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インボイス制度の登録番号とは、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出して税務署長の登録を受けた場合に通知される番号を意味します。
法人番号を有する課税事業者の登録番号は「T + 13桁の法人番号」、個人事業者や法人格のない社団等の登録番号は「T + 13桁の数字」です。
本記事では、インボイス制度の登録番号の申請・確認方法や、インボイス制度をめぐる基本事項について分かりやすく解説します。
インボイス制度の登録番号は、適格請求書に必ず記載する必要があります。
インボイス制度の登録番号の記載漏れがあったり登録番号が間違ったりする請求書は正式な適格請求書とは認められません。
そのため、仕入税額控除を利用できず、買い手側が売上時に受け取った消費税額を全額そのまま納付する義務が生じます。
それでは、インボイス制度の登録番号はどうすれば判明するのでしょうか。ここでは、インボイス制度の登録番号を確認する方法について解説します。
適格請求書発行事業者の登録を受けるには、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出しなければいけません。税務署による審査をパスすると、適格請求書発行事業者登録簿に登録番号などが登載されて、適格請求書発行事業者として登録されます。
提起各請求書発行事業者の登録を受けると、登録番号が「適格請求書発行事業者の登録通知書」にて通知されるので、登録通知書を確認すればインボイス制度の登録番号を確認できるでしょう。
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトでは、以下の適格請求書発行事業者の登録情報が公表されています。
個人事業者や人格のない社団等の法人については、主たる屋号・主たる事務所の所在地等を公表することも可能です。
これらの登録情報の公表を希望する場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申立書」の提出を要します。
なお、適格請求書発行事業者公表サイトでは、インボイス制度の登録番号から各適格請求書発行事業者の情報にアクセスする仕組みになっています。
そのため、正しいインボイス制度の登録番号かを判断するのに活用可能です。事業者名や会社名から、直接的に登録情報にアクセスすることはできないのでご注意ください。
ただし、インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトにアップロードされている「全件データファイル」をダウンロードすれば、前月末日時点の全適格請求書発行事業者の登録情報を入手できます。
CSV形式でホームページ上にアップされているので、ダウンロード後にファイル内で会社名を検索すれば登録番号などの情報にアクセス可能です。
法人番号を有する課税事業者の登録番号は「T + 13桁の法人番号」なので、企業の法人番号からインボイス制度の登録番号を把握することができます。
法人番号については、国税庁の法人番号公表サイトが参考になります。以下のようにさまざまな検索方法が用意されているので、法人番号からインボイス制度の登録番号を確認できるでしょう。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、インボイス(適格請求書)に基づいて消費税の仕入税額控除額を算出して証拠書類を保存するための消費税法上の制度のことです。
そして、インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に対して正確な適用税率・消費税率等を伝える書類のことを意味します。事業者が正確な消費税額を納税することを目的として、2023年10月からスタートしています。
インボイス(適格請求書)に決まったフォーマットは存在しません。しかし、適格請求書には、以下の項目を必ず記載しなければいけないとされています。
なお、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業・飲食店業・タクシー業等については、一部項目を省略できる簡易インボイス(適格簡易請求書)の交付が認められています。
それでは、インボイス制度の登録番号が有する役割について、売り手側・買い手側のそれぞれの視点から解説します。
適格請求書発行事業者である売り手側にとって、インボイスの発行は登録事業者であることを示す証拠になります。
売り手側である適格請求書発行事業者は、買い手側である課税事業者から求められた時には、インボイスを交付しなければいけません。
