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【体験談】司法修習生は就活をどうやるべき?初動や情報収集の仕方、就活の軸の作り方やスケジュールなどを解説

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【体験談】司法修習生は就活をどうやるべき?初動や情報収集の仕方、就活の軸の作り方やスケジュールなどを解説

司法試験に合格した皆さん、おめでとうございます。これまでの長い道のりを振り返ると、たくさんの努力と忍耐があったことでしょう。

しかし、合格がゴールではなく、これから始まる「司法修習」や「キャリアの選択」が新たなスタート地点です。

司法試験に合格した瞬間、多くの受験生がほっと一息つくものの、その後すぐに「これから何をすれば良いのだろう?」という疑問が浮かんでくるかもしれません。

特に、司法修習に入るまでの期間や修習中に就活をどのように進めるべきか、どんなキャリアが自分に適しているのか、といった不安や疑問が多く出てくるのは当然です。

本記事では、司法修習生が就活において直面する悩みや疑問を解消し、どのように準備を進めていくべきかを具体的にアドバイスします。

また、法務人材専門のエージェントを活用することで、より効率的かつ的確な就活を進められる方法についてもご紹介します。

本記事を通じて、司法修習生としてのキャリアの第一歩を力強く踏み出すためのヒントになれば幸いです。

本記事のポイント
  1. 司法修習生が就活を行うべき理由と、その重要性
  2. キャリア選択肢の具体的な説明と、それぞれに適した就活の進め方
  3. 司法修習生の就活スケジュールの詳細と、その注意点
  4. 就活を成功させるための実践的アドバイス
  5. 法務人材専門エージェントの活用法とそのメリット

司法修習生はそもそも「就活」をする必要があるのか?

極論をいえば、司法修習の最後に行われる、いわゆる二回試験に合格すれば、弁護士資格を取得することができるので、後述のように即独立開業をするのであれば就活は不要といえます。

一方で、弁護士単体は個人事業主であり、クライアントがあってこその職業ですが、弁護士人口が年々増加している中でいきなり顧客をつけて独立することが容易かというと、そうではありません。

そこで、司法修習生も、選択肢に応じて組織に属する場合には、就活をすることが必要です。多くの司法修習生は、この「就職」や「キャリア」の選択肢に頭を悩ませます。

中には、すぐに就職活動をしなくても良いのでは?と考える人もいますが、実際には早い段階での計画的な就活が必要です。

理由1:法律事務所の求人には「タイミング」が重要

特に大手の法律事務所や準大手の事務所は、新卒の司法修習生を積極的に採用するため、就活を早めに始めることが重要です。

早い段階での準備が、不意に訪れるチャンスを逃さず、自分に最適な職場を見つけるための鍵になります。

理由2:キャリアの選択肢は「時間」が影響する

司法修習生が選べるキャリアの選択肢は多岐にわたりますが、それぞれに適した就活のタイミングがあります。

例えば、裁判官や検察官を目指す場合は、任官・任検のための試験や面接が修習期間中に行われるため、早期からの準備が不可欠です。

一方で、法律事務所に入る場合、インターンシップや説明会に早めに参加することで、事務所の雰囲気や人間関係を把握し、就職先の選定に役立てることができます。

法修習生になる前・就活前の時間が重要

法曹としてのキャリアは、司法試験の受験期から受験後、就活する前の時間の中で得た経験が重要です。

法曹人材が増加していく中で、どのように自分固有のキャリアを形成するのか、その考え方の多くは司法試験に合格する前の時間の中で培うためです。

司法試験の勉強だけでなく、受かって何をするかを考える

司法試験を突破すること自体が非常に大変な目標であり、合格後の生活やキャリアについては後回しにしてしまいがちです。

しかし、試験に合格した瞬間から、次のステップが始まります。この段階で、単に法律家になるという目標を持つのではなく、具体的に「自分がどんな法律家になりたいのか」を考えることが重要です。

