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事業計画は「任せて任さず」事業部門責任者も巻き込み、コミット可能なKPIにまで落とし込む方法

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事業計画は「任せて任さず」事業部門責任者も巻き込み、コミット可能なKPIにまで落とし込む方法

IPO準備における事業計画の策定は、経営者の「頭の中」を定量的に整理し、目標値や具体的な行動計画を明確にする上で重要なイベントといえます。

事業計画は会社の将来像を数値という明確な面で見ることができるため、ステークホルダーにとって各種判断に役立てられる重要な資料です。また精度の高い事業計画を作成することは、上場会社にとって不可欠とも言えます。

そのため、『IPOは事業計画が命』と位置付ける企業も多いです。

しかし、

外部環境が刻々と変化する中で、計画を立てることで臨機応変な判断が出来ないのでは…
具体的に、どういった考え方やスタンスで事業計画を作成すれば良いか分からない…

といった意見もあります。

本記事では、株式会社アシロの『事業計画の策定』を主導した取締役CFOの川村悟士氏に、事業計画の策定の重要性や実際の実務について伺いました。

事業計画はオフィシャルな予算と、アグレッシブな「社内目標」を追求

Q. 事業計画は当時からどこまで重要視していたか?

IPOにおいては、予実管理の正確性が最重要ポイントのひとつです。

例えば上場後に、正確な予算(業績予想)を出せずに下方修正を繰り返すような企業は投資家からの信頼を失くしてしまうため、適切な予算策定ができているのかは上場準備段階での大きなチェックポイントです。

また事業計画は、株主などの社外関係者と役職員の社内関係者の目線合わせをする貴重な機会なので、上場準備段階から非常に重要だと考えていました。

Q. 何年先の計画まで盛り込んだのか

一般的にIPOでは、3カ年の事業計画を「中期経営計画」として策定することが求められます。

上場企業では5カ年の計画を立てる会社もありますが、成長性やリスクの高いベンチャーではどうしても予測精度が低くなってしまうため、「中期経営計画」は3カ年の事業計画を指すことが一般的です。

Q. 策定にあたって心がけていたこと

先ほどお伝えした通り、上場後に下方修正することになった場合は大きな問題になることから、上場準備の段階から下方修正は避けることが望まれます。

逆に上方修正は何回しても問題ありませんので、事業計画はある程度コンサバティブ(保守的)な計画とすることを意識しました。

とは言っても株主や経営者の立場からすると、アグレッシブな計画を求めたいというスタンスになりますし、達成できるかどうかギリギリの水準に目線を置いた方が成長の確度は高まりますので、コンサバティブな「中期経営計画」というオフィシャルな予算と、アグレッシブな「社内目標」というアンオフィシャルな予算の2つを作ったうえで、社内の目標値としては「社内目標」を追求することで、「中期経営計画」を確実に達成するように努めていました。

重要なのは、エクイティストーリーによる強烈な成長イメージを示すこと

Q. 単なる数値計画の羅列ではなく、背景・裏付けの明記が求められるとされるが、実際にどういった考え方で策定したのか?

事業計画は信頼性が重要ですので、例えばですが売上がこうなるだろうと、ざっくり目算で計画を立てることはNGです。なるべく積み上げで細かく計算していく必要があります。

例えば営業一人当たり売上✕営業人員数といった形で売上が計算されるビジネスモデルだとすると、営業一人当たり売上は過去実績に基づいた数値とし、営業人員数は採用計画や人件費と紐づいた数値とすることで、売上の根拠・ロジックを固めつつ費用とも連動させていくイメージとなります。

細かく積み上げで計算していく上では、自社の事業がどういった要素で構成されているかのKPIを見つけることが重要となります。

Q. 利用したフレームワークは?

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