることが大切です。

本記事では、経理の転職をテーマに、年代別の転職事情や求められるスキル、年収、転職成功のコツを解説します。

BEET

目次

経理の転職は何歳まで可能なのか

自身の年齢が高くなるほど、転職に年齢はどの程度影響するのかが気になってくるものです。

実際のところ、経理の転職は何歳まで可能なのでしょうか?転職可能性と年齢との関係、年齢が影響する具体的なケースを紹介します。

【結論】経理の転職は何歳でもチャンスがある

結論から述べると、経理の転職は何歳であっても可能です。経験者であれば年齢は問わないという求人もあるため、年齢を理由に諦める必要はありません。

経理はどの業界・企業でも不可欠な職種であり、仕事の流れもどこに行ってもある程度は共通しています。

そのため、経理経験者を求めている企業は多く、自分が思っていたよりも転職がトントン拍子に進むというケースも珍しくはありません。

年齢が影響するケース

年齢が上がると、求められる水準が上がります。

したがって、応募先の要求水準に応えられるような経験値・スキルレベルが高い人であれば年齢による影響は少ない一方で、年齢相応の経験やスキルをもたない人は不利になりがちです。

また、年齢が上がると相場年収も上がるため、同程度の経験値であれば若い人が優先されやすいという面もあります。

ほかに、組織の若返りを目指している企業へ応募した場合も、年齢によっては不利にはたらくかもしれません。

人手不足の影響で求める年齢層が変化

近年、年齢が経理の転職に与える影響にも変化が見られます。大きな理由は慢性的な人手不足です。

以前は、年齢が低いほど転職が有利にはたらく傾向がありましたが、近年では30代~40代のミドル層を求める企業が増えています。この世代は即戦力としての期待が高く、経理体制を強化するのに不可欠な層だからです。

また、少子高齢化による人手不足の影響から若手人材の獲得が困難となり、ミドル層以上の活用が必須となっていることも影響しています。

企業規模別の経理転職の年齢事情

経理の転職で年齢がどのように影響するのかは、応募先企業の規模によっても変わってきます。大企業・中小企業・ベンチャー企業の3つに分け、転職時の年齢事情を解説します。

大企業の場合

大企業の採用方針は基本的に新卒を優先しており、中途採用枠はそれほど多くありません。

しかし、第二新卒や20代前半であれば、ポテンシャルに加えて一定の社会人経験があるため、採用担当者も好意的な目を向けています。

大企業では人材を育成する余裕もあるので、経験値が低くてもチャンスがあるでしょう。したがって経理人材が大企業へ転職するのは、できるだけ早いチャレンジがおすすめです。

30代・40代については、管理職ポジションであればチャンスの幅が広がります。ただし、その場合は同規模の企業においてマネジメント経験があることが前提です。たとえば40代ではじめて大企業に転職する、それも管理職ポジションでというのは難しくなります。

中小企業の場合

中小企業の経理部門は、少数で構成されており人材を教育する余裕がないことが多いため、即戦力採用が基本です。

採用に苦戦している企業も多いことから、転職市場価値がもっとも高まる30代前後だけでなく、40代以降での転職も十分に可能です。

反対に20代は、経験次第では即戦力にならないため難しい場合があります。

ただし、30代・40代の場合でも実務経験が豊富であることが大前提となります。人物像としては、ひとりで日常処理から決算までこなせるかどうかがポイントです。

この点、大企業の場合は分業制が進んでおり特定業務の専門性は高いものの業務範囲は狭いため、大企業から中小企業への転職は必ずしも有利ではありません。

また、中小企業では一部業務を顧問税理士に依頼していることも多いため、税理士事務所とのやり取りが円滑にできるかどうかも重要です。

ベンチャー企業の場合

ベンチャー企業も中小企業と同様に、未経験者をゼロから教育する余裕がないため、大前提として経験者が求められます。

ただし、成長段階にあるベンチャーは長時間労働になることが多く、体力的にタフであることが求められます。

また、経理だけでなく総務や法務などほかの管理部門業務を兼任することも多いため、わからない点や未経験の業務でも自ら調べて吸収できるフットワークや柔軟性が必要です。

したがって、経理経験者の中でも若いほうが有利になります。

5~10年ほどの経験がある、20代後半から30代前半が採用されやすいゾーンです。経理経験者で管理職ポジションとしての転職なら、30代後半での転職も可能性があります。