例えば、弁護士としてどの分野を専門にするのか、あるいは法曹以外のキャリアに進むのかといった選択肢を具体的に考えることで、修習前の時間を有効に活用できます。

司法試験に受かって何をするのか」を深掘り、それは法曹の仕事が一面において顧客の人生や事業の重要な意思決定に関わり大きな責任や負担を伴う仕事であると同時に、法曹資格やそれに基づく経験を活かす幅が広く法律の分野以外の領域での活躍も十分に考えられる可能性に溢れた仕事であるからです。

「原体験」を得ること

●「原体験」を得ること
自分がなぜこの職業を目指したのか、どんな経験や出来事がその選択に影響を与えたのかを振り返ることも、この時期に大切な作業です。

「原体験」と呼ばれる、自分のキャリアの出発点となる体験を明確にすることで、就活における自己PRやキャリアの方向性が見えやすくなります。

例えば、ある事件や社会問題に対して強い関心を抱いた経験がある場合、それが自分のキャリアの核となる可能性があります。このような「原体験」を基にキャリアを考えることは、司法修習生にとって大きなアドバンテージとなります。

そして、原体験と、その原体験に法曹としての専門的知見やマインドとをどう結び付けるかということを言語化することがさらに重要です。

司法試験受験後の時間で差別化を

司法試験に合格した司法修習生は皆、同じ試験をクリアした仲間です。

しかし、合格後の数ヶ月で自分自身を差別化するためにはどうすればよいのでしょうか?

3つの移動距離を増やす

ここで紹介したいのが「情報、人、場所(空間)」という3つの移動距離を広げることです。

筆者がとある弁護士のキャリアイベントで登壇された方のお話の受け売りですが、これらを広げることで、他の司法修習生とは異なる視点や経験を持つことができ、就活において強力な武器となります。

  • 情報の移動: 自分のキャリアに関する情報収集を積極的に行いましょう。法律だけでなく、経済、ビジネス、テクノロジーなど、多岐にわたる分野の知識を増やすことが、後々のキャリアに役立つことは間違いありません。
  • 人の移動: 法曹関係者や先輩とのネットワークを築くことは、就活において非常に有利です。司法修習生は、修習先やインターンシップで多くの法曹関係者と出会う機会があります。積極的にコミュニケーションを取り、自分のキャリアに役立つ人脈を築きましょう。
  • 場所(空間)の移動: 異なる業界やコミュニティに身を置くことも重要です。法律とは関係のない世界を知ることで、新たな視点やアイデアが生まれ、自分のキャリア選択に影響を与えることがあります。

勉強のことは忘れる

あくまで筆者の個人的見解ですが、司法試験が終わったら、しばらくの間、勉強のことは忘れてリフレッシュすることも大切です。

特に長期間にわたって続けてきた勉強から解放されることで、頭をすっきりさせ、新しいことに挑戦する余裕が生まれます。

リフレッシュした状態でキャリアを考えることで、よりクリエイティブな選択肢が見つかるかもしれません。

異質な体験をする

法律に直接関係のない体験や、これまで経験したことのない活動に取り組むことも、将来的に有益です。

例えば、ボランティア活動や新しい趣味、ビジネスの立ち上げなど、異質な体験をすることで、自分の視野が広がり、新たなキャリアの方向性が見えてくることがあります。

特に、弁護士過多やリーガルテックやAI時代の中で、コモディティ化する法律家の価値も、より自分自身にしかできないこと・自分にしかない価値を追求していくことが求められます。その中で、異質な体験を通じて自分固有の価値を発見していく作業は、非常に重要といえるでしょう。

司法修習生のキャリアの選択肢

司法修習生には、さまざまなキャリアの選択肢があります。以下に、主なキャリアの具体的な内容と、それぞれの魅力を紹介します。

法律事務所への就職

最も一般的な進路は、法律事務所への就職です。法律事務所には、規模の大きな事務所から、特定の分野に特化した小規模事務所まで、多様な選択肢があります。

大手事務所では、大規模案件や国際案件に携わるチャンスが多く、スキルを大幅に向上させることが可能です。

一方で、小規模な事務所やスタートアップ型の事務所では、よりクライアントに近い位置で実務に携わることができるため、早い段階で多くの責任を持つことが求められます。

裁判官・検察官

裁判官や検察官としてのキャリアは、公共の利益に貢献し、法の正義を守るための重要な役割を担います。

これらの職業には、強い使命感と倫理観が求められますが、その分だけ社会に対する影響力が大きいことが特徴です。

社内弁護士

近年、社内弁護士の需要は急増しており、企業法務の分野で働くことが魅力的なキャリアパスとなっています。

企業内での法務業務に携わることで、ビジネスに直結した問題を解決し、企業の成長をサポートする役割を担います。また、長期的に安定したキャリアを築ける点が魅力です。

公務員(省庁や自治体など)

