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安定した仕事に就くと生活が安定し、将来の人生設計を立てやすくなります。
しかし、変化の激しい現代において「安定」の定義は変化しているともいえるでしょう。
本記事では、安定している職業の特徴や具体的な職種、これからの時代のキャリアプランなどを紹介します。
待遇の良さや将来性など、安定した職業には複数の特徴があります。
ここでは、6つの特徴を紹介します。
国税庁が令和5年に発表した「民間給与実態統計調査」によると、令和4年の給与所得者の平均給与は458万円とのことでした。
この収入を上回る金額が給与として支給されていれば、一般的に給料が高いといえるでしょう。社会的ニーズが高い職業でも、給料が低いと働くモチベーションを維持するのは難しいかもしれません。
また、スキルに応じた昇給や時間に応じた残業代の支給がなければ、安定した生活を送るのは難しいといえます。
経営が安定している大企業やガスや水道などのインフラ系・人の命に係わる医療系などの専門性の高い職業は生活に必須であるため、職業自体がなくなる可能性は低いでしょう。
特に医療系の職業は、国家資格取得が必要な場合が多く、専門的な知識や技術が必要です。そのため、希少価値が高く、ほかの職業と代替が利きにくいため、仕事がなくなることはないといえます。
長期的に成長を見込める業種・業界も、安定性があるといえるでしょう。
特に近年は、IT業界の市場規模が拡大しており、事業のECサイト化やテレワークを推進する企業の増加によって、今後も業界全体の成長が期待されています。
時短勤務や在宅勤務など、働き方を柔軟に選べる職業だと、仕事とプライベートを両立しやすく、より安定した生活が望めるでしょう。
結婚や子育てなどのライフイベントが発生した場合でも、元々柔軟な働き方が可能な環境が整っているので、職を変えずに長く働きやすいです。
働きやすい仕組みが整っている職場かどうかも重要です。
例えば、適切な人事評価があるか否かは、標の一つです。
適切な人事評価が行われることで、従業員は自分の働きぶりが評価されていると感じられ、モチベーションを維持しながら長期的に勤務できるでしょう。
また、精神的・肉体的に強いストレスとなるセクハラ・パワハラが行われている企業は、不安定な職場です。ハラスメントを受けることで働き続けることが困難となり、休職や退職に至ることも考えられます。
終身雇用が崩壊し、転職や副業が当たり前の時代になりました。
社会情勢の変化も激しいことによって、経営が安定している企業でも存続できない可能性があります。そのため、会社にキャリアを任せず、自分でキャリアアップを図る必要があります。
業界によって重宝されるスキルは異なりますが、専門性の高いスキルや知識があれば、どの会社でも活躍できるでしょう。
また、キャリアアップできる職場環境であれば、身につけたスキルを活用し、転職や副業の選択肢を広げることが可能です。
生活に必須な分野だけでなく、これからも需要が伸びるであろう職業も「安定した職業」に当てはまります。ここからは、安定した13の職業を解説していきます。
公務員とは、国家公務員と地方公務員の総称です。
警察官や消防士、公立学校の先生、市町村役場勤務などが該当します。公務員の特徴は、以下のとおりです。
公務員になるには、国家公務員試験または地方公務員試験に合格する必要があります。受験資格に年齢制限を設けている場合があるので、該当する年齢を考慮して合格を目指しましょう。
また、令和4年度の有効求人倍率が0.33とあるように、公務員は人気の職業なので、就職を希望する難易度は高い傾向にあります。
日本では高齢化が進んでいる一方で介護士の人材が不足しているため、介護職の需要は今後も伸び続けるでしょう。施設介護員の有効求人率は3.23です。
未経験からでも挑戦でき、働きながらの実践でスキルを身につけられるため、資格取得も目指せます。企業によっては、資格保有者に手当を支給する場合もあるので、給料の上昇も見込めるでしょう。
また、福祉系で言えば保育士も含まれます。有効求人倍率は2.73です。
参考:施設介護員 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
保育士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
人間が健康に生きるには医療の力が不可欠なので、景気の波に左右されない点は医療系の強みです。
歯科医院や病院といった医療機関だけでなく、リハビリ施設や調剤薬局など多方面で医療系の人材が求められているので、需要の高い業種・業界といえるでしょう。
また、プロフェッショナルとしての道はもちろん、医療機器メーカーや製薬会社へ転職する選択肢もあるため、キャリアの選択肢も豊富です。
年収においても年収が1,000万円を超えるケースもよくあり、高い年収で安定した職業で働きたい場合の選択肢の一つになるでしょう。
参考:内科医 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
IT業界は、通信技術やAI技術などの進歩により、今後も成長が期待される業界です。
2030年までにIT人材が79万人不足するとされており、政府もデジタル推進人材の育成を進めています。具体的には、以下の細かい業界に分けられます。