【年代別】経理の転職事情と求められるスキル

経理の転職では、求職者の年齢によって求められるスキルレベルが異なります。

重要なのは年齢そのものではなく、その年齢相応のスキルを備えているかどうかです。

以下では、年代別に必要とされるスキルと経理の転職事情を解説します。

基礎スキルのみで転職するなら20代が目安

経理の基礎スキルとは、日々の伝票処理や請求書の作成、仕訳入力などのスキルを指します。

ExcelやWordなどのパソコンスキルや、周囲と問題なくやり取りできるコミュニケーションスキルも基礎スキルに含まれます。

基礎スキルは経理業務をおこなううえで最低限必要なスキルですが、これらのスキルのみで転職が成功しやすいのは20代までです。20代後半になってくると、プラスαのスキルが求められることが増えます。

経理業務が未経験の場合、転職するなら20代までがひとつの目安です。年齢が低いことで新たな環境になじみやすい、知識やスキルの習得がはやいといったメリットがあるため、ポテンシャル採用も十分にあり得ます。とくに若手経理人材の育成をしたいと考えている企業で需要があります。

市場価値がもっとも高いのは経験豊富な30代前後

経理の転職市場でもっとも価値が高いとされるのが、豊富な経験のある30代前後の人材です。

まず、30代になると10年近くの社会人経験を積んでいるためビジネスマナーや社会的な常識が備わっています。

経理スキルについては決算業務や税務処理などをメインでおこなうことができ、即戦力としての活躍に期待できます。

経理業務の電子化や電子帳簿保存法改正など、最新の業務環境に対応できる人材は、さらに評価が高まるでしょう。

一方、経理業務が未経験の30代は、転職難易度が上がります。データを扱う業務経験や事務処理経験など、経理業務に活かせる経験をいかにうまくアピールできるかがポイントとなります。

マネジメントポジションなら40代以降も十分可能

一般的に40代になると転職難易度が上がりますが、どの程度転職が難しいのかは保有するスキルや経験値によって異なります。

40代に求められる経理スキルとしては、決算業務や税務処理などの即戦力スキルに加えて、連結決算やIPOなど専門性が高いスキルです。そのほか、業務改善や海外取引処理の経験などもあればなおよいでしょう。

また、40代の場合はマネジメントポジションとしての期待が大きいため、マネジメントスキルがあれば転職で有利にはたらきます

管理職になると経営会議や上層部へプレゼンする機会も多いため、プレゼンテーションスキルもあることが望ましいでしょう。高度な専門性を要する実務スキルに加えてマネジメントスキルもあれば、よい条件での転職も可能です。

40代で経理未経験の場合は、実務ポジションとしてはかなり厳しいのが現実です。マネジメントポジションとしての転職でも一定の経理知識が必要なので、財務諸表が読めるとか税理士資格があるとか何らかの素養が求められます。

経理の転職時の年収相場

転職にあたり年収が気になる方は多いはずです。経理の年収相場は企業規模や経験業務の内容のほかに、年代によっても大きく異なります。20代・30代・40代に分け、転職時の年収相場を解説します。

20代の年収相場

20代は役職なしの担当者クラスが多く、スキルレベルとしては簿記3級または2級程度のイメージです。

この層の年収相場は、300万円~380万円です。20代後半でリーダーポジションに就いていると400万円以上になる場合があります。

一方、未経験での転職では経理事務から始めることになり、年収が300万円以下となることも少なくありません。

参考:経理事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

30代の年収相場

30代前半の担当者クラスだと、420万円~460万円円前後が目安です。

リーダーポジションや経営分析担当など、スタッフの中核的な役割を担っている場合は400万円台後半~600万円近くまでいくことがあります。

30代でも経理課長や部長候補など管理職ポジションの場合には、企業規模によっては650万円以上の収入を得ることができます。650万円以上になるのは、管理職経験に加えて上場企業での経験がある方、英語力がある方などがイメージ層です。