国や地方自治体で働く法務専門家としてのキャリアも人気があります。

法務省や経済産業省などで働くことで、政策立案や法律改正に直接関わることができるため、広い視野を持ちながら社会に貢献できる点が魅力です。

独立・起業

一部の司法修習生は、自ら法律事務所を開業したり、法務に関するビジネスを起業する道を選びます。

これは大きなリスクを伴いますが、自分のビジョンを実現するために自由な働き方を選べる点が魅力です。

自分のスキルやネットワークを最大限に活用し、新しい市場を切り開くチャンスがあるでしょう。

主なキャリアごとの就活スケジュール

就活スケジュールはキャリアごとに異なりますが、早期に準備を始めることが大切です。

法律事務所(大手・準大手)

大手法律事務所では、司法試験等の受験よりも前に、サマークラークやウィンタークラークなどのインターンシップや説明会が就活のスタートとなります。

特にインターンシップを経験し、大手事務所の執務環境を体験しつつ、一定期間の中で実務の案件のプロセスを経験してアウトプットをすることで、実際に事務所の雰囲気を知り、自分に合った職場かどうかを判断することができます。

事務所側にとっても、力量やポテンシャルを判断する材料となり、その中で内々定などが決まり、場合によってはその段階で早期に内定をもらうケースもあります。

そのため、大手や準大手の事務所への就職は、司法試験の結果が出る前に動き始めることが推奨されます。

法律事務所(スタートアップ型)

スタートアップ型の法律事務所では、司法試験後の弁護士会提供の合同就職説明会などのタイミングが基本ですが、それだけでなく司法修習の前後を問わず、比較的柔軟な採用スケジュールで動いていることもあります。

修習前はもちろんですが、修習中に出会った事務所にアプローチすることも可能ですし、ネットワークを活かして新しい機会を探すこともできます。

弁護士のキャラクターもフランクに関われる弁護士も少なくないため、臆することなく、所属弁護士とSNS上でつながり、DMなどで声掛けをしてランチをしながら相談するなど、積極的に関わっていくことが重要です。

任官・任検

任官や任検を目指す場合、修習期間中に試験や面接が行われるため、修習中に集中的に準備と対策をしていくことが必要です。

修習中の成績や、課題に対する取り組み姿勢や貢献度などが評価対象となるため、裁判官や検察官を目指す人は、まず修習前に情報収集をしつつ、修習に入った段階で担当教官にすぐさま相談をし、必要な及第点に対し黙々とステップアップしていくことに注力しましょう。

司法修習生が就活で意識すべきこと

就活において、司法修習生が特に意識すべき点は何でしょうか?

積極的に先輩弁護士と関わること

司法修習中に出会う先輩弁護士からのアドバイスは、就活において非常に貴重です。先輩弁護士と積極的に関わり、キャリアの悩みや不安を相談することで、現場のリアルな情報を得ることができます。

法曹以外の人と多く関わること

就活においては、法曹界以外の業界の人々とのネットワークも重要です。

異なる視点を持つ人々と関わることで、自分のキャリア選択肢が広がり、予期せぬチャンスが訪れることがあります。

異質であること

他の司法修習生とは異なる経験やスキルを持つことは、就活において大きなアドバンテージです。

自分が特別な何かを持っていることをアピールできる場面を増やし、自分の個性を活かしたキャリアを切り開いていくことが重要です。

司法修習中も豊富にチャンスがある!

