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コーポレートファイナンスとは?3つの指標や資金調達方法などを徹底解説

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コーポレートファイナンスとは?3つの指標や資金調達方法などを徹底解説

コーポレートファイナンスは、昨今の企業成長に欠かせない企業活動の一つです。

本記事では、コーポレートファイナンスの基本概念と実践的手法を分かりやすく解説します。

コーポレートファイナンスとは

コーポレートファイナンスとは、企業が様々な手段を用いて調達した資金を効果的な方法で活用し、自社の企業価値を高める活動のことです。

この活動は、企業の財務活動全般をカバーし、資金調達、投資、資本構造の最適化なども含まれ、これらを通じて企業価値を最大化させ、株主価値の向上を目指します。

コーポレートファイナンスのメリット

コーポレートファイナンスのメリットとしては、適切な資金調達により、企業は必要な資金を確保し、事業拡大や新規プロジェクトへの投資が可能になることです。これにより、企業の成長が促進され、競争力が向上します。

また、資本コストの最適化で企業の財務効率が向上して利益が最大化される他、企業価値の向上で株主や投資家、金融機関からの信頼が高まり、追加の資金調達が容易になります。

コーポレートファイナンスのデメリット

コーポレートファイナンスを実施する際は、デメリットも理解しておかなければなりません。

コーポレートファイナンスは、資金調達の過程で企業の信用力が問われるため、信用力が低いと資金調達が困難になる可能性が高いです。

また、資金調達後は企業資産が担保となるため、財務状況が悪化して返済できなくなった場合、土地や建物などの資産を取られるリスクがあります。

プロジェクトファイナンスとの違い

コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンスは、いずれも資金調達を目的としていますが、その対象や方法に違いがあります。

コーポレートファイナンスは企業全体を対象とし、企業の信用力や資産を担保に資金を調達する方法です。

一方、プロジェクトファイナンスは特定のプロジェクトを対象とし、そのプロジェクトの収益性やリスクを評価して資金を調達します。

このため、プロジェクトファイナンスではプロジェクト自体が担保となり、企業全体の信用力に依存しない点が特徴です。

コーポレートファイナンスに関連している企業価値とは?

企業価値とは、事業価値に非事業価値を含めた企業全体の経済的価値を表す指標です。

具体的には、企業が保有する全ての資産の価値から負債を差し引いた純資産価値を指し、企業の財務健全性や将来の収益力を評価するために用いられます。

企業価値の役割

企業価値は、企業の経営戦略や投資判断において重要な役割を果たします。企業価値が活用されるシーンは、主に次のとおりです。

  • M&A(企業買収・合併)
  • 資本コストの評価
  • 投資判断

企業価値の向上は、企業の競争力を高め、長期的な成長を支える重要な要素です。

そのため、経営者や財務担当者は、企業価値を正確に把握し、適切な経営戦略を立案することが求められます。

企業価値を把握する際に使用される指標

企業価値を把握する際に使用される指標は、次の3つです。

NPV

NPV(Net Present Value)とは、正味現在価値といいます。

将来のキャッシュフローから初期投資額を差し引いて算出した値で、投資の収益性を評価する際に広く用いられている指標です。

NPVがプラスであれば、投資によって得られるリターンが資本コストを上回るため、投資価値があると判断されます。

IRR

IRR(Internal Rate of Return)とは、内部収益率といい、NPVがゼロになる割引率のことです。

この指標は、投資の効率性を評価するために用いられ、投資判断をする際のハードルレート(最低限の必要利回り)がIRRを上回る場合、投資価値があると判断されます。

DCF法

DCF法(Discounted Cash Flow)とは、割引キャッシュフローといいます。

企業が将来的に生み出すキャッシュフローの中でも、フリーキャッシュフローから一定の割引率をかけて企業価値を評価する方法です。

DCF法の算出方法は、次のとおりです。

フリーキャッシュフロー(FCF)を予測し、次に加重平均資本コスト(WACC)を計算
フリーキャッシュフローを加重平均資本コストで割り引いて現在価値を求め、企業価値を算定