参考:経理事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

経理課長 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

40代の年収相場

40代は管理職かどうかによって年収相場が大きく異なりますが、担当者クラスでも480万円~490万円が目安です。経理課長や部長候補、高度なスペシャリストの場合は800万円~860万円が目安となります。

上場企業の部長以上および公認会計士資格保持者、会計コンサル出身者など特筆すべきスキル・経験がある人材は年収1,000万円以上となることがあります。

参考:経理事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

経理課長 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

経理の転職に成功しやすい人・失敗しやすい人の特徴

どんな人が転職を成功させているのか、または失敗しやすいのかを知ることで、転職活動の対策を立てることができます。

年代ごとにクリアすべき課題があるため、20代・30代・40代に分けて成功しやすい人・失敗しやすい人の特徴を解説します。

20代経理人材の特徴

20代はポテンシャルや資質、人柄などがポイントとなります。転職に成功しやすい20代の経理人材は素直で向上心がある人です。

経理人材としてのキャリアビジョンをもち、資格の取得にも前向きなので、今後のスキルアップにも期待できます。また、コミュニケーション能力が高く、チームワークを重視する姿勢も見られます。

このような人材はいずれリーダーとしてチームをまとめることになり、将来的な管理職候補としても期待できます。

一方、周囲の助言を受け入れる姿勢や柔軟性が見られない、キャリアビジョンがないといったタイプは将来性に期待できないため敬遠されがちです。

学習意欲が低い場合や細かい点に注意を払わないといった資質も、ポテンシャルを重視される20代ではマイナス評価となります。

30代経理人材の特徴

30代は実務スキルが重視されるため、実務経験が豊富な人材が転職の成功を勝ち取ります。とくに、これまでの経験を活かしつつ、新しい環境や業務内容に柔軟に適応できる能力をもっている人材が評価されます。

また30代は、リーダーとしてチームをまとめることや他部署との折衝が求められるため、高度なコミュニケーションスキルがあると採用の可能性が高まります。

一方で転職に失敗しやすい30代は、変化に対応する柔軟性や学習意欲に欠け、現在のスキルセットに固執する傾向があります。コミュニケーションやチームワークを軽視することも、転職における障害となり得るでしょう。

40代経理人材の特徴

40代で転職が成功しやすいのは、長年にわたる実務経験で培った高度なスキルに加えて、マネジメント経験がある人材です。とくにマネジメントポジションにおいては、人間性が重視されます。

また、40代以降の場合は、新しい技術や最新のソフトウェアに対応できるのかが懸念材料となるため、これらの分野に精通している人材は、高い評価を得られるでしょう。

一方、基礎的あるいは中級レベルの業務経験しかない場合やマネジメント経験がない場合(高度スペシャリストを除く)は採用に至らないケースが多いです。

また、継続的な学習に消極的で最新の業界動向や法規制の変更に疎く、変化への対応が難しい40代の人材も転職で失敗しやすいでしょう。

20代の経理人材が転職を成功させるポイント

ここからは、年代別に転職を成功させるためのポイントを解説します。

まずは、20代の経理人材について見ていきましょう。

そもそも経理に向いているのかを分析する

20代の場合、経理業務の全体像が見えていないことも多く、なぜ経理職として転職したいのかを自身でもわかっていないことがあります。

「デスクワークで楽そうだから」「対人業務が少なそうだから」といった理由だと転職しても長続きしない可能性があるため、そもそも経理に向いているのかを分析してみましょう。

地道で細かい作業が好きな方や勉強が好きな方は、経理に向いている可能性が高いです。経理は、自社のほとんどの部署と関わり合う職種なので、コミュニケーションスキルが高い方にも向いています。

経理職への適性を分析することで、自分の強みや志望動機が明らかになり、効果的なアピールができます。

スキルアップに取り組む

20代の経理人材はほかの世代と比べて採用されやすい傾向がありますが、若いけれど経験が不足しているという点がネックになります。

そのため、20代ではスキルアップに積極的に取り組みましょう。

応募の際には、資格の取得やスキルアップセミナーへの参加などをアピールすると好印象を与えられます。若い世代=ITに強いという印象をもつ採用担当者もいるので、パソコン関係のスキルを磨くのもよい方法です。