基本的には、精神安定的にも司法修習前に就活を終えて、修習に臨む人が多く見受けられます。

しかし、実は司法修習中にも、最適な就職先・ファーストキャリアを見つけるためのチャンスがたくさんあります。

実は修習期間に入った後の方が最適な就職先を発見しやすいことも

修習前に就職先が内定している人が多数派ですが、修習期間に入った後に最適な就職先が見つかることもあります。

例えば、弁護修習先の事務所や、その事務所界隈の人脈から他の法律事務所への紹介を通じて、就活の機会が生まれることもあります。

また、実際に法曹の仕事に取り組む中であることから、具体的に自分が法曹の仕事に合うかどうか肌感覚を掴めるため、より法曹としての仕事を目指す理由や、法曹として何がしたいのかを明確に言語化しやすくなります。

そのため、修習期間で決まった就職先がミスマッチが少なく長続きするケースもあります。

3つの移動距離が格段に広がる

修習中には、情報、人、場所の移動距離がさらに広がります。

修習で出会う人々や経験から学び、今後のキャリアに活かしていくためには、積極的にこれらの移動距離を広げていくことが重要です。

司法修習生の就活成功にはエージェントの活用が効果的

司法修習生が就活の最適解にたどり着くためには、自己分析はもちろん、他己分析にも十分に時間を割くことにより自分が気づいていない自分への「気づき」を得ることも重要です。

壁打ち相手の重要性

法曹の仕事は、専門性が高く、社会的にも重要視されて報酬も高いことから、それだけである程度のバイアスがかかることがあるため、本当に自分がやりたいことをやることができるかは別問題です

そのため、就活を一人で進めるのは難しいことも多く、エージェントを活用し、壁打ち相手として自分のキャリアの悩みを相談することが非常に有効です。エージェントは、経験豊富なプロフェッショナルであり、就活において的確なアドバイスを提供してくれます。

エージェント活用により情報収集だけでなくフィードバックが受けられる

法務人材専門のエージェントを活用することで、業界の最新情報や企業の動向を把握できるだけでなく、自己PRや面接のフィードバックも受けられます。これにより、自分の適性や強みを客観的に評価し、就活の成功率を高めることができます。

司法修習生の就活には「PROGRESS」

エージェント活用には、現在様々な弁護士人材の紹介サービスがある中で、PROGRESSがおすすめです。

PROGRESSは、法科大学院生・予備試験受験生・司法修習生向けに特化した求人サイトです。具体的には、弁護士等の経験がある中途人材ではなく、法科大学院生などの新卒人材の採用を考えている法律事務所や企業の求人情報に特化しています。

弁護士になる就活での最たる課題とされているのが、情報格差です。

特に事務所側の情報が求職者側に届いておらず、特に法科大学院生などは必ずしも判断材料となる情報が十分ではありません。

例えば、年収レンジについて実際どの程度の年数で相場はいくらなのか、所属弁護士の年代はどうなっているか、取扱っているクライアントのポートフォリオや執務時間などは、事務所ごとに開示している情報の範囲に差があります。

そうした詳細な情報が満載なのが「PROGRESS」です。

また、レビュメ登録により応募フローの効率化が図られており、事務所ごとの面倒な応募作業などを省力化することができ、スピーディーに就活を進めることができます。

法科大学院生・予備試験受験生・司法修習生の就活は、ぜひPROGRESSをご活用ください。

まとめ

司法修習の就活は、情報・人・場所の移動距離を最大化していくことが重要です。また、司法試験の受験前・司法修習前の段階からしっかりと将来何をするのか追及していくことも重要です。

さらに、弁護士人口の増加やAI時代の中で、自分固有の価値を言語化し、スキルや専門性を異質なものとしていくことが、活躍していくためのキーポイントになるといえるでしょう。

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川村将輝
この記事の執筆者
川村将輝

愛知県弁護士会所属。旭合同法律事務所に所属しながら、事業会社の法務部に出向。企業法務に関心があり、取り扱い分野は戦略・政策渉外、コーポレートガバナンス、内部統制、M&A、ファイナンス、AI、Web3.0、SaaS、人材プラットフォーム、航空・宇宙、データ法務、広告法務、エンタメ、消費者被害、相続、破産・再生など。学生時代は法律問題を取り上げるメディア運営会社にてインターンを経験し、現在もWEBメディアにて執筆活動を続ける。詳しいプロフィールはこちら:https://asahigodo.jp/lawyer-introduction/kawamura-masaki/