また、インボイスを交付した時には、インボイスの写しを保存しておく必要があります。
適格請求書を受け取る買い手側の事業者にとっては、インボイスは消費税の仕入税額控除の適用を受けるために必要な書類と扱われます。
つまり、買い手側が仕入税額控除の適用を受けるためには、売り手側である適格請求書発行事業者から交付を受けたインボイスが必要だということです。
なお、2割特例・簡易課税制度の適用を受ける場合については、インボイスの入手・保存は求められません。
インボイスを交付するには、納税地を所轄する税務署長に登録申請を行わなければいけません。
そして、インボイス制度の登録番号を取得する方法は以下2つです。
ここでは、それぞれの申請方法について解説します。
インボイス制度の登録番号の申請手続きは、e-Taxからインターネット上で済ますことができます。事前に、マイナンバーカードなどの電子証明書、利用者識別番号等をご準備ください。
e-Taxで申請手続きを行った場合、登録申請から登録通知までの期間は約1ヶ月半程度が目安です。
Webでの申請手続きは簡便ですが、一定程度期間を要する点に注意しなければいけません。
なお、パソコンを利用する場合にはe-Taxソフト(Web版)、スマートフォンやタブレットを利用する時にはe-Taxソフト(SP版)がおすすめです。画面上に表示された質問に回答するだけで申請データを作成できます。
また、Web環境が整っていない方は税理士にインボイス制度の登録番号申請手続きを依頼することも可能です。
インボイス制度の適格請求書発行事業者の登録番号申請手続きは書面を郵送する方法でも可能です。
ただし、e-Taxによる申請手続きとは違って、登録通知まで3ヶ月程度の期間を要します。
国税庁HPから申請書をダウンロードして必要事項を記入したうえで、管轄地域のインボイス登録センターまでご郵送ください。
管轄地域のインボイス登録センターの住所・連絡先については「郵送により提出先、登録番号の確認等の問合せ先のご案内(国税庁HP)」からご確認ください。
参考:申請手続|国税庁
インボイス制度の登録番号は、適格請求書発行事業者の証明にとって重要な書類です。
そのため、一度取得したインボイス制度の登録番号を変更することはできません。
登録番号を紛失すると調査に手間がかかりますし、場合によっては消費税の仕入税額控除制度の適用外になるのでご注意ください。
2023年10月1日からインボイス制度がスタートし、多くの事業活動の中で適格請求書の発行・保存が重要な位置付けになっています。
ここでは、インボイス制度の登録番号がない状態で事業活動を継続する3つのデメリットについて解説します。
インボイス制度の登録番号を取得している事業者は、仕入れについて要した消費税額を控除できる点をメリットに感じるため、適格請求書の発行が可能な事業者との取引を重視する傾向が強いです。
そのため、インボイス制度の登録番号を取得しないままだと、既存の取引が中断して顧客を失うリスクがあるとご理解ください。
インボイス制度の登録番号を取得しているクライアントと取得していない顧客が混在する状況が発生すると社内における経理業務が煩雑化するため、適格請求書の発行が可能な事業者との取引に一本化する動きも盛んになっています。
そのため、適格請求書を発行できないままだと、どれだけ営業活動に力を入れたとしても、「インボイス制度の登録番号がないから」という理由だけで新規顧客との契約に至らないリスクに晒されます。
インボイス制度の登録番号を取得している事業者同士の取引だけが、消費税額控除の対象です。
つまり、インボイス登録をしないままで事業活動を継続すると、買い手である取引先が消費税額をそのまま負担が必要ということです。
このような状況が発生すると、買い手である取引先側は、消費税額分の金額・コストを取引価格に反映させて、現行の取引価格からのディスカウントを要求してくる可能性が高いです。
その結果、インボイス制度の登録番号を取得しない事業者は、実質的に消費税額分の売上額を失うことになり、減収強いられかねません。
業種・業界によって、インボイス制度の登録番号を取得する事業者の分布状況は異なります。
例えば、業界内の大部分の事業者がインボイス制度の登録番号を取得しているなら、インボイスに登録しなければ事業活動に大幅な制限がかかる危険性があります。
ただし、インボイス制度の登録番号を取得するには、1ヶ月半~3ヶ月程度の期間を要する点に注意が必要です。
また、インボイス制度の登録番号を取得したことによって経理処理等に変化が生じるので、社内マニュアルをアップデートしなければいけません。
インボイス制度の登録番号を取得するか否かや、登録番号の申請手続きの方法など、社内や税理士などに適宜相談のうえ、速やかに円滑な事業活動を継続できるような環境を整えましょう。