20代は経験が少ない分、意欲的にスキルを磨く姿勢を見せることが大切です。

中長期的なキャリアイメージを描くこと

中長期的なキャリアイメージを描くことで、自分自身の強みやキャリアで達成したい目標を理解し、それに合った転職先を選ぶことができます。

また、キャリアプランを立てる過程で、必要なスキルや資格を得るための学習計画を立てることも重要です。これにより、転職市場での競争力を高め、よりよい条件での転職が可能になります。

中長期的な視点をもつことは、短期的な成功だけでなく、長期的な職業的満足感にもつながります。

経理という専門性を活かしながら、自分のキャリアを積極的にデザインすることが、20代の転職を成功に導く鍵となるでしょう。

30代の経理人材が転職を成功させるポイント

続いて、30代が転職を成功させるポイントを解説します。

経理の転職市場における価値がもっとも高まる30代ですが、30代前半と後半で求められる要素が異なります。ライフイベントも発生しやすいことから、転職活動は戦略的に進めましょう。

実務スキルが評価の対象

30代の経理人材は、実務スキルが主な評価の対象となるため、実務スキルを棚卸しし、具体的にどのような貢献ができるのかをしっかりアピールすることが大切です。

とくに、データ分析や予算管理、コスト削減など、数字を扱う高度な技術があることをアピールしましょう。

また、最新の会計ソフトウェアに精通していることも重要で、これにより効率的な業務処理能力をアピールできます。

さらに、国際会計基準(IFRS)や国際税務に関する知識も、グローバル化するビジネス環境においては強みとなります。

30代前半と後半で求められる要素が異なる

同じ30代でも、30代前半と後半では求められる要素が異なる点にも留意しましょう。

30代前半の場合、実務スキルに加えて20代のようなポテンシャルもアピールできます。スキルレベルに自信がなくても、意欲を伝えることで好印象を与えられる年代です。

仕訳入力や請求書作成など、基礎的な業務に加えて決算業務の補助経験などがあるとアピールになります。

30代後半になるとポテンシャル採用はほとんどなくなり、どのような実務経験があるのかが重視されます。

スキルレベルとしては、年次決算や開示書類の作成にメインで取り組めるくらいが望ましいでしょう。また、30代後半ではマネジメント能力が求められるようになります。

管理職経験がない場合でも、リーダーや新人教育担当などの経験があれば積極的にアピールしましょう。
 

ライフイベントも踏まえてキャリアを選択する

30代になると結婚や出産、育児に住宅の購入などライフイベントが発生する人が多くなります。そのため、30代の転職でライフイベントを考慮することは欠かせません。

ライフイベントを踏まえた選択をすることで、現実的なキャリアを構築でき、私生活での変化にも柔軟に対応できます。

たとえば、小さな子どもの育児があるなら時短勤務可能な職場や育児への理解がある職場を選ぶ、住宅ローンの支払い額が大きいなら年収にこだわるなど、条件面での優先順位もつけやすくなります。

40代の経理人材が転職を成功させるポイント

40代の場合、20代や30代と比べて応募できる求人が少なくなるため、転職が難しく感じることもあるでしょう。

40代であっても、ポイントを押さえれば転職は十分に可能です。しかし、年齢に見合うだけの高い専門性や経験が求められるという点を理解しておく必要があります。

高度な専門性またはマネジメントスキルが必須

40代の場合、経理経験の中でも何らかの高いスキルや実績をアピールすることが大切です。たとえば、新しいシステムの導入経験やIPOの経験など専門性を活かした具体的な実績を示しましょう。

また、チームを率いた経験やプロジェクト管理能力など、マネジメントスキルも同様に価値があります。

柔軟性は見られるポイント

40代は、柔軟性があるかどうかがチェックされやすいポイントです。年

齢が高くなると経験値が上がりますが、「これまでの会社はこうだった」などと過去のやり方に固執することがあり、融通がきかない人材として浮いてしまうことがあります。

経理の仕事は2,どの業界・企業でもある程度共通する点が多いですが、それでも仕事のやり方やルールは企業ごとに違う部分があります。そのため、前の会社でのやり方に固執せず、柔軟に適応していくことが大切です。