参考:みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査 調査報告書」|経済産業省
システムエンジニア(業務用システム) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
ソフトウェア業界は、AI技術などの先進技術の革新が著しいこともあり、安定した職業といえます。パソコンからスマホの利用率の向上や、SNSの普及により、ソフトウェア開発の需要は続くでしょう。
ソフトウェア業界で働くには、資格は必須ではありませんが、入社後にスキルを身につけることが求められます。
役立つ資格としては、「情報処理技術者試験」や「ネットワークスペシャリスト試験」などがあります。
ハードウェア業界は、もともと市場規模が大きく、家電などの生活に必要な分野なので、安定した業界といえます。高性能のソフトウェアができれば、搭載するハードウェアが必要となります。
そのため、ハードウェア業界はIT業界にとって基盤であり、ITの需要が続く限り将来性は明るいでしょう。
近年では、ドローンやVR、3Dプリンターなどのハードウェアが次々に登場し、普及を目指しています。これらのハードウェアの需要拡大も、ハードウェア業界の将来性を後押ししています。
情報処理サービス(SI)業界は、AIやビッグデータなどの先端IT技術の需要が高まっており、将来性があるといえます。
IT技術の進化に伴う技術者や専門家の不足も、需要増加の理由です。デジタル庁の発足やマイナンバーカードの普及など、政府のデジタル化の取り組みも、情報処理サービス業界の需要拡大に寄与しています。
インターネットやWeb業界は、スマホの普及によって需要が高まっています。
パソコンからスマホへメインデバイスが移行したことで、インターネットは気軽に利用できるようになりました。また、車の自動運転といった新しい技術にもインターネットが必要になるので、市場規模の拡大が期待できます。
このように、インターネットが生活から必要なくなることは考えにくいので、今後もWeb業界の需要は高まるでしょう。
自動車、食品、医療機器などのメーカー系は不況でも影響を受けにくく、AIとの相性も良いので、将来性があり安定しているといえます。
自動車メーカーとは、車を製造・販売する企業です。
自動車は、生活に欠かせない乗り物になってきているので、倒産リスクは低いでしょう。近年では、環境に配慮した電気自動車の製造に力を入れており、将来性のある業界です。
また、インフラ整備の需要やAIの活用による自動運転の普及により、今後も安定するといえます。
食品メーカーとは、食料を製造・販売する企業です。農家や企業から食料を調達し、スーパーマーケットなどに販売しています。
社会情勢の影響で原料価格が高騰し、食品価格の値上げもありえますが、人間が生きていくために食品は欠かせないので、安定性の高い業界です。
医療機器メーカーは、医療機器を製造・販売する企業です。医療機器の市場規模は年々拡大しており、高齢化の影響で需要が高まっています。
医療機器の成長戦略フォローアップを経済産業省が打ち出しており、輸出にも力を入れていて、業界は世界規模で成長しています。
メーカー営業とは、メーカーの製品やサービスを販売する営業職です。
法人向けのルート営業が多く、飛び込み営業は少ないといえます。AIの技術が進んでも、営業職の需要はなくなることはありません。
半導体はAIに多く使われており、車の自動運転技術の推進には製造業が不可欠です。また、CO2の削減や交通渋滞の解消など、社会の課題を解決するためにも、製造業が担う役割は大きくなっています。
なかにはAIに任せられる作業もありますが、AIを作るのは人間です。そのため、製造業の需要は今後も高まっていくでしょう。
ガスや電力、水道、鉄道、通信などのインフラは、人間の生活に欠かせないものであるため、安定した職業といえます。
インフラ系の業界は、設備の保守・点検を定期的に行う必要があります。
そのため、一定の需要があり、倒産リスクは低いでしょう。
また、企業によっては福利厚生が充実しているため、ワークライフバランスを取りやすい傾向にあります。
安定していると言われてきた職業も、情勢や経済・文化の発展により業績が落ち込むこともあります。
反対に、安定しづらいと言われている職業でも、今後業績が伸びる可能性があるでしょう。
例えば近年、AIが目覚ましい進化を遂げています。店員をネコ型の機械が勤めるファミレスも出現しています。特別なスキルを必要としない、AIや機械に代替可能な職種は、今後なくなっていく可能性があるでしょう。
反対に、保育士や介護士などは給料が低く、生活が安定しづらいと言われてきました。しかし、岸田首相の分配戦略により、仕事内容と給料が見合っていないとして、エッセンシャルワーカーの給料は引き上げられたのです。
このように、技術の進化によって安定しづらくなる職業もありつつ、政府の対応によって給与が上がり、安定するようになる職業も増える可能性があります。
就職をする際、安定した職業に就きたいと思うのは当然の心境です。
では、安定した職業に就くためにはなにをしたら良いのでしょうか。ここでは、就職において必要なアクションプランを紹介します。
自己理解を深めることは非常に重要です。自己理解が深まれば、自分に合った仕事が見つかりやすくなり、選考の場でも自分の強みをアピールしやすくなります。
自己理解を深めるためには、まず自分の得意・不得意を把握することが大切です。
