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カンファレンスとは、何らかのテーマについて、情報共有や意見交換を行う場のことです。
ビジネスにおいては、業界人が交流する大規模なイベントとして、年に数回のペースで開催されます。
カンファレンスを主催する企業にとっては、自社の取り組みやサービスを広く周知するチャンスにもなります。
カンファレンスを主催する際は、開催前後のプロセスを理解することが重要です。
本記事を読むことで、カンファレンスの詳しい概要や「ミーティング」との違い、さらに開催を成功させるポイントがわかります。
ビジネスの現場においては、ある特定のテーマについて大人数で話し合う、大規模な会議・協議のことをカンファレンスと呼びます。
英語で「会議・協議会」を意味する「conference」が由来です。
例えば「バックオフィス業務におけるAI活用」がテーマであれば、AIの活用を進めたい総務や、人事担当が各社から集まり、情報共有やディスカッションを行います。
また、その分野に精通した有識者をゲストスピーカーとして招き、講演やパネルディスカッションを行うのが一般的です。
なお、一口にカンファレンスと言っても、分野・業界によって定義に違いがあります。
本記事では、主にビジネスカンファレンスを取り扱いますが、記事の後半では、医療やスポーツなど他分野のカンファレンスについても解説しています。
ビジネスカンファレンスを開催する目的は「意見交換」「情報共有」「社外交流」など、多岐にわたります。
一見、勉強会や交流会としての色が濃いように思えるカンファレンスですが、マーケティングの観点からも有効です。
カンファレンスでは、登壇者によるトークのみならず、参加者同士の意見交換からも有益な情報を得られます。
業界のトレンドに関する情報や事業のノウハウなど、その場所でしか手に入らない情報を入手できるチャンスです。
参加者のスキルアップにつながるのはもちろん、カンファレンスで得た情報を今後の事業に活用すれば、会社全体として恩恵を受けられます。
カンファレンスには、普段はあまり関わることのない大勢の人が集まります。
他社の人とも交流できる貴重な機会であるため、取引をしたり、協業したりするきっかけになるかもしれません。
カンファレンスを主催する企業にとっては、自社の製品やサービスをアピールできる絶好の機会になります。
有益なコンテンツ提供によって、既存顧客の体験価値を高められるだけでなく、注目度の高いテーマを絡めた自社のブランディングが可能です。
今までアプローチが難しかった潜在顧客の獲得も狙えるため、長期的な視点からも有効なマーケティング施策と言えます。
カンファレンスが交流・意見交換を目的としているのに対し、ミーティングでは今後の方針決定に重きが置かれます。
一般的にミーティングが行われるのは、会社やプロジェクト単位のチームといった「組織」です。
たとえば、会社全体でのミーティングの場合、会社の業績や課題を共有し、会社のビジョンに沿った行動計画を策定します。
チームミーティングであれば、リーダーやマネージャーが中心となって進捗を確認し、今後クリアすべきタスクを洗い出します。
このようにミーティングでは、組織が置かれている立ち位置を振り返ったうえで、未来に焦点を当てた話し合いが行われます。
ミーティングは、通常5〜10名程度で行われます。
全社ミーティングなどでは、これよりも大人数になる場合がありますが、一般的には小・中規模です。
一方でカンファレンスは、ミーティングよりも大きな会場で開催され、数百名もの参加者がいる場合もあります。
経験やスキルを問わず広く参加者を募るため、多くの場合でミーティングよりも大規模です。
ミーティングは、会社の会議室やオンライン上でも行えるため、必要があればいつでも開催できます。
そのため、「毎週月曜日」「隔週1回」といった高頻度で行うことも可能です。
カンファレンスを開催するには、ミーティングと比較して時間もコストもかかります。
よって、同一団体の主催によるカンファレンス開催は、年に1〜2度といった頻度にとどまる場合がほとんどです。
カンファレンスを開催するときは、全体の流れをあらかじめ把握して、スピーディーに準備を行うことが大切です。
具体的には、以下のようなステップを踏むと良いでしょう。
まずは、カンファレンスのテーマと目的を決めます。
テーマと目的の明確かどうかによって、カンファレンスが有意義な時間になるかどうかが決まると言っても過言ではないです。
開催日時を決め、どのような内容でカンファレンスを進行していくか決めます。
当日に時間が押すことも考慮し、プログラムを無理に詰め込みすぎないようにしましょう。
カンファレンスの舞台となる会場をおさえ、登壇者に出演を依頼します。
オンライン開催の場合は、どのような形態で配信し、出演してもらうか考えます。