コーポレートファイナンスの資金調達方法

コーポレートファイナンスの資金調達方法は、次の6つが挙げられます。

資産売却

資産売却とは、企業が保有する不動産や設備、投資有価証券などの資産を売却して資金を調達する方法です。

負債を増やすことなく迅速に資金を確保できる他、不要な資産を売却することで、固定コストを削減し経営の効率化につなげられるメリットがあります。

その一方、将来的に必要となる可能性のある資産を手放してしまうリスクがあります。

さらに、資産の価値が低下している場合、売却損が発生する可能性もあるため、資産売却を検討する際は、長期的な経営戦略を踏まえて慎重に判断しなければなりません。

株式発行

株式発行とは、企業が新たな自社株式を発行して投資家から資金を調達する方法です。

株式発行は返済義務がなく、調達した資金は企業の自己資本となるため、財務の安定性向上にも寄与します。

新規株主の参加によって経営の透明性向上や企業価値の再評価の機会につなげられる他、株式市場に上場している企業の場合は知名度向上や社会的信用の獲得も期待できます。

ただし、株式発行は上場できる企業規模でなければ実施できず、仮に発行できても株式の保有割合に応じて配当金を支払わなければなりません。

また、新たな株主の意向を考慮する必要が生じ、経営の自由度が制限される可能性がある他、最悪の場合は経営権を奪われるリスクがあるため、注意が必要です。

社債発行

社債発行とは、企業が債券を発行して投資家から資金を借り入れる方法です。

銀行借入と比較して、より大規模な資金調達が可能な点や、金利が固定されるため将来の資金計画が立てやすいなどのメリットがあります。

一方、定期的な利払いと満期時の元本返済の義務が生じるため、企業の財務負担が増加するリスクがあります。

また、社債発行は業績不振の企業には適さない場合があるため、企業の信用力や市場金利の動向、既存の負債状況などを総合的に評価することが重要です。

助成金・補助金

政府や地方自治体、公的機関などから企業に対して交付される、助成金・補助金を活用する資金調達方法です。

助成金・補助金は給付型の資金であるため、返済の必要がありません。

返済不要の資金を得られることに加え、公的機関からの支援を受けていることで企業の信用力向上にもつながるというメリットがあります。

一方、申請手続きが複雑で時間がかかる場合が多いのがデメリットです。

また、使途が限定されていたり、事後の報告義務が厳しかったりする他、競争率が高く、必ずしも希望通りの金額を獲得できるとは限りません。

融資

融資は、金融機関から資金を借り入れる最も一般的な資金調達方法です。

信用力や不動産などの担保があれば比較的迅速に資金を調達できる、担保によってはより多額の資金を得られるといったメリットがあります。

また、融資の種類も多様で、運転資金のための短期借入から設備投資のための長期借入まで、企業のニーズに合わせた選択が可能です。

一方、デメリットとしては、定期的な返済義務があること、担保や保証人が必要な場合があること、そして借入額や金利が企業の信用力に大きく左右されることなどが挙げられます。

また、過度の借入は財務レバレッジを高め、企業の財務リスクを増大させる可能性があるため、融資を検討する際は、返済計画の綿密な立案が不可欠です。

エンジェル投資家・ベンチャーキャピタルからの出資

エンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)からの出資は、主にスタートアップや成長期の企業が活用する資金調達方法です。

エンジェル投資家から出資を受ければ、投資家の経験やネットワークを活用できます。

特に、業界に精通した投資家からの出資は、経営アドバイスや事業戦略の策定支援など、資金以外の面でも大きな価値をもたらす可能性もゼロではありません。

一方、エンジェル投資家は個人投資家のため、高額な出資が期待できないのがデメリットです。

ベンチャーキャピタルからの出資は、融資と違って返済義務がありません。

その点が大きなメリットですが、出資を受けるためには審査が必要な他、出資を受ける際は株式を譲渡する必要があります。

また、ベンチャーキャピタルから経営方針や方向性について干渉を受けることもあるため、経営の自由度が制限される可能性があります。

コーポレートファイナンス業務に役立つ3つの資格

コーポレートファイナンス業務に役立つ資格は、次の3つです。

証券アナリスト

証券アナリスト(CMA)とは、日本証券アナリスト協会が認定する資格です。

証券アナリストを取得するためには、CMAプログラムの受講・受験、第2次試験の合格に加え、証券分析における3年以上の実務経験が必要です。

また、試験は4科目で構成されており、その中にはコーポレートファイナンスに直結する内容が含まれています。

この資格を取得することで、企業価値評価や財務分析のスキルが向上し、コーポレートファイナンス業務において大きな強みとなります。

米国証券アナリスト

米国証券アナリスト(CFA)は、アメリカのCFA協会が運営・認定する国際的な資格です。

世界90か国以上で試験が実施され、グローバルに通用する資格として高く評価されています。

そのため、外資系企業やグローバルな環境でM&Aなどのコーポレートファイナンス業務に携わりたい方に特におすすめです。

ただし、米国証券アナリストはレベル1~3の3段階に分かれており、最難関のレベル3は金融関連資格の中でも最も難しいとされています。

特にレベル3の取得には数年単位の学習が必要となる点に注意しなければなりません。

また、試験は英語で実施されるため、語学力も必要となります。

プロフェッショナルCFO検定

プロフェッショナルCFO検定は、一般社団法人日本CFO協会が実施する資格試験です。

この資格は、財務戦略の立案や実行、企業価値の向上など、コーポレートファイナンスの中核的な業務に直結する知識を提供してくれます。

これまでに紹介した資格と比べると難易度が低く、市場価値を証明するには少し物足りませんが、キャリアアップを目指す財務担当者にとって非常に有益な資格といえます。

まとめ

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BackOfficeDB編集部
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BackOfficeDB編集部
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