柔軟性をもつことは、応募先の選定においても重要な意味があります。

特定の業界や規模などにこだわる方も多いですが、こだわりが強すぎると40代では応募できる求人がなくなり、転職活動が長期化します。こだわりは絶対に外せないものだけに絞り、自分の能力を発揮できる職場を選ぶことを重視しましょう。

年収はある程度の妥協も必要

40代になると住宅ローンの支払いや子どもの教育費、親の介護費などお金が必要になる場面が多くあります。

そのため年収を上げたいという希望の方も少なくないですが、相場や実力に合わない年収は実現が難しいのが現実です。

40代の場合、経理人材の中ではすでに年収が高水準にあるため、そこから上げるというのもあまり現実的ではありません。40代後半以降の場合、年収は維持できれば御の字、多少のダウンは許容するくらいの心持ちでいるほうがよいでしょう。

もっとも、現在の年収が相場よりも大きく下がる場合には、適切に評価される職場を選ぶことで適正年収へと修正することが可能です。

ご自身の年齢やスキル、相場にあった年収を知りたい場合は転職エージェントに相談するとよいでしょう。

年齢が理由で経理の転職活動がうまくいかないときの対処法

募集・採用における年齢制限は労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)で禁止されているため、転職活動で年齢を理由として不採用になることはないはずです。

しかし実際には、求職者に知らされずとも年齢が理由で不採用になるケースは存在します。

求職者としても面接での対応や求める人材像などから、年齢が理由だと薄々感じることはあるでしょう。そのような場合、どうすれば現状を打破できるのでしょうか。

資格を取得する

(1)資格を取得する
一般的に転職において資格はそれほど大きな意味をなさず、実務経験が重視されます。

経理の転職においても基本的には同じですが、経理の場合は資格がスキルレベルの客観的な証明になり、一定の評価を得やすいという違いがあります。

経理の転職で有利な資格はのちほど紹介しますが、年齢が理由で転職活動が難航しているなら、独学で可能な範囲の資格を取得することは必要です。

独学で可能な範囲の資格をおすすめする理由は、難易度が極めて高い資格は独学だと難しく、資格の勉強に時間を費やすことで転職が余計に難しくなる可能性があるためです。

一方、評価されやすい資格を取得しないとあまり意味がないので、独学でもある程度の勉強が必要なレベルの資格を取得しましょう。

語学やITなど差別化できるスキルを習得する

年齢がハードルになった場合、ほかの候補者と差別化できるスキルを身につけることで、その壁を乗り越えることが可能です。

とくに語学力はグローバル化が進む現代において、国際的な取引が増えている企業にとって非常に価値のあるスキルです。またRPAやクラウド、AIなどの最新技術に関する技術は効率的な業務遂行を可能にするため、経理職のポジションで評価の対象になります。

経理業務の自動化が進んでいる今、データ分析能力や提案力、課題発見力など作業スキル以外のスキルを身につけるのも効果的です。

これらのスキルを習得することで年齢に関係なく自身の市場価値を高め、転職活動を成功に導くことができるでしょう。

同じ業界内での転職を目指す

経理はどの業界でも需要がある職種ですが、転職を成功させるには同じ業界内での転職を目指すことが効果的です。

業界出身者であれば業界独自の取引や処理、お金の流れに詳しいためスムーズに業務に慣れることができます。そのため採用側から見ても即戦力としての期待が大きく、評価の対象になります。

同じ業界の場合、志望動機に一貫性をもたせやすいので、その点でも説得力のあるアピールにつながるでしょう。

企業規模や年収にこだわりすぎない

規模が大きい企業は給与水準が高く福利厚生も充実しており、労働環境も良好であることが多いです。そのため求職者からの人気が高いですが、大手になるほど年齢は若いほうが好まれます。

年齢が高いことが転職活動の足かせになっている場合は、企業規模にこだわらないほうがよいでしょう。できるだけ前職と同規模の企業を選ぶことが、転職成功の可能性を高めます。

年収については自分の年齢やスキルレベルでの相場感を把握し、相場から大きく外れなければよしというスタンスが望ましいです。希望年収が相場よりも高く、採用見送りが続いている場合は希望年収の修正も検討しましょう。