そのためには、これまでの経験やスキルを振り返ったり、周囲の人に自分のことを聞いてみたりするとよいでしょう。
また、自分の好きなことや興味があることを深く掘り下げることで、本当にやりたい仕事を見つけられるかもしれません。
苦手な仕事ややりたくない仕事を続けていると、ストレスが溜まり、モチベーションが下がってしまいます。
また、安定した職種であっても、自分に合わなければ長続きしない可能性もあります。
やりたい仕事を見つけたら、自己理解で見つけた強みを自己PRに生かしましょう。自己PRでは、なぜその会社を志望するのか、自分の強みがどのように活かせるのかを具体的に説明することが大切です。
就職活動を成功させるためには、まず希望する仕事に必要なスキルや知識を身につけることが大切です。
資格を取得しておくと、熱意やスキルをアピールでき、採用されるチャンスがアップします。
医療系や教育系などの安定した職業では、資格が必要な仕事も少なくありません。
また、収入の多い仕事は、専門知識が必要となることも多いので、希望職種に役立つ資格を取得しておくと、就職活動が有利となります。
資格取得には時間がかかるものもあるので、希望する仕事に必要なスキルや資格について、よく調べましょう。難易度の高い資格は、1年を通して数回しか試験を行っていないことも多いので、計画的に学習・行動する必要があります。
さらに就職活動を円滑に進めるには、企業研究も必要です。同じ安定した職業や業界でも、企業によって福利厚生や売上などが異なります。
思っていた職場環境と異なれば、早期離職につながる場合もあるので、企業についてよく調べましょう。
転職エージェントとは、求職者に合った求人を紹介してくれるサービスです。
登録者一人ひとりに担当が付くため、相談にいつでも乗ってくれるなど、サポートが手厚いのが特徴です。
転職エージェントでは、転職のプロが調査したデータから、求職者に合った職業の紹介や、転職における不安点や疑問点の相談を受け付けています。また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などのサポートも行っています。
特に近年は、経済や社会情勢が変化しやすいため、一人で情報収集するよりも、プロに相談して将来を考えることが大切です。エージェントは現場の職員や人事担当者などと交流を持っていることが多いため、自力では調べようがない社内の様子も教えてもらえるでしょう。
転職エージェントでは、福利厚生や給与水準などの情報だけでなく、企業の離職率や業界の成長性などの情報も提供しています。そのため、安定しやすい仕事を紹介してもらいやすくなります。
過去に言われてきた安定した職業は、大手企業でした。
しかし、社会が変化するにつれて、大手に就職することが、必ずしも安定にはつながらないと考えられるようになってきています。
例として、バブル崩壊後に大手証券会社や銀行が破綻したことがあります。
大手企業が金銭面において窮地に立たされる可能性は、それほど高くありません。しかしそれだけに惑わされず、社会が変化していっても必要とされる仕事を見定める必要があります。
現代では働き方改革を政府も掲げており、働くことは個々にあわせて委ねられ、安定や正解も多様になっています。
以下3つの理由とともに、安定した職業の変化を見てみましょう。
終身雇用制度とは、会社が倒産しない限り、社員を一生雇い続ける仕組みです。
高度経済成長期は経済も発展していたため、終身雇用制度が守られてきました。しかし、少子化による労働人口の減少や経済の停滞により、終身雇用制度の維持は困難になりつつあります。
また給料が年功序列で上昇する仕組みが、企業にとって重荷となっており、今後AI技術の発展で多くの人員が削減されると予測されています。
終身雇用制度という安定が必ずしも選ばれなくなった現代では、あらかじめ転職を考えて就職する人や、メインの職業とは別に副業で稼ぐ人が増えています。
一つの会社が合わなくても、次の会社に転職できれば賃金面では問題ありません。また、副業である程度稼げていれば、同様に賃金面の問題は解消されるでしょう。
バブル崩壊やリーマンショックなどの経済危機や、AIの発展、コロナ禍などの社会変化により、日本の社会は大きく変化しています。
その結果、社会の安定感が失われ、安定そのものの定義も変わってきているといえるでしょう。
今後も同様の変化が起こらないとは言い切れず、10年先の社会や仕事がどうなっているのかさえ、予測が困難になっています。
今後の自分の安定のためには、変化に対応できる力や、情報の取捨選択を行うスキルなどが求められるようになるでしょう。
現状は安定している職業でも、社会情勢や景気といった経済の変化によって、経営の好転・悪化も考えられます。
「100%の安定は存在しない」と覚えておき、世の中の動向に目を向けておくことが重要です。
安定した給料を一生涯保証できる企業・仕事はないので、転職や副業、資格取得などを積極的に行い、自らの手でキャリアを築く姿勢が求められるでしょう。
安定した職業に就くためには、現代社会において必要とされている仕事やスキルを把握することが大切です。
ただし、それらを必ずしもすべて身につける必要はありません。自分のやりたいことや得意なことを軸に、必要なスキルを身につけていけば、安定した職業に就ける可能性は高まるでしょう。
法務部・経理財務をはじめとした管理部門のコンサルタント。不動産営業・管理事務等を経験したのち、バックオフィス専門のアドバイザーとして参画。