あらかた準備が整ったら、カンファレンスに参加してくれる人を集めます。
目標とする参加人数を事前に定めておくと良いでしょう。
カンファレンスを成功させるためのポイントを紹介します。
意識すべきは「テーマ」「登壇者」「会場」「集客」「アフターフォロー」の5点です。
カンファレンスのテーマは、具体的であればあるほど好ましいとされます。
たとえば、Web3.0に関するカンファレンスなら、「Web3.0時代におけるメタバース広告の活用」など、一歩踏み込んだテーマを扱うと良いでしょう。
ほかのカンファレンスとの差別化ができるほか、既存の枠組みに捉われない、新たな話し合いの場を創り出せます。
テーマについて詳しい専門家を起用し、参加者が何らかの学びを持って帰れるようにすると、カンファレンスの満足度を向上させられます。
その分野で名の知られた、影響力のある人物を起用すれば、「あの人が出るなら参加してみよう」といったファン層の参加を促せるため、集客効果にも期待できるでしょう。
多くの参加者を動員するカンファレンスでは、その規模に適した会場を確保する必要があります。
また、会場までのアクセスも参加者にとって重要な要素です。さらに、どの施設を使用するかによって、開催にかかるコストも大きく変動します。
オンラインでの開催、もしくはオンラインとオフラインのハイブリッド形式も念頭に置いて、慎重に会場選びを進めましょう。
なるべく多くの参加者を集めるためには、集客方法の工夫も必要です。
例として、以下に挙げたような手法があります。
さまざまな集客法がある中で、SNSの活用は効果的です。
カンファレンスの概要や、参加するメリットが一目でわかるよう、簡潔で魅力的な投稿を心がけましょう。
開催して終わりではなく、その先まで意識した対応を行うことで、参加者の満足度を高められます。
参加者へお礼メールを送信したり、アンケートで意見や要望を聞いたりするだけでも、十分なアフターフォローになります。
また、やむを得ない事情で会場に来られなかった人や、内容を再度振り返りたい参加者のために、カンファレンスの内容が録画されたアーカイブを配信するのも有効です。
ここからは番外編として、ビジネス以外の分野におけるカンファレンスについて見ていきましょう。
冒頭で述べたように、他分野でのカンファレンスは、ビジネスカンファレンスとは少し違ったニュアンスになります。
「教育・研究」「医療」「スポーツ」におけるカンファレンスは、次のようなものです。
教育や研究の分野においては、「学会」「アカデミックカンファレンス」とも呼ばれます。
大学や研究機関に所属する研究者が集まり、研究成果を発表し合う場です。医学や科学、経済学など、さまざまな学術分野の第一人者たちによる、プロフェッショナルな会議と言えます。
また、ほかにも「学術集会」「学術大会」と呼ばれる集まりがあります。これらは通常の学会よりもライトに情報発信や交流を行う場です。
内容の専門性は異なりますが、いずれも国や国際社会の発展、学術の進歩に寄与するものとして、多くの団体によって開催されています。
医療や福祉の現場においては、患者・利用者により良いサービスを提供するため、カンファレンスを実施します。
ここでのカンファレンスは、目的別にいくつもの種類がありますが、主要なものは以下の3つです。
看護師や介護士などのスタッフが集まり、患者・利用者に関する情報共有を行うなどして、現場での意思疎通を図ります。
法律で実施が義務付けられている「サービス担当者会議」とは異なり、現場の意思で自発的に開催されます。
医師・看護師をはじめ、薬剤師や管理栄養士などから結成されるチームで、患者の状態や、今後の治療方針について話し合います。
より質の高い治療を提供するために、職種の垣根を越えて実施されるのが特徴です。
病院や施設の経営管理に関する協議を行います。
現場で医療行為に従事するスタッフではなく、経営に直接関わる上層部が主に参加します。
スポーツにおけるカンファレンスは、競技に直接関わるもの・そうでないものに分けられます。
また、大学スポーツやプロリーグでは、エリアごとにチームを分けてカンファレンスと呼ぶ場合があります。特にアメリカでは一般的な考え方です。
たとえばNCAA(全米大学体育協会)には、南東部のサウスイースタン・カンファレンスや、太平洋に近いエリアのパシフィック12カンファレンスなどがあります。
カンファレンス開催を成功させるためには、明確なテーマ設定が必要です。
そのうえで、スケジュールとプログラムの設定、適した登壇者と会場の選定を行います。準備が整ったら、広告やSNSなどを積極的に活用し、参加者を集めましょう。
ただし、開催前の準備や、当日のオペレーションだけでなく、開催後のアフターフォローまで意識することが大切です。
次回のカンファレンスにも足を運んでもらえるよう、参加者の満足度を高める工夫を凝らしましょう。