未経験の場合は親和性の高い経験をアピールする

経理未経験の場合、ポテンシャル採用が可能な20代を除くと転職は難しくなります。

しかし、親和性の高い経験をアピールすることで、問題なく業務を遂行できそうだとの印象を与えることが可能です。

たとえば、細かい数字の管理やデータ分析など、経理業務に似た経験があれば、それを前面に出すことで、採用担当者に経理としての能力をアピールできます。

また、責任感が強く、細部にわたる注意力をもっていることやチームワークを大切にする姿勢など、経理職に求められる資質を具体的な例を挙げて示すことも有効です。

転職エージェントを活用する

転職活動がうまくいかない場合は、転職エージェントへ相談してみるのも効果的な方法です。

自力で転職活動を進めている場合、応募書類の作成で客観的な視点を入れることができず、どこを改善するべきかがいつになってもわかりません。

面接で不採用になるケースが多い場合も、応募先が不採用理由を教えてくれることは原則としてないため、次の面接に活かすことができません。

この点、転職エージェントを活用することで客観的な視点から応募書類の作成アドバイスを受けられます。

経理の転職市場や応募先のニーズに詳しいエージェントのアドバイスなので、採用担当者の印象に残る応募書類に仕上がるはずです。

面接のあとにはエージェントを経由してフィードバックを受けられるため、改善すべき点やよかった点などを知ることができ、次に活かせます。

経理の転職におすすめの資格

先述のとおり、経理の転職では資格が一定の効果を発揮します。また、資格の学習を通じて知識を体系的に学ぶことでこれまでの業務経験がより定着しやすく、実務の場面でも活かすことができます。

そこで以下では、経理人材におすすめの資格と転職における評価について解説します。

日商簿記検定

合格していないのなら、まず取り組みたいのは日商簿記検定です。

一定の実務経験がある人の場合、簿記の知識は十分にあるため資格は不要だと考えることもありますが、簿記の知識を客観的に証明できるため取得しておくとよいでしょう。

とくにおすすめなのは、簿記2級です。簿記2級は経理の応募条件になっていることも多いため、応募できる求人が増えるというメリットがあります。

また、2級は独学で数ヶ月の勉強でも十分合格できる難易度の割に、知名度と評価が高くコスパがよい資格です。

経理未経験で簿記の知識もまったくないという場合は最低でも3級に取り組んでみましょう。簿記の基本的な仕組みがわかると同時に、経理業務が自分に向いているかどうかもある程度わかります。

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は、財務諸表の理解力を養うための検定試験で、財務諸表の項目や数値を理解するとともに財務諸表に関する知識や分析力を得ることができます。

自社の経営状態を判断するための会計リテラシーが身につくため、経理処理にとどまらずデータ分析や経営者への提言・説明などをしたい場合におすすめです。

3級から1級まで、自分の知識レベルにあわせた受験が可能なので、年代に必要な知識を身につけられます。

2級でも合格率は約50%とそれほど難易度が高くありませんが、実務で役立つ有益な知識を習得できることからおすすめの検定です。ただし、知名度はそれほど高くありません。転職に役立てるには、まずは日商簿記検定2級以上を優先しましょう。

FASS検定

FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務分野の実務知識やスキルの習得度を測る検定です。

出題内容は資産・決算・税務・資金の4分野で分野ごとの評価もわかるため、強化すべき分野も明確になります。日商簿記検定と比べると知名度が低いものの、大企業の経理などでは評価が高まりつつあります。

スコアに応じてA~Eまでの5段階で評価されるため、挑戦する場合は高スコアを目指しましょう。合否ではないため難易度を測るのは難しいですが、最低でも「日常業務の基本スキルが身についている」レベルのCランクには到達しておきたいところです。

「業務全体を正確に把握し、自信をもって遂行できる」レベルのAランクを獲得できれば転職でもよいアピールになります。

税理士

税理士資格は、経理や税務に関する高度な専門知識があることを証明できるため、転職で高く評価されます。

また、難易度が高い国家資格なので、転職で有利になるだけでなく給与の上乗せなど優遇条件がついている場合もあります。経理部門で取得している人はそれほど多くはないので、部署内で一目置かれる存在になる可能性もあるでしょう。

資格を取得するには前提として5科目に合格する必要がありますが、科目合格が生涯有効なので時間をかけて自分のペースで取得することも可能です。

高度専門資格でありながら、働きながらでも合格を目指すことができるという点は、税理士資格の大きなメリットでしょう。

公認会計士

監査法人の公認会計士が、事業会社の経理へ転職するケースは珍しくありません。

とくに、ワークライフバランスを改善したい公認会計士から人気のキャリアとなっており、資格は転職の際に高く評価されます。

ただし、文系の三大国家資格に数えられるほど難易度が高いことから、働きながら合格を目指すには並大抵の努力では足りません。評価は高いものの、経理の転職のためにこれから取得するというのはあまり現実的ではないでしょう。

すでに公認会計士資格を保有している方が、どのように経理への転職に活かすのかを検討するという意味合いの強い資格です。

経理の転職活動で力を入れるポイント

ここからは、転職活動でとくに注力すべきポイントについて解説します。

いずれも基本的な工程ですが、新卒の就職活動と違って転職活動ではあまり対策されない方も多いので、丁寧におこなうようにしましょう。

自己分析

経理の転職活動において、とくに力を入れるべきポイントのひとつが自己分析です。

自己分析をおこなうことで自身の強みや弱み、キャリアの目標や価値観を明確にし、それを転職活動に活かすことができます。

面接時に自信をもって自己PRをおこない、採用担当者に自分が最適な候補者であることをアピールすることが可能です。

また、自己分析を通じてどのような企業文化や職場環境が自分に合っているのかを見極めることもでき、適切な求人の選定につながります。

企業研究

企業研究も非常に重要なポイントです。

まず、志望する企業の財務状況を把握することが必要です。先行きが不透明な時代なので、規模が大きい企業でも経営破綻に陥るリスクはゼロではありません。

財務状況を把握することで転職後に長く働き続けられるか、給与や待遇面で納得感を得られるかを予測するのに役立ちます。とくに経理の場合は財務諸表を読む力が必要なので、経理としてのスキルを確認する意味でも理解しておくべきです。

あわせて、その企業の業界内での位置づけや市場の動向についても、確認しておきましょう。

また、企業文化や経営理念、求める人物像についても研究することが大切です。そうすることで自分が環境に適応できるかを見極めることができます。さらに企業研究は面接においても、意欲と企業への理解をアピールする機会になります。

応募書類の充実

履歴書や職務経歴書は、採用担当者に自身の経験やスキルを伝える最初のチャンスです。

応募書類を通じて、自身の専門性と経理としての価値を採用担当者に理解してもらうことができます。

応募書類を作成する際には、具体的な業務経験や成果を数字で示し、どのように貢献したかを明確にすることがポイントです。会計ソフトウェアの使用経験や経理に関連する資格もアピールポイントになるため漏れなく記載しましょう。

とくに経理職には数字に対する正確性や注意深さが求められるため、書類は細部にわたり丁寧に記載することが大切です。

面接対策

面接対策も必須です。

面接では、これまでの経理経験や具体的なスキルを明確に伝えること、実際の経理業務で遭遇した課題やそれをどのように解決したかの事例を準備することが大切です。

面接官は単なる知識の披露ではなく、その知識をどのように自社での実務に活かせるのかを見ています。問題解決能力やコミュニケーション能力、チームワークを活かした具体的な経験も伝えるようにしましょう。

また自身のキャリアプランと、応募先企業での将来像をどのように結びつけるかを考え、熱意をもって伝えることが大切です。

これらのポイントを押さえることで、面接官に強い印象を残し、転職活動を成功につなげられます。

経理の転職に適した転職エージェント7選

最後に、経理の転職でおすすめの転職エージェントを7社紹介します。

どの年代に強いのかという観点も含めて解説するので、ご自身の年齢に適したエージェントを選択しましょう。

BEET

BEETは、管理部門・バックオフィス人材の転職に強みをもつ転職エージェントです。

とくに、リーダーポジションやミドル人材の転職支援を得意としているため、経理経験が豊富な30代・40代の人材に適しています。

年収600万~2,000万円以上のハイクラス求人を扱っているため、年収にこだわりがある方にもおすすめです。

管理部門の転職市場に詳しいキャリアアドバイザーが転職に関わるすべての工程を丁寧にサポートします。

公式サイト:https://beet-agent.com/

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士は、公認会計士の転職支援に特化した転職エージェントです。

キャリアアドバイザーが求職者と企業の両方を担う両手型のエージェントなので、ミスマッチの少ない転職を実現します。

ハイスタ会計士が保有する求人は、ハイクラス人材やマネジメント層を対象にしたものが多く、すべて非公開となっています。

マネジメントポジションや即戦力になる経験者の転職支援に強みがあるため、30代・40代の方におすすめです。

公式サイト:https://hi-standard.pro/

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアは、公認会計士・税理士・経理人材を専門とする転職エージェントです。

創業以来、会計・税務・経理・財務領域に特化しており、高い専門性をもとにしたサポートを提供しています。

経理求人は、国内上場企業から未上場の優良企業、外資系企業まで幅広く扱っており、求職者の希望にあった求人を選定可能です。

経験を活かせるキャリアの提案が得意なので、30代以降の経理人材に向いています。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

MS-Agent

MS-Agentは、管理部門と士業に特化して転職サポートを提供しています。

専門特化型エージェントとして30年以上の実績があり、業界最大級の求人の中から適した求人を紹介してもらえます。

業界内ネットワークを活かし、MS-Agentだけが扱う限定非公開求人も豊富です。

求人の想定年収は400万~1,200万円以上と幅広いため、年代を問わず利用できます。

上場企業への転職成功例が多いので上場企業の経理希望なら20代・30代、管理職ポジションなら40歳くらいまでが適しています。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

マイナビエージェント

マイナビエージェントは、さまざまな業界・職種を扱う総合型の転職エージェントです。

経理の転職では、管理部門専任のキャリアアドバイザーと、求人企業担当のリクルーティングアドバイザーが両輪で転職をサポートします。

マイナビはもともと新卒領域に強い会社なので、そこで培ったノウハウを活かした若手のキャリア支援を得意としています。

そのため、20代・30代の経理人材におすすめです。平日の日中に転職活動の時間がなかなか取れない人のために、夜間や土曜日の相談も受け付けているのも魅力です。

公式サイト:https://mynavi-agent.jp/

JACリクルートメント

JACリクルートメントは、管理職と専門職の転職に強みをもつ転職エージェントです。

専門性の高さに定評があるコンサルタントが市場価値を正しく理解し、経験を活かせるキャリアを提案しています。

JACリクルートメントは、ハイクラス人材やミドルクラスの支援実績が豊富なので、30代・40代の経理人材に適しています。

とくに高度な専門性を備えた方はマッチする求人に出会える可能性があります。経理部長クラスなら50代でも可能です。

また、ロンドン発祥の日系エージェントでグローバルネットワークを有しているため、外資系企業やグローバル日系企業の経理で働きたい方もチェックしましょう。

公式サイト:https://www.jac-recruitment.jp/

SYNCA

SYNCAは、バックオフィス・管理部門特化型の転職サイトです。

応募とスカウトの両方から求人企業へのアプローチが可能なので、転職活動の選択肢が増え、ミスマッチを減らせます。

中小企業から大手企業、ベンチャー企業まで幅広い求人があるため、自分に合った求人を見つけやすいでしょう。

SYNCAでは、アンケートに回答するだけで求職者のスキルと市場価値がわかる市場価値診断も利用できます。自身の市場価値や適正年収を知りたい方はチェックしてみましょう。

公式サイト:https://candidate.synca.net/

まとめ

経理は需要が高い職種なので、何歳であっても転職が可能です。コロナ禍や人手不足の影響で求める年齢層の幅が広がっており、多くの方にチャンスがあるといえるでしょう。

ただし、年齢に応じた経験やスキルレベルが求められるため、ご自身の年齢と応募先が求める人材像をよく照らし合わせて転職活動を進めることが大切です。

転職活動に不安がある、なかなかうまくいかないといった方は、転職エージェントの活用をおすすめします。

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BackOfficeDB編集部
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